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〜日記から始まる日々のエール〜コミュの【愛】美味しい恋愛ショート (再投稿許可済)

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今年のホワイトデーは片想いの男性に食事に誘われたんですよ。
その彼っていうのは何て言うか所謂、草食系男子っていうというやつで
異性に対してガツガツしていないというか
淡泊というか、女性に対してあまり関心のないようなタイプなんですけれど
バレンタインのお礼ということで

「今度の14日に僕のアパートに夕食を食べに来て下さい。
 本当のフランス料理をごちそうしますよ」

なんて、お前は美味しんぼの山岡士朗か!と
突っ込みたくなるような台詞で誘われたわけです。
まぁ、素敵な男性ですし。そりゃ、期待するじゃないですか。

私は以前から彼の事が好きだったし、
多分彼も彼で私の事を憎からず思っている感じだったので
コレは!って思ったわけですよ。

私は彼が他の女の子からもバレンタインの時に
チョコレートを貰っている事を知っているわけで
そのうえ、彼は他の子にはクッキーでお返しをしていることを知っているのです。
それなのに私だけが彼のアパートに呼ばれて一緒に食事をって約束したわけですから
これはもう、意味深じゃないですか!

だから私はいつもよりも丁寧に身体を洗って、
気合を入れてお化粧をして、念のために彼に見られても良いような下着を選んで
ちょっとだけ胸元のはだけた紺色のドレスを着て彼の部屋へと出かけたわけですよ。
もう、覚悟決めて行ったわけですよ。

部屋のアパートの前に着いて彼の携帯に電話して
出てきた彼に案内されて部屋に入っていったわけです。
部屋は綺麗に一つ一つ整理されており、本や家具も彼の緻密な計算によって
配置されていて、几帳面な性格がよく表れたいかにも彼らしい部屋でした。
ダイニングテーブルには既に料理が用意されており
それは一目見てプロ並みだと分かるレベルで
盛り付け方もレストランのメニューに載っている写真のようでしたよ。
なんていうか、感動の一言です。

「オードブルにはスモークサーモンのマリネのサラダ仕立て
 スープには冷製のビシソワーズを
 魚料理には白身魚のヴァンヴランソース添え
 肉料理には牛フィレのローストをトリュフ風のマディラソースで用意したんだ。
 チーズはカマンベールを味わってほしい
 食後のデザートには桃のシャーベットもあるからね」

と言って私を椅子に座らせてくれ、なんかお姫様にでもなった気分でしたよ。

「ねぇ、どうして私をさそってくれたの?」

「んー、まぁ、好きなんだよ?」

「え?」

「うん、こうして誰かに自分の料理を食べてもらうのがさ、好きなんだ」

なんてはにかみながら、思わず誤解するような言い方するものだから
こっちが恥ずかしくなってしまいましたよ。
全くなんていうか妙に空気の読めないというか、女心に鈍感な人なんです。この人は。

ちなみに料理は絶品でした。
ワインは料理に合わせて出してくれたし、
味に飽きない様に色々と工夫がされてたみたい。

「こんな料理の上手な人と結婚できる貴方の奥さんはさぞ幸せでしょうね」と言ったら
「こんな風に美味しそうに食べてくれる奥さんがいれば旦那さんも幸せでしょう」

なんて、この人、すごく嬉しいことを言ってくれるものだから
私だってそりゃ、舞い上がっちゃうじゃないですか。
普通に、口説かれてるって思うじゃないですか。
だから、私は食後のシャーベットを口にしながら頭の片隅で思ったわけですよ。

ああ、これからきっと私、押し倒されちゃうんだろうなぁーって。
だって男のアパートに夕食をご馳走にのこのこと女一人できちゃったわけですから
そりゃ、こっちだって来た以上は覚悟しているわけなんですよ?
言葉巧みに誘われて、ちょっと強引に押し倒されて

「ああ、駄目よ。貴方の事が嫌いではないの。
 寧ろ好きよ、でも、そんな恥ずかしいし。ん、でも貴方なら……」

っていう予定調和があるんじゃないかなーって思ったわけですよ。
なんていうか、めんどくさいと思うかもしれないけれど
私にだって彼に可愛い女だって思われたい女心ってのがあるわけで
自分からは彼に求めることなんてしないけれど
彼が強引に迫ってくるなら素直に押し倒されちゃおうなんて思っていたわけですよ。

ところがです。私がシャーベットを食べ終わって
「とても美味しかったわ、ありがとう。ごちそうさま」
と言ったら、その次に彼が口にした言葉がコレですよ。


「それじゃ、送っていきますね。遅くなっちゃいけないし」


あのね、お泊り覚悟できたんですけど?
正直びっくりしちゃいました。っていうか泣きそうでしたよ。
君はアレですか?草食系というか、むしろ植物なんですか?
もしかしてミドリムシか何かですか?太陽の光で自家発電してるのですか?

私だって少なからず
彼に気に入られているんだろうなって自惚れていたのですが違いましたか。
ああ、私、また勘違いしてましたか、そうですか。
私ってそんなにも女としての魅力がないのねって、ちょっとショックでした。

美味しい料理をご馳走になっておいて
こんなこと言うのも理不尽かとは思うのですが

一人暮らしの男の部屋に女を夜に誘っておいてですね。
しかも明らかに本命のバレンタインチョコだって受け取っておいてですね。
お礼にこんな美味しい手作り料理をいただいてですね。
私だって何もないまま帰れるなんて思ってはいなかったんですよ?

けれどもけれども、それって、それってあんまりじゃないですか。
ああ、なんていうか、そこは空気を読んで欲しいというか
素直に誘って欲しいって思ったわけですよ。
ああ、どうしてこんな空気の読めない男を好きになっちゃったのかなぁ?

―――――――――――――――――――――――――――――――――



なんてことをブログの日記に愚痴ったら。

『ああ、なんてことだ。
 そんなこと思っていたのですね。
 本当にごめんなさい、以後気をつけます』

と死ぬほど空気の読めないコメントが………



何故、あなたがこのブログを知っているのですか?
っていうか、見て見ぬふりするって選択肢はなかったのですか?!
以後気をつけるって、もう泣きそうです………


殺したくなるほど愛おしい
この空気の読めない男を好きになってしまった私の心労をどうかお察しください。

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