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大熊猫蔵コミュの【井戸へ急ぐ】

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 夕闇に追い立てられるように車を走らせ、なんとか日没前に「井戸」の近くに到着する。

 実際の「井戸」があるのは車では行けないところらしく、ここからちょっと歩かなければいけないみたい。国道とは名ばかりの山道で車がすれ違うためにちょっと広くなった場所に車を停め、そこからさらに細い山道を登ってゆかなければならないのだとか。いまは誰も住んでいない廃屋の裏手に、その問題の「井戸」があるらしい。
 僕達は車を停めた辺りの周囲をちょっと見回すが、他の車などは見当たらない。とにかくいったん「井戸」に行こうってことになった。

 歩く速度よりかろうじて遅いスピードで暗くなりつつある山道は、まだ夏が終わっていないというのに蝉の泣き声一つしない。
 自分たちの足音だけが、ザッザッと静かに聞こえる。

 廃屋は、すぐに見えてきた。
 静か過ぎるせいで、あたりの空気に重い圧力を感じる。
 近づきたくない気持ちが一足ごとに強くなる。
 来ちゃったんだ、ここまで……。

 その時だ。
 微かな声が聞こえた気がして足を止める。

 背中がぞわぞわとして、息を吸うのさえ怖くなる。何かが居るのだろうか?
 「独りではない」ということだけが、逃げ出さずに居られる唯一の理由だった。

 どこから聞こえてきたか分からない声。それは逆に僕らの歩みを進めさせた。声が廃屋からじゃなく背後から聞こえる気がしたせいで。

 廃屋のすぐ近くまで来るとようやく「井戸」が見えた。

 どこにでもあるような普通の井戸。普通の。うん、普通の井戸だよ。
 自分の頭の中で何度も「普通の」を繰り返す。
 ……うわ……また……え、でも今度は「井戸」の方から聞こえる。まさか井戸の中に?
 井戸の中に誰かが……と、一瞬考えてしまう。この微かな声だけでは年齢も性別も分からないけれど……覗いてみるべきだろうか。
 僕は…………。



【誰かいますか、と声を出す】
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【思いきって覗き込む】
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【フェイントで後ろを振り向く】
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