EXORCIST（エクソシスト）コミュの第11夜教団破壊事件 1

アレンとカイルは神田と別れてイノセンスを持って深夜に本部へ帰還。

ファァァ～

彼らの側を二匹のゴーレムが飛び回っている。

「大分遅くなっちゃいましたね～～」深夜に付いたアレンは欠伸している。

「どうした？アレン、眠いのか？」

「だ･大丈夫です、カイル。ところで、カイルこそ大丈夫ですか？」アレンはカイルに尋ねる。

「すみません。カイル元帥、ウォーカー殿。嵐で汽車が遅れましたから」捜索隊（ファインダー）のトマは恐縮しながら謝っている。

「気にしないでくれ」

「もう真夜中だなあ…回収したイノセンスはどうしたらいいのかな？」アレンは回収したイノセンスを心配して言った。

「科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」と捜索隊のトマは言った。

「じゃあ行ってみます」

カイルとアレンは室内へ繋がる階段に差し掛かった時、ドサッという音がした。
彼は咄嗟に落ちてきた物を受け止めた。階段から落ちてきたのは意識のないリナリーだった。

「！？」

アレンは頭に？マークを浮かべて落ちてきた人物を眺めていた。

「リナリー！どうしたんだ？」カイルが叫んだ。

「２人とも戻ってきたのか」

その声に２人は顔を上げた。そこには擦り傷だらけの科学班のリーバー･ウェンハムが下りてきた。

「リーバーさん、これはどうしたんですか？」

リーバーは倒れるようにアレンに寄り掛かった。

「に…逃げろ！コムリンが来る…」

「「は（えっ）！？」」

カイル達の背後からゴトゴトバキバキという破壊音が聞こえてきた。アレンと紀里が見たのは得体の知れない大型ロボットが出て来た。

「来たぁ！？」

「え゛ぇえ゛！？な何あれ？何あれ！？」

「……」

「くっそ！何て足の速い奴だ…」

ピピピ

『発…見！カイル・マリアン、リナリー･リー、アレン･ウォーカー。エクソシスト、３名発見』
ロボットの不気味な声に嫌な汗が噴き出た。

「こいつはエクソシストを狙っている！！」

『手術ダ――！！』

「逃げろぉ!！！！！！」

リーバーの声で、カイルは横抱きにしていたリナリーを左肩に担ぎ直してアレンはその場を急いで逃げ出した。その後ろから金と銀のゴーレムが必死に付いている。

『エクソシスト、逃げるな～』破壊音を立てながら紀里達を追い掛け始めた。

リーバーは逃げながらこの騒ぎの出来事を語り出した。

「この状況は何だ！リーバー66」カイルはリーバーに睨み付けるように怒鳴った。

「コムイ室長が造った万能ロボ「コムリン」つって…見ての通り暴走してる！」

「そんな事！分かっている！66」

それはほんの30分前一一…
科学班一同が相変わらず給料にならない残業をしていた時だった一一…
残業続きのメンバーが愚痴を零している。

「コーヒー飲む人ー？？？」

残業に疲れ切った科学班に教団のアイドル･リナリーがコーヒーを入れて科学班の元にやってきた。
すると直後、ガションガションなんて変な音と真夜中なのに陽気な声が聞こえた。

「おーい、みんな起きてるー？？？見て見て！！」

声の主、リナリーの兄のコムイがそう言って後ろにある機械を手で見る様にした。

「ジャーン♪我が科学班の救世主こと、コムリンⅡでーす！！！」

そう言われて見た科学班は呆れたような声を出した。

「室長ぉ…。何スか、そのムダにごっついロボは…」

「だからコムリンだってば！！たった今やっと完成したんだよー！！」

コムイは科学班の質問にハートを巻き散らしながらそう言った。
カッコイイと自画自賛しながら………

「僕の頭脳と人格を完全にコピーしたイノセンス開発専用の万能ロボットさ♪あらゆる資料の解析はもちろん、対アクマ武器の修理･適合者のケアサポートも行うんだ。まさにもうひとりの僕！！！これで仕事がラクになるぞー！！！」

