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かこむを囲む会コミュの【 三銃士 】 〜 第三章 街と人 〜

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 「第二章 非情の城」より
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オーイスはもう限界だった。息が荒くなる。汗が滝のように流れる。だが、ここで諦めるわけにもいかなかった。
『でえぇぇぇやああぁぁ!!』
オーイスは斧を振り上げ、相手めがけて振り下ろした。

ザクッ!!

鈍い音と共に相手の正面に刃がめり込む。そのまま地面へ刃を叩きおろす。
相手は物言わず、左右に体が分かれた・・・

『はぁはぁ・・・しゃああああぁぁぁ!!』


『うるせえええぇ!!!』

マツウラトスの怒声がオーイスの喚起の叫びを消し去る。
『薪割りごときでいちいち騒ぐな!黙ってやれ、黙って!』

『すまん、初めて綺麗に割れたもんだからつい・・・』
そんなオーイスを横に、マツウラトスは片手に斧を持ち、自動薪割り機のような早さで、薪を割っている。
『ふんっ!』パカーン。『ふんっ!』パカーン。
『お前みたいな馬鹿力はいいよなぁ・・・それにしてもイマムリオンの野郎逃げやがって・・・』


────────数時間前。

『街で情報の収集を行おうと思う。』
イマムリオンは2人に言った。
『情報ってなんのよ?』オーイスは聞き返す。
『昨夜もマツウラトスとも話しをしていたのだが、やはり城で何かが起こっているのかもしれない。それを知る為にも街でまずは情報を収集するのが早いと思うんだが。』
『なるほどねぇ・・・』オーイスも頷いた。
『そいじゃあ、街に繰り出すかねぇ』
マツウラトスが腰を上げた瞬間、部屋にムラターニャが入ってきた。

『あれ、お出かけかい?』

『ええ、街に行こうかと思ってまして。』
イマムリオンが応える。
『なんだ、ちょっと男手を借りようと思ってたのに残念だねぇ。。。』
ムラターニャが残念そうに顔をゆがめる。

イマムリオンはすかさずまんべんの笑みで応える。
『あ、街には私だけですのでこの2人はお貸ししますよ。』
『そうそう・・・って、ちょ・・・!』オーイスは目を丸くした。
マツウラトスも腕を組みながらヤラレタというような表情を浮かべていた。

『情報収集は1人で十分だから、張り切って力になってあげてくれよ!ハハハ♪』
イマムリオンはそう言い残すと壮快に出掛けていった。

『さて、じゃあよろしく頼むよ2人共。』
ムラターニャは笑顔で部屋を出て行った。その後を付いていきながら2人は同時につぶやく。

『・・・・・・逃げたな。』


────────・・・

『オーイス、お前まだ全然進んでねえじゃねぇか・・・』
マツウラトスはオーイスの横に散らばった薪の数を数えながら呟いた。そこへムラターニャがやってきた。
『2人共おつかれさん!お昼にしようか。』
『そうしましょっ!』オーイスは素早く屋内に逃げていった。
マツウラトスもぶつぶつ言いながらも汗を拭きながら後に続いた。

テーブルにはサラダとスープが用意されていた。
『もうそろそろ来る頃なんだけど・・・』ムラターニャが窓の外を眺めた習慣、玄関の方から女性の声が響いた。
『ごめーんくださーい!ムラターニャー!!』
ほら来たという感じでムラターニャはパタパタと玄関へ向かっていく。
玄関には大きめの籠を持った女性が立っていた。
『待ってたわよサカイア。』ムラターニャは迎えた。
籠を受け取ってムラターニャは少し考え込み、サカイアと呼ばれたその女性に尋ねた。
『くるみのパンを頼んだと思うんだけど・・・?』
『ううん、今日はカボチャのパンなの〜♪』
『そう・・・』
ムラターニャは苦笑な表情を浮かべたが、サカイアは上機嫌だった。
『今日も自信作なの!よいカボチャが手に入ったのよ〜』
『そう、ありがとね。』ムラターニャはいつもの事というようで、笑顔でお礼を言った。
『それじゃ、また届けに来るからねー。』
そう言い残すと、サカイアはすぐに帰っていった。

サカイアの持ってきたパンをテーブルに並べながらムラターニャはサカイアについて笑いながら話した。
『あの娘、街でパン屋をやってるんだけどね、いい娘なんだけど変わってるのよね〜。でも腕は確かよ。さぁ、食べて。』
『確かに』といった表情で2人はパンをほおばった。

食べる二人を眺めながらムラターニャは改めて御礼を言った。
『今日は男手があって助かったわ。なかなか女だけだと大変なことが多くて。』
『旦那は・・・いないのか?』マツウラトスが尋ねる。
ムラターニャは一瞬驚いた表情を見せたが笑って応えた。
『ハハハ、私はまだ独身だよ。』
『え?昨日の嬢ちゃんは娘じゃないのか?』オーイスも尋ねる。
『ああ、タニアイリスかい?アレは私の姉の子供さ。姉があの子が小さい頃に流行り病で死んじまってね、それから私が引き取って育ててるのさ。まぁ、娘ってのは間違いないけど。』
ムラターニャは明るく教えてくれた。

