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アミクエコミュのひじりたちの夜

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 ペンション『胸キュンハート』へようこそ。

   お客様のお名前は 聖 様
   お連れ様は 亜美 様ですね。



    → そのまま始める
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コメント(44)

#.5

食堂のテーブルにゃあ既に
ナイフやフォークがキッチリと
セッティングされてた。

女子大生トリオやDQNカップルも
いつの間にか席についてやがった。

テーブルの真ん中にゃ、
ご丁寧にクリスマスツリーを象った
キャンドルが灯ってた。

…なかなか味な演出してくれんじゃねーか、
陸奥…。

揺らめく小さな炎が、
窓の外を見つめる亜美の横顔を
ムーディーに照らしてる。

・A 「…たまんねーなオイ…」
俺は思わず口走っちまってた。
→B 「君の瞳に、乾杯」
俺はハンフリー・ボガートを気取った。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

聖「き、き、きっ…きみ…の…///」

亜「…え?」

聖「(ゴニョゴニョ)君の瞳に…か、か、か…」

亜「…何…?聞こえないよ」










聖(ノ//皿//)ノ~┻━┻んなクセェ台詞…
言えるかこんヴォケがーっむかっ(怒り)
そこはAだろっ!!
選択肢間違えんなむかっ(怒り)

亜( ゚Д゚)ポカーン

おりゃあ空気を誤魔化す為、
周囲をキョロキョロしてると、
陸奥の嫁さんらしいニキータっていう
ブロンドのウルフヘアーにそばかすの
ボーイッシュな雰囲気ながらに乳のでけぇ女と、
さっきの態度がでけぇランチャーって女が
料理を各テーブルに運び始めた。

宿泊客は俺ら二人と女子大生トリオ、
DQNカップル…だけかと思いきや、
よく見ると妙な客が居る事に気付いた。

食堂の隅っこで壁に溶け込む様にして
ひっそりとトレンチコートの男が
座ってやがる…。
メシの席ってのに不自然に
上着と帽子を纏い、
あまつさえ黒いグラサンまでかけてんだ。
スキーをしに来た客にゃ到底見えねぇし、
仕事の営業で宿泊利用してるってワケでも
なさそうだったから、
おりゃあもしかすっと「シノギ」の世界の
人間なんかもしんねぇと見た。

聖「(ヒソヒソ)よぉ、亜美。
あの隅っこに居る奴…どう思う?」

亜「(ヒソヒソ)あんまチラチラ見ないで…!
絡まれたらどーすんの…!?
ほっとけばいいでしょ…!?」

聖「(ヒソヒソ)…そりゃまぁそーだ」

確かに、人様を見かけで
決め付けんのはよくねーな。
そりゃ偏見ってモンだぜ。
別に大人しくスープすすってるだけだしよ、
実は結構気さくな野郎なんかも
しんねぇしな。

まぁなんにせよ、料理が一通り揃うと
んなこた眼中に無くなってた。

(ハグッ…ムグムグ)

聖「おぉう!?うめぇ!オメーも食ってみろ!」

亜「うん(パクッ)。
…ホントだ、おいしー!」

聖「なんか
高級レストランみてぇな味付けだな!
誰が作ってんだ?これ」

亜「多分、陸奥さんじゃないかな。
元大手ホテルの
コンシェルジュだったみたいけど、
調理師のライセンスも持ってるらしいから」

聖「マジかよ…すげぇなオイ…。
恐れ入ったぜ…。
あのパツ金の姉ちゃんは?
ゲージン(外人)かよ?」

亜「うん…多分そうじゃないかな。
ニキータって人で、陸奥さんの
お嫁さんらしいよ」

聖(オメーもさっさと嫁に来いや)

BGM:郷ひろみ「お嫁サンバ」


ひとしきりメシを平らげると、
チラホラと人々が食堂を出て行った。
ふとケータイで時間を確認すっと、19時55分。

聖「腹が膨れたらちっと運動したくなんな。
亜美、ナイタースキー行かねぇか?」

亜「は!?え!?本気で言ってんの!?
もうヤだぁ〜あせあせ(飛び散る汗)」

( 'д')天気予報を聞いてる限りじゃ
ナイターどころじゃなさそうよ。
当分ここから出ない方がいいわ


エプロン姿のランチャーが横から
口を挟んできやがる。

ランチャー、か…。
変わったあだ名だよな。
ロケットランチャーかっつの。
聞くところによると、
付き合ってる男と一緒に
住み込みで働いてるフリーターらしく、
パッチリした目にポニーテールをサイドにくくった
快活な印象を持った可愛い感じの女だ。
まぁ、亜美にゃ負けるけどよ。フフンダッシュ(走り出す様)

亜「そんなに激しいんですか…?」

亜美はランチャーの横槍にホッと胸を
撫で下ろしてやがんの。
だらしねーな。

充(`・ω・)詳しい予報じゃ
近年に無い大雪になる見込みだってさ

コイツがランチャーの彼氏の充(みつる)、
通称ミッチーで通ってるらしい。
スキー好きのスポーツマンカップル
って話だが、痩せこけた人相を見ると
あんまそういう印象はねーけどな…。
#.6

聖「…まさかここに閉じ込められて
飢え死になんて事にゃなんねーだろーな…」

俺が小声でボヤくと、ミッチーは
冗談ぽく笑って応えた。

(`・ω・)ノシ それは大丈夫。
このペンションは街から離れてるから、
食料だけは常に十分な状態にしてあるんだ。
今の宿泊数だと、少なくとも
三週間は持ちこたえられるよ。


…三週間も亜美と一緒ってんなら
それはそれでGJじゃねーか…?

(チラッ)

亜「ん?どうしたの?」

亜美と目が合った。

聖「なんでもねーよ///」

(`・ω・)三週間ってのは
若干サバを読んだけど、
明日滑るのは無理かもしれないね。

どうでもいいが、陸奥といいランチャーといい
コイツといい、朱里って姉ちゃんといい、
最近は初対面でもタメ口利くのが
流行ってんのか…?
さっきの黒ギャルも大概
馴れ馴れしかったしよー…。

亜「やだ…そうなったら陸奥さん
宿泊を延長してくれるのかな…あせあせ(飛び散る汗)
お金、足りなかったらどうしよう…あせあせ(飛び散る汗)」

(`・ω・)大丈夫だと思うよ。
…………………………多分。

聖(多分かよ)


その時、不意にホールで何やら
ざわめいてる声が聞こえた。
俺らはぼちぼちと腰を上げて
食堂を跡にした。

食堂を出ると、フロントの辺りで
女子大生トリオが必死な表情で
陸奥に何かを訴えている。
なんかあったんか?と思い、
俺らは耳を傾けた。

陸「はい落ち着いてー。
落ち着いてチョーダイよー。何々、どったの」

千「さっき部屋に戻ったら
私達の部屋の床にこんな紙が…!!」

モナリザの化身、千夏が
血の気の引いた表情で
陸奥に小さな紙切れを差し出していた。
興味本意で横からさりげなく覗き込むと
赤いマジックインキのような筆跡で
何か記されてやがる。


  ― ΨЁФΠβΩ・ΞζёыыΛ ―


陸「…なんじゃこりゃ」

千「私達にも分かりません…。
分かるのは、日本語じゃあないって
事だけです…」

陸「日本語でおk」

朱「禿同♪」

陸「誰かの悪戯じゃなーい?」

千「でも…何て書いてあるのか
分からないからこそ余計に
気持ち悪いじゃないですか!
赤い文字だから…もしかしたら
殺人予告的なメッセージかもしれないし…」

恵「ひえぇぇっ!くわばらくわばら…」

千「これが部屋の中に落ちてたって事は、
誰かが私達の部屋に侵入したって事だもの…
気持ち悪い…!」

陸「フーン。床に落ちてたんなら、
ドアの下の隙間から
差し込んだんじゃないの?
鍵はちゃんとかけてたんでしょ?」

千「あ、そっか…でも、やっぱり嫌です…!
部屋を取り替えて貰えませんか?」

陸「いーよ」

千「ありがとうございます!」

恵「ねぇねぇ陸奥さん」

陸「なんだい?」

恵「代わりの部屋にテレビはある?」

陸「無いよ」

恵「なんですとっ!?むぅ〜…
見たい番組があるんだけどねぃ…」

千「こんな時に何言ってんのアンタ!?
テレビくらい我慢しなさいよむかっ(怒り)」

恵「なんだいその言い種はむかっ(怒り)
TVショーを舐めんじゃないわよっ!!
旅先にTVショーは譲れやしないよっむかっ(怒り)」

陸「ハッハッハッ。仲が良いねー、君たち」

朱「ん〜、メグちゃんは何が見たいのかな?」

恵( ゚目゚)グータンヌーバゥッ

千「却下!」

恵(?゚言゚)ガーン

恵「(ジタバタジタバタ)ヤだいヤだい!
あたい今夜はグータンヌーボー見るんだい!
毎週見てるのに今日に限って見逃すなんて
堪えられない!死んじゃう!
鬼!悪魔!ヒトデナシ!」

千「ええい問答無用!朱里!
そっち持って!」

朱「がってんだ」

陸「じゃあ案内すんね、ついといで」

恵「うわぁぁ・゚・。(つД`)。・゚・ぁぁん!
はにゃせぇぇぇぇっ!!
ぐぅぅたんぬぅぅばぁうぅぅ!!」

チビ貞子は見苦しく駄々をこねるも
二人がかりで担ぎ上げられ、
陸奥の案内に従い、
捕獲された宇宙人みてぇに連行されてった。


亜「…誰がこんな悪趣味な
いたずらするのかな…」

聖「さーな」

亜「クスッ…聖じゃないの?」

聖「はーっ!?アフォかっむかっ(怒り)
んなワケあるかよ!!」

亜「ハイハイごめんごめんあせあせ(飛び散る汗)」


(ジリリリリリッ!ジリリリリリッ!)


いきなし、けたたましく
フロントの電話が鳴り響いた。
二階へ部屋の案内に上がっている
陸奥の代わりに、ニキータが電話に出た。

(ガチャ)

ニ「へい、お電話アザース。
ペンション"胸キュン"ッス」

聖・亜Σ(;゚Д゚)!?
#.7

ニキータの口調を初めて聞いた俺らは、
色んな意味でショックを受けた。

亜(え?え?まさかの日本人…?
瞳は青いのに…カラコン!?)

聖(なんでそんな体育会系の
下っ端口調なんだよ!
ニキータってのはあだ名かなんかか!?)


予想に反して饒舌なその口調は、
現代の若者らしい
中途半端な敬語だったぜ…。
艶っぽくかすれたハスキーボイスで
ニキータは続けた。



ニ「…へい、モサマさんッスね。
夕食はさっき終わっちめぇやしたけど、
部屋はバッチリ取ってやすんで…へい。
へ?なんすか…?へい…。
駅からッスか?
車だと3、40分くらいじゃねーすかね。
今日は大分、雪がキツいみたいなんで…」




亜「…今頃来る人が居るんだね。
吹雪のせいで遅れちゃったのかな…」

聖「そんなこったろーよ。
遭難って事になんなきゃいーけどな」



ニ「…そっすか。へい、お待ちしてやす。
お気をつけて…(ガチャ)」

(トンッ、トンッ、トンッ、トンッ)

杉「ウィーッス」

ニキータが電話を終えた所で、二階から
DQNカップルの男、杉山が降りてきやがった。

杉「テレビ点けてもいいか?」

聖「(あん?コイツもテレビにご執心かよ)
おー」

俺が返事すっと、杉山は
談話室のソファにドッカリと座り、
リモコンでテレビを点けてはチャンネルを我が物顔で
次々と変えてゆく。

杉「おっ、これこれ!
うたばんの歴代パンクバンド特集!
ゴキゲンじゃねーか」

聖「…よぉ、パンク聴くんか?オメー」

杉「おぉう?パンクはいいぜー。
ただのやさぐれたロックとは
一線を画してっからな」

聖「へっ、わかってんじゃねーか」

亜(あ〜…始まった…たらーっ(汗))

杉「お?お?何よおたく、
なんか楽器やってんの?」

聖「まーな。ちっとベースを
かじってるだけだが」

杉「mjdk!俺もさぁ〜、
ピストルズが好きでギター触ってんだよねー」

聖「ピストルズ…?マジかよ…もしかして、
シドか!?」

杉「シドっっ!!キタコレ!!アイツはガチ!!
ガチでヤベェ!!そーとーキレてやがる!!」

聖「ヒャッハーッ!!気が合うなヲイwww」

(ペシッ☆)

亜(あーあー…ハイタッチまでしちゃってたらーっ(汗))

杉「まさかこんな旅先で
同士と巡り会うたぁよー!?
その子はアンタのコレか!?ん!?
ゲロマブじゃんよ!?」

亜(ゲ…ゲロマブ…?たらーっ(汗))

※ ゲロマブ→ゲロ吐きそうなくらいマブしい女。
つまり「ヤベェマジ可愛いーっ!!」
的な誉め言葉。
聞こえの響きとして
意味を知らなければ
到底誉め言葉には聞こえない。

聖「おうおうおう、
言ってくれるねー兄弟!ぴかぴか(新しい)」

杉「当たり前田のクラッカーwww
シャカリキコロンブスよコロンブスwww」

亜(コ…コロン"ブス"…?むかっ(怒り))

杉「オタク、バンド組んでんのか?」

聖「高校以来とんとご無沙汰よ」

杉「っおーいっ…兄弟っ!!(バシッ☆)
水クセェなぁ!?だったらよぉ、
組まねぇか!?オ・レ・と!
うちはイイぜー!?エロだけど
根性だけは据わってるドラムと、
パッとしねぇけど気合いは保証付きの
ボーカルが揃ってる
実力主義バンドだからよっ!
実力がありゃ十年キャリアのバンドよりも
平気でのしあがれるってもんよ!」

聖「オイオイたらーっ(汗)ちと落ち着けや…」

杉「そのかわり力の無い奴らは
いつまで経ってもザコのまま!
どや、うち来んか」

…どこまで本気なんかわかんねぇ…。


→A 「よっしゃ腹くくった!
天下取ったるぁーっ!!」
・B 「わりーな。おりゃあコイツの為に
人生捧げるって腹なんだわ」

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

聖「よっしゃ腹ぁくくった!
天下取ったるぁーっ!!」

杉「そうか!ようゆうてくれた!
そうと決まったら善は急げや!
うちは実力主義やさかい、
学歴なんか関係あらへん。
さっそく地元に帰って猛練習や!」

亜「バンドに人生賭けちゃうの…?
じゃあ、もう会えなくなっちゃうね…」

聖「何言ってやがる!
俺は成功する男よ!
どこまでも付いてこいや!」

亜「嫌」

聖( ΘÅΘ)…。












そして俺は亜美への未練を振り切って、
運命の巡り会いを果たした仲間と共に
栄光の花道をひた走る。

…予定だったが、

世の中そう甘くは無かった。


十年後

杉「…聖ぃ〜…」

聖「…あ〜ん?」

杉「…俺よぉ〜」

聖「…お〜」

杉「…バンド辞めるわwww」

聖「…マジで〜?」

杉「…人気無さ過ぎて泣けてきたわwww」

聖「…俺もwww」


俺は、しがないオッサンロッカーに成り下がった。
亜美を愛したあの頃に戻りてぇ…orz

終



BAD END No.1 「おっさんROCK」
#.8

 途中からやり直しますか?

     →やり直す
      やめる


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

杉「そのかわり力の無い奴らは
いつまで経ってもザコのまま!
どや、うち来んか」

…どこまで本気なんかわかんねぇ…。


・A 「よっしゃ腹くくった!
天下取ったるぁーっ!!」
→B 「わりーな。おりゃあコイツの為に
人生捧げるって腹なんだわ」

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

聖「わりーな。おりゃあコイツの為に
人生捧げるって腹なんだわ。
ご縁がありゃー、また誘ってくれや」

亜「聖…///」

杉「このご時世、
不況やいうて騒いどるやろ。
せやけどうちはそんなモン関係あらへん。
実力のあるもんしか雇うてへんからや。
うちは実力主義やさかいな。
引っ越しのサカイとちゃうで?
なんつって!デヘ、デヘ。どや、うち来んか」

聖「だからよ〜…断るっつってんだろーがたらーっ(汗)
人の話聞いてんのかテメー。
それになんでいきなり
エセ関西人になってんだ!?ザケンナ」

ニ「キシシシッ…バンド馬鹿なんすねっ!」

杉「そもそも、うちのバンドが
なんで不況に強いか。それはやなぁ(ry」

ニキータは他人事みてぇに
端からせせら笑ってやがるし、
コイツは耳がわりーのか
尚も話が止まらねぇ…。
誰がどーにかしろやコレ!


?「ちょwwwおまwww
人様に迷惑かけんなしwwww
マジ恥ずかしいんですけどwww」

杉山の女、黒ギャルがのしのしと
止めに現れた。

?「今ハッキリと断ってたじゃねーかwww
パンク狂いも大概にしろって感じぃ〜?www」

杉「お?そーだったか?わりーわりー!
つい話し込むと夢中になっちまってよ!
この顔の黒いのが俺の嫁のキャサリンってんだ」

キ「ブチアゲで宜しく!的な?www」

あ〜…このノリうぜぇwww

聖「俺は聖。
コイツは将来の嫁になる亜美ってんだ」

社交辞令でしゃーなしに場の空気を
取り繕ってると、
キャサリンはニキータに話しかけた。

キ「ねぇー、料理マジ美味しかったぜwww
サンキューwww」

ニ「マジすか?むっさんが聞いたら
お世辞でも喜ぶと思いやすよ。
光栄ッスねぇ。あざす!」

キ「いやいやお世辞抜きでwww
つーかさ、つーかさ、ニキータってーの?
外国人?」

ニ「キシシシッ!ちげぇやす。
こいつぁーカラーコンタクトッス。日本人ッスよ」

キ「えwww何www?じゃあ、
ニキータってのもあだ名的な?
本名はなんてーの?」

ニ「あ、や…その辺はちょっと…
諸事情で秘密って事に
しといて貰えやせんかね?」

キ「なんだよwww気になるじゃねぇかよww」

杉「その辺にしとけってwww
おめぇこそ迷惑だっつーのwww
つーか、喉渇いたんだけどよ。
ビールかなんか貰える?ニキータさん」

ニ「ウッス。わかりやした。
皆さんも飲まれやすか?」

聖「…どーするよ?」

亜「じゃあ、ちょっとだけ…。
アタシは紅茶かなんか貰っていいですか?
お酒、苦手なんです…」

ニ「へい、わかりやした。
えっと…お兄さんはどーしやすか?
お名前なんでしたっけ…」

聖「聖だっつーの。じゃあ、
俺も貰うわ」

ニ「サーセンあせあせ(飛び散る汗)了解ッス」

ニキータは注文を把握すると、
いそいそとキッチンに戻って行った。












(ドサッ!!)

聖「(ビクッ)うーぉっ!!…ックリしたぁーっ!」

突然、窓の外でなんか重たいモンが
落っこちた音がした。

亜「プッ…屋根に積もった雪が
落ちただけだよ」

聖「んだよ、雪か。焦った〜…」

俺はどの程度の雪が落ちたのか
覗いて見ようと、窓へ身を乗り出すと、
外の闇からぼんやりと車のヘッドライトが
近付いてくるのに気付いた。

もしかすっと、さっきニキータが対応してた客が
到着したんかもしんねー。
名前は…なんつったっけな?

そう考えてる内に、玄関のベルが鳴ると
間の抜けた拙い日本語のゲージンのオッサンが
入ってきた。

モ(;´∀`)スミマセン、ゴメクダサイ!
モサマデス!オソクナテゴメナサイ!

ニ「あ、モサマサンッスね。
お待ちしてやした。
ちょっと待って下サイね。
…むっさぁーん!
モサマサン到着されやしたー!」

(トンッ、トンッ、トンッ、トンッ)

ニキータが二階に向かって呼び掛けると、
陸奥が降りてきた。
#.9

陸「どーも、いらっしゃい。
無事到着して良かったね」

(*´∀`)ヨカッタデスネ、ハイ

中肉中背の色黒なモサマってオッサンは、
愛嬌のある笑顔を振り撒きながら、
片言の言語でマイペースに靴を脱いで
中に上がり込んだ。

記帳の為にキッチンのカウンターに移る。

(;´∀`)ソウナンシソウデ、ワタシ、アノ、アノ、
トッテモアブナカッタデスヨ。
クルマガトマル、ウゴカナイ、トチュウ、コワカッタデス、ハイ。

陸「そっか、大変だったね。お疲れ様。
ここにサイン貰えるかな。
一応、身分を確認出来る物はある?」

( ´∀`)ピザガアリマス

陸「ピザじゃなくてビザね。見せて」

( ´∀`)つメモ

陸「どーも。夕食は終わっちゃったけど、
なんか軽いモンなら作ってあげられるよ。
お腹空いてなーい?」

(*´∀`)オナカペコペコデスネー。
シシカバブオネガイシマス。

ニ「そんなモンねぇッスたらーっ(汗)」

陸「おにぎりでいいかな」

(*´∀`)イイデスヨハイ

陸「じゃあ、ニキちゃん
作ってあげてくれる?」

ニ「ウッス」

モサマってオッサンは陸奥から
部屋の鍵を受けとると、
一旦荷物を置きに二階へ上がって行った。

(クッポー)

鳩時計が鳴った。
現在時刻、20時半。

陸「じゃ、みんなゆっくりとくつろいでね」

杉「お言葉に甘えて戴こうぜwww」

ニキータが用意したドリンクのグラスを
それぞれ手に持つと、俺らは
飲み口を合わせた。

(カチーン)

「乾杯!」

(ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ…)

キ「プハーッダッシュ(走り出す様)テラウメェwww」

見るとキャサリンのグラスは既に空いてやがった。
なんちゅー色気の無ぇ女だ…。

(((*´∀`)コンバンワ

モサマは荷物を置いて直ぐに
朗らかな笑顔で談話室へ降りてきた。

ニ「あ、モサマサン。丁度
おにぎりが出来たとこッスよ。
置いておきやすね(コトッ)」

タイミングに合わせて手早く作った
おにぎりを、ニキータはテーブルの端に置いた。
がさつな性格なんか知んねぇけど、
形や大きさがまばらで、
適当に作った感が否めねぇ…。
やる気ねーなオイ

(*´∀`)ドウモアリガトウゴザイマス!イタダキマス

和やかな雰囲気でソファの端に腰掛けたモサマは
無邪気に、有難そうに、
手抜きおにぎりにパクついた。憎めねぇ。

ニ「亜美サンっしたっけ?
酒は苦手なんしたら、
ケーキもありやすよ?
紅茶だけだと口寂しくねーすか?」

亜「あ…どうしよ。
じゃあ戴いていいですか?」

ニ「全然ヘーキッス。持ってきやすね」

亜(…しまった、カロリー大丈夫かな…。
こんな時間にケーキはマズいよね…。
でもせっかく出して貰うんだから
食べなきゃ失礼だし…)

(.´∀`)オキャクサンハ、コレデゼンブデスカ?

陸「んーん、他にも居るよ。
そーだ、あの女子大生さん達も
お茶すればいいんじゃないかな。
ランチャー、呼んできてあげれば?」

( 'ワ')ラジャッ

ランチャーはパタパタとスリッパの音をさせて
フロントへ向かった。

('д';)⊃…そう言えば、陸奥さん。
あの不審な感じの男の人はどうするの?

不審な男…?確かにメシん時、
トレンチコートの野郎が居たな。
おそらくソイツのこったろーな。

陸「あぁ、田中さんね。
一応聞いてみれば?」

(?'д')えー?あたしヤだなぁ…

陸「嫌なら別にいーんじゃない?
人付き合いの良さそうなタイプでも無いし」

(;'ワ')ダッシュ(走り出す様)ホッ

ランチャーは内線電話で女子大生トリオに
声をかけた。

( 'ワ')陸奥さん、飲みたいそうよ。
すぐ降りて来るって言ってるわ!

