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実務家からみた司法試験コミュの民事法 創作融合問題 平成17年作成

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平成17年10月4日
新司法試験模擬試験問題 民事訴訟法(訴訟物論・弁論主義)


                   弁護士
                   岡 本   哲

某法科大学院で出題したものである。
司法研修所での2回試験をとおったひとなら、80点はとれると思われる。
―――――――――――――――――――――――――――――――
以下の判決文を読んだうえで設問に答えよ。
(2時間 100点満点)
小問(1)訴訟物とはなにか。訴訟物の確定に関しては学説がわかれているが、なぜわかれているのか。(15点)
  また、実務的にはどのような説がとられているのか。その根拠はなにか。反対説を意識しつつ答えよ。(20点)
  小問(2) 本件訴訟の訴訟物はなにか。(当事者名はX、Y1、Y2、登記の特定は本件1登記、本件2登記としてよい)。いわゆる訴訟物に関する実体法説を前提にこたえよ。
(5点) それに対してどのような抗弁が原審で提出されたのか。(5点)
本件における訴えの併合形態はどのような形態か。(5点)
  小問(3) 本件における反対意見について弁論主義の本質、そのなかに法律構成に関する権限は当事者の専権なのか否か、また、不意打ち防止機能は弁論主義の要請なのか否かにふれつつ答えよ。(25点)
  小問(4) この判決に関する元最高裁判事からの以下の論評かあるが、この論評についていままでに述べた訴訟物に関する見解、弁論主義に関する見解にふれつつ論ぜよ。(25点) 計画審理で当事者双方の争点のしぼりかたが間違えている場合には必ずふれること。
「事実審裁判所においては、ある法的構成のもとに結論を出すために必要な限度で事実を認定するにとどまらず、他の法的判断、法的構成も可能となるように幅広く事実を認定しておいてもらうと、一審原審では気づいていない法的判断のもとに、妥当な結論を導きうる。弁論主義の制約はあろうが、適切な訴訟指揮、釈明権の行使により、上告審での法的判断の幅が広くなるような事実関係の確定は難しいだろうか。」

