Yua's factoryコミュのFinal Destiny 4-9

悪くない。
ドニス相手に勇者三人、その他の戦友も奮戦する。
削れている。削れているのは間違いない。ドニスの再生が追い付いていない。

「火遁の術」

サスケが両手で印を結ぶと、火柱がドニスを包み込み燃え上がる。

「ハッハー！やるじゃねぇかサスケ！」

ニコルが槍を突き、真空の刃がドニスを刻む。

「揺れるわよぉ！」

ソニアも負けじと地面を殴るとドニスの足元からマグマが噴き出し、体を呑み込む。

『ぐがあああっ！』

ドニスのダメージは深刻である。噴き出したマグマに呑まれながら上空へ飛ぶドニス。

「勝てる！勝てるぞ！」
「ってぇーーぃ！」

ミストの歓び勇む声は、背後からの突然の号令に被さる。間も無く砲撃の音が響き渡る。
そこには東の国テスの国王、ティグリスと率いる兵士らであった。
鉄の塊が数百台、それぞれが黒煙を上げて何かを発射させている。

「待たせたな、勇者諸君！これが我が国の最終兵器、“戦車”だ！」

筒から放たれる鉄の玉はドニスへ降り注ぎ、爆発を起こす。
そしてそれよりも小型の、筒上になった鉄の塊をそれぞれの兵士が構えてドニスへ構える。

「鉄砲部隊！放てぇい！」

ティグリスの号令で鉄砲部隊は一斉に引き金を引くと、細かな弾丸がドニスへ放たれていく。
爆音、銃撃音が耳をつんざく。

「なんだこれ！うるせぇ！」

ニコルは笑って言うが、その声は爆音によって掻き消される。

「殿っ」
「……サスケ、よくぞ持ちこたえてくれた」
「……しかし、シェリル殿は」
「……そうか」
「御意」
「ならば弔い合戦だ」
「御意」
「我が製鉄騎士団の力を見せつけてくれよう！」
「はっ！」

間も無く弾丸が放たれ、ドニスの肉は飛び散る。

『こ、小蝿どもめぇええ！』

耐えきれなくなったドニスが魔力を最大限に上げる。
膨れ上がった魔力はドニスを包み、どす黒く濁った球体が浮かぶ。それは全てを消し去るほどの威力を秘めていることが容易に分かるほどであった。
――――が、、、

「マホカトーール！」

どこからか声が聞こえたかと思うと、ドニスの浮かべた球体が一瞬にして消え失せた。
功労者は北の国、ボルノの女王トゥレラ率いる魔導士らである。

「ここらに結界張ったよー！ドニスはもう魔法使えないから！ってか回復も出来ないから！やるなら今！」

トゥレラはロッドを振り回して言うと、魔導士らと共に魔法を強化していく。

「姫！」
「ニコル、この馬鹿！何やってんの！？」
「何って、こっちは散々戦って――――」
「わっ、片足無いじゃん！キモッ！」
「キモいとか言わんで下さいよ」
「しょーがないわねー、ケアレル！」

トゥレラがロッドを回転させると、ニコルの足は瞬時に再生した。

「うおっ！？姫回復出来るんですか！」
「姫じゃない。女王と呼びなさい」
「女王…」
「回復と補助は任せて」
「蘇生は？」
「肉体があれば出来るよ？」
「魔の刻印の者でも？」
「それは無理。なんで？」
「……シェリルが…」
「……まさか、死んじゃったの？」
「……」
「…そ。魔の刻印が刻まれたならどうしようも出来ない。私達に出来ることは、彼女の仇を討つことよ」
「…やっぱ、そうですよね」
「ほら、分かったらとっととドニスをやっちゃいなさい！」
「了解っ！」

ニコルは駆ける。
サスケも、ソニアも、ミストも、ルーアも、ミラも駆ける。
蓮花は踊る。
ドニスの体が朽ちていく。肌が、肉が小削げ落ちていく。

「放てーっ！」

また別方向から号令が届き、ドニスへ火矢が降り注ぐ。
西の国ラーマより、国王のシリウス軍が参戦した。

「世界を混沌にせしドニスめっ！成敗してくれる！」
「王！」
「ソニア！よくぞ耐えた！とどめをさすぞ！」
「はっ！」

『グガガ…！』

最期が見えてきた。
ドニスはいよいよ体が半壊し、血反吐を撒き散らす。

「終わりだ、ドニス」

ドニスの目の前に立つのはミストである。

『ぐ、貴様ら……多数で来るとは卑怯な……』
「卑怯？人間を捨てた奴がよく言うよ。っつぅか、昔と言うこと変わらないんだな、あんた」

ミストは剣を振りかぶる。

「ま、待てミスト――――」
「シェリル殿の仇だ！死ね！ドニス！」

ミストの剣は降りおろされ、ドニスの首は宙を舞った。







続

Final Destiny 4-10
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