聖「…口の利き方についちゃ
なんも言わねーのか?」

陸「え?いや、特には。
別によくなーい?」

聖「いやまぁ…いちお客商売だろ。
とやかく言うつもりはねーけどよ」

陸「放任主義なんだ、僕。
ニキちゃんも部下も信用してるから」

聖「あ、さいで…」

( 'ワ')じゃあ、もう三人分
紅茶を用意してくるわ。

(トンッ、トンッ、トンッ、トンッ)

(ガヤガヤ…ガヤガヤ…)

ランチャーがキッチンに移ると、
女子大生トリオが階段を降りて来た。
相変わらず賑やかだ。

朱「あーっ!随分揃ってるね♪
楽しそう!」

恵「あーん!もうグータンヌーバウ
始まってるよ!」

千「まだ言ってんのアンタ…くどい!」

朱「いい薫り〜ハート達(複数ハート)ダージリンかな?」

千「お隣失礼しまーす」

恵「お☆おにぎりだ!一個もーらいっ」

千「コラッむかっ(怒り)お行儀悪い!」



…チキショー、くっそやかましいな!
おかげでソファは定員オーバーの
ギュウギュウ詰めだ!

聖「…俺、階段に座るわ…」
#.10

やがてニキータとランチャーが追加分の紅茶やコーヒー。
ケーキやつまみ等を盛り合わせた皿を
トレイに乗せて運んできた。

ニ「ミッチーさんにも声をかけたんスけど、
テレビを見てるらしくて
今は要らねぇらしーッス」

恵Σ(;゚Д゚)テレビ!?もしかして
グータンヌーバウかねぇ!?ちょいと!

千「男の人がガールズトーク番組とか
あんま見ないでしょ!?諦めなさい!」

ニ(ミッチーさん、グータンヌーボー見てやしたけど…。
黙ってた方が良さげッスね…たらーっ(汗))


「戴きまーす!」

女子大生トリオは元気よく声を揃えて
紅茶にありついていた。

亜「(パクッ)…あ、美味し。コレ…。
(太っちゃう…)」

恵(*゚∀゚)おっ!アミーゴぴかぴか(新しい)いいねソレ!

亜「一口食べる?」

恵(*≧∀≦人)ワーイ!たべゆたべゆ!
(パクッ)んっまぁぁぁいっ!

朱「あーっぴかぴか(新しい)いいないいな♪
あたしにも一口下さいなハート」

亜「うん!食べて食べて!
千夏ちゃんもいかが?」

千「え?ありがとう。なんか、
殆んど無くなっちゃったけど…」

亜「いいの、気にしないで?」

ニ「亜美サン、あまり食って無いッスよね。
まだありやすけど、取って来やしょうか?」

亜「(キッパリ)気持ちだけで結構ですハート」

(クッポー、クッポー、クッポー、クッポー…)

鳩時計がまた時刻を告げた。
全員が一斉にそちらへ目をやる。

3

4

5

6

7

8

…21時だ。
鳩が鳴き止むと、吹き荒ぶ風の音が
それまで以上に際立ってたぜ…。
分厚いガラスが割れそうなぐれぇ
窓枠がガタガタと揺れてやがった…。


朱「ホント、すっごい吹雪だねー。
雪崩なんか起きなきゃいいけど♪」

千「やだちょっと…
縁起でも無い事言わないでよ。
ただでさえ、さっき"あんな事"があって
気持ち悪いのに…」

千夏は言いかけて、
しまったと言わんばかりに口を押さえた。
場の空気が止まった。

( ´д`)アンナコト…?ナンデスカー?

俺は気まずい空気をフォローしてやろーと
アドリブをかましてやったのよ。

聖「あんな事いーいな♪
でっきたっらいーいな♪
あんな夢こんな夢いーっぱいあるーけどー♪
ってな。どわっはっはっはっ!」

(゚Д゚)(゚Д゚)(゚Д゚)(゚Д゚)
(゚Д゚)(゚Д゚)(゚Д゚)(゚Д゚)

聖「…あ?知らねーのかテメーら。
ドラえもんのウタだよ。
聴いた事ぐれぇあんだろ。
そんな目で見るんじゃねぇ」

亜「…知ってるけど…何もこんなタイミングで
急に歌う事ないでしょ。
バカじゃないの?」

聖「バッ…おめ…むかっ(怒り)」

朱「アッハダッシュ(走り出す様)聖ちゃんたら面白ーいっハート
ユーモアのセンスがあるんだねっ♪
アンッハート達(複数ハート)アンッハート達(複数ハート)アンッハート達(複数ハート)とってもだーいちゅき♪
ドーラえ〜もん〜♪」

杉「(ボソッ)…こんな娘とイイな…。
デキたらイイな…」

ニ「エロいッス」

キ「ちょwwwwwおまwwwww
いっぺん外突撃してこいwwww」

陸「ハッハッハッ、楽しいねー」

( 'д')陸奥さん、棒読みなんだけど。



…まぁ、上手くごまかせたみてぇだな。

恵「ねぇねぇ、そーいやおじさん、
さっきの夕食の時は居なかったね。
名前なんてーの?」

千「だからアンタはタメ口はやめなさいって
言ってんでしょーがっむかっ(怒り)」

(ベシッ)

恵「アテッダッシュ(走り出す様)」

(*´∀`)ノシ イイデスヨ-、オケーナンデスハイ。
ワタシ、モサマ・ハーマンデス。オソクツイタノデ、
ゴメンナサイナノデス。

亜(…か、カワイイ…)

聖(…ハゲてやがる…)

千(何この癒し系キャラ)

陸(和むなぁ…)

朱「ハイハーイッ手(パー)しっつもーん!
モサマさんて、どこの国の人なんですかぁ?」

(*´∀`)トルコデス

恵「トルコってどの辺かね」

朱「知らなーい」

千「じゃあどこの国なら分かるのよ」

陸「トルコっつったら、日本から西の方だよ。
韓国を越えて、中国を越えて、
アフガニスタンとイランを飛び越えた
西アジアの辺りさ」

ニ「よく知ってやすね…凄ぇッス」

キ「な〜んかぁ〜、
ピンと来ないってゆーかぁ?」

陸「そりゃショーガナイね。
世界地図で探してみれば?」


(ガシャーンッ)

杉「おぉぉうっ!?なんじゃ!?今の音は!
ガラスが割れる音みたいだったぜ!?」

BGM:氣志團「one night carnival」
#.11

杉山は思わずぶったまげて飛び上がった。

陸「何かな。ちょっと見てくんね」

陸奥は、まるで大したことの無い様に
平然と通路の奥へ消えた。
俺らは全員驚いて気分が
台無しになったっつーのに、
なんて神経の図太い野郎だ…。

やがて陸奥はミッチーを連れて戻って来た。

陸「一階にゃ異常は見当たんないね。
みんな、悪いけどそれぞれ自分の部屋の
様子を確かめてみてくんない?
放っといたら冷蔵庫になっちゃうかんね」

そりゃコトだなと思い直し、
俺らは全員陸奥の指示に従って、
二階へと赴いた。

(カチャリ)

俺は先ず、ソッコーで自分の部屋の
様子を確かめた。
だがドアを開けて中を覗き込んだだけで
なんも異常が無い事が分かった。

俺が廊下に出ると、
亜美、バカップル、モサマ、女子大生トリオも
それぞれの部屋から出てくる。
一人一人の様子から、特に何も
無かったってのは容易に見て取れた。

その内空き部屋を調べてたらしい陸奥も
廊下に顔を出した。

陸「どーだった?」

聖「なんもねぇーよ」

亜「アタシの部屋も…」

杉「俺達んとこもよ。
なんだろな、いってぇ」

女子大生トリオの目を見ても、
首を振って異常無しのサインが読み取れた。

陸「あっそー。だったら、
心当たりは残り一部屋か」

陸奥はそうつぶやいて、
ある扉を見つめた。
きっとあの田中って奴の部屋だと思う。

俺らは自然と扉と向き合った陸奥を
取り巻く形で立ち尽くしてたぜ。

亜「…もしかして、あの娘達の部屋に
イタズラ書きを仕込んでおいたの、
この部屋の人の仕業なのかな…」

亜美は俺だけに聞こえる様に
そっと囁いた。

聖「…さあな」

(コンコンッ)

陸奥はまるでスイッチを切り替えたかの様に
昔、一流のホテルマンだった頃の
風格を漂わせた紳士的な仕草で、
適切な力加減とリズムで
奥ゆかしいノックをした。

陸「お客様、恐れ入ります。
宜しいでしょうか」

その凛々しい姿は、
つい先程まで何も考えて無さそうな
素朴な雰囲気だったにも関わらず、
あまりのメリハリの鋭い変貌ぶりに
場に居合わせた全ての人間は
思わず息を飲み、感心した。

しかし、中からの応答は無かった。
陸奥はそっとドアに耳を当て、
中の様子を伺うと、何かが強風に
煽られてるみてぇな音が聞こえる。

(コンコンッ)

陸「田中様、少々宜しいでしょうか」

変わらず返事はねぇ。

聖「…やっぱこの部屋がクセェな…」

陸「んだねぇ」

(スッ…カチッ)

陸奥はまた素朴に頷くと、
マスターキーをポケットから取り出して、
殆んど音を立てずに手慣れた手つきで
錠を外した。

陸「田中様、失礼致します」

(カチャッ)












(ビュオオオオオオオォォッッ!!)

陸奥は躊躇う事無く、
いけしゃあしゃあとドアを開けて
ずけずけと部屋の中へと踏み込みやがった。

その瞬間、様子がおかしい事を
全員が感じ取った。
開いた扉の隙間を縫う様にして、
凍てつく一陣の突風が俺らの頬を掠めた。

室内には、風に煽られたカーテンの
布が擦れる激しい音と、割れた窓が
外側の壁に叩きつけられる音が響いてた。

筒抜けになった窓から吹き込む雪は
狂った様に乱舞してた。

窓側の床にゃあ少しの雪と、
硝子の破片が粉々に散乱してやがった…。

(ガチャッ)

陸「田中様、おられますか?」

陸奥は沈着冷静な素振りで…いや、
これ程の異常事態にも変わらず
些細な出来事であるかの様に
涼しい顔をして声をかけ、
バスルームの扉を開けた。

陸「どこ行ったんかな」

聖「…窓から外に出たんじゃねーか?」

陸「え、なんで」

…んなモン知るかよ…。
なんとなくそんな気がしただけだ。

聖「…調べねぇのか?」

陸「ハハッ、そりゃ調べるとも」

陸奥がまた平然と窓際に歩み寄ると、
俺はそれに付いて歩き、
亜美は後ろから腕にしがみ付いて歩いた。
残りのメンツは廊下で待機してる。

陸奥は、顔に勢いよく吹き付ける
雪も気にせず、その足元を見た。

陸「…なんじゃこりゃ」

陸奥は、何か見つけたかの様に
すっとぼけた声で言った。
俺は陸奥の隣に立ち、
その視線の先を辿ってみた。

窓とベッドの隙間は、
数十センチ開いてる。
その床の上に在ったモノとは…。
#.12

( ・△・)

…一匹のアヒルだった。

陸「なんてこった…こりゃあ…アヒルだ!
生きた本物のアヒルだっ!
オーマイガーッ!」

聖「ウゼーよむかっ(怒り)演技すんな」

陸奥は白々しく、
棒読みで驚いてみせた。
つくづくすっとぼけた野郎だぜ…。

(?-△-)ガァ

聖「…おいよぉ〜、ガァじゃねぇだろ…。
なんでこんなトコにアヒルが…たらーっ(汗)」

俺はあまりの珍妙な事態にただ、呆れた。
そのアヒルは小さく踞り、寒さのあまり
ケツをプルプル震わせてやがった…。

亜「やだどうしたのこの子!?
カワイイーッハート達(複数ハート)」

ソレを見つけた亜美は
黄色い声を上げて抱き上げた。

ニ「アヒル…ッスね、どう見てもたらーっ(汗)」

朱「キャーキャーッハート達(複数ハート)きゃわたーんっ!
やだーん、寒くて震えてるーっ!
可哀想〜あせあせ(飛び散る汗)」

キ「ペンションにアヒルとかマジありえねぇwww
テラアフラックwww
矢田あきこ呼んで来いwww」

陸「とりあえず下の階に連れてこっか。
この部屋に放置プレイってわけにも
いかんでしょ。はい撤収撤収〜」



間もなくして、『胸キュンハート』の中に居る
全ての人間が一階の談話室に集合した。

寒さから解放された謎のアヒルは、
深刻な顔をした俺らに気にも留めず
石油ストーブの前を陣取って
チョコンとくつろいでいる。

陸「さて、ここで三つ
大きな疑問点が生じた。
先ず一つ。
なんであの部屋の窓が割れたのか。
二つ、なんでその現場に
このアヒルちゃんが居たのか。
この子は何者なのか。
三つ、じゃあ結局田中さんは
どこへ消えたのか」

朱「はーいっ☆」

陸「朱里ちゃんどーぞ」

朱「その、田中って人がそこのアヒルちゃんに
化けちゃったんじゃないかな?」

陸「え、マジで?この子が田中さん?」

( -△-)←田中さん(?)

朱「うんっ♪」

陸「…んなアホな」

朱「分かんないじゃん?
なんなら本人に聞いてみれば?」

陸「あのー、貴方が田中様ご本人ですか?」

( -△-)…。



( -△・)?



( -△-)…。

陸「…さすがに無理があるんじゃなーい?
発想がSF過ぎるわ」

朱「テヘペロ♪」

(;'д')陸奥さん…田中さんが
チェック・インする時、
こんなアヒル、連れてたかしら…。

陸「んーん、連れて無かったよ。
間違いない」

恵(*゚Д゚)/分かったよ!?
謎は解けた!!

陸「メグたんどーぞ」

恵「この子、実はトンデモない凶暴な
人食い鳥で、外から窓を割って
侵入して来て、田中さんを
食べちゃったのさぁ!!
みんな危ない!離れて!」

陸「イヤイヤイヤ…ガラスが割れる音がして、
僕らがあの部屋に踏み込むまで、
ものの5分か10分そこらだったよ。
そんな短時間で、
こんなちっさいアヒルちゃんが
大の大人1人、血の跡も残さず
ペロリと平らげてしまえるかな」

恵「そりゃまーそだねぇ…」

陸「それに、百歩譲ってこの子が
窓を割って外から侵入して来たなら、
もっと大量のガラスが室内に
散乱してる筈だよね」

聖「…おい、そーなると
誰かしらがこのガァ助を
あの部屋に連れ込んだって考えんのが
筋の通った思考って事になるよな?」

陸「そーだね」

亜「…ねぇ、アタシ思うんだけど…」

陸「亜美ちゃんどーぞ」

亜「この子…もしかして、
田中さんって人のペットだったけど…、
あの部屋に置き去りにされてたって事は、
捨てられちゃったんじゃないかな…」

千「………。」

恵「………。」

朱「…可哀想…」

陸「それってつまり、
田中さんは窓から逃げ去ったって事?」

亜「うん…」

陸「ちょっとタンマ。
ほいじゃ亜美ちゃんの仮説で
考えを進めるとして、
じゃあなんでわざわざ田中さんは
うちの窓ガラスを割って逃げ去ったのかな。
その意図はどう考える?」

亜「田中さんは…この子の事を
まだ愛していて…このペンションの人達に
命を託そうと、凍え死なない内に
いち早く気付いて欲しかったから…
じゃないかなって思うの…」

ニ「ちょっと横槍失礼しゃす。
揚げ足を取る様で申し訳ねぇッスけど、
亜美サン、"命を託す"っていう表現は
違うんじゃねぇすかね。
そんなのは身勝手な人間側の
"責任転嫁"、"生命の放棄"っつーんだと
アッシは考えやす。許せねぇッスよ…」

亜「…ごめんなさい…。
言葉の選択を誤りました…。
返す言葉もありません…」

ニ「や…アッシこそ…、余計なちゃちゃを入れて
本題を脱線させちめぇやしたね…。
サーセンした…」
#.13

陸「はい話を戻すよー。
じゃあ、ね、亜美ちゃん?
その見解が的を射てるとしたら、
窓が外側に割れてた理由と、
その仕掛けはどう説明がつくかな。
田中さんがあの部屋にいつ、
どうやってアヒルちゃんを連れ込んだのか。
その手段は?」

亜「え……と…、そこまではちょっと…あせあせ(飛び散る汗)」

( -△-)











千「…この子が置き去りにされてた事と、
私達の部屋に不気味な
イタズラ書きが残されてた事に、
何か関係があるのかしら…?」

杉「イタズラ書きって何だ?」

陸「あー、さっき彼女達の部屋に
妙なメッセージの紙切れが見つかったんだ。
誰かの他愛も無いイタズラだと思ってたけど、
やっぱ関係はあるかもしんないね」

杉「ちょっと陸奥さん、
そういう事は一応備考として
報告しといて下さいよー」

陸「だって大したことじゃなくなーい?
何て書いてあるか
分かんなかったもんだからさ」

キ「ちょwwwどんな書き置きよwww
気になるじゃねぇかwwwうp汁www」

陸「これだよ(ピラッ)」

陸奥はポケットから折り畳んださっきの
赤文字の紙切れを出して、
広げて見せた。

  ― ΨЁФΠβΩ・ΞζёыыΛ ―

キ「日本語でおkwwwww」

杉「確かにこりゃあ意味フだな…。何語?」

陸「知んない。ねー、モサマさん読める?」

陸奥はモサマに紙切れを渡して
反応を伺ってみた。
受け取ったモサマはそれをジッと見つめた。

(;´д`)アノ、アノ、スミマセン、
ワタシ、アノー、ワカラナイナノデス…。
ゴメナサイ。

陸「いやいや、謝る事無いよ。
誰だって読めんでしょこんなの」

聖「………。」

(`・ω・)どうします?結局この子、
飼うんですか?ウチで。

陸「ん〜、どうしょっか。
おひょんも居る事だし、
これ以上動物が増えてお客様に
迷惑かけるワケにも行かないし、
衛生的にどーかな。
とりあえず保健所に連絡してみよっか」

朱「おひょんってなーに?」

( 'ワ')ここで飼ってる化け猫よ。
最近姿を見かけないから、
どっかに隠れてるんじゃないかしら。

聖「化け猫だぁ?
そっちの方がタチわりーだろオイ」

ニ「座敷わらしみてぇなモンすから
問題はねぇッスよ」

恵「座敷わらしとは縁起がいいね」

陸奥は保健所に電話をかけようと、
フロントの電話の受話器を
おもむろに取った。

陸「…あれ?おかしいな。回線が切れてる」

Σ(;'д')えっ!?なんでよ!?

陸「知らんがな」

ニ「マジッスか?」

陸「うん」

亜「電話が通じないって事ですか…?」

亜美は不安げな表情で口を開いた。

陸「んだねぇ。多分どっかで
配線がトラブったかなー。
この吹雪じゃショーガナイよ」

聖「ケータイは通じねぇのか?」

陸「そりゃ無理だよ。
この辺りは…つか、普通山の中じゃ
電波はあまり届かない。
僕らでさえ普段は麓まで降りた時くらいしか
使って無いんだ」

杉「でも、よく考えてみて下さいよ。
この吹雪じゃ車は出せねっすよ。
田中って人はまだ近くに
潜んでるんじゃないすかね」

陸「かもしんないね」

恵「じゃあ田中さんを見つけ出して、
ガツンと叱ってやろうじゃないのさ!
ちゃんと責任を持って
この子の面倒を最後まで見なさいってさ!?」

(`・ω・)それって危なくない?
仮にイタズラ書きを残した犯人と
同一人物なんだとしたら、
下手に触って何をしでかすか
分かんないじゃん。

聖「…一理あるな。
開き直られて死人が出てからじゃおせぇ」

キ「こんだけの人数が居りゃ
負けるワケ無いしwww
そんときゃ全員がかりで
取り押さえてやりゃ良くね?www」

(?´д`)ワタシコワイデスネー

亜「アタシも…なんか、怖い…。
ねぇ、何か武器になるような物でも
用意しておいた方がいいんじゃない…?」

聖「しんぺぇすんな。俺が守ってやんよ」

亜「聖…///」

恵( ゚Д゚)σリア充う゛ぁくはつしろっっむかっ(怒り)

朱「イヤーンハート羨ましい〜♪
アタシも聖ちゃんみたいな
ナイト様が居ればなぁ〜」

杉「キャシー、俺が守ってやっからな!ぴかぴか(新しい)」

キ「テラキモスwwwww」

(*・ω・)ラ…ランチャーは俺が(ry

( '∀')ダッシュ(走り出す様)武器なんか要らないわっ!
田中さんが暴れたらロケットランチャーで
成敗してやるわよっ!!

(´・ω・)

ニ「む…むっさん…
守ってくれやすか…?///」

陸「いーよ」

ニ「あ…アザス///」

恵「何この茶番」
#.14

杉「よっしゃwwwww
じゃあ盛り上がってきた所で、
何人かでチームを組んで、
しらみ潰しに田中さんを探してやろーぜwww」

いつの間にか杉山が
リーダーシップを取ってやがる…。
でしゃばりやがって。

結局決まった捜索隊のメンツは俺、陸奥、
ランチャー、ミッチー、そして言い出しっぺの杉山。
それ以外は全員良い子でお留守番だ。

亜「聖…気をつけてね…?」

聖「まかせとけって」

キ「康www気を付けなくていいぜwww」

杉「うぇうぇうぇwwwww」

陸「さて、じゃあどっから探す?」

聖「一階からでいいんじゃね?」

一階にゃ談話室を除くと…
食堂とキッチン。ランチャーとミッチーのスタッフルーム。
陸奥夫妻の愛の巣。
それ以外に乾燥室なんかがある。
それらを一つ一つ見て回る。

陸奥がノブを握る度に、
俺や杉山が臨戦体勢を構えた。

陸「開けるよ」

(カチャリ…キィィィ)

俺らが頷くと同時に、陸奥はドアを開き、
殴り込みをかけるかの如くそれぞれの部屋を
調査して行った。

全員が一つの部屋に入ったら、
隙を突いて逃走を図られる恐れが
あるっつーんで、斬り込み先発小隊は
俺と杉山の武闘派コンビだけだ。

いくら気分がノッてたっつっても、
なんだかんだ最初はびくびくモンだったが、
同じ動きを繰り返す内に段々
大胆になってきた。

杉「どんなゴツい奴が出て来ても
こんだけ頭数が居りゃイケんだろwww」

陸「まーね」

一階には人の気配は無かった。
残るは二階だぜ…。
どちらかっつーと現場にちけぇこっちの方が
田中が潜んでる可能性が濃厚な気がした。

(ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ)

次第にすっかり油断し切ったgdgdな状態で、
捜索隊は二階に着いた。

( 'ワ')あたし、こう見えても
高校時代はザ・ロケットランチャーズってロックバンドで
ブイブイ言わせてたのよっ!?
田中さんが開き直って襲って来たら
ロケットランチャーで吹っ飛ばしてやるわよっ!
ねっ♪ミッチーハート達(複数ハート)

(*・ω・)うん

聖・杉「オメーらもバンドマンか!」

陸「(ボソッ)だったらランチャーが
先頭を切ればいーじゃん…」

(#゚谷゚)なんか文句でもあんのかよ

陸「別に」

聖・杉(?゚Д゚)うーぉっ…KOEEEEEEE!!!!

