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〜日記から始まる日々のエール〜コミュの【愛】【和】 理想の二人

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※ ご賛同いただきましたので、わたしから投稿します。
  なおやさんの作品です。


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両親系日記です。
ほっこりしてくれると嬉しいです♪




オヤジとオカンは仲が悪い。

しょっちゅう何かしらの理由をつけて口論している。
口論する理由は様々。

足がクサイ
勝手にチャンネルを変えるな。
飲酒運転はやめろ

軽いものから、時には重いテーマのものまで、包み隠さず口論している。

オレは、オヤジとオカンは仲が悪いけど、仕方なく夫婦ってもんをやってるもんだと思ってた・・・。




ある日、昼間から焼肉を食べに行くという超ぜいたく仰天プランが浮上した。

高校生の最後あたりで、一ヶ月の長期休暇で家にいたオレと、仕事から帰ってきたオヤジ、オカンで焼肉屋に車で直行!

行く途中の車内でオレとオカンでたわいもない雑談。

オヤジは黙々と車を走らせている。

オヤジとオカンの会話が全くないのが、二人の息子として少し複雑な気分なものの、そこまで気にする事もなく、オレはオカンとしょうもない雑談を続けていた。

目的地の焼肉屋まであと少しに差し掛かった頃、黙々と運転していたオヤジがオカンに向けて口を開く。

「おい、財布持ってきたか?」

「いーや、持ってきてない。」
オカンとオレは手ぶらで車に乗っている。

不意にキレるオヤジ
「お前ふざけんなよ!こっちだって持ってねぇよ。」

「アンタが焼肉屋行きたいって言ったんでしょ?なんであんたが持ってないのよ!?」
反論するオカン。・・・何やら怪しい雲行き。

「おめぇが一家の財布を握ってるんだろ!」

「ガタガタ言ってないで家に戻って財布とって来たらいいでしょ!」

目的地を目の前にして、無念の出戻り。

うんざりする。

何でこいつらはプレミアもんの楽しい仰天プランの合間にケンカなんてするんだろう?
何でお互いのミスを許せないんだろう?
何でお互いに罵倒しあうんだろう?

しかもよりによって息子の目の前で・・・。

さっきまでの楽しかった車内の雰囲気はどこかに消え失せ、雑談を繰り広げてたオカンも外の風景を眺めるだけ。

オヤジはムスっとした顔で黙々と運転。

沈黙が支配した車内。

さっきまで感じなかった冬の気温が体を凍えさせる。

もうやだ!!

こんなんで焼肉を食べたってうまくもなんともない!
家でカップラーメンでもすすってた方がよっぽどマシだ!
二人でいがみ合いながら生の豚肉でも食ってろ!!
そして仲良く大腸菌に感染してろ!!

オレは、家に帰ったら降ろしてもらう事に決めた。

そんな事をオレが決めたのなんて知らない二人は、相変わらずそっぽを向いて黙ったまま。

あぁ、早く家に着かねぇかな??

とその時、不意にオヤジが車を止めた。

なぜか道路が通行止めになっている。

さっきまでは普通に通れた道路だ。

野次馬もちらほら集まってるし、何やらただ事ではない雰囲気。

外を見ると、大破したバイクが横転している。

横転したバイクの傍らで、ライダーと思われる男性が倒れている。目の前には欠けた電柱。

自爆事故だ!

野次馬が集まってて、ライダーに何か話しかけている。
んな事しないで、さっさと応急処置でも救急車でも呼べよ!

そんな事をオレが思っていると、両親が二人、車からものすごいスピードで飛び出して行った。

消防士のオヤジ。
看護婦のオカン。

二人の息はぴったしだった。

オヤジが必死にライダーの意識を確認するのと同時に、オカンがライダーの左手を持ち脈を計っている。

オヤジの目くばせをきっかけに、オカンが迅速な動きで119番。

「緊急です!木更津市内の○○で自損事故発生!
被害者は一人、意識あり。脈は良好!
至急、救急車の手配をお願いします!」

オカンの的確な119番の間に、オヤジは横転してるバイクとライダーを沿道に移動させ、交通整理までやっている。

電話をかけ終わったオカンがライダーの左手にいつも持ち歩いている包帯を巻き、応急の三角巾を作成!
オヤジが体を冷やさないようにと、ライダーの体にさっきまで着ていたジャンパーをかける。

そこにいる誰もが固唾を飲んで二人を見守っている。

オレは何もできず、そこに立ち尽くすのがやっと。

目の前に不意に現れた事故現場。

そこで活躍する二人のヒーロー。

さっきまでいがみ合ってた二人のヒーロー。

どんなコンビでさえかなわない絶妙の連携。

ヒーロー・・・・・・。

唯一無二のオレの両親!!!

オヤジとオカンの出会いは職場つながり。

オヤジの猛アタックの末に始まった恋愛。

三年間の交際を経て結婚。

結婚後は色々と苦労の連続だったみたい。

でもその苦労でさえ、今みたいな連携で二人して乗り越えて来たのだろう。



さっきも言ったけど、オレはオヤジとオカンは仲が悪いけど、仕方なく夫婦ってもんをやってるもんだと思ってた。



でもそれは違った。

罵倒の応酬のいつもの口論は、お互いに信頼しきってる二人だからこそできる最高のコミュニケーションなんだろう。

この二人は、夫婦になるべくしてなる存在だったのだ。

オレの邪推は見事に外れた。

外れたのに安心するのと同時に、オレはこの両親の元に生まれてホントによかったなって心から思った。

そんな事を思って一人で感動していると、サイレンを鳴らしながら救急車がやってきた。

「よし、あとは説明を頼む。
応急処置は完璧だから、急いで病院に連れてってあげる事って言っといて。」

オヤジが最初から見てたであろう野次馬の一人に声をかけ、両親は車に戻る。

戻る途中におかんの肩に無言でジャンパーをかけるオヤジを見て、さっきの考えが間違いじゃなかった事がわかった。

家に戻り、財布を調達し、改めて焼肉屋に直行!

車内での会話は相変わらずなかったが、オレはすんげぇ暖かい気持ちでいっぱいだった。

オヤジもいい顔をして運転している。

オカンは小さく変な歌をハミングしている。

さっきまで凍えていた気温も、何故か暖かく感じられた。

その日三人で食べた焼肉は、今まで食べたどの焼肉よりもうまかった。




夕飯は珍しくオヤジがモツ鍋を作った。

「たまに作ってくれるんぢゃなくて、毎日でも作ってほしいもんだ。」

なんて相変わらずのセリフをオカンが言いながらも、ホントにうまそうに食べている。

オレは今日起きた二人の武勇伝を兄弟に話しながら、交際してからオヤジがオカンに初めて作った料理だというモツ鍋を何回もおかわりした。


初老を迎えた、オレの理想の二人のヒーローに栄光あれ!!!

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