Yua's factoryコミュのFinal Destiny 25

「ドニスぅうう！」

シェリルを包む赤く円形のオーラが膨張していく。

「や、殺れ！シェリルを殺せ！」

ドニスが号令を発する。
魔術師達は一斉に魔法を唱える。

――ｴｸｽﾌﾟﾛｰｼﾞｮﾝ――
――ｴｸｽﾌﾟﾛｰｼﾞｮﾝ――
――ｴｸｽﾌﾟﾛｰｼﾞｮﾝ――
――ｴｸｽﾌﾟﾛｰｼﾞｮﾝ――
――ｴｸｽﾌﾟﾛｰｼﾞｮﾝ――

爆破系呪文の連続。周囲は爆発を幾度も起こす。
機械兵がシェリルを目掛けて機関銃とミサイルを何度も撃つ。
爆発音が何度も鳴り響く。
辺りは煙で包まれた。

「は、はははっ！やったぞ！シェリルを、勇者を倒したぞ！王も殺した！これからは俺が――」

煙が風に流される。
シェリルは赤いオーラを纏ったまま無傷である。
ドニスは愕然とした。
地面を強く蹴りシェリルは空高く舞い上がる。

――烈風鳳凰雷爪斬――

ミストから受け取った剣に雷が落ちる。剣は砕け、代わりに雷が刃となった。柄から先、刃の形に電気が流れる。
シェリルはその剣を一振りすると、三日月状の雷が兵士達に襲い掛かる。
落雷の激しい音と爆音。衝撃で街の門が崩壊する。半径50メートル強の広さ、深さは最深20メートルほど、地面がえぐられた。
くらった兵士達は真っ黒に焦げて絶命し、近くの兵士達も電流混じりの爆風を受けて吹き飛ばされながら電気ショックで絶命。
シェリルは着地するとドニスを睨みつける。

「私が…魔界で何と呼ばれていたか分かるか、ドニス」

シェリルの腰まで伸びた金色の長い髪が、今や電気を帯びながら天に向けて逆立っている。
ドニスの顔はみるみる青くなる。

「魔物どもに雷獣って呼ばれてたんだ…」

一歩一歩足を踏み出すシェリル。

「来るな！お、おい貴様ら！シェリルを殺せ！」

兵士達に命令を飛ばすドニス。

「だがな…魔王城に到達した頃、魔物の返り血を浴びて戦う私を魔物達はこう呼んでいた」
「ひっ」

シェリルの綺麗なブルーの瞳は、気付くと真っ赤に染まっていた。

「――怪物、だとよ」

バリバリバリと音を立ててシェリルの体から電気が放たれる。
それに呼応したのか空はいつの間にか曇り、雷が周囲にいくつも落ちる。
兵士達は皆、悲鳴を上げる。

「魔物に怪物扱いされた私の力、思い知れ」

赤い瞳をドニスに向け、口の端を持ち上げて静かに微笑むシェリルは、正に…鬼面そのものだった。

続
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