俺と杉山は、ランチャーの迫力に
抱き合って竦み上がった。
やっぱ女をガチで怒らせちゃヤベェんだな。
と、こん時改めて思った。

気を取り直し、俺らはまた
各客室の調査を進めて行った。

杉「陸奥さん、
あの突き当たりのドアはなんすか?」

陸「ん?あー、ありゃ物置だよ」

( 'ワ')百人乗っても大丈夫ね!

(`・ω・)イナバktkr

(ガタッ)

(゚Д゚)(゚Д゚)(゚Д゚)(゚Д゚)(⌒_ゝ⌒)











その時、物置の中から明らかに
物音が聞こえてきた。
俺らは思わずビビって硬直した。
陸奥は相変わらずシレッとしてやがったが。

聖「(ヒソヒソ)よぉ、聞こえたよな…?今…たらーっ(汗)」

杉「(ヒソヒソ)お、おう…ハッキリと」

(#゚目゚)くらぁぁぁっ!!
あたしは元ロケランのランチャーよ!?
こそこそ隠れてないで正々堂々と
かかってきなさい!!
叩き潰してやるわ!!

(´・ω・)ちょwwwwwおまwwwww
そのネタはもういいってwwwww

※ 窓無しビル参照

杉「よ、よし…俺が開ける。
あとはアンタに任せるぜ…!」

聖「(ゴクッ)上等だコラ…たらーっ(汗)」

杉「…いくぜ?3…2…1…キューッwww」

ドアガチャッ














Λ_Λ
(;≧Д≦)ブミャーッ!?

(テッテッテッテッテッテッ…)


ドアが開いた瞬間、
暗闇の中から猫が飛び出して、
一目散に階段の方へ
駆け抜けて行きやがった…。

聖「(バクンバクンバクンバクン…)
なっ…なんだありゃ!?」

陸「ありゃ、おひょんだよ。
こんなとこに引きこもってたのか」

聖「アイツがおひょんかよ…、
チッ…ビビらせやがって!」

杉「もう他に部屋はねーのか?」

陸「無いよ。もう全部調べ尽くした。
…一応ワインセラーがあるけんども、
あそこは鍵がかかってるしね」

( 'д')何よ、結局見つからなかったわね。
拍子抜けしちゃったわ。


チームが一階の談話室に戻ると、
ニキータがコーヒーを入れてくれてた。
気が利くじゃねーか。

ニ「…結局、見つからなかったんスか?」

陸「うん」

亜「やっぱり…逃げちゃったのかな…」

聖「かもしんねーな」



とりあえず危ねぇ事は無かったものの、
マジでペンションの中に誰も隠れてねぇとは
まだ確信出来ねぇんじゃねーか…?
#.15

もしくは…夜中にどっかから
忍び込んで来るかもしんねぇ。
いくら戸締まりをキッチリしても、
窓を割りゃ簡単に侵入出来んだからよ…。

ん?待てよ…?

 A もっと前から誰かが「胸キュンハート」に
アヒルを連れ込んだんじゃねーか…?

→B 今のメンツの中にアリバイの無い奴が居るな。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

今のメンツの中にアリバイの無い奴が居るな…。
窓が割れる音がした時、
談話室に居なかった奴を1人忘れてたぜ…。

(`・ω・)コーヒーフーッダッシュ(走り出す様)フーッダッシュ(走り出す様)…ズズッ

俺の横でニキータの入れたコーヒーを
幸せそーにすすってる野郎…。ミッチー。

コイツにならアヒルをあの部屋に閉じ込める事が
出来たんじゃねーか?
一応「胸キュン」の人間だしよ…。

俺はミッチーの顔を覗き込んだ。
スキー好きの明るいフリーター。
そりゃかりそめの面だったってのか…?

(`・ω・)コーヒーん?聖君、何?

聖「…あ?おぉ…砂糖取ってくれや。
甘党でよ…」

(`・ω・)つふくろあ、ゴメンゴメン。はい。

聖「サンキュー」

亜「…聖って甘党だっけ…?
いつもBOSSのブラック買って仕事してるのに…
変なの」

聖(バカヤロおめ、よけーな事
言わなくていいんだよ!あせあせ(飛び散る汗))

(`・ω・)コーヒーズズッ

ミッチーは亜美のツッコミを
さして気にしてねぇみてぇだった。
この人の良さそうな野郎が
動物放棄なんかするか…?
なわけねーよな…。

やっぱ元の飼い主はもう
トンズラこいちまったんだな。

(スクッ)

陸「どっこいしょ」

やおら、陸奥が立ち上がった。

ニ「どっか行くんスか?」

陸「うん。外を調べてくるよ」

聖「あん?なんでよ」

陸「田中さんの去った痕跡が
あるかもしんない」

(`・ω・)この雪だと
とっくに埋もれてるんじゃ…。

陸「まぁ一応オーナーだかんね。仕事仕事」

聖「…じゃあ俺も付き合うぜ。
ランチャーも来っか?
襲われそうになったら
ロケランぶっ放してくれんだろ?」

Σ(;'д')えっ…?そ、そうね…。
でもあたし…寒いのは苦手なのよね…。
もし見つけたら、中に追い込んで頂戴。
必殺チョップをお見舞いしてやるわ。

聖(…コイツにゃ敵わねーな…)

結局、俺と陸奥、ミッチーとモサマの4人が
外を見回る流れになった。

俺らはそれぞれ防寒着を武装し、
玄関に集まる。

(ビュオオオオオオオォォッッ!!)

ドアを開けた途端、カミソリみてぇに
強烈な吹雪が襲ってきやがる。
俺は焦ってフードを被った。

聖(こ…こいつぁーキチィぜ…あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗))

陸「左右からぐるりと回り込もっか」

陸奥がケロッとした調子でぬかしやがった。
さすが現地の人間はタフだぜ…。

陸「聖君は僕と時計回り、
ミッチーとモサマちゃんは反対側をよろしこ」

全員、了解の意思表示した。
玄関ポーチから一歩踏み出すと、
そこは地獄の白い闇だった。
二手に別れた俺らは、
積もり続ける雪に足を取られながら
壁伝いに前へ前へと進んだ。

(ザクッ…ザクッ…ザクッ…)

陸「ダイジョーブ?」

聖「クッ…前が見えねぇ…!ちょ、おま…
なんでそんなに余裕なんだよ!?
バケモンか!?」

陸「余裕じゃないよ」

聖「あ゙ーっ!?」

陸「これでもイッパイイッパイさ。
僕、痩せ我慢の人間だから」





…一瞬、陸奥って人間の"弱さ"を
垣間見た気がした。
コイツの事は、嫌いになれそうにねぇ…。


(ザクッ…ザクッ…ザクッ…)



(ビュオオオオオオオォォッッ!!)











聖「(畜生…指の感覚が
無くなってきやがった…)
おい陸奥!もう戻ろうや!
こんなんじゃなんも
見つかるわきゃねーっ!」

(ビュオオオオオオオォォッッ!!)

返事が無い。
俺は、一瞬パニくった。

聖「おいーっ!!陸奥ぅぅぅ!!
どこいったぁぁぁ!?」

しめぇにゃ頬が凍りついてきやがった。
こりゃマジでヤベェ…。

?「……くん…聖……ん」

そう思った時、
どっからか俺を呼ぶ声が聞こえてきたが
方向感覚が定まらなかった。

聖「何処だおいーっ!?」

?「聖くーん…」

どうにか方角に見当を付けた俺は、
息を切らしながら死に物狂いで
声のする方へ進んだ。
こんなペンションを出た数メートル範囲内で
ガチ遭難でくたばるなんざ、
ダサ過ぎだろ…死んで堪るかクソッタレむかっ(怒り)

そん時、やっと視界の前方に
うっすらと陸奥の背中が浮かび上がった。
おりゃあ声をかけながら近寄った。

聖「陸奥!大丈夫かよ!?」

しかし、何故か陸奥の足元にゃ
モサマが倒れてやがった…。
ハゲ散らかした頭から血を垂らして。
#.16

ミッチーはそんなモサマを抱き起こそうとしてた。

聖「なんだぁ!?何があった!?」

(?´д`)ヒーッ…ヒーッ…

陸「誰かに殴られたみたい。
早く中に運んで手当てしてあげなきゃね」

聖「はぁ!?殴られたって…誰にだよ!?」

陸「さぁ?田中さんじゃなーい?」

(;`・ω・)俺が遅れなきゃ、
捕まえてやれたのに…クッソー。

ミッチーは悔しそうに呻いた。

陸「なんで離れたの?」

聖(オメーだって俺を置いて
先々進んだだろうがむかっ(怒り))

思わずツッコみそうになったが、
空気を読んで言葉を飲み込んだ。

その瞬間、雪で冷やされた俺の頭は
冷静な思考回路を働かせた。

聖(…こんなえげつねぇ吹雪を突っ切って
"俺ら以外の誰か"がモサマを殴り、
どこかへ逃げ去るなんて事、
あり得ねぇ…)

そう思った途端、俺はぞっとした。
そーよ…どう考えたって、
この周囲一帯の屋外では俺ら4人以外の
人間なんざ居やしねぇ…。
居られるワケなんかねぇんだからよ…。
いくらなんでもおかしいだろ…。
無茶にも程があんぜ…。
モサマを殴ったのは…













ミッチーじゃねぇのか!?
遅れたと嘘をついて、後ろからモサマを
石かなんかでぶん殴ったんじゃ…!?

陸「…ま、いーや。とにかく運ぼう」

陸奥とミッチーがモサマの肩を担いで、
支えながら、俺らは歩き始めた。

陸「聖君、そっちに裏口があるから、
ブザーを鳴らして誰かに
開けてもらってくんない?」

聖「マジか!?よっしゃ!」

重そうにモサマを運ぶ2人より先に進み、
俺はたどり着いた裏口の呼び鈴を鳴らした。

(ビーッ!ビッビーッ!)

聖(オラオラさっさと誰か開けねーか…!
非常事態だっつーの!)

(カチャッ…ドサァッ!!)

不意に戸が開くと、その拍子に
雪だるま姿で中に転がり込んだ。
目の前ではニキータが唖然として
立ち尽くしていた。

陸「ニキちゃん、怪我人が出ちったから
悪いけど手当てしてやってくんない?」

ニ「なっ…何があったんスか…!?」

聖「いいから早くしろって!
どの程度の怪我だなんて素人にゃ
わかんねぇんだからよ!」

ニ「へ…ヘイッあせあせ(飛び散る汗)ランチャーさぁーんっ!
ちょ…手伝って貰っていースかぁー!?」

すぐ駆けつけたランチャーと陸奥夫婦の
三人がかりで、モサマを引きずる様に
奥へ運んだ。

(ガチャリ)

そしてミッチーが裏口を閉めた。
俺はすっかりうなだれて
肩で息をしながらヘバッてたぜ…。

(;`・ω・)…なんでモサマさん、
襲われたんかな…。

聖「ゼェ…ゼェ…知るかよ…」

"てめぇの仕業じゃねぇのかよ?"

声を大にして言ってやりたかったが、
ぐっと堪えた。

(;`・ω・)さっきの所、丁度
田中さんの部屋の外側だったじゃん?
仮に本人が俺らの様子を
外から伺ってたとしたら
氷の彫刻になっちゃうな。

そりゃ確かにそうだが、
おりゃあ既にミッチーの話をまともに
聞き入れられる様な状態じゃなかった。

聖「…車にでも籠ってぬくぬくと
待機してやがったのが、
やっぱガァ助が気になって
舞い戻って来たんじゃねぇのか?
情が移って未練があんだろーよ」

俺はテキトーなアドリブで会話を取り繕った。
しかし意外にもこの野郎は
俺の発言に食らい付いて来やがった…。

(`・ω・)σそれだよ聖君!
田中さんはあそこに戻って来たんだ。
やっぱりアヒルを諦め切れなくて。
そこでモサマさんと出くわしたもんだから
動物愛護協会にでも通報されると思って
血迷ったんじゃないかな?


コイツは…いってぇ何のつもりでこんな
すっとぼけた事ぬかしやがんだ…?
ピエロみてぇなトコまで陸奥にソックリだな…。
コイツがあのハゲをヤッたんじゃねぇのか…?
それともコイツの推察の通り、
田中が外に潜んでやがるってのか!?

まさか…

まさか…陸奥なワケ…ねぇよ…な…?
まがりなりにも客だぜ?
それもあんな朗らかで憎めねぇハゲ頭に
なんの恨みがあるってんだ…?
これっぽっちも動機が思い浮かばねぇ…。

だけどよ…、出来ねぇワケじゃ
無かったんだよな…。
俺を置いてきぼりで早く移動し、
出くわしたハゲ頭めがけてガツン。

…考え過ぎだな…。
想像の域を出ねぇや…。
ハゲの意識が戻りゃ、
何か手掛かりの一つも分かんだろ。

(`・ω・)…部屋に戻ろう。立てる?

ミッチーは手を差し伸べて来た。

聖「…おー」

俺は一瞬、躊躇したが、
警戒しながらその手を借りて
立ち上がった。
#.17

ミッチーは自分の部屋に戻った。
おりゃあ奴の後ろ姿が部屋の中に
消えるのを見届けてから、
談話室に向かった。
ハゲを殴ったかもしれねぇ相手に
背中を見せる気にゃなれなかったからよ。

談話室に着くと、亜美とキャサリンの
2人しか居なかった。

聖「よぉ、他の連中はどこ行った?」

亜「杉山君は聖達が出て行った後、
部屋に戻った…。
ケータイが本当に通じないか
試してみるんだって…」

聖「ほぉ…」

亜「あと、千夏ちゃん達はトイレ…」

聖「三人ともか?」

亜「うん…。でね?
ランちゃんは、陸奥さん達と一緒に
モサマさんを部屋に連れて行ったよ?」

聖「おぅ、そりゃ分かってんよ」

俺はてめぇの服が、溶けた雪で
びしょ濡れになってんのに気付いた。

聖「服を着替えてくるわ」

亜美にそう告げて二階に上がった。

(ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ)

階段を登り切った所で、
丁度杉山と出くわした。

杉「おぅ、アンタか。乙」

聖「電話は繋がったんか?」

杉「あ?おーっ、ケータイか。
駄目だ、全然駄目。陸奥さんの忠告通りよ。
てんで役に立ちゃしねー」

聖「そーか」

さっさと着替え終えて談話室に戻ると、
相変わらず亜美とキャサリンの二人きりだった。
連中はまだモサマんとこに居んだろ。

杉「うぃwww(ボスッ)」

杉山が豪快にソファに腰を下ろした。
俺はまたソファが混む事を想定して
階段に座った。

杉「で、結局外の様子とやらは
どうだったんよ。なんか妙なモンでも
見っかったんけ?」

杉山はずっと自分の部屋に居たからか、
まだ何も知らねぇらしい。

聖「妙な代物なんざ
なんもありゃしねぇや」

杉「ざまぁwwwたりめーだろwww
この吹雪で何が見つかるってんだwww」

聖「…しかし妙な事にはなったぜ?」

杉「お?お?キタコレ。話して味噌ラーメーンッwww
塩ラーメン醤油ラーメン豚骨ラーメーンッwwwww」

キ「uzeeeeeewwwww!!
テンション高杉山wwwww」

聖「フザケてる場合じゃねぇ。
あのハゲ頭、誰かにぶん殴られたらしい」

杉「え、マジで?」

聖「おー」

杉「え、え、マジでマジで!?」

聖「おー」

杉「え、嘘、マジでマジでマジでーっ!?」

聖「よぉ、オメーの旦那、殺していーか?」

キ「you!やっちまいなYOwwwww」

杉「ちょwwwwwwwwwww
つか、誰が殴ったんだ?」

聖「…シラネ」

杉「なんじゃそりゃwww」

亜美は俺の話を不安そうに聞いてる。
キャサリンはヘラヘラしながらケータイのアプリだかで
遊んでやがるけどな。ちったぁ空気嫁。

杉「怪我はどの程度よ。
まさかくたばっちゃねぇよな?www」

聖「さーな。今、
陸奥らが手当てに立ち回ってるけどよ…」

杉「へぇ。つーかハゲを殴った奴ってよー。
田中って奴か?もしかすっと
俺ら全員になんかするつもりじゃね?」

亜美が怯えた表情で杉山を見た。

聖「なんかって…なんだよ。
なんもされる筋合いはねぇ。
バカな事ほざきやがって…」

杉「へっ、わかんねーぜ?
意味不明な暗号を残したり、
アヒルを野放しにしたり、
挙げ句ハゲ頭に手を出すよーなガチキチが
実際に近くに居やがるって事だかんなぁ?
今夜は次に何が起こるか…。
ワクテカし過ぎてポク、眠れなぁーいっwww」

聖「…キャサリンよぉ。なんでこんな奴と
一緒になったんだ?」

キ「失礼過ぎワロタwwww」

亜「(ヒソヒソ)バカね…!同じ穴のmj(ry」

聖「(ヒソヒソ)みなまで言うんじゃねぇ」


(トンッ、トンッ、トンッ、トンッ)

やがて陸奥とニキータが二階から降りてきた。

聖「ハゲの具合はどーよ」

陸「意識は戻ったよ。…一応」

聖「一応?どーゆーこった。
本人はなんつってんの?」

陸「日本語がヘタクソ過ぎて
何ゆっとんのかわからんわ」

キ「モサマやべぇwwwww」

杉「よく旅行なんか出来たなwww」

陸「とりあえず、いきなり誰かに
殴られたみたいな事言ってたけど。
発言の解釈が正しければ」

聖「…先ずは国語のお勉強からか…orz」

亜「怪我は大丈夫なんですか…?」

陸「大丈夫そうには見えるけど、
医者に見せた方がいいとは思うよ。
専門知識が無いから厳密には分かんないや」

亜「そうですか…」

聖「…心配なんか?」

亜「当たり前じゃない。
何も悪い事してないのに。可哀想…」

聖「…全くだ」

そんなやり取りを交わしてると、
ミッチーが来た。
#.18

(`・ω・)陸奥さん。モサマさんの具合は?

陸「平気に見えなくも無いけど、
頭を打ってるかんね。
なるべく早めに医者に見せた方がいい」

(`・ω・)犯人の顔は見てないんですか?

陸「ハッハッハッ。母国語で
"見た"って言ったかもしんないね」

(`・ω・)そうですか…。
手掛かりは掴めなかったんですね。

陸「うん」

(`・ω・)…あれ?

聖「どーしたよ?」

(`・ω・)他のみんなは?

陸「ランチャーは先に
降りたんじゃなかったっけ?」

亜「え…?降りて来てないよ…?」

陸「フーン。かしまし娘さん達は?
トイレに行ったにしても遅すぎなーい?」

キ「かしまし娘とかwwwww」

陸「まさか田中さんの部屋に
行ったんじゃないよね」

聖「あ?なんでそんなとこ…。
何しに行ったんよ」

陸「何か気になる事があるんだとさ」

聖「気になる事?」

(`・ω・)呼んできますよ。

亜「アタシも行きます。
千夏ちゃん達、寝てるのかも知れないし」

亜美がそう申し出た後、
俺は嫌な想像力を掻き立てられた。

もし、田中の気が変わり、
ガァ助を連れ戻しに現場に戻って来る。
そこに万が一、亜美と鉢合わせたら…
顔を見られた田中はどうする…!?
ハゲをヤッたキチガイかもしんねぇんだぞ!?
やべぇだろ!

聖「亜美!!」

陸「…どったの。凄い顔して」

陸奥に言われて無意識の内に
立ち上がってる事に気付いた。

聖「…な、なんでもねー…。
つい、な…あせあせ(飛び散る汗)」

亜「…変なの」



(トンッ、トンッ、トンッ、トンッ)





ヤキモキして待ってる内に、
亜美は呆気なく階段を降り、戻ってきた。
何故か表情は冴えない。

聖「あいつらは?」

亜「…あのね…?その…千夏ちゃん達、
三人だけで居たいって言ってるの…」

陸「フーン。じゃあ、放っとけば?」

亜「そんな言い方ってないよ…!
なんか、怖がってたのに…!」

陸「え、なんで?つーか、
そっとしといてあげれば?
ってニュアンスで言ったんだけど」

亜「さっき、我に返っちゃったらしくて…
やっぱり謎の悪戯書きの事が
気になって仕方ないみたいなの…」

陸「それって、この中の誰かが
アレを仕込んだって疑ってんの?」

亜「分かんないけど…。
少なくとも今夜中に、
自分達の身に何か災いが起こるみたいに
思ってるんじゃないかな…。
だって…アタシだって、
もし自分の部屋にあんな意味深な書き置きが
見つかったら…不安で仕方ないもの…」

陸「ごもっとも」

キ「バカスwwwだったら余計に
全員一緒に居た方が安全に決まってるしwww」

陸「まぁ、本人達がその方が安心するなら
それでよくなーい?」













聖「…なぁ、陸奥」

陸「何かな」

聖「なんか、引っ掛かる事が
あんだけどよ…」

陸「言ってごらん」

聖「百歩…いや、千歩譲ってだ。
俺らの中の誰かが悪戯書きを
あいつらの部屋に仕込んだとして、だ」

陸「フムフム」

全員が俺の話に集中した。
亜美は目を見開き、
潤んだ瞳で見つめて来やがる。
ガァ助は…

( -△-)zzz

俺らの騒ぎもどこ吹く風と言わんばかりに、
ストーブの前でだらしなく
眠りこけてやがった。
北京ダックにして食ってやりてぇ…。

聖「おめぇ、言ったよな?
田中がチェック・インした時、まちげぇ無く
アヒルは連れて無かったってよぉ」

陸「言ったよ」

聖「そん時の田中の風貌は覚えてるか?」

陸「トレンチコートに帽子を深く被ってて、
サングラスをかけてた。
あとボストンバッグを手提げてね」

聖「…グラサンをかけてたっつー事は、
どんなツラしてやがったか見てねぇんか?」

陸「チラッと見たけどあんま覚えてない。
やたらじろじろ見んのも失礼でしょ。
見られたくなさそーにしてたから
あんま見てないよ」

亜「ねぇ…聖?どうしたの…?
何を突き止めようとしてるの…?」

亜美が…今にも泣きそうなツラで
聞いてきた。

聖「しんぺぇすんな。
改めてガァ助の侵入ルートを考察してるだけだ。
気になるじゃねーか。
その辺のハナクソから涌いて出る様なモンじゃ
ねーんだからよ」

杉「案外フツーに玄関から
コンニチワしたんじゃねーか?
スタッフが気付かなかっただけでよー」

(`・ω・)うんにゃ、
玄関には来客に反応してベルが鳴る
センサーが仕掛けられてるし、
フロント・ホール・キッチンからも見える間取りだから
俺かランチャー、陸奥さん、ニキータさんの
誰かしらが気付いて対応する筈だよ。

キ「そのセンサーってさぁ〜、
アヒルにもちゃんと反応するワケ〜?」

Σ(;`・ω・)えっ…!?それは…
陸奥さん、どうなんですかね?
#.19

陸「センサーの検知範囲は
おおよそ地面から1メートル高い位置が
対象になってる。
つまり身長1メートルに満たない子供や
小動物には、ほぼ反応しない。
でもまぁ、今日は割とバタバタしてて
スタッフ全員何かと玄関周辺を
往き来してたから、アヒルちゃんが
勝手に入って来て二階に上がるまでには、
さすがに誰か気付くっしょ」

聖「そもそも短足のアヒルが自力で
階段を登れるたぁ到底思えねぇ。
なんなら検証してみっか?
オラ、起きろガァ助。寝てる場合じゃねぇ」

(チョイチョイ)

俺は爪先でガァ助の横っ腹を軽くつついた。

亜「やめなさいよむかっ(怒り)
なんでそーゆー事平気で出来るワケ!?
サイテー!!」

(#-△・)F

聖「あー分かった分かったあせあせ(飛び散る汗)
勘弁してくんなせぇ!
だったら、玄関から侵入説は
除外っつー事で異論はねーな?」

陸「異論はございま?」

亜「うん…」

杉「ねーよ」

(`・ω・)…。

聖「次に。ガァ助が発見された
田中の客室は二階だ。
当然、窓の外から地上まで
それなりの高さがある。
仮に一階の高さまで
雪が積もってたとしても、
二階の部屋の窓までは高身長の人間が
背伸びしよーがジャンプしよーが、
そうそう手が届かねぇ」

陸「んだねぇ」

聖「この前提を踏まえて
常識的に考えよーや。
そもそも鳥は鳥でもアヒルって生きもんは
羽根が有っても空は飛べるか?」

BGM:スピッツ「空も飛べるはず」

聖「おいコラ陸奥ふざけんなむかっ(怒り)
CD止めろむかっ(怒り)シリアスシーンだ今」

陸「(ポチッ)非常に申し訳ない」

亜「ううん…飛べない…」

聖「それに、割れた窓ガラスの破片は
室内じゃなくて
外に飛び散った状態だったんだよな?」

陸「左様」

聖「て事は、だ。物理的にガァ助は
外から飛び込んで来たワケにも、
田中に下から放り投げられたワケにも
ならねぇってこった。
それだとガァ助自身が怪我の一つも
したっておかしくねぇからな。
っつー事で窓から侵入説も、
消去法で除外ってワケだ。どーよ?」

陸「なるほどねー。面白いなぁ」

亜「うん、納得」

キ「いいぞもっとやれwwwww」

ニ「あの…サーセン、ちょっといースか?」

聖「おう、いーぜ。なんよ」

ニ「田中さんは最初、窓を割らずに
アヒルを外から連れ込んだ…とは
考えられやせんかねぇ…?」

聖「窓から中に招き入れたって事かよ?
どうやんだ?そりゃ」

ニ「アッシの憶測なんスけど…、
第三者の手を借りて、紐を繋いだ
籠かなんかにアヒルを乗せて、
上から吊り上げたとか…。
クレーンゲームみてぇに…」

聖「おー、なるほどなぁ…。
あり得なくはねぇよな」

(`・ω・)そういえば…

そこまで話してると、
ミッチーは何かを思い出したみてぇに
落ち着き無くソワソワし出した。

聖「…なんよ」

(`・ω・)ランチャーは?

