Yua's factoryコミュのFinal Destiny 2-16

――烈風槍尖――

ニコルが槍を突き出すと捻れて渦と成った竜巻状の風がラムゥを襲う。

『ぬぅ、何という風力』

しかしラムゥは風の一端を杖で突くと風は軌道を変えて遥か彼方に飛んでいく。

『ほっほ、風と言えどもツボをおさえりゃ』
「解説は後で聞くよ」

瞬時にラムゥの背後へ回ったニコルは槍を地面に刺し、呪文を唱える。

――臥斬龍翔烈波――

周囲の風が密集して龍を形作りラムゥを襲う。

『おお！？』

龍の口にバクンと呑み込まれ、ラムゥは中で鎌鼬となった風刃に切り刻まれる。

『うぐ！むぅう！』
「そのままおねんねしてろ」

――紫雷閃――

彼方から紫色に光る雷が龍の風に衝突し弾けて相殺した。
ラムゥはその場で膝をついた。

『ご無事でしたか、ラムゥ様』
『ふむ、年には勝てんわなぁ』
『何を仰いますか。本来の力の十分の一も出しておられなかったじゃないですか』
『バレとったか』

突如現れた者にラムゥは『うひ』と笑って見せる。
ニコルはその者に視線を向ける。

「誰か分からんが、あんた…」

ニコルの顔が強張る。

『ん？何だ、どこかで見たことあると思ったら』
「シェリル！！」

ニコルは破顔一笑する。
シェリルは顔を歪ませてニコルに一瞥をくれるとラムゥの元に歩み寄る。

『ラムゥ様、一応手当てしますか？』
『ふむ、お主の太ももで膝枕させてくれれば治る』

言ってラムゥはシェリルの尻を撫でる。

『そこは太ももではなく尻です。それだけ元気あれば大丈夫ですね』

シェリルは身体を捻り、尻に置かれたラムゥの手は空をきる。

『…つれないのぉ』

シェリルはやれやれといった感じでラムゥを見て、またニコルへ向き直る。

「シェリル！お前に、お前に会いたかったんだ！俺はお前に会いに」
『私はもう人間じゃない。獣人だ。顔の凶々しい刻印を見て分からないのか？』
「関係無い！俺と一緒になってくれ！」
『相変わらず恥ずかしい奴だなニコル。お前の求婚はもう随分前に断ったはずだ』
「頼むよ！結婚して俺の子を産んでくれ！」
『飛躍し過ぎだ馬鹿』
「とりあえず人間界に帰ろう！」
『お前だけ帰れ…と言っても出口はなぁ…』
「帰れないのか？」
『う～ん』

シェリルは少し考え込む。
しかしニコルはこの再会に運命を感じていた。

続
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