判決例
最高裁平成13年(受1461号 平成14年9月12日第一小法定判決 一部破棄自判、一部破棄差戻(判例時報1801号72頁登載)
当事者     上告人   Y1
上告人   Y2
        上記両名訴訟代理人弁護士 甲
        被上告人  X
        同訴訟代理人弁護士 乙
主文
原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。
被上告人の上告人Y1に対する主位的請求及び上告人Y2に対する請求をいずれも棄却する。
被上告人の上告人Y1に対する予備的請求に関する部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
被上告人の上告人Y1に対する主位的請求に関する訴訟費用及び被上告人Y2との間に生じた訴訟費用は、被上告人の負担とする。
理由
上告代理人甲の上告受理申立て理由について
一 原審の確定した事実関係の概要等は次のとおりである。
⑴ 被上告人は、平成6年4月8日、金融業を営む上告人Y1との間で本件消費貸借契約を締結し、3300万円を弁済期同年6月7日、利息月2・5%、遅延損害金年40・004パーセントの約定で借り受けた。
⑵ 上告人Y1と被上告人は、前記貸付に際し、本件消費貸借契約にもとづく債務の履行を担保するため、被上告人の所有する本件土地につき、上告人Y1を根抵当権者とし、極度額を7000万円とする根抵当権を設定することを合意し、上告人Y1は、平成6年4月8日、同根抵当権設定登記を経由した。
⑶ 被上告人は、上告人Y1に対し、本件消費貸借契約に関して、平成6年6月7日、8月8日、同月24日及び12月29日に各108万9000円ずつ、平成7年1月31日に50万円をそれぞれ弁済したが、その余の弁済をしなかった。
⑷ 被上告人は、平成7年5月2日、上告人Y1に対し、同月25日までに弁済をするとして、競売申立を控えるよう依頼するとともに、「平成7年5月25日迄に当社が貴社依り不動産担保貸付契約に依り借用している金銭を支払えなかった場合は本物件(本件土地)を貴社名義に変更する事と貴社の判断で第三者に対して売り渡す事を承諾いたします。」と記載した書面を作成し、印鑑証明書や委任状と一緒に上告人Y1に交付し、上告人Y1も、被上告人の上記内容の申込みを承諾した(以下、これによって成立した契約を「本件契約」という。)しかし、上記期限を徒過しても、被上告人は何らの弁済もしなかった。
⑸ 上告人Y1は、平成7年5月26日、被上告人から預かっていた本件土地の権利証、前記印鑑証明書等により、本件土地について同日付け代物弁済を原因とする被上告人Y1への所有権移転登記(以下、「本件1登記」という。)を経由した。
⑹ その後も、上告人Y1は、本件消費貸借契約に基づく債権を被上告人から回収できれば、本件1登記の抹消に応じる意図の下に、平成7年6月8日、被上告人に対し、同月16日までに本件土地を買い戻すことを要請した。被上告にんは、これを受けて、買い戻しができない場合には清算金の要求をしない旨を記載した売渡承諾書の作成にも応じたが、この期限を経過しても、資金を調達して本件土地を買い戻すことができなかった。
 上告人Y1は、なおも被上告人に対し、本件消費貸借契約に基づく残債務の支払いがされれば、本件土地の買い戻しに応じる意向を示し、同年9月15日には、本件土地の「利息分」として1000万円を被上告人から受領し、同年12月24日に被上告人に到達した書面により、平成8年1月26日までに本件消費貸借契約の元本3300万円及び平成7年3月27日から平成8年1月26日までの遅延損外勤827万2600円の合計4127万2600円を支払えば、被上告人に対し本件土地の買戻しを認めるが、さもなければ第三者に対し本件土地を処分する旨通知したが、被上告人からは何ら応答がなかった。
⑺ 本件土地について、平成8年7月19日に、同月17日売買を原因とする上告人Y1から上告人Y2への所有権移転登記(以下「本件2登記」という。)が経由された。
二 本件において、被上告人は、本件土地の所有権に基づき、上告人Y1に対して本件1登記の、上告人Y2に対して本件2登記の各抹消登記手続を求めている。また、被上告人は、上告人Y1に対し、仮に被上告人が本件土地の所有権を喪失したとすれば、清算金1億9000
万円の内金1億円の支払いを求める予備的請求をしている。
三 原審は、前記事実関係の下において、次のとおり判断して、被上告人の上告人Y1に対する主位的請求及び上告人Y2に対する請求をいずれも認容すべきものとした。
⑴ 平成7年5月2日に被上告人と上告人Y1との間で本件土地につき締結された本件契約の目的は本件消費貸借契約上の債務を担保することにあり、当事者間において、その履行とともに債権債務が消滅することは想定されていなかったことなどの事実によれば、本件契約の実質は停止条件付代物弁済契約であって、仮登記担保契約に関する法律(以下「仮登記担保法」という。)の適用を受ける仮登記担保契約というべきである。
⑵ 本件における清算金の支払を不要とする特約は、仮登記担保法3条3項により無効というべきであり、清算金の見積額の通知がされていないのであるから、本件土地の所有権はいまだ被上告人から上告人Y1に移転していない。
四 しかし、原審の上記判断は是認することはできない。その理由は次のとおりである。
 本件契約は、これに基づく所有権移転登記手続がされた後も、上告人Y1において被上告人に債務の弁済を求めていた事実等に照らすと、目的不動産の所有権の移転にとって債務を確定的に消滅させる代物弁済契約ではなく、仮登記担保の実行によって確定的に所有権の移転をさせようとしたものでもない。上告人Y1は、本件契約により、本件土地を同上告人名義に変更した上で、なおも債務の弁済を求め、利息を受領してきたのであるから、本件契約は、債権担保の目的で本件土地の所有権を移転し、その登記を経由することを内容としていたもので、譲渡担保契約にほかならないと解すべきである。
 そして、譲渡担保において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は当該譲渡担保がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得し、債権者がこの権能に基づいて目的物を第三者に譲渡したときは、譲受人は、目的物の所有権を確定的に取得し、債務者はその時点で受戻権ひいては目的不動産の所有権を終局的に失うのであるから(最高裁昭和60年(オ)第568号同62年2月12日第一小法廷判決・民集41巻1号67頁、最高裁平成元年(オ)第23号 同6年2月22日第三小法廷判決・民集48巻2号414頁参照)、本件においては、上告人Y1から上告人Y2への本件土地の売却によって、上告人Y2は本件土地の所有権を確定的に取得し、被上告人は、清算金がある場合に上告人Y1に対しその支払いを求めることができるにとどまり、本件土地を受け戻すことはできなくなったというべきである。
五 以上のとおり、被上告人は本件土地の所有権を喪失したのであるから、その所有権に基づいて本件1登記の抹消登記手続を求める被上告人の上告人Y1に対する主位的請求及び本件2登記の抹消登記手続を求める上告人Y2に対する請求はいずれも理由がないというべきである。これと異なる原審の前記判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。そこで、原判決を破棄し、第一審判決を取り消した上、被上告人の上古人Y1に対する主位的請求及び上告人Y2に対する請求をいずれも棄却することとし、清算の要否、清算をすべきものとした場合の清算金額等について、更に審理を尽くさせるため、被上告人の上告人Y1に対する予備的請求に関する部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻すこととする。
 よって、裁判官藤井正雄の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