亜「あっ…」

亜美が慌てた様に口を押さえた。

亜「ごめん…言い忘れてた…。
ランちゃんの姿が見当たら無かったの…。
田中さんの部屋も見てみたんだけど…」

陸「トイレは?うんこしてんじゃなーい?」

キ「ちょwwwww」

亜「トイレも見ましたけど…居ませんでした」

杉「なー、悪戯書きの件もあるし、
田中って奴の行方も怪しいし、
捜してやった方がよくね?」

聖「だな。またなんか妙な事が起こる前に
合流するに越したこたぁねぇ」

陸「じゃあ、行こっか」

(ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ)

俺らは全員で二階へと上がった。
田中の部屋の前に着くと、
また陸奥が代表してノブを握る。

陸「この部屋も見たんだよね」

亜「ハィ…」

(カチャリ…キィ…)

ドアが開くと、隙間から冷えきった
空気が溢れ出す。

陸「ランチャー?居る?」

(ヒュオォォォォ…)

返事をしたのは風のうなりだけだった。

陸「やっぱ居ないみたいだね」

(;`・ω・)陸奥さん!ちょっと!

ミッチーが廊下から陸奥を呼んだ。

(バタン)

陸「なんじゃらホイ」

(;`・ω・)おひょんが…

田中の部屋のドアを閉めた陸奥が
向き直ると、ミッチーは
廊下の突き当たりを指差した。

 Λ Λ
ドア(・д・`)あせあせ(飛び散る汗)ニャーン…

物置の戸の前でおひょんが
しきりに鳴いてやがる。

陸奥がおひょんの近くまで歩み寄ると、
おひょんは更に鳴き出した。
まるで何かを知らせようとするみてぇにだ。

陸奥は

物置のドアノブに手をかけ、













開けた。

(カチャッ)
#.20

(ドサッ!!)

亜「(ビクッ)ひっ…!?」

そこに、ランチャーは居た。

(? д )

無惨に変わり果てた姿…
どころか全くの無傷で。

しかし、気を失って力無く俺らの居る方に
倒れ込んできた。
ミッチーはすかさずランチャーを抱き起こし、
頬を叩いた。

聖「おいどうした!?気絶してやがんのか!?」

(?゚ω゚)д )ランチャー!?しっかりしろって!
ランチャー!?ランチャー!?ちょっ…あれ!?
額に何か書いてる!?

陸「おや?ほんとだ。…死?」

俺らはランチャーの額にペンか何かで
文字が書かれている事に気付いた。
よく見りゃ丸書いて『死』とある。

陸「…なんだこりゃ。
死んでるって事かな」

(? д )

見るとランチャーは確かに死んだ様に
ぐったりとしている。

(?゚ω゚)д )ランチャー!!頼むから
しっかりしてくれよ!!
ランチャーぁああぅぇあぉぉあぉあ!!

陸「…ミッチー」

(?゚ω゚)д )何ですか!?

陸「ちょっとランチャーの脇腹を
くすぐってごらん」

(?゚ω゚)д )え…?コチョコチョコチョ…

Σ(?゚ω゚)∀ ;)プフッ…クッ…!

聖(んだよ、生きてるじゃねーか…。
死んだフリかよ、脅かしやがって)

(?・ω・)д )ランチャー!?生きてんの!?
何これ!ちょっと!?

陸「これは…表現上の配慮ってヤツかも
しんないね」

(?゚ω゚)д )どーゆー事ですか!?

陸「いや、まぁ…本来は
どたまカチ割られて、無造作に折り畳まれた
死体から血が流れたりしてる場面を
オブラートに包んでコメディタッチで見せてる。と」

(?゚ω゚)д )つまりもう、
ランチャーは死んでるっていう体(てい)で話を
進めなきゃならんって事ですか!?

陸「そーゆー事じゃなーい?
知んないけど」

(?;ω;)д )そんなの嫌だーっ!!
ひど過ぎるお!ランチャーッ!!ランチャーッ!!
オーイオイオイオイ…オーイオイオイオイ…。

Σ(?゚ω゚)д #)。ο(グズってないで
さっさと演技なさい…!
ストーリーが進まないでしょーが…!)

(?;ω;)д )うぅ…うぅぅぅ…!
ランチャー…誰がこんな事を…!
なんて事を…くっそー!

BGM:及川光博 「死んでもいい'98」

亜「…こんなのって…あんまりだよ…!」

悲しみにうちひしがれるミッチーを見て、
亜美は俺の腕に痛い程きつく
指を食い込ませてきやがる…。

(`;ω;)うぉぉおおおっ。

(ガンッ)

(ボコッ)

ミッチーは狂乱し、
ランチャーと一緒に倒れ込んできたモップの
柄を掴んで暴れ出した。

(`;ω;)誰だ、ランチャーを
こんな風にしやがったのは。
許さねー。人殺し。ぶっ殺してやるぅぅぅ。

聖(棒読みじゃねーか。
やる気ねーなオイ。
真面目にナレーションしてる
俺の身にもなれっつーの)

陸「ミッチーよしなさい、
よしなさいってばコラッダッシュ(走り出す様)」

(カチャリ)

騒ぎ…って程のもんでも無いが、
話し声を聞き付けて朱里が廊下に
顔を覗かせた。

朱「あるぇ?なーに?どちたの?」

(`;ω;)うぅ…ランチャーが…ランチャーが…
誰かに殺された(って事になった)んだ…。

朱「やだーん!何それコワーイあせあせ(飛び散る汗)(バタンッ)」

怯えた(?)朱里はミッチーの言葉を聞いて
直ぐ様ドアを閉め、
また閉じ籠りやがった…。

(`;ω;)うぅ…ランチャー…orz

ミッチーはついに泣き崩れた。
大事な恋人がこんな事になっちまやぁ
無理もねぇ…。
俺だって亜美に何かあったそんときゃあ
どんな風になっちまうか
想像すら出来ねぇんだからよ…。

聖「…亜美」

亜「…ハィ」

聖「…女子大生トリオをどうにか言いくるめて
呼んできてくんねぇか…?
おりゃあハゲの様子を見てくる」

亜「うん…分かった。やってみる…」




(カチャリ)

俺はハゲの部屋に移った。

頭に包帯を巻かれ、
ハゲはベッドに横たわっていた。

(*u∀u)スヤスヤ…

聖「(無駄に可愛い寝顔晒しやがって…たらーっ(汗))
よぉ、オッサン。大丈夫かよ?」

俺はハゲを揺さぶった。

(*つд`)‰Бешрё?

聖「目覚め一発母国語で喋んじゃねぇたらーっ(汗)
えらい事になっちまってよぉ。
わりーけどみんなと一緒に
居てくんねぇかな」

(;´д`)δκгфжΘ?

聖「あーもー…なんでもいいから
とにかく下に来てくれりゃいーんだよ!
喋んなくていいから!たらーっ(汗)たらーっ(汗)たらーっ(汗)
立てるか?」

俺はハゲに肩を貸して起き上がらせた。
ふらつきながらも、どうにか歩かせた。

廊下に出ると全員揃っていた。
亜美は女子大生らへの説得を
うまい事やってくれたらしい。

聖「談話室に集合でヨロシク」
#.21

陸「了解。…でも、ミッチーはちょっとだけ
そっとしといてあげてね」

そう言われてふと、廊下の隅に目をやると、
ミッチーはランチャーの亡骸(的なもの)を
大事そうに抱き、放心していた。

聖「…分かってんよ」

全員が談話室に集まって
どんぐれぇの時間が経ったろうか。
いつまで経っても、誰も口を開かねぇで
気まずい沈黙の時が流れるばかりだ。

(ギシッ…ギシッ…ギシッ…)

やがてミッチーがランチャーを背負って、
ゆっくりと階段を降りて来る姿が見えた。
散々泣き腫らしたのか、
目が充血してウサギみてぇに
真っ赤になってやがる…。

階段を降り切ったミッチーは、
俺らの目の前を通り過ぎて
ランチャーの部屋へと向かった。

大して時間が経たねぇ内に、
ミッチーは談話室に戻ってきた。
何か決意めいた、ただならぬ雰囲気で。

聖「…全員、揃ったな」

皆、おずおずと頷いた。

聖「こっからはぜってぇに誰も、
単独行動はすんじゃねぇ。
便所に行く時も、
なるべく一階を使ってくれ。
なんかの用事でどうしても部屋に
戻りたいって場合も、
誰かと動くようにしようや。いいか?」

千「あの…何かあったんですか…?」

朱里からはまだ何も聞いてねぇらしい。

聖「ランチャーが誰かに殺られた」

(`;ω;)うっ…。

恵「なんてこったい…!」

女子大生トリオは恐怖に震え上がり、
ハゲはポカンと呆気に取られた。

(?´д`)アウアウアー…アノ、ソノ、
ナゼ?ダレガコロスヲスル、シマシタカ?

聖「ハゲちょっと黙ってろ」

亜「ハゲとは何よハゲとは!むかっ(怒り)
モサマさんなりに心配してるんじゃない!
謝りなさいよ!」

聖「だったらおめーがコイツの
通訳を買って出るか?」

亜「それとこれとは話が違うでしょ!?
アタシは聖の言い種の話をしてるの!」

聖「おい、既に人が一人死んだんだ。
この非常時に全員がいちいち
細かな言い回し一つに
気を遣ってられると思うか?」

亜「こんな時だからこそ
思い遣りのある発言をしてあげなきゃ
ダメじゃないっ!!
そんな事も分かんないの!?」

(?´д`)あせあせ(飛び散る汗)アノ、アノ、ゴメンナサイデス、
ワタシ、ハゲダイジョウブデス…。
ケンカ、スル、ヤメル、シテクダサイ。オネガイシマス…。

聖「おい、ケンカしろっつってんのか、
やめろっつってんのかどっちだよむかっ(怒り)」

杉「モwwwサwwwマwwwww」

キ「クソワロタwwwww」

陸「ハゲ大丈夫なのか。そうか」

ニ「そりゃ良かったッスね」

千「私…やっぱり部屋に帰りたい!
ここに居たくない!」

唐突にモナリザ女が喚き出した。

聖「なんでだよ?ここで集まってた方が
安全に決まってんだろーがむかっ(怒り)」

恵「何言ってんだいっ!
安全だなんて言い切れやしないよっ!
なんてったってランチャーさんを殺した
張本人は、この中の誰かかも
知れないってのにさっ!?」

聖「なんだと…!?」

チビ貞子がそう言った途端、
全員が戦慄した。無理もねぇ。
誰しもが薄々と勘づいてた事だ。
互いが疑心暗鬼に陥る事を懸念して、
どいつも口にしなかっただけの話だ。
きっと、悪戯書きも、アヒル放置も、
ハゲ暴行事件も、ランチャー殺害も、
まだ見ぬ"田中"以外の、
同一人物の仕業だと考えるのが自然だ。
でなきゃ、物理的に不可解な事が
多すぎるからな。




聖「…同感だ。ぶっちゃけ俺も、
俺らん中の誰かがやったんじゃねぇかって
気がしてきてんだ。
だからこそ集まって貰った」

千「だったら…あなたが
犯人なんじゃないの!?」

亜「何言ってんの!?
聖がそんな事、出来る訳無いじゃない!
だって…ずっとアタシと一緒に居たのよ!?
いつそんな暇があったっていうの!?
変な言いがかりはやめてよ!」

朱「ラブラブな恋人が弁護したって、
あんまり信憑性が無いな〜♪
そこまで言い張るなら、
決定的なアリバイと証拠をキボンヌハート」

聖「おぅ、ほんなら言わせて貰うけどよ?
さっきから姿を見かけ無かったランチャーが
殺されたと思われる、空白の時間帯に、
現場に近い二階に居たんは、
この薄らハゲとてめーら3人だけなんだぜ?」

恵「ちょいと!何が言いたいのさっむかっ(怒り)」

聖「分かんねぇのか?
こちとら、てめーらこそが容疑者と
睨んでるってこったよ!」

亜「聖…やめて…!興奮しないでっ!」

聖「っせーオメーは黙ってろ!
てめーら3人も居りゃあ…
うめぇ事段取りを組んで、
単独犯にゃ不可能なトリックやアリバイ工作だって
可能なんじゃねーのか!?
大したチームプレーじゃねぇか!」
#.22

朱「アハハッ!面白ーい♪
じゃあ、あたし達がランちゃんを殺した
犯人だとしまーすっ☆
じゃあ、その具体的な手口と動機は?
あたし達の誰がいつ、どこで、
どんな風に、アヒルちゃんを閉じ込めたり、
モサマちゃんを殴ったりしたのかな?
そしてその、証拠は?
何時何分何秒?地球が何回回った時?
教えて下さいなハート」

聖「小学生みてぇな屁理屈
ウタってんじゃねぇ!!」

朱「(ビクッ)やだーんあせあせ(飛び散る汗)コワーイ!
あたし泣いちゃう!エーンエーンあせあせ(飛び散る汗)」

聖「そんな言い分がまかり通りゃ
ハナから警察は要らねーんだよ!
そんならてめーらこそ滅多な事言って
混乱を招くんじゃねぇ!!
分かったかごるぁっむかっ(怒り)」

亜「(ガシッ)聖…もう…やめてよぉっ…!!」

(?´д`)アノ…スミマセン、ワタシ、
オンナノコ、コロシタ、チガウデス…。
アタマヲナグル、サレル、シタノデ、ズットネムルヲ、シテマシタハイ…

陸「ちょっと何ゆってんのか分からない」

ニ「おおよそ"頭を殴られて
ずっと寝てたから、自分は犯人じゃねぇ"
っつってんじゃねースか?…多分」

(?´∀`)ニキータサン、アリガトウゴザイマス。

聖「俺が言いてぇのは、
これ以上犠牲者を出さねー為に
全員固まってた方が賢明だって事だけだ!
結局誰が犯人だなんてお巡りにしか
分からねーんだからよ!
少なくとも犯人がこれ以上誰かに
手出ししにくい環境を維持する以外に
ねーだろが!?違うか!?あん!?」

一同「………。」

場が静まり返った。
一人一人が疑いの眼差しで互いを見ている。
短気起こして余計な事を言っちまったのか?
おりゃあ…。

だけどよ、間違ったこた
言ってねぇつもりだ…。

それにしても…ガラスの割れる音がした時、
ハゲも女共も談話室に居た。
てこたガァ助の件についちゃ、
無関係…って事になる。
田中って奴ぁ、何者なんだいってぇ…。













聖「あ゙っ…!!」

亜「今度は何!?」

聖「や、ワリー…なんでもねぇ…あせあせ(飛び散る汗)」

亜「…もぅむかっ(怒り)」

俺は思わず声を上げちまった。
陸奥のある言葉を思い出したからだ。

聖「陸奥」

陸「ジュテーム」

聖「あのよぉ、ランチャーは田中の部屋を
見てぇっつってたんだよな?」

陸「厳密には」

― ちょっと思い付いた事があるから ―
― 田中さんの部屋を調べてくるわ ―

陸「…っつってたよ」

思い付いた事…?なんだそりゃ…。


    『田中の部屋を調べる』


そう言うからにゃ当然、
事件に関係ある事だよな…?
もしかすっと、そこでランチャーは
何かを見つけたんじゃねーのか?

あの生意気で気の強いじゃじゃ馬のこった。
勝手に動き回る内に犯人に出くわして…。

亜「ねぇ…どうしたの…?
さっきから難しい顔して…」

聖「…あ?おー、俺なりに事の概要を
整理してたんだけどよ…」

亜「それで…?何か分かった?」

聖「ダメだな、やっぱ
俺のおつむは単細胞らしい」

亜「知ってる」

キ「もうさー、どーでも良くね?
どの道吹雪が止んだら
Kサツに委ねるんだろ?
疑い合ってもラチ開かねーし、
こうやってみんなで集まったなら、
なんかしてアソぼーぜwww」

杉「こらこら空気嫁」

キ「ダレウマwww」

聖「…このペンションってよぉ、
そんなでけぇキャパでもねぇのに、
誰にも姿を見られる事無く、
紙切れを他人の部屋に仕込んだり、
動物を連れ込んだり、
顔も見られずに人を殴ったり、
出来るもんかね…?」

陸「難しいんじゃなーい?」

聖「…だよな。さっき散々、
内部犯の説を強弁しといてなんだけどよ、
結局、田中って奴の正体が掴めねぇ限り、
何もわかんねぇのかな…と思ってよぉ?」

(`・ω・)…まるで自分だけは
関係無いって口振りだね。

聖「…あ゙?」

ニ「ちょっ…ミッチーさんあせあせ(飛び散る汗)マズいッス…!」

聖「どーゆーこった?」

亜「やめて…暴力は…!(グイッ)」

挑発的なミッチーのセリフに
一触即発された俺は、
瞬時に頭に血が昇って、
気が付きゃ野郎の胸ぐらを掴み上げてた。

(;`・ω・)σそ…そのままの意味だよ。
俺にしてみれば、君だって
容疑者の一人なんだからな!?

聖「もっぺん言ってみろオラ…!!」

亜「聖っっ!!」

朱「いいぞーっ♪
やっちゃえやっちゃえ〜ハート」

杉「さ あ
盛 り 上 が っ て 参 り ま し た」

キ「本日のハイライトktkr」

聖「ちっ…ほんだら言わせて貰うぜ!?
ハゲを殴ったんはテメーじゃねぇのか!?オイ!?
おいハゲッ!!おめぇ相手のツラ
見てねぇんだろ!?」

Σ(?´Д`)ハッ…ハヒッ…

キ「いい加減ハゲハゲ言い過ぎだろwwww
モサマビビり杉乙wwwww」
#.23

聖「ならペアで行動して、
後ろ歩いてたおめぇが
一等怪しいだろーがっ!!
遅れて発見したってハッタリかましてよぉ!?」

(#`・ω・)フンガフンガダッシュ(走り出す様)
そんなことあるもんか!
陸奥さんの方が先にハ…モサマさんとこに
辿り着いてたんだぞ!
陸奥さん、そうですよね!?

陸「おっしゃるとーり」

聖「陸奥…まさか、てめ…!」

陸「イヤイヤイヤイヤ…ちょっと、
ちょっとちょっと?」

ニ「おねげぇしゃすっ!!
もう勘弁して下サイッ!!」














ニキータが

急に取り乱し



泣き崩れやがった…。

ニ「もう…(ポロッ)分かりやしたから…(ポロッ)
いざこざはウンザリッスよ…(ポロッ…ポロッ)」

陸「よしよし、ニキちゃん大丈夫大丈夫。
泣かなーいの」

聖「………。」

(´・ω・)………。

ニ「ウッ…グスッ…!そんな風に…!
そんな風に罵りあって…疑い合って…!
恥ずかしくねぇんスか!?
悲しくて…悔しくて…
こえぇのはみんな同じッス…!
もう…やめて下サイ…!」

亜「………。」

…亜美から向けられる
軽蔑の眼差しがつれぇ…。

泣きじゃくるニキータは、
今は陸奥の胸の中で高ぶった感情を
宥められてる…。

いたたまれねぇなー…。

(´・ω・)…ゴメン…。

ミッチーがポツリとつぶやきシロー。

聖「…俺こそ、悪かった…」

杉「おいおいなんだ〜?
シラケちまってよっ!
気分転換にテレビでも見ねぇか?」

キ「いwwねwwwなんか面白い番組
やってんじゃね?www」

杉「そうそうっ!いつまでも
推理ごっこしてたってしょうがねぇっての!
天気予報で吹雪の情報でも探るべや!」

キ「そーすっぺそーすっぺwwww」

…場の空気を変えてくれて助かったぜ。
バカップルははしゃぎながら
勝手にテレビを点けた。
確かにこんな時だからこそ、
落ち着いて過ごさなきゃなんねーよな。

相も変わらず自己中バリバリで
次々とチャンネルを選り好みし、
そうしてる内にニュースのヘッドラインを捉えた。

『…全国的に続く異例の寒波は、
大雪を招き、各地で交通事故や
雪崩等の被害が相継いでいる模様です。
しかし、現在までは死者の報告は
入っておりません』

死者は出ておりません…か。

そのアナウンスを聞いて、
ここに居る全員がランチャーを意識した筈だ。

『続いてのニュースです。
日本動物愛護協会による統計データの
発表が本日、行われました。
近年増加する、ペットの飼育放棄が
問題視されるこんにち、
発表されたデータによりますと、
飼い主の一身上の都合で、
やむを得なくペットを手離さなければならない
事情と生活環境の変化について、
専門家に詳しい話をお聞きしました。
ムツゴロウさん。お願い致します』

亜「プッ…陸奥さん。ムツゴロウだって」

陸「ムツ違いだよ。僕はゴロウじゃなくて
武流(たける)さ」

『え〜どうも〜。最近はですね〜。
アパートや賃貸、マンション等も
ペット同居可能な物件がねぇ〜。
数が厳しいって話を聞きますよねぇ〜。
不動産事業の変化に伴ってねぇ〜。
シビアな問題ですよねぇ〜。
まぁ〜一言に"ペット"と言っても、
種類や条件まで語り出したら
ピンキリですからねぇ〜。えぇ〜。
ご近所付き合いに響きますよねぇ〜』

恵「アヒルと同居出来るアパートなんか
あるかねぇ〜?」

千「さぁ〜…。でも、少ないんじゃない?
クチバシでフローリングをつついたりしたら
一階の部屋じゃない限り、
明らかに近所迷惑でしょ」

朱「あ〜ん…家賃かかりそう〜」

キ「だからってさぁ〜、
新しく、本気で信頼出来る
いい里親探すのも至難の業だよなwww」

杉「まぁ生きモノを飼う責任っつったら
そーゆーモンよwww」

(`・ω・)俺が飼い主なら意地でも
アヒルOKな物件を見つけるけどな。

ミッチーまで話に首を突っ込んできやがった。
何か話してる方が幾分、
気が紛れるんかもな。

聖「でもよぉ?口で言える程、
世間の目は甘くねぇぜ?
俺だったら潔く、じっくり腰を据えて、
信頼できてアヒルを最後まで
可愛がってくれるような
パートナーを募集するけどよ」

亜「無理して抱え込むよりも、
その方がアヒルにとって
幸せなら…だけどね…」

( ´д`)

聖「…どーした?ハゲ。
随分無口じゃねぇか」

亜「だからぁ〜っ…!
ハゲって言わないであげてよ!
しつこいなぁ!」

聖「さっき本人が
ハゲ大丈夫ですっつってたろーが」

亜「大丈夫なワケないじゃない!
こんなに薄いのに!
見れば分かるでしょ!?」

( つД;)

キ「泣くなwwwww」

恵「何気アミーゴが一番ひでぇwwww」
#.24

亜「特殊な動物を飼える環境を探すなら、
都会よりも地方の方が適した物件が
多いんじゃないかな…」

杉「まぁな〜。
こーゆー田舎なら、割と見つかるかもなww」

聖「…もしかすっと…!」

亜「何…?どうしたの?」

聖「…いや、まさかな。なんでもね」

杉「言いかけた事は最後まで言わんと
気持ち悪いやないか」

聖「だからそのキャラはなんなんだよたらーっ(汗)
関西出身か?おめー。
じゃあ言うけど、笑うんじゃねーぞ。
このガァ助ってよー、
最初亜美が言った通り、
田中って奴のペットで、
もしかすっと本人は今頃どっかで、
一緒に暮らせるような物件を
あら探ししてんじゃねぇか…?」

亜「………。」

陸「………。」

杉「………。」

誰も笑わなかった。
俺の説が有力だと思ったんか…?

