Yua's factoryコミュのFinal Destiny 17

『こうなったらシェリルだけでも殺すんだ！絶対逃がすな！外門を閉じよ！』

ダラス王は叫ぶ。
転倒した機械兵を尻目にシェリルも走り出したが門を閉ざされた。
刹那、背後から機械兵がミサイルを撃つ。シェリルは地面を蹴って辛うじてかわす。
すぐに態勢を整えると、城内へ向かった。

『何！？』

機械兵では城の中へ入れない。が、兵士達はまだ山ほどいる。
シェリルは別ルートを探す事にしたのだ。

『馬鹿め！袋の鼠だ！』

ダラス王の声が聞こえたが、シェリルは無視をする。
痺れは解けたが、剣が無い。
まずは武器庫だ。
シェリルは地下へ続く階段を駆け下りる。まだ兵士達は追ってくる様子がない。シェリルに抱いた恐怖はそう簡単に拭えないだろう。
武器庫に着くと扉は容易に開いた。
剣と鎧がある。どれも弱そうだったが選り好みしている場合でも無かったので身に着ける。
しかし女性用では無い為、鎧はブカブカだった。
仕方無く鎧は諦め、鎖帷子(ｸｻﾘｶﾀﾋﾞﾗ)を着込み、厚手のズボンを履く。
正直、身を包むものが布切れだけだったので逆に動きにくかった。恥じらいは捨て切れず、女を隠す動きがどうにも邪魔だったのだ。これで幾分かは変わる。頼りない防具でも無いよりマシだ。
剣は銅の剣と剣の中でも最弱な装備をした。
他に何か無いか探す。
今はポーションだけでもありがたいが…。
――無かった。
武器庫を捨て、階段を駆け上がる。

「形勢は逆転したようだな」

一階に着くとドニスが復活して立っていた。

「たった一人ぶげっ」

ドニスが何かを言い終える前にシェリルは顔面に飛び蹴りを入れる。
そしてそのまま二階へ駆け上った。

「追え！追うんだぁ！」
ドニスは尻餅を付いたまま垂れる鼻血を押さえ、悲壮に叫ぶ。
それを聞いて兵士達はシェリルを追う。

「しつっこいなぁ！烈風斬！」

階段に向けて放つ。大きな音を立てて階段が崩壊した。
幾人かの兵士が落ちる。

「卑怯だぞシェリル！それでも勇者か！」

階下からのドニスの野次に一瞥をくれて、シェリルは王の元へと走った。

続
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