少し沈黙が流れた後、マツウラトスが口を開いた。
『この国について知っていることを教えて欲しいのだが・・・』
『知っていること?』ムラターニャは不思議そうに尋ねた。
『この国のマンターリシャス女王はかなりの美女と聞いたが。』
その問いに、ムラターニャの顔が初めて少し沈んだ。そして
『あのお方は本当に美しいお方だったよ。』
『・・・だった?』オーイスが聞き返す。
『あぁ、亡くなったよ。』
2人は驚いたが、マツウラトスは続けて聞いた。
『だとすると、マンターリシャス女王は亡き今、この国を事実上治めているのは誰になる…?』
ムラターニャの表情がまた少し暗くなり呟いた。
『・・・・コンドリーザさ。』


『コンドリーザか・・・』
イマムリオンは木陰でパンをかじりながら一人考え事をしていた。
街で聞いた情報。マンターリシャスの死、そしてコンドリーザの後継・・・
様々な憶測が頭の中を駆け巡っていた。
しかし、まだ何が起こっているかも確証を得ることも出来ておらず、考えもまとまるはずもない。イマムリオンは空を見上げた。真上の太陽がまぶしく照り付けている。

ふとそんな時、テントtにも似たような小屋がイマムリオンの目に入った。
入り口の看板には『占の館』とある。

特に占いには興味は無いが、何か情報を得ることが出来るかもしれないとイマムリオンは扉を開けた。

中は思ったより広かった。恐らくここで占いをするのであろうと思われるテーブルが奥に置かれ、それを挟んで両サイドに椅子が置かれていた。
テーブルの向うにはまた扉があり裏へ出られるようになってようだった。

イマムリオンはあたりを見回した。

室内には水晶、カード、置物。。。その他何に使うかすら解らないようなものがかなりたくさんあり、なんとも奇妙な雰囲気を漂わせていた。

しかし肝心な主の姿が見当たらない。
イマムリオンが引き返そうとした時だった。

『うぅ〜、またお腹痛いなぁ・・・冷やしちゃったかしら。』
振り向くと、ぶつぶつ呟きながら奥の扉から一人の女が入ってきた。
女は細い体で、肌の露出が多く派手な踊り子のような恰好をし、その服装によって出されたお腹の部分をさすっていた。

女はイマムリオンに気づいた。
『・・・・・・・・お客さん?!』
女は慌ててイマムリオンを椅子に案内し自分も机越しの椅子についた。
『あ、いや私は・・・』
イマムリオンは特に占いをしに来たわけではないことを説明しようとするも、彼女の耳には届かないようだった。
『何を占う?恋愛?仕事?お金?・・・それとも誰か呪っちゃう??』
『え、いや・・・その・・・』
完全に彼女のペースに巻き込まれたイマムリオンはそのまま流れに身を任せた。
『じゃ、じゃあ仕事で・・・』
『仕事ー?恋愛とかの方が面白いのに!』
何が面白いかは一切不明だが、彼女に従った。
『じゃあ、恋愛ね!』
そう言うと、彼女は水晶玉を持ち出し両手のひらを玉にかざし、何やらブツブツと唱え始めた。
『見える・・・見えてきたわよ。』
彼女は不適な笑みを浮かべたイマムリオンは苦笑いで見つめるしかなかった。

『見えた!!!』彼女が叫んだその時、水晶玉がコロリと転がり床に落下した。
ガチャン。玉は真っ二つに割れた。

『・・・・・・割れましたよ。』
『・・・・・・わ、割れたわね。』

2人間に沈黙が流れた。

『えーっと・・・・』
イマムリオンは気まずい沈黙を打破しようとする。
『や、やっぱり、水晶はダメね!カードにしましょ♪』
何がダメなのかは一切不明だが、再び彼女に従った。

タロットカードのようなものなのだろう。彼女はカードを並べ始めると一枚選ぶよう促した。
イマムリオンがカードを選ぶと、そのカードを見て覚えまたカードのなかに戻すよう指示した。
また彼女は全てのカードを並べ直し、一枚のカードを提示した・・・

『貴方の選んだカードはコレね?』
カードには不吉な死神が描かれたカード。確かにイマムリオンが先ほど選んだカードに間違いなかった。
イマムリオンがうなずくと
『やった、当った♪』
彼女は明るくそう言うとカードを片付けた。
『・・・・・・・・。』
何からツッこんでいいのか解らず、イマムリオンはただ苦笑するしかなかった。

『こ、これで失礼するよ。ありがとう占い師さん。』
イマムリオンはここで情報を得るのは無理だと判断。席を立った。
外へ出ようとしたその時彼女は何か思い出したように声をかけた。
『あ!貴方、厄介事に巻き込まれるような'気'が出てるみたい。気をつけたほうがいいよ。』
『・・・・厄介事?わかった、気をつけるよ。』
イマムリオンは彼女の最後の言葉が気にはなったが、特に深く考えず、再度彼女に礼を言った。
【キタムージャ】・・・外の看板を改めてよく見ると下に小さく名前が彫られている。
『キタムージャというのか・・・。変わった人だ。』
イマムリオンはフッと笑い、小屋を後にした。

しかし、キタムージャの言った“厄介事”に巻き込まれることになるとは、この時のイマムリオンには想像も出来なかった。

その“厄介事”とは・・・・それはまた別の話。

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 「第四章 忠誠(前編)」に続く
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