亜「じゃあ、やっぱり…
戻って来るのかな…」

聖「戻って来たんじゃねーか?さっき」

Σ(`・ω・)!

亜「どういう事!?」

聖「あの部屋の窓から。
そん時にたまたま部屋を探ってる
ランチャーと鉢合わせた。
ランチャーは…実は既にガァ助に情を移しててよ?
今更連れ戻しに来ても、ガァ助は返さない。
みてぇな事を言って…」

亜「…それで…田中さんと揉めた末に…?」

聖「かもな。取っ組み合ってる時、
力加減を誤って殺しちまったもんだから…
錯乱状態でまた窓からどこかに逃げた…か」

陸「そりゃ幾らなんでも
無理があると思うよ。
今テレビで見た情報を、
そのまま僕らの状況と
結びつけてしまおうとする事自体
短絡的な考えだと思う」

聖「…分かってんよ。最後まで言えって
煽られたから言ったまでだ」

亜「でも、考える方向性は、
あってたんじゃない?」

聖「あ?」

亜「食堂で見た田中さんって人、
どう見てもスキーやスノボを
しに来たって感じじゃなかったもの…。
陸奥さんの証言通り、どことなく
人目を避けてるみたいな挙動だったし、
何か後ろめたい事情を抱えた様な
雰囲気を醸し出してたと思う…」

まぁな、ガァ助を見捨てる事が
よっぽど後ろめたいから、
部屋から脱け出す時にテンパって、
不本意に窓をぶち抜いて、
地面に転げ落ちたのかもしんねーしよ…。
マヌケな話だぜ…ったく。



朱「…あーぁ、スキーなんか
来るんじゃなかったな〜」

千「ホントそれ…帰りたい…。
なんでこんな事に
捲き込まれちゃったのよ…」

女子大生共が口々に勝手な不満を
洩らし出すと、
ニキータはおもむろに立ち上がった。

陸「おや、何処に行っちゃうのかな
君って子は」

ニ「皆サン、だいぶ気が
滅入ってるみてぇなんで…
なんか落ち着くモンでも
用意しようかと思いやして…」

陸「気が滅入ってんのは君もでしょ。
無理しなくていーよ、座ってれば?」

ニ「や…でも…お客さんなんで…。
ココアの一つでも飲みゃ、ちったぁ
気が紛れるんじゃねースか…?」

朱「え〜?要らな〜い。
ヒトゴロシかもしれない人の入れた物なんて
飲めるワケないじゃん!」

ニ「そ…ッスよね…サーセンした…」

聖「おいコラいい加減にしとけや。
ニキータが犯人なわきゃねーだろが…。
そうだとしても、殺す気だったら
とっくに全滅してらぁ。
今日は散々、ご馳走になってんだからよ」

杉「確かにな〜www筋が通ってるぜwww」

キ「チャンチャラ可笑しいんですけどwww」

杉「よっしゃ、キャシー!佐登おけさwwwww」

キ「あ、そーれ!(チャンカチャンカ♪チャンカチャンカ♪)」

キャサリンは立ち上がり、
そりゃーもーノリノリで佐登おけさを
披露して見せた。
宴会の席じゃねーんだよ。

亜「じゃあ、アタシが一緒に行くよ」

聖「…大丈夫かよ…。
なんかあったら、すぐ呼べよ?」

亜「うん…白馬に乗って助けに来て…?」

聖「へっ…柄じゃねぇって」

亜美は、頼りなく笑って見せた。

ニキータと亜美がキッチンに行ってから暫く、
談話室にゃ嫌な沈黙が訪れた。

(`・ω・)…朝までこうやって
固まってるしかないのかな…。

不意にミッチーがポツリとつぶやきシロー。

聖「…それがいっちゃん無難な線だろーよ」

(`・ω・)田中さんは…
アヒルを奪い返す為に皆殺しにしようと
襲いかかってくるんじゃないかな…。

聖「…そんときゃアッサリと返してやりゃ
いいだけの話だろーが…。
たかがアヒル一匹の為に、
そこまでされて堪るかよ」

(`・ω・)アヒルを大人しく引き渡しただけで、
丸く収まるかな…。

聖「…何が言いてぇ?」
#.25

(`・ω・)…ランチャーは、死んだ。

聖「…おー」

(`・ω・)つまり、立派な殺人事件だ。

聖「…そーだな」

(`・ω・)吹雪がやむか、電話が繋がり次第、
俺達は警察に通報する。

聖「…たりめーだ」

(`・ω・)現場となるこの建物の中には、
犯人の身元を示す証拠が幾らか
残ってる筈。
警察は巧みな科学捜査で、
それを的確に収得してくれると思う。
犯人も…きっとそれを想定してる。

聖「………。」

(`・ω・)…ランチャー殺しが
計画的な事件だとしたら、
明確な動機がある筈。
だけど、事件の有り様を見てる限りじゃ
とてもそんな雰囲気には見えない。
犯人にしてみれば、突発的な衝動で
咄嗟に犯してしまった
結果なのかもしれない。

聖「…よくそこまで考察出来んな」

(`・ω・)かけがえの無い最愛の恋人を
奪われた本人だからさ。
だからこそ、犯人は現場に残された証拠を、
一つ残らず処理したいと考える筈。
より不利な立場に追い詰められる前に。
それが犯罪者心理ってもんだよ。

聖「…よく推理ドラマで言われる
『犯人は犯行現場に戻る』ってやつの
由来かよ…」

(`・ω・)そう…。その為には…
吹雪がやむまでに、僕ら全員を
殺 す 必 要 が あ る 。

聖「…1人殺せば、何人殺しても同じ
"殺人犯"だからな」

千「いっ…嫌ぁぁぁあああっ!!
やめてよっっ!!やめてよぉぉおおお!!
縁起でも無い事言うのぉぉおお!!」

恵「あた、あたしゃまだ死ぬのだけは
ゴメンだよ!?やり残した事が
山程あるんだからね!?」

(;´д`)ノ アノ、アノ、スミマセン。ワタシ、イイデスカ…?

聖「なんよハゲ」

(;´д`)アノ、ハゲ、ソロソロ、ヤメル、シテクダサイ…。

聖「ハゲをやめるってなんだよ。
カツラでも買って来いってか?」

陸「ハゲって言わないでくれって
言いたいんじゃなーい?
やっぱ気にしてんだよ。
もうちゃんと名前で呼んであげれば?」

(;´д`)ソウデスハイ

聖「わーったわーった。で?
何か分かったんけ?」

(;´д`)ワタシ、オモイマス

聖「何をだよたらーっ(汗)」

(;´д`)オンナノコ、コロス、シタヒト、モウ、
コロスヲヤメルヲスルノデス…。ソノヨウニ、オモイマスハイ。

聖「ちょっ…誰かーっ!
解読班ーっ!通訳係ーっ!www」

杉「何ゆってんのか解らな杉山wwww」

キ「テラ電波wwwww」

(;´Д`)ノシあせあせ(飛び散る汗) ダカラ…アノデスネ、アノ、アノ、アノ、
オンナノコ、シヌヨウニナッタκΣγСЙθМ

陸「はいモサマちゃんストップー。
一旦落ち着こうかー。
息を深く吸ってー。
息を吸うのー。分かるかなー?
スゥ〜…ハァ〜…スゥ〜…ハァ〜…」

(;´д`)スゥ〜…ハァ〜…スゥ〜…ハァ〜…。

陸「ヒィーヒィー、フゥ〜…。ヒィーヒィー、フゥ〜…」

(;uдu)ヒィーヒィー、フゥ〜…。ヒィーヒィー、フゥ〜…。

陸「ごめん、聖君。
ニキちゃん呼んできてくんない?
さっきニキちゃん、ちょっとだけ
モサマちゃんの言葉を理解してたでしょ。
こりゃ手に負えんし、ラチが開かんわ」

聖「分かったたらーっ(汗)」

陸奥に指示されて、おりゃあ渋々
キッチンに向かった。
中に入ると、丁度用意が出来た所なのか
ニキータと亜美が、人数分のココアを
トレイに乗せて運ぼうとしてやがった。


亜「聖…?どうしたの…?」

聖「ちょっと、な。よぉ、ニキータ。
わりーけど、モサマの話ぃ
聞いてやってくんねーか?」

ニ「へ…?あ、ヘィ…分かりやした。
すぐ行きやすんで」

談話室に戻り、
各々の手にマグカップが行き渡ると、
落ち着きを取り戻したモサマが改めて
何かを訴え始めた。

ニ「モサマさん、どうぞ」

(;´д`)オンナノコ、コロス、シタヒト、モウ、
コロスヲヤメルヲスルノデス…。ソノヨウニ、オモイマスハイ。

ニ(;・ ・)………。

さすがのニキータも、目が点になり、
絶句してやがる…。そりゃそーだよな…。

陸「どう?解る?」

ニ「ゔー…ん…。
もう一回、ゆっくり頼んます…あせあせ(飛び散る汗)」

(;´д`)オンナノコ、コロス、シタヒト、モウ、
コロスヲヤメルヲスルノデス…。ソノヨウニ、オモイマスハイ。

ニ「…あくまで大体ッスよ?
責任は持てやせんけど…たらーっ(汗)」

聖「おー」

ニ「『ランチャーサンを殺した犯人は、
これ以上は殺さねぇと思いやす』
だと…」

(;´∀`)ソウデスハイ

聖「…なんでそう思うんだ?」

(;´д`)ワタシハイロイロ、タクサンオモウヲスルノデス。
ハンニンハ、コロス、スルトキ、シナケレバナラナイ、
カンガエルヲシタ、ナノデス。

ニ「〜〜〜〜〜っ!」

一同「はぁ〜っ…」

杉「もう、寝ようぜ?」
#.26

ニ「え〜〜〜っと…あせあせ(飛び散る汗)
私は色々、沢山思うをするのです…つまり、
『私は色々な事を考えた』って意味ッスか?」

(;´∀`)ハイ

ニ「で、あとなんて言いやしたっけ…?」

(;´∀`)ノシあせあせ(飛び散る汗) アノ、ハンニンハ、アノ、コロス、スルトキ、
シナケレバナラナイ、カンガエルヲシタ、ナノデス。

ニ「…犯人は、殺す、する時、
しなければならない、考えるをした…。
『犯人は殺さなきゃならねぇと、
考えたように思う』でOKッスか…?」

(;´∀`)ソウデスカ

ニ「いや、そうですかじゃなくて…たらーっ(汗)」

Σ(;´д`)あせあせ(飛び散る汗)スミマセン…

キ「ニキータSUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!」

陸「はいニキちゃんお疲れ〜。
モサマちゃん、もうちょっと日本語、
勉強しよっか」

(*´∀`)ソウデスネハイ

(` ω )┌┛|ガンッ

!?Σ(´Д`?)ビクッ

(` ω )ランチャーが…
ランチャーが殺されなきゃならない
どんな理由があったってんだ!!

陸「ミッチーも取り乱さないの。
ニキちゃんの翻訳がモサマちゃんの主張を
完璧に代弁出来た訳じゃ
無いかもしんないじゃん。
誤解かもしんないし、
早とちりで先走っちゃ話になんないから。
後、あくまで相手がお客様だって事を
見失ってなーい?失礼だよ」

(` ω )…すいませんでした…。

陸「モサマちゃん、ごめんね」

(?´∀`)ダイジョウブナンデスヨ。


…おりゃあ、ランチャーがミッチーと
どれ程の仲だったかは知らねぇけどよ…。
こんだけ感情をムキ出しにする程、
愛し合ってたってんなら、
気持ちは分からねぇでもねぇ…。

だけどよ…?ワリーけど、
ぶっちゃけ俺ん中でミッチーへの疑惑が
キレーに消化出来た訳じゃねぇ…。

もし、ミッチーこそが犯人だとすりゃ、
最愛の女を自分で
手にかけたって事にならぁ…。

ランチャーは、物置の中に
押し込まれてやがった。
ミッチーも俺らと一緒に死体を発見したとはいえ
実際ランチャーの身に何か起こった推定時刻まで
幾らかタイムラグがある…。そりゃあ、
俺ら全員にも言える事だけどよ…。

しかし、最愛の恋人だからこそ、
親密な間柄だけに、殺意に至るまでの
何かしら事情があったのかも知れねぇよな。

さっきまでの鋭い犯人への心理的考察も、
被害者である事を強調する為の
演技だとすりゃあ…。

………畜生。俺は…、
愛した女を失って悲しむ可哀想な奴に
同情する事すら素直に出来ねぇのか…。
これじゃまるで「クズ」じゃねぇかよ…!

何もかも、"ガァ助の飼い主の正体"が
分からねぇせいだ…!
犯人は"田中"なんか…?それとも…
"俺らの中の誰か"か…?

そういえばニキータが翻訳した
『犯人は殺さなきゃならねぇと、
考えたように思う』って意味が、
妙に引っ掛かんな…。
ミッチーの心理考察は確かに説得力がある。
犯人がランチャーを「殺さなきゃならない理由」
ってのがもし、あったとすりゃ…?

ランチャーが田中の部屋に潜り込んだ事が
きっかけを生んだなら、
ランチャーは"何か"に気付いた。
その"何か"が犯人にとって
"殺す理由"になりえるっつーなら、
ぜってぇに田中の部屋に手掛かりが
ある筈じゃねぇか…!!調べに行くか!

いや、待て。
「ぜってぇに一人だけで行動すんな」
って釘を刺した言い出しっぺは、俺だ。
俺自身も容疑者である事が皆にとって
同じなら、勿論単独行動は許されねぇ…。
出来りゃ一人でじっくり調べに行きてぇが…
ランチャーの二の舞になる可能性を考えりゃ
自殺行為だよな…。

しゃあねぇ…。じゃあ、誰と行く?
そうだ、亜美だよ。
俺にとって最も信頼出来る人間だ。

聖「…亜美」

亜「はい」

聖「ちょっと付き合えや」

亜「何…?何処か行くの…?」

聖「もっぺん田中の部屋を
調べようと思ってよ」

俺がそう発した瞬間、
全員が一斉にこっちを見た。

陸「なんで?さっき僕が調べたじゃん。
まだなんかあんの?」

聖「ランチャーは田中の部屋で何か見つけたか、
何かに気付いた可能性がある。
それが真相の手掛かりなら、
まだあそこに重大な見落としが
あるかもしんねぇからだ」

(`・ω・)…なんでそれを聖君が調べるんだ。
警察の仕事だろ?

聖「警察は吹雪が止むまで
使いモンにならねぇ。
それまでに犯人がまた
事を起こしたらどうすんだ。
先手必勝だろーが」

(`・ω・)同じ事を二度も言わせないでくれ。
君も容疑者の一人なんだ。
仮に君が真犯人だとして、
君が言う"手掛かり"を隠滅しないとは
限らない。

聖「(イライラ…)っせーな〜…。
だから亜美を証人として連れてこーと
してんじゃねぇか!
いちいち突っ掛かってくんじゃねぇよ!」
#.27

(`・ω・)だからさー…彼女が君と
共犯じゃないって保証も無い訳じゃん?

聖「ほぉー、上等だよ。
そこまで言うなら
テメーも来りゃいいじゃねぇか。
そんなら文句ねぇよな?」

(`・ω・)分かった。

俺ら3人が行く事に対して、
他の連中から干渉されるこたぁ
特に無かった。

陸「警察の捜査の支障にならない様にね」

陸奥が釘を刺してきやがった。
そりゃそうしてぇのはやまやまだが、
何が出てくるか分からねぇ以上、
約束は出来ねぇな。
俺は、テキトーに相槌を打って二階に赴いた。

田中の部屋の前に着くと、
足元から冷気が漏れてやがった。

(`・ω・)一体、何を調べるつもりなんだ?

ミッチーの問いかけをシカトして中に踏み込む。

(カチャリ…ビュォォオオオオオ!!)

室内はすっかり冷凍庫状態だった。
不毛なくれぇ雪が吹き荒び、
奥側のベッドに積もり出している。
ガァ助をあのまま放置してたら…
カチンコチンの氷浸けになっちまう所だったな…。

亜「(カチカチカチ…)さっ…寒いよぉっ…!
こんな格好じゃ5分と居らんない!」

亜美はカチカチと顎を震わせながら
早速根を上げちまいやがる。

聖「ちっと辛抱しろや…とりあえず、
バスルームを調べんぞ」

(ガチャッ)

避難する様に俺らはバスルームへ入った。
3人も入る余裕はねぇスペースだから、
ドアは開けっ放しでよ。

便所とワンセットのユニット式だが、
一見して特におかしな所は見当たらねぇ…。
洗面台に水滴が微かに残ってるあたり、
確かに幾らかの時刻には
人が滞在していたって痕跡はある。

見上げると、天井にゃ人がギリギリ
入り込めそうな通気孔ダクトが
見当たった。

聖「亜美。肩車してやっから、
天井裏を覗いて見てくんねぇか?」

亜「(ヒソヒソ)ヤだ…!怖いよ…!
犯人がまだ潜んでたらどうするの…!?」

聖「バーカ。通気孔なんてそんな長時間
身を潜めて居られる程、
居心地のいいモンじゃねぇ。
脱出ルートの可能性を調べてぇだけだ。
それとも、おめぇが肩車してくれっか?」

亜「ふぇぇぇん…あせあせ(飛び散る汗)分かったよぉ…もぅ!」

亜美は泣く泣く、
屈み込んだ俺の首に跨がった。
スカートじゃねぇのが惜しい所だが、
太股の肉感はバッチリイケイケだった。

亜「…やらしい事考えてないよね…?」

聖「はぁ?なワケねーだろ、こんな時に」

死んだら地獄で閻魔様のお世話になります。

聖「よっ…と」

俺は亜美を乗せた格好で立ち上がった。

(ヨロッ)

亜「キャッ…ちょ、平気?あせあせ(飛び散る汗)」

聖「…重てぇな〜、太ったんじゃねーの!?」

(バキッ☆)

聖「んぐぁっ!!あせあせ(飛び散る汗)ってーなくぉらっむかっ(怒り)」

亜「毎日仕事で建築資材とか
担いでるクセに、
何だらしない事言ってんの!?むかっ(怒り)」

聖「分かったから早く天井見ろやむかっ(怒り)」

(むかっ(怒り)`・ω・)寒いんだから夫婦喧嘩してないで
早くしてくれよ!

亜「まだ夫婦じゃありません!むかっ(怒り)」

聖「夫婦になる予定だろーがむかっ(怒り)」

亜「調子に乗って決め付けないでよ!むかっ(怒り)
………そんなプロポーズ、ヤだ…」

聖「(ドキッ…)お…おめ…!///」

BGM:CHAGE&ASKA 「SAY YES」

(むかっ(怒り)`゚ω゚)分かったから早くしろーっ!



(カタッ)

亜「え〜…と…」

亜美は蓋を外して頭をつっ込み、
天井裏の様子を探った。

聖「どうだ?」

亜「う〜ん…暗くてよく見えないよ…。
人が入り込んだって感じは
しないんだけど…」

聖「そうか」

亜美を降ろすと、俺らはバスルームを出た。
次はクローゼット。
人が隠れてねぇのは
さっき陸奥が確認済みだが、
荷物や衣類は確かめてねぇ。

(シャーッ)

仕切りの幕を開けて中を覗き込むと、
田中が食堂で着てたトレンチコートやグラサン等の
衣類一式がハンガーにかけられ、
足元にはボストンバックも見つかった。

俺は手始めにコートのポケットを全て調べた。
何一つ物は出てこなかったが、
コートからは微かにエスニックなお香の匂いがした。

次にバッグの中を調べると、
何故か、ビリーズ・ブートキャンプのDVDと、
キャットフードが見つかった。

聖「…ブートキャンプ…か…たらーっ(汗)」

亜「…田中さんの趣味かな…たらーっ(汗)」

(;・ω・)置き去りにされてたのはアヒルなのに
キャットフードとは…シュールだ…。

亜「アヒルって、キャットフードなんて
食べるのかな…」

聖「知るかよ…たらーっ(汗)…おっ!?」

Σ(;・ω・)何!?どうした!?

聖「またなんか書いてるメモを見つけたぜ!?」

バッグの中に入ってたキャットフードに添えて、
メモ書きの様な書き置きを見つけた。

亜「なんて書いてあるの!?見せて!?」
#.28

 ― Θ◇〒∂⌒∂≪ゑЯв┳?иΦΩ ―

聖「またかよたらーっ(汗)」

亜「赤い文字だね…」

聖「みんなに見せるのに持って行くか」

(`・ω・)でも陸奥さんが警察の捜査の(ry

聖「そうは言っても吹雪はまだ当分、
止みそうにねぇ。
こんぐれぇの品物をちっと拝借するくれぇ
大した支障にゃならねぇよ」

亜「それはそうと聖…?
田中さんの衣類が残ってて、
バッグの中がDVDとキャットフードだけって事は…
他には着替えが入ってたのかな…。
でなきゃ、防寒着無しでこの吹雪の中、
遠くまで逃げ切れる訳無いよね…?」

聖「言われてみりゃそうだな…。
とにかく、一旦戻るか…。
このまんまじゃ凍えちまうぜ…」

(`・ω・)…アヒルを見つけた辺りは
調べないのか?

聖「見てわかんねぇのか?
もう全部雪で埋もれちまってんよ。
気になんならスコップでも持って来て
テメーで調べろや」

(`・ω・)…。


俺らは談話室に戻った。

陸「お帰り。なんか見っけた?」

聖「(ペラッ)クローゼットん中の遺留品で、
バッグにこんなメモが入ってたぜ」

陸「(ペラッ)どれどれ。…これも読めないね」

そう言うと、陸奥はまたポケットから
一枚目の悪戯書きを取り出して、
見比べてみた。

陸「書いてある内容は違うみたい」

杉「おいおい、第二の殺人予告かぁ〜?」

恵「ちょいとアンタッ!
滅多な事を口にするもんぢゃないよっむかっ(怒り)
バチが当たるよっ!?」

杉「フヒヒwwwwwサーセンwwwwwww」

聖「ニキータ。おひょん用の
キャットフードかなんかあるか?」

ニ「へい、ありやすけど…?」

聖「一つ持って来てくれや」

ニ「へっ…?聖サンが喰うんスか…?」

聖「なわきゃねーだろ…たらーっ(汗)
ガァ助にくれてやんだよ。
なぁ、腹ぁ減ってんだろ?オメー」

( -△・)!

