今日紹介するセリフが出てくるのは中盤。秘書の死を受け入れられないバートレットは葬儀後、聖堂に独り残り、理不尽な試練を課す神に怒りを爆発させて罵倒するシーンです。ひととおり文句をぶつけて最後に二度「もうたくさんだ」と言って立ち去るのですが、一度目のときの原音が "You get Hoynes." です。ちなみにホインズとは副大統領の名前。直訳すると「あなたはホインズを手に入れる」ですね。言外の意味をくみ取って解釈するなら「神は私がお嫌いのようだから、お望みどおりホインズを献上します」といったところでしょうか。要するに大統領のいすをホインズに譲るということ。それが「もうたくさんだ」ですから、なかなか大胆な訳ですね。いや、大胆すぎるか(笑)でも、散々悪態をついた後の言葉なので、流れ的にはぴったりですし、訳の方向性も間違っていません。いいセリフです。個人的には「もう辞めてやる」とはっきり言わせるのも1つの手かなと思いますが、さて、どうでしょう。
「あなたを心の底から軽蔑する」。かなりキョーレツです。ところが、原音は "I don't even want to know you." そんなにキツイ言葉ではありません。素直に訳せば「もうあなたのことなんて知りませんからね!」くらいの軽いものです。少し突き放した言い方ですけど、決して非難めいた感じではないんですよね。なので最初は原音と訳の落差に違和感を覚えて、なぜこんなふうに訳したのか不思議に思ったものです。でも後にもう一度このセリフが登場したとき、納得がいきました。