 裁判官藤井正雄の反対意見は次のとおりである。
 本件は、被上告人が本件土地の所有権に基づき本件1登記及び2登記の抹消登記手続を請求した事案である。上告人らは、抗弁として、上告人Y1が被上告人から本件契約により本件土地の所有権を承継取得したものであるとし、本件契約は、被上告人が上告人Y1に対し本件消費貸借契約に基づく債務の弁済に代えて本件土地の所有権を確定的に移転することを内容とする代物弁済契約であり、債権担保を目的とする契約ではないと主張した。これに対して、被上告人は、本件契約は、債権担保を目的とする停止条件付代物弁済契約であって、仮登記担保法にいう仮登記担保契約であると反論し、同法適用の有無をめぐって双方の攻防がおこなわれてきた。しかし、この場合において、被上告人の仮登記担保であるという主張は、上告人の代物弁済契約であるという抗弁に対する否認の趣旨に異ならないのであり、これ以外に本件契約が譲渡担保契約であるという主張は、当事者双方のどちらからも提示されていない。確かに、平成7年5月2日付けの本件契約の内容を記載した署名(乙第3号証)の文言自体は、生の事実として当事者双方の陳述に現れている。被上告人は、これに基づき本件契約を仮登記担保と構成して主張したのであるが、仮登記担保と譲渡担保とでは、債権担保の機能面で近似する要素を有しているとはいえ、要件事実や法律効果を同じくするものではなく、前者の主張が当然に後者の主張(不利益陳述)を包含しているともいえない。
 ある事実関係について、複数の法規に基づく複数の法律関係が考えられるときに、どの法規に基づく法律構成を選択して主張するかは当事者にゆだねられた事柄である。仮登記担保と主張されているときにこれを譲渡担保と認定することは、少なくとも当事者の予想を超えるものであり、不意打ちとなるちことを免れない。まして、本件では、上告人らは、代物弁済契約として主張せず、担保的構成の主張を拒否しているのである。上告人らが代物弁済の主張にこだわったのは、本件1登記の登記原因が代物弁済であったからであると思われるが、上告人らとしては、証拠に則して担保目的による所有権の取得であることを主張すべきであった。
 私は、本件について、多数意見が本件契約を代物弁済契約でも仮登記担保契約でもないとした点に異論はないが、これを譲渡担保であるとした点は、当事者の主張しない所有権取得原因事実を認定するもので、被上告人に対する不意打ちであり、訴訟における弁論主義に反するとの疑いを払拭することができない。上告人らは、上告人Y1の所有権取得原因として主張した代物弁済契約を立証することができず、抗弁が成立しなかったのであるから、被上告人の請求が認容されるのはやむを得ないことであり、原審の判断は結論において正当であると帰するというべきである。
 なお、この場合、上告人Y1名義の根抵当権設定登記については既に代物弁済を原因として(すなわち混同により)抹消登記がされているが、抹消登記の登記原因の無効を理由に抹消回復登記を求めることが可能である。上告人Y1と上告人Y2との関係については、売買代金の不当利得返還の問題として処理するほかはないと考える。
(裁判長裁判官 藤井正雄 裁判官 井嶋一友 町田顕 深澤武久横尾和子)
上告代理人甲の上告受理申立理由(省略)

(問題編 終了)

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