朱「アヒルがキャットフードなんか食べるの?」

聖「じゃああんた、
アヒルが好きな食いモン知ってんのか?」

千「…言われてみれば…ピンと来ないわね…」

聖「だろ?とりあえずキャットフードでも
喰わせときゃいーんだよ」

ニ「分かりやした、取ってきゃすっ」

亜「あっ…待って。アタシも行く。
単独行動禁止のルールだもんね」

ニ「亜美サンあざす!」

二人は揃って、すぐにキッチンから
キャットフードを取ってきてくれたぜ。

聖「サンキュー、わりーな。
オラ、ガァ助。喰えよ。
好きだろこういうの(パキュッ)」

(コトッ)

俺は、ニキータから受け取った猫缶を開けて
ガァ助の目の前に置いてやった。

( ・△・)…。



( ・△・)パクパクパク…。

千「…食べたね」

キ「喰うのかよwww」

(*´∀`)ダッシュ(走り出す様)ホッ…ヨカッタデスネハイ

陸「え、何が?」

Σ(´д`;)ゴハンタベルデキテヨカッタデス…アヒル…

陸「あぁ、そーゆー意味か」

聖「………。」

陸「つーか聖君。なんで急にアヒルちゃんに
メシ喰わせてあげよーと思ったの?」

聖「…今3人で田中の部屋を探ってたらよぉ、
バッグからそのメモとワンセットで
キャットフードを見つけたんだ。
ガァ助が田中のペットだったってんなら、
キャットフードに普通に手を付けると思ってよ」

陸「なるほどねー」

チラッ壁|дΦ#)ジーッ…

?(#ΦДΦ)σブニャーッむかっ(怒り)
ちょっとミャッたぁ!!

Σ(;・△・)ガァ!?

聖「!?」

そん時、物陰からいきなり
見たことのねぇ生意気なツラした
女のガキが、ガァ助に飛びかかって来た。

?(#ΦДΦ)σ ニャンでコイツがおひょんのゴハンを
勝手に食べてるのニャ!?
図々しい奴だニャッ!!
それはおひょんの!!返せ!!返せーっ!!

(?゚△゚)ガァガァッ!?ガァーッ!!

(バササササッダッシュ(走り出す様))

朱「いや〜んっあせあせ(飛び散る汗)こっちに来ないでぇ〜あせあせ(飛び散る汗)」

恵「アンタ一体何者なのさぁ!」

キ「カオスwwwww」

陸「おひょんだよ。
おひょん、よしなさい。
よしなさいってばコラッダッシュ(走り出す様)」

(#ΦωΦ)フーッダッシュ(走り出す様)フーッダッシュ(走り出す様)

亜「ビックリした…たらーっ(汗)おひょんって、
猫の事じゃないの…!?」

陸「やぁ、驚かせてごめんね。
コイツ、時々こんな風に女の子の姿に
化けちゃうんだ」

朱「すごぉーいカワイイ〜っハート達(複数ハート)
化け猫って本当だったんだぁ♪
おひょんちゃん、こっちおいでーっハート」

(#ΦωΦ)σウルサイッむかっ(怒り)食べ物の恨みは
恐ろしいのニャッ!?ソレ、おひょんのダイスチな
とっておきのヌコグルメ『モンプチ』ニャのっ!!
許さニャい!その腹かっさばいて
取り返してくれるニャッ!!

陸「またなんぼでも買って来たげるから、
よしなさいっつーの。メッ!」
#.29

お「ウニャッ!?陸奥ニャンホント!?ホントにホント!?
約束ニャッ!?」

陸「いい子にしてたらね」

お「もちろん、いい子にするニャぴかぴか(新しい)
お手伝い頑張るニャぴかぴか(新しい)
ホタテエディションも食べてみたいニャア〜」

キ「とっておきのヌコグルメ『モンプチ』
ホタテエディションwwwww」

杉「ロリコンお待ちかねのようじょキャラktkr」

(`・ω・)。ο(…かわえぇ…)

亜「人間の言葉を喋れるんだね…」

(*ΦワΦ)エッヘン!

聖「ニャンニャン混じりでなんつってんのか
イマイチ分からねぇけどな」

(#ΦωΦ)ニャンですって!?なめんごっむかっ(怒り)

聖(…なめんご?…たらーっ(汗))

(#ΦωΦ)おひょんこれでも
上手におはニャし出来る様にニャる為に、
沢山練習をしてるのニャッむかっ(怒り)

陸「人間になってる時だけね」

(#ΦωΦ)ブミャーッ!陸奥ニャンも
一言二言多いニャッ!

朱「やだーん、おひょんちゃんてば
怒りん坊!」

ニ「怒りん坊どころの騒ぎじゃねぇッス。
ガキに化けてるときゃあ
食いしん坊・甘えん坊・寂しん坊・
聞かん坊・暴れん坊と手の付けらんねぇ
じゃじゃ馬ならしの小便垂れッス」

(#ΦДΦ)フギャーッ!?
ブミャギャギャギャワウワウワウワウワウッ!!

おひょんは言われたい放題言われると
逆毛立ててニキータに飛び付いてやんの。

ニ「イテテテテテテッ…あせあせ(飛び散る汗)ねっ?」

陸「はい、もー分かったから。
君はハウス。今お取り込み中なんでね。
猫に戻っておとなしくしてなさい」

(´ΦωΦ)ショボンヌ

おひょんは首根っこつまみ上げられて、
奥へと連れて行かれた。

(;´д`)あせあせ(飛び散る汗)オタオタ

モサマは今の一騒動の一部始終を
うろたえながら傍観してやがった。

(((;-△-)ダッシュ(走り出す様)

ガァ助は、脅威が去って安心したのか、
またストーブの前を陣取った。

聖「よぉガァ助。独り占めしてねぇで、
ちょっと俺らにも暖を取らせろや…
さっき冷えちまってよ。
亜美、オメーも来いや」

(ドサァッ!!)

聖「(ビクンッ)うおっ!?…ックリしたぁっ…!」

ガァ助を軽く押し退けて、
ストーブに当たろうとすっと、
また窓の外で重い音がした。
そーいや雪がある程度積もると、
屋根から落っこちるんだったな…。

亜「クスッ…また驚いてる」

聖「っせーな。こんな音がすりゃ
誰でもビビ…!!」











亜「…聖…?どうしたの…!?
急に止まっちゃって…」

















聖「…いや…ちょっと…な」

亜「ちょっとって…?何…?
気になるじゃない!」

聖「いいから、ちっと黙ってろ」


















      意味不明な悪戯書き












        田中の行方











   部屋に置き去りにされたガァ助











      誰かに殴られたモサマ












   殺された(事になっている)ランチャー











    同じ文体のメモ書きとキャットフード











一瞬、頭ん中で何かがチラついた…。
この手で掴み取れそうで、
掴み取れねぇもどかしい感覚に教われながら
必死に駆け巡る形の定まらねぇイメージを
整理しようとした。


聖「…解ったぜ…」

Σ(`・ω・)

Σ(;´д`)

ニ「!?」

亜「え…?えっ…!?何が…!?
何が解ったの!?」

聖「…ランチャー殺しの犯人だよ」

杉「マジかwww」

(;`・ω・)教えてくれ!!

そこでおひょんを撤収した
陸奥が戻って来た。

陸「あれ?どったの。何この空気」

ニ「聖サンがランチャーさんを殺した犯人を
特定出来たらしいッス!」

陸「え、マジで?」

亜「ねぇ聖!?大丈夫なの!?
推理でも始める気なのかもしれないけど…、
間違ってたら名誉毀損になっちゃう…!」

聖「…俺だって、キメるときゃあ
ビシッとキメる男だって所を
見せてやんよ」

俺は、深く息を吸い込み、
意を決して話始めた。

聖「…いいか?田中の部屋の窓ガラスが
割れる音がした時、ミッチー以外の全員が
この部屋に集まってた。
だからおりゃあ最初、俺らん中に
犯人が居るとすりゃ、いっちゃんクセェのは
ミッチーだと睨んでたんだ」

全員がミッチーの顔を見た。

(;`・ω・)…。

聖「だけどよぉ、要領よくやりゃあ
あん時、こん中に居る人間にも
ガラスを割ってガァ助を放り込む事が
出来たんじゃねぇか?」

朱「どうやって?」

聖「えー…つまりだな、
俺らはガラスが割れる音を聞いて、
二階へ駆けつけたけどよ?
あん時、マジで窓が割れてたかどーか
っつー事は定かじゃねぇんだよ」
#.30

陸「は?何ゆってんのかな。
割れてたじゃん。実際」

聖「バッカおめー…それを今から
説明すんだろがっ!」

陸「あっそー」

聖「クッ…むかっ(怒り)(やっぱいけ好かねぇ野郎だな…)
おー、確かに割れてたよな?ジッサイによ。
ところがドッコイ"音自体"が時間差で
聞かされたモンだとすりゃあどーよ?」

千「…何が言いたいのか分からないわ…たらーっ(汗)」

聖「テメーらは一々皆まで言わなきゃ
解んねぇのか!?要は俺らが食堂で
のうのうとメシ食った後だよ。な?
犯人は田中の部屋を訪れた。
田中を殺す為にな」

Σ(;`・ω・)!?

杉「なにぃーっ!?www」

亜「なんで!?」

聖「犯人は最初に田中に目をつけた。
謎の悪戯書きはそれを
暗示してやがったんだ。
きっと女子大生トリオの部屋が
田中の部屋だと勘違いしてよぉ」

朱「それじゃあやっぱりアレは…
殺人予告だったの!?やだーん、コッワーイあせあせ(飛び散る汗)」

聖「おうよ。だからおめーら、
早めに陸奥に訴えて正解だったぜ?
犯人は、その様子を見てターゲットの部屋を
間違えてるって気が付いたんだからな」

陸「この時点で一つ二つ
気になる矛盾点があるけど、
後でツッこむ事にするよ。続きをどーぞ」

聖「あ゙ー!?ちきしょう、ナメんなよ!?
そんでもって犯人はいざ
田中の部屋に乗り込んだ。
物騒な凶器片手にな。
侵入して来た犯人と出くわした田中は、
犯人の姿を見て危機感を感じてよぉ?
窓から外へ飛び降りたってワケよ。
こんだけ雪が降り積もってりゃあ、
二階からの高さからならクッションになって
怪我せずに済むべ?」

恵「つまり、犯人は田中さんを
仕留め損ねたってワケかい!?」

聖「そーゆーこった。で、
田中は部屋に重大な忘れ物をしちまった。
それがガァ助だ」

亜「だーかーらーっ!そのアヒルちゃんが
どうやってペンションの中に入り込んだのか
って所が重大な問題なんじゃない!」

聖「ボストンバッグだ」

(`・ω・)!

聖「田中は元々後ろめたい事情で
ガァ助を「胸キュンハート」に連れ込んだ。
その手段として使われたのが
アヒル一匹をどうにか詰め込めるサイズの
ボストンバッグなんだ。
陸奥、田中がチェック・インする時に
手荷物検査なんかやってねぇよな?」

陸「うん」

聖「だから誰も気付かなかったんだよ。
田中は、部屋に着いてガァ助をバッグから
解放したんだ。
この地域で、アヒルも同居可能な物件を
探す為に、何日か滞在する目的でな」

杉「お〜、なるほどなぁ。
その手があったか」

陸「で、結局。冒頭の
時間差云々の理屈ってのはどうなんのかな?」

聖「部屋に取り残されたガァ助をスルーして、
犯人は内側から部屋の鍵を閉めた。
その後、窓ガラスを音も立てずに割った。
ある細工を施してな」

ニ「…どうやったんスか?」

聖「ガラスってのぁよー、
ガムテープを使えば音も立てずに
割る事が出来んだぜ?
盗人がよくやる手口よ」

杉「おたく変な事に詳しいな!」

聖「この手口で昔、夜の学校に忍び込んで
遊んだ事があんだよ。
若気の至りってヤツだな」

亜「ホンットサイテー」

聖「もう反省してるっつーのあせあせ(飛び散る汗)
昔の事だからいいじゃねぇかよ!」

キ「いちいち脱線すんなしwww
続きkskwwwww」

聖「犯人はよー、あらかじめ
ガラスが割れる音を録った※テレコを
用意してやがったんだ」

※ テレコ→ テープレコーダー

(`・ω・)…あの部屋にテレコなんか
あったっけ…?

聖「バーカ。
あの部屋じゃなくてもいーんだよ。
俺らが聞いた時も、どっから聞こえてきたか
分かんなかっただろ?
だから手分けして探す羽目になった。
それが犯人の狙いなんだ。
時間稼ぎの為にな」

亜「それはそうだけど…でも、あんなに
大きく響き渡る音を出せるテレコって…
かなり大掛かりな物じゃない?」

聖「うっ…」

陸「ガラスが割れる音を録ったテープを
あらかじめ用意するってのも
いささか不自然なり」

聖「だったらガラスをガチで割った時に、
録音したんじゃねぇのか!?あせあせ(飛び散る汗)
小さな音はしたんだろーからよっ。
それを大きな音量で流しゃ…」

千「あの時の音は、
そんな感じじゃなかったわ。
音量だけ大きくしたって、
音響のニュアンスは
再現出来ないと思うけど」

聖「じゃ…じゃあよ?
こういう事なんかもしんねーぜ!?
ありゃ確かにリアルタイムで
ガラスが割れる音だった。なっ?
ただしそりゃあ田中の部屋じゃなくてだな、
犯人が家から持参したオリジナルの(ry」

キ「やっつけ仕事杉ワロタwwwww」

杉「どんだけテキトーなんだよ氏ねwwww」
#.31

聖「ちょ〜待て待て待て待て待てテメーら!
テープにせよなんにせよ、
ガラスの割れる音を出す手段がありゃ、
談話室に居た人間にも事に及ぶのが
可能だってこたぁまちげぇねぇーんだよ!
なっ!?なっ!?だろっ!?
ほんじゃそん中で、時間軸から見て
どう考えても実行不可能な奴を
順番にリストアップすりゃー、改めて
一番怪しい人間にぶち当たるって寸法よ!」

杉「ゴwwwリwww推wwwしwww」

キ「必死だなヲイwwwww」

朱「聖ちゃん涙目wwwww」

亜「なんかもう…段々貴方が
可哀想になってきた…」

陸「もう帰れば?」

ニ「むっさんwwwwwwwww
ひでぇッスwwwwwwwwww」

恵(畜生…聖君、オイシイねぇ…)

聖「うるせーんだよっっっむかっ(怒り)
消去法だ消去法っ!!
最後に残った奴が犯人だからな!?
文句ねぇよなオイッ!!いくぞ!?」

俺は焦って顎を撫でながら、
脳ミソをフル回転させた。

聖「先ず俺と亜美はメシ食ってからも
最後まで食堂に居たから、
結局二階にゃ戻らなかった!
それを裏付けてくれる証人は
幾らでも居るよな!?」

亜「ハィ…たらーっ(汗)」

聖「なんだよその態度は!?次!
陸奥はメシの後もフロントに居て、
その後も俺らと一緒だった!」

陸「セボン」

聖「ニキータは暫く姿を見なかったが、
そりゃキッチンで洗いもんなり後片付けに
勤しんでたんだろーよ」

ニ「そッスね」

聖「モサマは…そうだな、
コイツが到着したんはメシが済んで
随分経ってからの事だしよ?
荷物を置きに二階に上がった後も、
すぐに降りて来たのを覚えてる。
それにコイツが人の命を易々と取れる様な
タマじゃねぇだろ」

陸「否、そーゆー固定概念や先入観は
この際ヌキにして考えなきゃ
不公平なんじゃないかな」

聖「ウゼーよ。だったらテメーは
コイツが犯人だと思ってやがんのか?
証拠は?」

陸「だから〜、それとこれとは(ry」

聖「だぁーっ!っせーっせー!
とにかく、幾らなんでもコイツはさすがに
白だろ!なっ!?ハゲッ!」

ビクッΣ(?´д`)ハッ…ハヒッ…。

聖「女子大生トリオ、千夏、恵、朱里は
殺人予告の件で一旦部屋に帰ったけどよ?
モサマと同じく短時間で降りて来て
談笑に参加してたから除外だ。
むしろ、コイツらがグルで犯人なら
殺すつもりで田中を襲って、むざむざ
取り逃がす事も無いだろうからよ?
3人がかりだぜ?だよな?おめーら」

朱「さっすが聖ちゃんハート分かってるぅ♪」

恵「あ、当たり前だよっあせあせ(飛び散る汗)」

千「私達じゃないわ…」


…ここで俺は言葉を止めた。
バカップル共のツラをチラ見すっと、
引きつった表情をしてやがる…。

杉「あれ?あれれ〜?
よぉよぉ、俺らはよ?」

聖「…分かんねぇのか」

亜「やだ、聖…!(ギュッ…!)」

亜美が張り詰めた空気に堪らず
俺の腕を掴んで来ると、
俺は流し目で杉山に目を合わせ、
どキッパリと吐き捨てた。


















聖「てめぇらのどちらかが、
ラ ン チ ャ ー を 殺 し た」

(`・ω・)。ο(…俺はいつの間に
除外されたんだろう…)

亜「ひっ……ひじ…!?」

杉山の眼光がナイフみてぇに
鈍い光をチラつかせた。

杉「…おーぃ、ブラザー。
おたく、自分が何言ってんのか分かってる?
大した言いがかり付けてくれんじゃん。
え、何?俺らがランチャーって娘を殺した?
動機は?証拠は?トリックは?」

(ガンッ)

ビクッΣ(?´Д`)

キャサリンは立ち上がって、
テーブルを激しく蹴り上げやがった。

キ「ハァwww!?コイツ、何言ってんの!?
マジで気分わりぃーんですけどwww」

亜「あのっ…スミマセンッあせあせ(飛び散る汗)
キャサリンさんごめんなさいっ!あせあせ(飛び散る汗)」

キ「テラ意味フwwwww
なんで女が謝んだよwwwww
ガイキチ確定オワタwwwww」

亜「聖っ……!お願い、謝って…!」

聖「…おめぇは、俺の言う事が
信頼出来ねぇってのか…?」

亜「そうじゃない…!
そうじゃないけどぉっ…(ポロッ)
うっ…(ポロッポロッ)」

杉「あ〜あ〜…可哀想に…。
女泣かしちゃってぇ〜…。
終わってんなぁ、おめぇ」

聖「んだと?ゴラ…(ガタッ)」

(ボコッ!!)

千「きゃぁぁああっ!!」

杉「んだらっっ!?おるぁっ!!」

(ゴッ!!ドスッ)

亜「やめてお願いだからぁっ…!!
暴力は嫌っ…やめっ…」

朱「キャーキャーッハート達(複数ハート)いいぞーっ♪
やっちゃえやっちゃえ〜っ!」

キ「康www負けんなよお前www」

(ガシャーンッ!!パリンッ…ドサッ)
#.32

恵「ちょいと!およしよあんた達!」

(?´Д`)あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)アワアワアワ

(;`・ω・)。ο(…ここは
スタッフの俺が止めなければ…)

(;`・ω・)つヤメローッ喧嘩はやめるんだ君達

ブエッ(;゚ω(⊂ドカッ

聖「じゃあ聞くけどよぉ!?
外に陸奥達が痕跡を探りに出てた時、
てめぇは何してやがった!?
1人勝手な単独行動かまして
平々凡々と二階で
ケータイいじくってたろーが!!
一階に女2人残してよぉ!?
ザケてんじゃねーよ!」

杉「おう平々凡々とケータイいじくってたわ!
それでどうやって外に居るオッサンを
殴れるってんだ!?言ってみろオウ!?
その時点じゃ殺人事件なんて起きてねぇし
単独行動をいちいち干渉される筋合いなんか
ねーんだよっ!!オラァッ」

(ドゴッ)

(ガツッ)

聖「チョーシこいてんじゃねぇっ!!」

杉「どっちがだゴルァッ!!」

ニ「ぅあああああああああああああっ!!!!」


気がつきゃあ、戦時中の空襲を知らせる
サイレンみてぇにけたたましい声で、
ニキータが泣き叫び、悲痛に崩れ落ちては
ボサボサになった髪を掻きむしっていた。
全員がそれに声を失って、
目が離せずに居た。


同時に不毛な乱闘騒ぎは
終止符を打たれた。


ニ「ヒック…ヒック……グスッ…ヒック…。
嫌ッス……もう…ヒック……嫌ッス…。
耐えらんねぇッス…ウッ……ウゥッ…」

たった1人、ソファに腰掛けて
ポリポリと頭を掻きながら、
無表情に様子を見守って居た陸奥が
ゆっくりとテーブルの上に有った
空の金属製の灰皿と、ココアをかき混ぜる
マドラーを両手に持ってゴングのつもりだか、
軽く打ち鳴らした。

(カンカンカンカンッ)

陸「はい、す〜ろ〜(終〜了〜)。
そろそろ、気が済んだかな」

聖「ハァ…ハァ…ハァ…離せや…。
服が伸びんだろーが…」

杉「…チッ…カスが…ペッあせあせ(飛び散る汗)」

亜「ウッ………ウッ……」

陸「ニキちゃん?もう大丈夫。終わったよ」

ニ「…ヘイ…」

(`・ω(#)…。

(?´д`)ガクブル

陸「(シュボッ…カチン)…フゥーッ喫煙まぁ、座れば?」

聖「………。(ギシッ)」

杉「………。(ギシッ)」

陸奥は、あくまで、平然と煙草に火を点けて
煙をふかしながら話し始めた。

陸「フゥーッξ…君らも一服する?
一本どう?マルメンライトだけど」

聖「…くれ」

杉「…頂きやす」

一服する俺ら3人を囲む様に、
亜美はまだ肩を震わせながら、
手で顔を覆い、
キャサリンはシラケた眼差しで
あさっての方向を見つめ、
女子大生トリオは
軽蔑の眼差しを浴びせかけ、
ミッチーはいつの間にか顔にアザを作って放心。
モサマは背を丸めて大人しく待っていた。
ガァ助は乱闘騒ぎに危険を感じたのか、
テーブルの下に潜り込んで
プルプル震えてやがる。
向こうの物陰からおひょんが
顔を覗かせて、
ニキータは陸奥の背中に顔を埋めてる…。

周囲にゃ幾らか割れた食器の破片が
散乱してた。
我に返った俺の頭に、
自分達の無作法な振る舞いで
しでかした失態と過ちの重みが染み渡るまで
そう時間はかかんなかった。

自己嫌悪と後悔の念に苛まれる俺に、
陸奥は皮肉な程、
落ち着いた口調で話し始めた。

陸「お疲れ」

聖「…悪かった…。弁償…するわ」

陸「今はまぁ、いーじゃん。そーゆーのは。
後で片付けとくよ。仕事だし」

杉「………。」

陸「さて、じゃあそろそろ
さっき言った"幾つか気になる矛盾点"
ってのをツッコませて貰って、いーかな」

聖「…おう」

陸「フゥーッ喫煙(トントンッ)
…今纏まった、杉山君犯人説は、
聖君的に揺るぎ無い理論なのかな」

聖「…まぁーな」

陸「了解。まぁ杉山君もさ。
聖君は警察官でもなけりゃ裁判官でも
弁護士でも無いんだから、
決め付けられたとしても
そこまでムキになんなくていーよ。
仮に聖君の推理が正解だとしても、
僕らに君をどうする権利も無い」

杉「…はい」

キ「………。」

陸「フゥーッ喫煙(トントンッ)ところでさ、聖君」

聖「フゥーッ喫煙…あ?」

陸「君の推理によると、犯人は杉山君で、
田中さんを殺すつもりで
部屋に向かったっつったよね」

聖「おー」

陸「動機は?」

聖「…無差別な猟奇的犯行…だと思った」

陸「じゃあ、ランチャーはいつ、どうやって
杉山君に殺されたの」

聖「………。」

杉「フゥーッ喫煙」

陸「憶測じゃあ、話にならないね。
それで殺人犯として名指しするってのは
理不尽の極みだよ」

聖「…そーだな」
#.33

陸「あとさぁ、君、
犯人は千夏ちゃん達が僕に謎の書き置きを
見せてる様子を見て、田中さんの部屋を
間違えてるって気付いたって言ったね。
でも、杉山君がその書き置きの存在を
知ったタイミングは、
アヒルちゃんを発見した後の事だよ?
この時間軸の矛盾については
説明がつくかな」

聖「…ぐぅの音も出ねぇや」

陸「フーン、じゃあ最初から犯人=杉山君の
前提で推理の説明を始めた訳じゃ
無かったの?」

聖「フゥーッ喫煙(ギュッギュッ)
おう、行き当たりばったりの
あてずっぽ推理ごっこを
晒しちまったみてぇだ…。
我ながら情けねぇ…」

陸「OK牧場。じゃあ、
杉山君にごめんなさいは?」

聖「…詫びるわ…。どーすりゃいい?」

杉「…キャシー、どうすっぺか?」

キ「どうすっぺかねぇwww
この際裁判所で発言の重みってもんを
身を持って学んで貰おうぜwww」

亜「あのっ…!そ、それだけはどうか…」

聖「いい!おめぇは黙ってろ!
この通りだ…恥も外聞もねぇ…
あんたらがその気なら法廷まで
キッチリ付き合ってケジメを取るつもりだ。
好きな様に扱ってくれ。
慰謝料でも治療費でも一切合切、
死ぬ気で働いて賠償して見せっからよ…」

俺は地に額を擦りつけて謝罪した。

杉「…何マジになってんだよダッセェのwww
ちょっとビビらせてやろうと
ハッタリかましてやっただけだっつーのwww
ガキの探偵ごっこでガキみてぇに
いつまでも目くじら立ててられっかよwww
なぁ!?キャシーハート達(複数ハート)」

キ「あたしはガチだったけどなwww
しゃーなしで水に流してやんよwww」

杉「ちょwwwガチかよwww
こえー女www」

キ「つーかさぁ、もう
亜美ちゃんもこんなツマンナイ男、
やめといた方がいいと思うぜwww?
短気で暴力振るう様な男とか
マジあり得なすぎってゆーかぁ?www
苦労すると思うよwww」

聖「………クッ…」

亜「………。」

亜美…!