コムイは次にキランと輝かせながらそう言った。
それに対し、科学班の人間が涙を流しながら嬉しがっているとその後ろではリナリーの持ったコーヒーを飲もうとしている物がいた。

その手をたどるとそこには先程説明されたコムリンがいた。
コムリンはそれを器用にごくごくと飲んでいた

「兄さん…。コムリンってコーヒー飲めるの？？？」

リナリーがコムリンを見ながらそう聞くとコムイは笑いながら

「何言ってるんだリナリー。いくらボクにそっくりだといってもコムリンはロボットだよ？？？コーヒーは………飲んだの…？？？」

そう言った。最後の方は焦りの所為か冷や汗を流していたが。するとコムリンからドンッと音がしてリナリーに注射を挿した。

「私…は…コム…リン。エクソシスト強く…する…。この女…は、エクソ…シスト。この女をマッチョに改良手術すべしっ！！！」

「なにぃー！！！！」

コムリンがそう言って科学班が泣き叫ぶとコムリンは暴れ出したと言う…

「…というワケだ。悪いな…、こんな理由で」

「アホか…」カイルは呟いた。

リーバーがそう言うとアレンはリナリーの方を見ながらリーバーにリナリーの安否を聞いた。
それからリーバーが呆れたように声を漏らすとアレンとカイルに向かっておかえりと言った。

「おお―い無事か―！！」

すると中央に教団に来てすぐ乗った逆三角形の物が上がってきた。
そこには科学班のメンバーが頭をﾁﾘﾁﾘにしながら乗っていた。

そして科学班のメンバーが人それぞれの事を言っているとアレン達の背後からコムリンが壁を突き破って現れた。

ガシャコン！！
コムリンが現れたのを見ると逆三角形の乗り物から銃のような物が出てきてコムリンを打とうとしていた。

「科学班をナメんなよぉ！！！」

「壊れー！！！」

一人が操作し、周りの人間が煽るとコムイは涙を流しながら邪魔をした。

「ボクのコムリンを撃つなあ！！！」

すると乗り物は回転をしながら連射を始め、あらゆる所に攻撃をしていた。

「どわわわわっ！！！」アレン達はなんとか避けると物影に潜んだ。

「何してんだお前ら！！」リーバーがキレた…。

「は･反逆者がいて…」

やり取りにカイルはある事を言い出した。

「リーバー！アレン達を連れて逃げろ！俺が奴を引き受ける」

「でも、カイルの身が…」

「いいから！俺の言うことを聞け！元帥命令だ」

「Σ～わ･分かった…」

リーバーはカイルの気迫に押されてアレンと麻酔で気を失っているリナリーを連れて仲間の科学班と合流した。
その後ろには黒いのもいた……。

「テメー、アホコムイ！！！とんでも無いもんを作りやがって、切り刻んでやろーかぁ！？あぁ！？リナリーに当たんだろーが！！！」

「Σ～Σ（わ～出たぁ！クロス元帥降臨だ～）」

カイルがコムイに怒鳴るとその場の人間は心が一つになったという……。
クロス元帥の子供ではないかと言う噂も出た。
カイルの豹変にコムイはタジタジ

「カイル君、恐ろしい顔をするのは止めてくれないかなぁ。折角の美人が台無しになっちゃうよ」

「煩せぃ！黙れ！巻き毛」

カイルの冷たい一言が合図の如く、リーバー達科学班は反逆者、コムイはロープでぐるぐる巻きにされて銃の先端に立っていた。

「コムリン…。アレン君の対アクマ武器が損傷してるんだって。治してあげなさい」

コムイは先端に立ったまま淡々とコムリンに向かってそう言った。
それにアレンは焦り、カイルはピクッと反応した。

「テメー…、マジ懲りてねーな…。黒い大鎌（ダークサイズ）イノセンス発動！！！」

カイルの右手が光り、彼の身長も超える黒い大鎌を出現させるとロボットに目がけて斬りつけた。

コムイは自信作のロボットを壊されまいと思い何かを取り出し、カイルに向かって、プスッと彼の首筋に何かを吹きかけようとしたが、カイルは気配でコムイの攻撃を交わした。
どうやら先程、カイルの首筋に向かって来たのはコムイの吹いた睡眠作用のある吹き矢だった。

