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Yua's factoryコミュのFinal Destiny 2-29

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「ニコルーーーッ!」

私の絶叫は広い廊下に木霊し霧散する。
貫かれたまま上へと持ち上げられたニコルは口から大量の血を吐き出し、ぐったりとしている。

「シェリ…ル」
「ニコル!ニコル!」
「逃げ…ろ」

ニコルの命の灯火が今にも消えてしまいそうで。

「やだ!駄目だニコル!一緒に!」
「シェリル…早く…逃げ」
「いやだ!待ってろニコル!そんな奴…そんな奴すぐに私が!」

涙が溢れる。視界がぼやける。戦闘中なのに。

「ニコルを離せぇえ!」

私はマルヴァジタに向かって走り出す。

『馬鹿め』

マルヴァジタは空いた手で邪気を放つと私は後方へ弾き飛ばされた。
そのまま壁に衝突し、ダメージを負う。

「あうっ!」
『お前には魔物の母体になってもらわねばならぬ。足掻くな』
「う…ぐ」

勝てない。ニコルを救うことさえ出来ない。

「シェ…リル…今、から…隙…」
『まだ生きていたか』

貫いた腕から電撃が放たれ、ニコルの内側から焦がしていく。

「ぐがっ…ああああっ!」
「ニコルー!」
「し、シェリルぅう!逃げろぉお!」
『逃がさんよ』

――アポズラスィ――

私に向け、ニコルが呪文を唱えると私の身体が白く光を放つ。

「な…に?何これ!ニコル!」
「脱出…呪文…」
「はっ?何言ってんの!?あんたも!」
「自分には…かけられない…ぐああっ!」
「ニコル!」
『ぬう!逃がさん!』

マルヴァジタは私に向け手をかざす。しかしニコルは槍でその腕を貫いた。

『むぅ!貴様ぁあ!邪魔をするな!』

電撃の威力を上げるとニコルの身体は大きく跳ねる。

「やめて!やめろぉおお!」

私の声はマルヴァジタに届かない。

「シェリル…仇を…俺の仇を…」
「ニコル!いや!あなたも逃げて!」
「ぐはっ!ムリっぽいわ…」
「諦めるな!勇者だろ!」
「シェリ…ル」
「ニコル!」

私の体はだんだん透けていく。ニコルを残して、ここから抜けてしまう。

「来世で結婚…して」
「バカ!結婚なんかしてやるもんか!」
「死にゆく者にも…手厳しい…」
「ニコル!」
「何とかなる…さ」
「ニコル!」
「泣き顔も…可愛いな」

ニコルは最後にそう言うと身体を光らせた。全生命力をかけて、彼は爆発を起こす。

「ニコルーーーッ!」

瞬間、魔王城入口へと転送された。
私は泣き崩れて、暫くその場にうずくまることしか出来なかった。






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