千「…最低だね。人の事を軽はずみに
犯人呼ばわりするなんて…。
付き合ってらんない。恵。朱里。
部屋に帰ろう」

朱「うんっ♪」

恵「そうだねぃ…。聖君の発言の
いい加減さが露呈してしまった以上、
単独行動禁止のルールも、
事件再発の危険性も破綻したよね…」

(トンッ、トンッ、トンッ、トンッ)

口々にそう言って、俺に一瞥をくれた後。
女子大生トリオは部屋に帰って行った。

陸「杉山君達はどーすんの?」

杉「ちなみに陸奥さんは犯人について、
どう考えてるんすか?」

陸「僕ら以外の知らない誰かで、
ランチャーを殺した後に窓から脱出。
車かなんかに籠って吹雪が止むまで
その辺に待機してるか、
無茶して今頃どこかに
逃げ去ってんじゃない?
それこそ確証は無いけど」

(`・ω(#)…じゃあ、陸奥さんはもう
ペンション内は安全だと見てるんですか?

陸「多分ね。ダイジョーブなんじゃなーい?」

杉「よっしゃあwwwキャシー、部屋に帰って
セクロスしようぜwww」

キ「ちょwwwテラ不謹慎www自重汁wwwww」

バカップルも2人揃って部屋に帰った。

(´ ω(#)…逃げたのか…チクショウ…!

陸「ミッチー。無念な気持ちは分かるけど、
お巡りさんの捜査が本格的に始まれば
いずれ足が着くよ。
今日の所は君も少し休んだ方がいい。
目の手当てして、
ランチャーの側に居てやれば?」

(´ ω(#)…はい。

陸奥に諭されて、
ミッチーもスタッフルームに帰った。

聖「…すまねぇ…」

亜「………。」

陸「済んだ事は仕方ないよ。
君らもモサマちゃんももう、休んだら?
僕もニキちゃんを落ち着かせてやりたいし、
この後、割れた食器とかの後片付けとか、
アヒルちゃんの寝床の用意とか
しなきゃなんないからさ」

ニ「…グスッ……グスッ……」

(;´д`)ハイ、アノー、ソウデスネハイ…。
オヤスミナサイ。

モサマもおどおどした態度で、
そそくさと階段を上がり、
陸奥も相次いでニキータの肩を抱き、
一旦自室へと戻って行った。
談話室に残された俺と亜美は二人きりで、
気まずい沈黙のまま、
目も合わせずに俯いていた。

静まり返る空間には、テーブルの下から
スヤスヤと呑気に眠るガァ助の寝息と、
冷酷な鳩時計の秒針の音だけが
虚しく聴こえていた。



亜「…こんな旅先に来てまで…。
何やってんの…?」

聖「…許してくれよ…」

亜「………。」

聖「………亜美」

亜「………ハィ」

聖「…俺んとこ来ねぇか…?」

BGM:氣志團「one night carnival」
#.34

亜「…ううん、いい…」

聖「…そうか」

亜「…もう、別れよう…?」

聖「!?…ちょ、待ってくれよ!
そりゃねぇぜ!
おりゃ…おりゃあどうすればいい!?
これからは腹ぁ入れ換えて
真っ当な男になるからよっ!」

亜「…もぅ、いいよ…
信頼出来そうにないの…。
ゴメンね…?明日…吹雪がやんでたら、
1人で先に帰るから」

聖「そ、そんなに愛想が
尽きちまったのかよ…!?
勘弁してくれよっっっ…なぁっ!?」

(トンッ、トンッ、トンッ、トンッ)

亜美は

俺をシカトして

幽霊みてぇに

暗ぇツラで

部屋に戻っちまった…。











(コンコンッ、コンコンッ)

聖「よぉ、亜美…」



聖「聞こえるか?
もっぺん、ちゃんと話をしねぇか?」



(コンコンッ、コンコンッ)

聖「…頼むわ…なぁ、聞こえてんだろ?
どうすりゃ許してくれんだよ…」


聖「マジで…もうしめぇか…?
おめぇ無しで生きて行くなんて
考えらんねぇよ…」



(コンコンッ、コンコンッ)

聖「こんなの…あんまりじゃねぇかよ…。
あんまりだ…」





聖「亜美…!!」



何度も何度も、根気良く声をかけてみたが、
とうとう亜美は応えてはくれなかった…。

(ポタッ…ポタッ…)

聖「…クソッタレ…!」

俺は苦渋を飲んで、
独り自分の部屋に閉じ籠った。
ベッドに身を沈め、歯を食い縛りながら、
ただ、ただ、ひたすらうちひしがれた。
目の前が真っ暗だ。
全て失った様なもんだ…。
どうすりゃいいのか、分からねぇ…。

メンドクセェ…このまま眠っちまおう…。

暫くぼんやりと、半ばヤケになって
そんな空虚な事を考えてると

(コンコンッ)

ドアからノックの音がした。

聖(亜美か!?)

(ガバッ…!)

(カチャッ)

聖「亜…!」

亜美が考え直し、
話をしに来てくれたもんだと
期待に胸を膨らませてドアを開けた、
その目の前の顔を見て、
僅かな希望は見事に打ち砕かれた。

朱「ヤッホー♪こんばんにゃハート
遅くにゴメェン!今、独りだよね?」

部屋に訪ねて来たんは、
意外にも女子大生トリオのお下げ髪女。
軽薄な減らず口が忌々しい西荻 朱里だった。

聖「…なんの用だ」

朱「聖ちゃん、泣いてたの…?
目が真っ赤だよ…?」

聖「なんの用だって聞いてんだよ…」

朱「イヤンあせあせ(飛び散る汗)そんな怒らないで…?
さっき廊下に出ようとしたら、
亜美ちゃんの部屋の前で一生懸命
中に向かって話しかけてる
聖ちゃんの姿を見て、
何かあったのかな?と思ってさ♪」

聖「…てめぇにゃカンケーねぇ…。あと、
いつツッコもうかと思ってたけどよ…。
勝手に馴れ馴れしくちゃん付けで
呼ぶんじゃねぇよ。虫酸が走んだよ…」

朱「アハッ!ゴメンねっ!
じゃあ、聖君て呼ぶ♪」

聖「………。」

朱「(ヒソヒソ)ねぇ、もしかして…
さっきの件で亜美ちゃんに
フラれちゃったの…?」

聖「…まぁな」

朱「(ヒソヒソ)可哀想〜っあせあせ(飛び散る汗)
それで落ち込んでたんだ…。やっぱりね。
なんかおかしいと思ったんだぁ、あたし」

聖「…何がだよ」

朱「付き合ってるのに、
一緒に旅行までする仲の割には
わざわざ別々の部屋を取ったりさ?
ホントは最初っから聖君の事、
あまり好きじゃなかったんじゃないの?
端から見てても、聖君の方が
先走ってる感じで、
正直温度差を感じてたもの」

聖「…チッ、てめぇこそわざわざ人の傷口に
塩を塗りに来たんかよ!?
余計な世話なんだよっ!失せろ!」

(ガシッ)

朱「や…待って!」

神経を逆撫でられた俺が、
勢いよくドアを閉めようとすると、
朱里はそれを遮って食い下がった。

朱「無理しないで…?
今の貴方を放っておけないの…。
あたしで良ければ、話を聞くよ?
部屋、入っちゃダメ…?お願い…」

朱里は急に切なそうに囁いた。
今、コイツと話をすれば
少しでも救われるモンが
あるんだろうか…?

聖「…なんで放っておけねぇんだよ」

朱「今日、初めて会って、
フロントで聖君の姿を一目見た時から
なんとなく、お話してみたいなーって
思ってたんだぁ」

聖「…胡散臭ぇ」

朱「どうして…?アタシ、単純に
亜美ちゃんやみんなとやりとりをしてる
聖君に惹かれただけだよ…?
でなきゃ、こんな風に
彼女が居るって分かってて
押し掛けて来る訳無いじゃん…」

聖「…分かった、へぇれよ…」

朱「ヤッター揺れるハートお邪魔しまーすっ♪」

俺は朱里を部屋に入れた。
#.35

俺と朱里は、二つあるベッドへ
別々に腰かけた。

聖「モナリザと貞子はどうした?
ほったらかしにしていいんか?」

朱「モナリザと貞子?あwww
千夏とメグたんかぁwww
アハハッ♪確かに似てるねっ!上手い上手い♪
あの二人はもう寝ちゃったよ。
殺人鬼はもうどこかに
逃げちゃったって話してたら
安心したのかな?
お互い、事件のせいでスキー旅行が
台無しになっちったねぇ♪」

聖「…そうだな」

朱「元気無いなぁ〜…。
亜美ちゃんにフラれちゃったのが、
そんなにショック?」

聖「…おー…」

朱「ふぅん…そりゃそっかダッシュ(走り出す様)
まさか旅先でこんな事になるなんて
思わなかったもんねっ♪
誰にでも間違いはあるんだから、
何もフッちゃう事は無いのにねぇ♪」

聖「…おりゃあ、
どうすりゃいいと思う…?」

朱「え?ヨリを戻す為にはって事?」

聖「おー、どうすりゃ信用を
取り戻せる…?」

朱「さぁ?分かんなぁ〜い」

聖「………だよな」

朱「…一途だね。
そんなにも亜美ちゃんの事、
好きだったんだ?」

聖「………。」

朱「幸せ者だなぁ〜、亜美ちゃん。
勿体なぁ〜い」

聖「…安っぽい気休めなら要らねぇや…」

朱「でも、聖君て、男らしいよねっ!
さっき、すっごくカッコ良かったよっ!?
やっぱ男は喧嘩の一つも出来なきゃね〜♪
亜美ちゃんはね、見る目が無かったんだよ。
その程度の女だったんじゃないかな?」

聖「…あいつはそんなんじゃねぇ…。
知った風にぬかすなや」

朱「それでもあたしは、
亜美ちゃんに聖君は勿体ないと思う。
相性が悪いし、何より似合わない」

聖「うるせぇ」

朱「あ〜ぁ、あたしなら、聖君の良さが
分かるのになぁ〜♪」

聖「………。」

朱「もし、あたしが聖君の女だったら、
絶対にもどかしい思いなんてさせないのに」

聖「…何言ってんだ?オメー…。
頭、大丈夫かよ。
今日初めて会ったばっかで
俺の何が判るっての?
俺と亜美は三年も
付き合って来たんだぜ?」

朱「初対面だなんて関係ないよ。
三年なんて月日にも、
聖君が信じてる不屈の絆にも、
あたしは負ける気がしないなっダッシュ(走り出す様)
だって、聖君ってストライクゾーンど真ん中で
あたしの好みなんだもん。
こんな行きずりの旅先で出会えたなんて
運命だと思ってる!」

聖「…ケッ、馬鹿馬鹿しい…」

朱「馬鹿馬鹿しくなんかないよっ!
全っ然そんな事無いっ!
あたしがこんな風に感じる事、
そんなに大袈裟かなぁ?」

聖「だっておかしいだろうよ!?
たった今フラれたばっかで…
俺…ワケわかんねぇよ!」

朱「何言ってるの?フラれた後なんだから、
別にいーじゃん!
手離したのは向こうの意思でしょ?
今あたし達がくっ付いたって、
誰にも迷惑なんかかかんないよ。
それとも、あたしみたいな女…キライ?」

聖「…そんなに自分に自信があんのか?」

朱「自信があるのは
自分に対してじゃなくて、
貴方に対する気持ちです」

聖「でもよぉ…どこの誰だか分からねぇ
見ず知らずの女にいきなり迫られたって、
気持ちに整理なんか
つくわきゃねーだろが…」

朱「誰だって最初はそうなんじゃないの?
聖君は、亜美ちゃんの事、
最初からなんでも知ってたの?
あーだこーだと理由を掲げて、
あくまで突き放すって言うなら…
これ以上しつこくは迫らないけど…。
傷ついた貴方を慰めてあげたいの…」

聖「俺を…慰めるだと…?」

朱「うん…慰めてあげる…。
女は亜美ちゃんだけじゃないよ…?」

朱里は恍惚の表情でボタンを外しながら、
俺の隣に密着する様に腰掛けて来た。

聖「ちょっと待てや…!
幾らなんでも不謹慎だろ!
さっき人が死んだんだぜ!?
そんな事してる場合(ry」

朱「それがどうしたの…?」

聖「は……?」

朱「それが今のあたし達に
何の関係があるの…?」

聖「………。」

朱「身の回りで誰かが死んだ時は、
愛し合っちゃいけないの…?
そんなルール誰が決めたの…?
法律でもあるの…?」

聖「…そうじゃねぇけどよ…
あまりにもデリカシーが無ぇ…」

朱「クスッ…あたし、さっき
"廊下に出ようとした"って言ったよね?
トイレなら各部屋に有るのに。
何の用事で出ようとしたか、分かる…?」

聖「…知るかよ」

朱「杉山君カップルの部屋の前に、
盗み聞きしに行ったんだぁ♪
今頃何してるのかなぁ?と思ってハート」
#.36

聖「終わってんなぁオメー…」

朱「アハハッ♪あたし達はまだ終わってないよ。
これからするのハート
ちなみにあの2人はもう終わってたのか、
直ぐに寝ちゃったのか、
イビキの音しか聞こえて来なかったwww」

聖「…いい気なモンだな…」

朱「でもね…?あたし、一階に降りて、
陸奥さんの部屋の前にも行ってきたの…。
そしたら…」

聖「黙れ、聞きたくねぇ」

朱「でも、判ったでしょ?ここまで聞いて。
所詮、人間なんてそんなモンだよ。
だから…ね?あたし達もしよ…?
あんなツマンナイ娘…忘れさせてあげるから…」

聖「………。」

朱「(ボソッ)キメるときゃあ
ビシッとキメる男だって所…
見せてくれるんでしょ…?」

朱里が耳元で極上の誘惑を囁くと、
理性のタガが音を立てて弾けた。

俺はまるで亜美に対する執着を
拭い去ろうとするみてぇに、
ひたすらに、無心で、
朱里の体を犯しまくった。

朱里は当て付けがましく、
亜美の部屋まで聞こえるんじゃねぇかと
思う程に声を上げて、喘いだ。

途中、ノックみてぇな音が
聞こえた様な気がしたが、
朱里の淫靡な声に酔いしれながら、
心地良い微睡みに溺れた俺は、
絶頂を迎えるがままに眠りに堕ちた。


























気だるい睡魔にほだされながら、
深い眠りから意識を取り戻すと、
ベッドの上の違和感に気付き、
俺は寝惚け眼を擦りながら起き上がった。

聖(…朱里…?)

ベッドの上にも、部屋の中にも、
朱里の姿は無かった。
湿り気を帯びたシーツに
染み付いた雌の匂いは、
さっきまでの行為が紛れもなく
夢じゃ無かったって事を、
生々しく再認識させた。

ふと、備え付けのデジタル時計を見ると3:50。

(ムクッ…ポリポリ)

聖(…シャワーでも浴びてんのか…?)

(ガチャッ)

バスルームの中を覗いても、朱里は居なかった。
スタンドライトだけで照らされた
ほの暗い部屋を背後に、
ドアを開けて廊下を覗き込んで見ると、
みんな寝てやがんのか、
気持ちわりぃぐれぇ静まり返ってる。

外からは相変わらず吹雪く風が唸っていた。

俺は、なんとなく
亜美の部屋に向かってみた。
ドアの前に棒立ちになる。

聖(…とうとう、朱里とヤッちまった…。
もう、本当に戻れねぇのか…?亜美…)

無駄な事とは知りつつも、
俺はダメ元でドアノブをそっと回してみた。

(カチャ…)

聖(…開いてやがる…!無用心だなオイ…)

俺は部屋ん中に、そっと忍び込んだ。
もう亜美は眠ってるもんだと踏んで、
せめて最後に寝顔を拝んでやろうと
思ったからだ。

しかし

聖(…居ねぇ…どこ行った…?)

バスルームにゃ気配は無かった。
ドアに耳を当てても何も聞こえねぇ。

(きゃあああああああああああっっ!!)

聖(なんだぁ!?今の悲鳴はよ!?)

(ドタタタタッ)

突然、建物内に誰かの
甲高い悲鳴が響き渡った。
俺は焦って廊下に飛び出して、
辺りの様子を伺った。
しかし、何事も無かったみてぇに
誰一人として廊下に顔を出しやがらねぇ。
空耳じゃねぇこた確かなのによ…!

まさか…今の声は亜美か…!?
俺はソッコーで一階に降り、ホールに出た。

?「聖っ…!!(ガバッ)」

聖「(ビクッ)うおぉぅっ!?」

その瞬間、背後から
誰か女が飛び付いてきた。
背中に胸が当たる、その感触から
一発で亜美じゃねぇ事が判った。
亜美の乳はこんなにデカくねぇ。

(バクンッ…バクンッ…バクンッ…バクンッ…)

聖「おめ…!朱里!?
お、お、脅かすんじゃねぇ!!
心臓飛び出るかと思ったべが!!」

朱「ウッ…ウッ…グスッ…ヒック…!聖ぃ…!!」

聖「な…どうした…?なんだよ…」

見ると朱里はボロボロと泣いていた。
その表情は、なんだか
とてつもなくおっかねぇモンを
目の当たりにしたみてぇだった。

朱「聖っ…聖っ…怖かったよぉぉ…!
ふぇぇぇぇんっ…!!」

聖「落ち着けや!でぇじょうぶだからよ!
何があったんだっつの!」

(ペタンッ)

朱里はよっぽどヤベェ光景を見たのか、
腰を抜かした様に、足元で尻餅を着いた。
俺の左足に情けなくしがみつきながら、
陸奥夫妻の部屋の方を指さしている。

朱「うぇっ…うぇっ…陸奥さんと…
ニキちゃんがぁ…死んでるのぉ…!」

聖「なん…!?」
#.37

絶句した。
何が起こったのか知んねぇが、
とにかく現場を確認するまでは
なんとも言えねぇ…。

聖「ちょっ…朱里っ!離せや!あせあせ(飛び散る汗)
どんな状態だか見てくんだからよ!」

朱「嫌ぁっ!側に居てっ!
離れないでっ!!怖いのぉ!!
一人にしないでぇぇぇ!!」

聖「じゃあおめぇも一緒に
来ればいいじゃねぇか!」

朱「嫌だよぉぉ…!
もう…あの場所には戻りたく無いっ!」

…ランチャーを殺した犯人がまた
戻って来やがったのか…!?
畜生、やっぱどっかに潜んでやがったか…!

不用意に動けば俺らまで殺られる…!