「コムイ！俺に向かって何をする気だったんだぁ！」

コムリンの攻撃を止めてコムイに噛み付いた。
カイルの剣幕にコムイを含む科学班は縮み上がっていた。

「カイルくん、運動神経高いのね」

カイルは当たり前だというようにコムイを睨みつけた。

コムイの言葉に気付いた科学班一同はコムイの持った吹き矢を奪いにかかった。
それでも彼は反省の意志はないようだ。

「優先順位設定！！アレン･ウォーカー重傷ニヨリ最優先ニ処置スベシ！！！」

そう言うとコムリンは何事もなかったようにアレンの足首を掴んだ。

「アレンを手術室へ連行ー！！！」

コムリンはそう言うと手術室の扉を開きアレンをひきずっていた。
すると手術室の中に数体のミニコムイがドリルやらなんやらを持って待ち構えていた。

「う…っ！！イノセンス発動！！！」

アレンはそれに恐怖を感じイノセンスを発動すると間入れずにまた首筋に何かが刺さった。するとアレンはしびれ動けずにいた。

どうやらまたコムイのようだ…。

アイツは何本吹き矢を持っているのだろう……

「室長ぉーっ！！！」

リーバーがコムイに向かって怒鳴るとまたも科学班は再び吹き矢を奪いにかかった。

「まだ吹き矢持ってたぞ！！」

「奪えッッ！！」

そんな声がコムイ達の元から聞こえた。
そんな事をしてる間にアレンは引きずられ、手術室の中へと入って行った。

「し、しまった！」

それを見るとリーバーはリナリーをその場に座らせ、ギリギリ捕まえれたアレンの服を引っ張りアレンを出そうとした。

「アレンー！！！！」

コムリンはアレンを完全に収容完了すると立ち上がり次はリナリーとカイルの方を振り向いた。

「エクソシスト、リナリー･リー。カイル・マリアン。手術シマス」

コムリンはそう言うと２人の元に殴るように近づいた。

ドンッ！！！

その場の壁やら床やらは粉々に崩れ落ちた。

その場所に彼らは居なかった。

「し、室長あれ！！！」

科学班の１人、ジョニーが銃の先を指さした。
その場の人間が先端を見てみると、先端に立ち翼を広げたカイルがリナリーを抱き抱えていた。その姿は神々しくまるで天使が降りてきたように見えた。
見た目ではクロス･マリアン元帥に抱き抱えられた雰囲気だ。

「アレンくん達、帰ってきたんだ…」

「あぁ…」

リナリーはそう言うとカイルに降ろして貰い、イノセンスを発動させた。

「エクソシストは手術ー！！！」

「「煩い（ウルせんだよ！クソロボ）！！！！！」」

そんなリナリーを見てコムリンが突っ込むとリナリーは軽く飛び上がり柵の上に立った。

「リナリー！！！こいつの中にアレンがいるんだ」

「本当なの？アレンくんが････」

リナリーはコムリンの一部からそんな声が聞こえるとその場を見据えた

「やっぱさっき壊すべきだったな…」

するとコムリンもカイルとリナリーに攻撃を始めたがいとも簡単にかわされ続け逆にコムリンの体を真っ二つにした。

「やった…！！！」

科学班からそんな声が掛かるとリーバーは中のアレンを助け、科学班はリナリーを煽り始めた。
そんな声を受けながらリナリーが先端に立ち足を振り上げると制止の声がかかった。

「コムリンは悪くない！！！悪いのはコーヒーだよ！！！罪を憎んで人を憎まず。コーヒーを憎んでコムリンを憎まずだ、リナリー、カイル元帥」

「「兄さん…（コムイ）ちょつと反省してきて（こい！）」」

コムイはそう言って涙ながらの熱演をするとコムリンごとリナリーに吹っ飛ばされ１番下に落下していった。科学班の歓声が響いた。

一段落したカイルは壁に寄り掛かって寝ているアレンを横抱きにすると、自分の部屋に引き上げた。