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〜日記から始まる日々のエール〜コミュの[愛]三枚の義援金

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ヘリコプターが上空をバタバタと飛んでいる。


休日の朝

そのヘリコプターの轟音で目が覚めた。


どうやら上空付近をホバリングしている。


(何かあったのかな?)

ベランダから澄んだ青空に浮かぶヘリコプターを
しばらく見続けた。





「そういえば高校野球始まったな」

被災地の悲惨な状況を映し出しているニュースを観ながら

私は嫁さんに言った。


ここ関西はまさにいつもどおりの日常。

テレビの画面はまるで別世界の話のように感じた。


「泰斗連れて行ってきたら?」


震災のニュースを横目で観ながら嫁さんが言った。


「そうやな。
小学校入る前に連れてったるか」


もうすぐ小学生になる長男が起きてきた。


「甲子園行くか?」

と聞くと

「行く!行く!」

と即答が返ってきた。


天気も良いし、急いで着替えをし

自転車で甲子園球場に向かった。


家から五分ほど自転車を走らせると、甲子園球場に到着。



アンパンマンのママチャリにまたがり

後ろに座っている長男にちょっかいを出す。


まるで平和な休日のひとこまに

私の頭の中からは震災のニュースは消えていた。



高校野球は外野席は無料。
なので気軽に出入りができる。


レフトスタンドで空いている椅子に腰掛け
スコアボードを見た。


『東北高校vs大垣日大』

ここでヘリコプターが飛んでいた理由が解った。

なるほど
東北高校が試合だからか!


被災地である東北高校の三塁アルプスとレフトスタンドはあふれんばかりの人だった。


私にとって、どちらも縁もゆかりもない学校だが

心情的には東北に頑張ってほしかった。



すぐ横のアルプスを見ると、東北高校の応援団がいた。


まさに被災を受けたばかりの地域


どんな想いで応援しているのだろう

帰るところはちゃんとあるのだろうか


私には想像することしかできないが

必死に応援している人達を見ると、涙が出そうになった。


きっと野球どころではないだろう!

しかし、この甲子園の舞台が少しでも被災地に希望の灯をともすのならば
それは大きな意味を持つ。

たかが野球

しかし

その奥にある精神的な部分までも

容易に行き着くことはできた。


現在、甲子園で野球をやっているまさにこの時も
被災地で苦しんでいる方達がたくさんいる。


あの球児のように、必死で戦っている人達がたくさんいる。


しかしながら試合は一方的な内容だった。

7対0で東北高校は負けた。


しかし
スタンドからは大きな拍手が送られ

東北ナインは胸を張っているように見えた。


彼等にはまだまだこれからも戦いが続くのだろう。


心から頑張ってほしい!
そう思った。



1試合観たら帰ろうと思っていたので

私と長男は席を立った。


売店などを通り、出口付近に差し掛かった時

義援金を募る人達が目に入った。


私は募金をしたことがない。


しかし、自然と胸ポケットから財布を出していた。

私は百円玉をチリンと箱に入れる。


「ありがとうございます」

募金箱の後ろに立っている人達が声を揃えて言った。


出口を通りすぎた時


不思議そうに私を見ていた長男が聞いてきた。


「パパー
さっきのは何?」


募金の意味をまだ解っていない長男。


私は解りやすく説明した。

「最近、地震があったやろ。
地震や津波で家が無くなった人がいっぱいおるねん。

人もたくさん死んで、まだ見つかってない人もたくさんおるねん。


ご飯もろくに食べれんとな
寒い中、体育館とかに避難してる人がいっぱいおるねん。



だから頑張ってほしいって意味を込めてな

ちょっとだけパパのお金をあげたんやで」



自転車にまたがろうとした私の服を引っ張り

長男は言った。





「じゃあおれも募金する」


ちょっと泣きそうな顔をして

長男は言葉を続けた。





「おれの貯金箱のお金あるやろ?

あれ全部募金する。

それでみんなお家建てたらいいやん。

そしたら、あったかいとこでご飯食べれるやろ」


貯金箱・・・


先月の初めに私が買ってやったものだ。


お手伝いを一回したら五円をあげることに決めて
毎日風呂掃除を続けてきた。


貯金箱には五円玉が50枚ほど貯まっている。




この前

「だいぶ貯まってきた〜。
いっぱい貯めて仮面ライダーオーズのカードゲームするねん」


と喜んでいたところなのに・・・



「そんなんしたら泰斗くん

オーズのカードゲームできんくなるで?」


子供は思いつきで言うことが多い。

私も真面目な顔で聞いた。



「そんなんいいねん。
またいっぱいお手伝いして貯めるから。

だからパパ

貯金箱取ってきて」


口を一文字にして
息子は言った。


その表情からは固い決意を感じとれた。


「じゃあだいたい300円貯まってるはずやから

これ入れておいで。

その代わり家帰ったら貯金箱からお金もらうよ」


財布から百円玉を3つ取り出し

息子の手のひらに乗せた。



ギュッと百円玉を握りしめ

そのまま走って募金箱に入れた。


「ありがとうございました」


募金箱の人がそういうと


息子は照れ臭そうに私の手を握ってきた。



「これであったかいお家に住めるなあ。」


誇らしげな顔をして

握った手をきつく握りしめてきた。



「そうやな。

これでちょっとでも元気になってくれたらええなあ」



私も息子を誇らしく思い

ギュッときつく手を握り返し言った。


「パパー
おれもお腹空いたー」

自転車に乗りながら言う息子。


「じゃあお家帰ってご飯食べような」


二人胸を張って

自転車で家に帰った。


嫁さんに事情を説明し

約束どおり貯金箱からお金を全て取った。


嫁さんは
「ほんまにええんやな?」

と二度ほど聞いた。



「ええで〜。
だってそのお金はこの人達がお家建てるお金やもん。」



被災地のニュースを観ながら

息子は言った。



テレビでは体育館で避難している人達が映し出されている。



「早よ

お家できたらええな」


テレビに向かって息子はつぶやいた。


その顔は

日本の未来を支えるに

ふさわしい顔になっていた。



まだまだ日本の未来は明るいはずだ


現在ある苦難を乗り越えて


頑張れ日本






[あとがき]

貯金箱の300円は、こっそり子供の銀行口座に入れておきました。



いろんな形の募金や支援があります。


そしていろんな想いを込めて

被災地への募金が募っていると思います。


どうかこの想いを踏みにじらないよう

この想いを形として届けてもらえるよう


義援金を有効に使ってもらえるように心から願います。

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