聖(…よし分かった。
朱里、俺が守ってやっから
信じてついて来い。大丈夫だからよ)




『俺が守ってやる』
『俺が守ってやる』
『俺が守ってやる』

…亜美の為だけに吐いてきた台詞を、
今更違う女に口にしようとするだけで、
こんなにも腹の底が焼けつくみてぇな
感覚に陥るもんなのか…。

俺にとっちゃ、決してそんな
安っぽい口説き文句なんかじゃ
無かった筈だ…。

こういう場面で、本当に命懸けで
守ってやりたかった相手が
土壇場になってすり変わっちまうなんて…

堪らなく心が痛む…。

いっそ俺がくたばりたかった…。

聖「…行くぞ。俺の女になったんだろ?
死ぬときゃ道連れだ。逃げんなよ」

朱「ふぇ…!?ヤだぁ!!ヤだぁ!!あせあせ(飛び散る汗)
死にたくないぃ!!
守ってくれるんじゃないのぉ!?」

俺は朱里を引き摺って陸奥夫妻の
部屋に赴いた。
来るんなら来いや。
タダじゃ殺られねぇ…。

(ガチャッ)

部屋の中は一般家庭のダイニングルームと
さほど変わり無かった。
…一歩足を踏み込んでも、
そこには男と女が一仕事した後の
独特な臭い等は微塵も感じられなかった。

朱里は俺を丸め込む口実に、
陸奥夫妻やバカップルの名を出して
ハッタリかましやがったのか…。
やってくれるぜ。

聖「陸奥…!?」

ダブルベッドを見ると、
陸奥は安らかな表情で目を閉じ、
横たわっていた。
額を見ると、ランチャーと同じ様に
丸書いて、真ん中に『死』とある。

聖「陸奥!しっかりしろ!!陸奥!!
…おいって!!(ペシペシ)」

陸「………。」

頬を何発かはたいてみても
ピクリともしやがらねぇが、
耳を澄ましてみると、よく聞きゃ
呼吸音も聞こえるし、脈を取っても
明らかに生きている。

聖(…コイツもか…。また
"表現上の配慮"ってヤツかよ。
アフォかっ!!
つまり、ストーリー上では確かに
誰かに殺されたって"てい"なワケね)

俺はとりあえず陸奥のズボンのポケットや、
テーブルの上を調べた。

朱「何か探してるのぉ…?」

聖「マスターキーだ。アレを犯人がモノにしたら、
俺らに逃げ場はねぇぜ」

朱「うぅ〜っあせあせ(飛び散る汗)」

よく探してみたが、
マスターキーは何処にも見当たらなかった。
しかし、よく見ると陸奥の胸ポケットに
リボンでラッピングされた
手紙みてぇなモンを見つけた。
俺はそれを引っこ抜くと、
封を開けて中身に目を通した。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

やぁ、よくこの文書を見つけたね。
おめでとう。

ところで、僕は残念ながら
ポンポンを包丁で刺し殺されちゃったんだ。
とっても、痛かったよ。

というワケで、こっからは僕ヌキで
話を進めてチョーダイ。

胸キュンハートオーナー 陸奥 武流


追伸 どうあがいても
死んでるモンは死んでるから、
死体に悪戯したりしないでね。
したいならしたいようにすりゃいーけど。
…死体だけに。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

聖「………。」

(コショコショ)

陸「!」

俺は陸奥の死体の鼻の穴に
先っちょを尖らせたティッシュを突っ込んだ。

陸「………ヘッ…!」

朱「………wwwあせあせ(飛び散る汗)」

陸「…ヘッ……ヘッ…!」

聖「………。」

陸「………ビーキシッダッシュ(走り出す様)…とくらぁチキショー」

聖「次行くぞ」

そういやニキータの死体が見当たらねぇ…。

俺はバスルームを調べようと
ノブに手をかけた。

朱「ダメ!開けちゃ…!!」

聖「…こん中にニキータが…?」

朱里は本気で怯えながら
何度も相槌を打った。
余程トラウマものの地獄絵図が
待ち受けてるらしいが、
俺にゃ確認する義務がある。

(ガチャッ)
#.38

聖「うぉっ…ニキ…///」

そこには、バスユニットの中で、
決して良い子の皆様にはお見せ出来ねぇ
非常にけしからん姿の死体が、
悩ましくうなだれていた。
額にはまたも丸書いて『死』とある。



俺は

俺は

思わず釘付け…じゃなくて、
思わず目を反らした。

聖(…パイオツカイデェーッwww)

朱「ねっ!?あせあせ(飛び散る汗)もう分かったでしょ!?あせあせ(飛び散る汗)
部屋に戻ろうよ!」

聖「まぁ、待て。朱里、
ちょっと死体の乳首つねってみろや」

朱「やだぁあせあせ(飛び散る汗)気持ち悪い!!」

聖「いいから!大丈夫だって!」

ニ「………たらーっ(汗)」

朱「嫌っ!!絶っ対…嫌!!」

聖「…そうか、じゃあ俺が…」

陸「(ガシッ)………。」

聖「………。」

陸「……………。」

聖「………………………朱里、帰ろうか」

朱「うんっ揺れるハート」

俺は二人の死体に背を向け、
朱里を連れて階段に向かおうとした。
すると





`?)))






聖「おっ…!?」

朱「(ビクッ)えっ…!?何々!?」

朱里を見透かした通路の向こう側で、
人影がよぎった気がした。

朱「ねぇ!どうしたの!?何!?」

聖「…今よぉ、誰かそこに居やがった…」

朱「(ゾクッ…)ヤだっ…ヤだヤだぁーっ!あせあせ(飛び散る汗)
ホント勘弁してっ…あせあせ(飛び散る汗)
あたしそーゆーのマジでムリなのぉ〜っあせあせ(飛び散る汗)」

朱里はビビり倒してうぜぇぐれぇに
しがみついて来やがったが…。
もしかして、犯人が俺らの様子を
陰から伺ってやがったのか…!?

聖「おいっ!誰か居んのか!?」

(………………………………。)

聖「…チッ、逃がすかオルァッ!」

近距離に相手の存在を確信した俺は、
ひっ捕まえるなら今しかねぇと思い、
追っかけようとした。が。

(グイッ!)

朱「ちょっ…待ってよぅ!あせあせ(飛び散る汗)
離れないでってばぁ!あせあせ(飛び散る汗)」

裾を引っ張られ、追跡を妨害された。

聖「甘ったれんなむかっ(怒り)足手纏いかてめーは!
今正体を突き止めねぇでどうすんだよ!
いいから放しやがれ!」

朱「危ないからぁ!
深追いした挙げ句聖まで殺されちゃったら
元も子も無いじゃんっあせあせ(飛び散る汗)」

聖「上等じゃねぇか。
こーなりゃバトルロワイアルだ」

朱「いや〜んっ…あせあせ(飛び散る汗)あたしまで
強制エントリーしないでぇぇぇっあせあせ(飛び散る汗)
そんな度胸なんてないからぁぁぁっあせあせ(飛び散る汗)」

聖「…もう手遅れだっつの。
言ってる間に逃げられちまった…。
戻んぞ…他の奴等に
戦闘開始を知らせてやんねーと、
犯人の一人勝ちになっちまう」

朱「うわぁ〜んっあせあせ(飛び散る汗)ママぁ〜っあせあせ(飛び散る汗)」

俺らは最大限に警戒しながら、
恐る恐ると陸奥夫妻の部屋を跡にした。

聖(…それにしても、亜美は何処だ…?
犯人が彷徨いてやがるってのに、
放っといたらやべぇぜ…!)

ホールに出て、階段を上ろうとすると、
俺は今までずっと閉まっていた扉が
一ヶ所開いてる事に気付いた。

聖「…よぉ。ここ、確か閉まってたよな?」

朱「ふぇ…?そうだっけ…?わかんない…」

問いかける為に振り向くと、
いつの間にか朱里はちゃっかり
何処からかモップを持ち出し、
握りしめていた。

聖「おい、どっから
引っ張り出して来たんだそりゃたらーっ(汗)
お掃除でも始めようってのか?」

朱「陸奥さんの部屋を出る間際…
ドアの近くにあったから…。
バトロワに強制参加なら
武器くらい持たせてよぅあせあせ(飛び散る汗)
聖は喧嘩に自信があっても
あたしはか弱い女の子だもんっあせあせ(飛び散る汗)
これくらいいいじゃんっあせあせ(飛び散る汗)」

聖「…好きにしろ」

(キィ〜ッ)

半開きのドアを開けて、中を覗き込むと、
薄暗い中に地下へと続く階段がある。

・A 犯人はこん中に逃げ込んだっぽいな…。
行くぞ、ボコボコにしてやる。

→B いや、とりあえず他の奴等に
状況を伝える方が先決だ。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

いや、とりあえず他の奴等に
状況を伝える方が先決だ。

(トンッ…トンッ…トンッ…トンッ…)

俺らは一先ず二階に上がると、
バカップルの部屋に向かった。

(コンコンッ、コンコンッ)

聖「杉山さんよぉーっ!
どえれぇ事んなったぜー!
ちょっと出て来てくれやー!」

(……………………………。)

聖「…返事がねぇな…。
まさかあいつらまで…」

朱「そんな…寝てるんじゃない!?」

俺はドアに耳を当てて中の様子を伺った。

(…ブゴォォォオッ……ブゴォォォオッ……)

聖「…呑気に寝てやがるたらーっ(汗)」
#.39

(ドンドンドンドンッ!)

聖「おい!起きろ!一大事なんだよっ!」

(…ブゴォォォオッ……ブゴォォォオッ……)

朱「…アハハッたらーっ(汗)起きないねっ」

聖「んだよもぉーっ!イライラすんなチキショー…むかっ(怒り)」

(カチャッ)

聖「…開いてやがる…!?」

朱「わぁーぉっ!隙だらけだねっ♪」

ノブを回してみると、
無用心ながらに鍵は開いてたみてぇだから、
早速中に踏み込んだ。

杉「…ブゴォォォオッ……ブゴォォォオッ……」

キ「…プヒュゥゥゥ……プヒュゥゥゥ…ポリポリ」

バカップルは別々のベッドで無防備な程、
豪快ないびきをかいて
眠りこけてやがった…。
キャサリンに至っては上下スウェットで、
丸見えになった日焼けした腹を
オッサンみてぇにボリボリ掻いてやがる…。

つくづく色気がねぇ…。
この様子だと、コイツらも夜の営みは
お預けだったらしいな…。
結局、不謹慎な行為に至ったのは
俺らだけってか…。

聖「…なっ!?おい…見ろ!」

朱「どちたの!?」

聖「コイツらも額に…
死亡マークが印されてやがる…!」

よく見りゃ二人共、既に額に
例のマークが書かれていた。

朱「ひぃっ!ホントだ気付かなかった…!」

聖「てこたぁ、もうコイツらも
アウトって訳か…?」

杉「(ゴロンッ)うぅ〜ん……ムニャムニャ…。
キャシィ〜…日サロはもういいだろ〜…ムニャムニャ」

寝返りを打って露になった杉山の背中に、
何か張り紙が貼り付けてある。

   ― 俺らはもう死んでいる ―
   ― 安眠妨害するべからず ―

聖「ざけんなむかっ(怒り)」

キ「プヒュゥゥゥ……プヒュゥゥゥ……ホジホジ」

キャサリンは鼻をほじくっている。

朱「…いつ殺されたのかな…」

俺は、ある可能性を考えた。
コイツらが死にながらにして、
こんな風にいけしゃあしゃあと
イビキをかいて居られるんなら…


    ― よっしゃあwwwキャシー ―
 ― 部屋に帰ってセクロスしようぜwww ―

― ちょwwwテラ不謹慎www自重汁wwwww ―


ゆうべ杉山らと一悶着あった後、
宿泊客は俺と亜美以外、
全員先に二階に戻ったんだよな…?

亜美に別れを切り出されて、
戸惑いグズってる間。もしくは…


   ― 杉山君カップルの部屋の前に ―
  ― 盗み聞きしに行ったんだぁ♪ ―
― 今頃何してるのかなぁ?と思ってハート ―

    ― ちなみにあの2人は ―
   ― もう終わってたのか ―
   ― 直ぐに寝ちゃったのか ―
― イビキの音しか聞こえて来なかったwww ―


俺が亜美の部屋の前で必死に呼び掛けてる
その最中に、犯人はバカップルの部屋に
侵入して犯行に及び、
朱里が盗み聞きしに行った時には既に
死んでたんじゃねーのか…!?

聖「朱里、俺らがヤッた後、
なんで陸奥達の部屋に行ったんだ?」

朱「聖が先に寝ちゃったから、
起こさないように部屋を抜け出して、
自分の部屋へシャワーを浴びに戻ろうと
廊下を歩いてたらね?
階段に差し掛かった所で、一階から
ニキちゃんの叫び声が聞こえて来たから…
ビックリして…でも、怖いけど直ぐに
行ってあげなきゃと思って…」

聖「なんですぐ俺を呼びに
戻って来なかったんだよ!?」

朱「(ビクッ)だ、だってぇあせあせ(飛び散る汗)
まさか死んでるなんて
思わなかったんだもんっあせあせ(飛び散る汗)」

聖「よく考えてみろや…。
陸奥夫妻が殺された直後に
現場に近付いたってこたぁ、
犯人がまだ近くに
潜んでたって事になんぞ…?
よく鉢合わせなかったな…」

朱「(ゾクゾクッ…!)やっ…ヤだぁ〜っあせあせ(飛び散る汗)
怖い!何処に隠れてたんだろ…!?」

聖「おめぇの悲鳴を聞いて、
俺がソッコーで降りて来たから
命を取り損なったんかもしんねぇな…」

朱「じゃあ…悲鳴を上げなきゃ、
あたしも殺されてたのかな…」

聖「…かもな」

朱「ふぇぇぇんっあせあせ(飛び散る汗)
もう家に帰りたいぃぃぃっあせあせ(飛び散る汗)」

聖「(…やっぱあの地下室がくせぇな…)
よし、モサマの様子を確かめに行くぞ。
怪我人とはいえ、今は少しでも
野郎の戦力が必要だ」

朱「だよねっあせあせ(飛び散る汗)
大勢集まった方が心強いよねっあせあせ(飛び散る汗)」

俺らはモサマの部屋に向かった。
#.40

(ドンドンドンドンッ!)

俺はモサマの部屋のドアを激しくノックした。

聖「モサマ!居るか!?開けてくれ!」

(………………………………。)

朱「…モサマちゃんも
反応が無いね…まさか…!」

(カチャッ)

朱里の不吉な囁きを聞いて、
そっとノブを回したら、
またしても開いていた。

聖「…モサマ、入んぞ。
(ヒソヒソ)朱里、犯人が潜んでるかもしんねぇ…
気をつけろ」

朱「(ゴクッ)う、うん…」

(キィ〜…)

俺らは細心の注意を払って、
部屋の中に入った。

(*u∀u)スヤスヤ…スヤスヤ…

…モサマは掛け布団にくるまって、
気持ち良さそうに眠ってやがる…が、
そんな事はこの際どーでもいい。
問題は体裁上"生きてる"のか
"死んでる"のかだ。
そして、いざモサマの額を注目すっと…

聖「…コイツもアウトらしい…」

どこか予想はしてたが、
やはり額に丸書いて『死』とある。

朱「やだ〜んあせあせ(飛び散る汗)幾らなんでも
死に過ぎだよぉ〜っあせあせ(飛び散る汗)
モサマちゃんしっかりしてよぉ〜っあせあせ(飛び散る汗)
いつ殺されちゃったのぉ〜っ!?」

聖「でもよ?コイツの場合は
外に出た時にいっぺん、
頭を殴られてたんだよな…?」

朱「ふぇ…?う、うん…それが?」

聖「生前陸奥も言ってたけどよ、
内出血とかしてたとしたら、
脳梗塞でいきなりポックリ逝っちまったって
可能性もあんぜ…?
殺された事にゃ変わりねぇけどよ…」

朱「あっ!でも聖、よく見て?
モサマちゃんの丸死マーク、
他の人のと比べてなんか、不自然だよ〜?
他の人は明らかに
"誰かによって書かれた"
って感じだったけど…、
なんだかモサマちゃんのマークって、
鏡を見ながら自分で(ry」

聖「シーッ!!!!!!たらーっ(汗)たらーっ(汗)たらーっ(汗)たらーっ(汗)たらーっ(汗)
ちょ、おめっ…どんだけKYなんだよ!
あえてそこに触れるんじゃねぇっむかっ(怒り)」

朱「えぇ〜っ?だって変だよぉ。
ほらぁ、見て見て?」

(;;;u∀u)スヤスヤ…スヤスヤ…

聖「分かったから黙れ!
次行くぞ!次!来い!(グイッ)」

朱「あんっ…ハート達(複数ハート)」

俺は慌てて朱里を廊下に引っ張り出した。

聖「(ヒソヒソ)頼むからちゃんと
空気を読んでくれや…たらーっ(汗)
一応推理モノの話なんだぜ?コレ…」

朱「アハハッ♪ごめぇんハート」

聖「ったくよー…とにかく。
千夏達と合流しようぜ?
こんだけ派手に死にまくられちゃあ
推理どころの騒ぎじゃねぇや…」

朱「うんうん!そだねっ!
そうしようそうしよう!」

(カチャリ)

俺らは女子大生トリオの部屋に戻った。
真っ先にすべき事はやはり、
2人の生死の確認だ。

千「スゥ……スゥ……」

恵「すぴ〜…いい気分(温泉)すぴ〜いい気分(温泉)」

朱「2人とも大爆睡だねったらーっ(汗)」

聖「おー…チビ貞子なんか
鼻ちょうちんまで膨らませやがって…
いつの時代のギャグだよたらーっ(汗)
額にゃあ何も書いてねぇけど、
そっちはどーだ?」

朱「千夏も無事みたいだよっ♪
良かった良かったハート」

千「…ん…?うぅ…ん…。何…?
どうしたの…?なんで聖君がここに…?」

俺らの話し声に反応して、
千夏が目を覚ましたらしい。
俺のツラを見た途端、
露骨に嫌悪的な表情になった。
そりゃそうか…。
みんなに嫌われても無理はねぇ…。

聖「おー…わりぃな。邪魔しちまって」

千「当たり前じゃない…!
今何時だと思ってるの?何の用?」

朱「ちょっと待って?千夏。
今それどころじゃないの。
そんなに彼を嫌わないで…」

恵「…すぴ〜…いい気分(温泉)(パチンッ)ん…?」

パジャマ姿のチビ貞子が昭和のマンガみてぇに
鼻ちょうちんを割ると、
続いて目を覚ました。
なんでコイツはこんなにもコミカルなのか
不思議でならねぇ…。貞子のクセに…。

恵「ん…?あっ!アンタは!?
探偵気取りの最低男!
なんだってここに居るんだいっ!
さっさと出てお行きよっ!むかっ(怒り)」

朱「ちょっと待ってってば2人共!
今ね?大変な事が起きてるのっ!あせあせ(飛び散る汗)」

恵「大変な事って
一体全体なんなのさぁっむかっ(怒り)
説明してごらんよっむかっ(怒り)」

聖「俺が説明する。その為に来たんだ。
おめぇらが寝てる間に、更に5人が死んだ。
陸奥夫妻とバカップル。そして、モサマだ」

ガーンッΣ(゚言゚?ノ)ノなっ…なっ…!!
なんですってぇぇぇええええええっ!!??

聖「大袈裟なんだよ…。
リアクション芸人かテメーはたらーっ(汗)」
#.41

千「信じられない…!どうしてよ!?
誰がやったの!?」

聖「それが解りゃ苦労はしねぇーんだよ!
(恐らく勘づいてる読者の方が
大多数を占めると思うが)
陸奥は腹を包丁で刺され、
ニキータは風呂にへぇってる所を襲われた。
バカップルは2人共寝込みを殺られて、
モサマは…頭を殴られた時の影響で
勝手に御陀仏よ」

恵「アミーゴやミッチーはどうしたんだいっ!?」

聖「分からねぇ…亜美は
部屋には居なかった…。
居場所に見当がつかねぇんだ…。
ミッチーの姿もあれからまだ見てねぇ…ん?
待てよ…!?」

千「何よ…!?」

聖「朱里、おめぇ二階の廊下から
ニキータの叫び声を聞いたっつったよな?」

朱「え?うん、そだよ…?」

聖「ミッチーが居るだろうスタッフルームは、
陸奥夫妻の部屋の隣だぜ…?
二階まで届く程の絶叫を聞いて、
部屋から出て来ねぇって変じゃねぇか…?」

千「臭うわね」

恵「な…!?あたしゃ屁なんか
こいちゃいないよっ!?」

千「その"臭う"じゃなくて…」

聖「おい漫談すんな!むかっ(怒り)
つまりよぉ、もしかして真犯人は…
最初に疑った通り、
ミッチーだったんじゃねぇか!?」

朱「キャーッ!!ダーリンッ…
あたしこわぁーいっ!!(バフッダッシュ(走り出す様))」

聖「(ドサッ)うおっ…!?ちょっ…やめろコラッむかっ(怒り)」

俺は朱里にいきなり押し倒された。

千「ダーリン!?アンタ達、
いつそんな関係になったのよ!?」

朱「えへぇ〜っ揺れるハートついさっきハート達(複数ハート)
亜美ちゃんにフラれちったから、
あたしが貰ったのぉ〜ハート達(複数ハート)」

聖「朱里暴走モード突入wwwww」

恵「ちょいと!
もうエッチしちゃったのかい!?」

朱「そりゃ〜もうっダッシュ(走り出す様)聞いて聞いて!?
ダーリンッたらねっ!?
獣みたいにあたしを何度も(ry」

恵「アンタって女は…!
アンタって女はぁぁぁっ…!!
くぅぅぅぅうううっ…!!!!(ゴゴゴゴゴ…)
このぉぉぉ!!














隅にも置けないねぇっ☆ニクいよぉっ!
このこのこのこのこのぉっ★」

朱「いやぁん恥ずかしいハート
メグたんよしてっハート」

※ 大変お見苦しいシーンで
誠に申し訳ございません。

(ピンポーン)

不意にインターホンの音が建物内に
響き渡った。

千「…何…?今…の…」





(ピンポーン)

更にもう一回。

朱「…ペンションのお客さんかなぁ?」

千「バカね…こんな吹雪の中、
来訪者なんかあるわけないでしょ…?」

聖「じゃあ…誰だよ…?」

恵「誰かピザ頼んだ?」



(ピンポーン)






( ピ ン ポ ー ン )







( ピ ン ポ ー ン )











千「いっ…嫌ぁぁあああっ!!
悪魔が私達を呼んでるのよっ!
私達も死ぬんだわ…!」

恵「千夏!落ち着きなよ!
きっとピザーラがデリバリーに来たんだよっ!」

朱「ちょwww」

聖「んなワケあるかヴォケェむかっ(怒り)」

恵「ヴォケとはなんだいヴォケとはむかっ(怒り)
エセ探偵のクセして
言ってくれんじゃないのさ!!
犯人かミッチーが怖くて引き籠ってる内に、
お腹が空いたもんだからアミーゴが
どうにかしてピザーラに注文したのかも
知れないじゃないのさ!?この、トンマむかっ(怒り)」

聖「トンマはおめぇだむかっ(怒り)
ピザ注文出来る手段がありゃ、
警察かレスキューにでも通報するわ!
それにアイツはダイエット中だむかっ(怒り)
ピザなんかに手を出すワケがねぇ!」

千「そーゆー問題かしら」

朱「じゃあ玄関に行けばアミーゴと
合流出来るかもしれないねっ♪
行ってくる!
そう言えば小腹が空いちゃったなぁ…。
あたしもピザ食べたぁーいぴかぴか(新しい)
お金はあたしとアミーゴで払っておくから、
後で割り勘しよっ♪」

聖「ちょっ…待てオイッ!?
ミッチーの罠かもしんねぇべが!?」

(タッタッタッタッ…ガチャッ)

朱里は先走って、
部屋を出て行っちまった…。
なんでこんなアホばっかなんだ?

恵「救援よりも食欲が優先するくらい、
ピッツァが堪らなく恋しかったのかも
知れないじゃないのさぁっむかっ(怒り)
アンタにダイエットに励む乙女心の
何が分かるってんだい!!
ナメんじゃないわよっむかっ(怒り)」

聖「まだ言ってやがんのかたらーっ(汗)
単にテメーが食いてぇだけだろうが!」

( ピ ン ポ ー ン )

恵「しっ…失礼な!
そんなんじゃないよっむかっ(怒り)」

聖「分かったから黙れ!!」

俺はしつこく食い下がって来る
チビ貞子を振り切って、
朱里が置き忘れてったモップを手に取り、
追いかける為に廊下へ飛び出した。
ギャグ路線だからって簡単に
気を緩めてんじゃねぇよ…ったく。
#.42

廊下に出ると、既に朱里の姿は無かった。
インターホンの音はもう止まってる。

俺は階段まで突っ走り、
飛び降りるみてぇに一気に一階へ降りた。
そこで俺が目の当たりにした衝撃の光景は…




















ピザーラスタッフ
(  ̄▽ ̄)照り焼きチキンLサイズと、
じゃがバタソーセージLサイズ。
ドリンク代合わせてお会計
\7,180になりまーす。

(`・ω(#)クーポン使えますか?

聖「ズコーーーーーーーーーーッ!!!!」

俺は思わずヘッドスライディングでずっコケた。

(  ̄▽ ̄)はい、使えますよ。
…?なんですか?この人…。

(`・ω(#)つチケット じゃあコレで。
…聖君、何してんの?

聖「何してんの?って…
そりゃこっちのセリフだぁぁぁぁぁっ!!」

亜「うるさい。ちょっと黙ってて。
スタッフさん、割引でおいくらですか?」

(  ̄▽ ̄)丁度千円割引で、
\6,180になりまーす。
いやぁ、カワイイアヒルちゃんですねー。

(*^△^)ガァガァハート達(複数ハート)

亜「じゃあ6千円先に出すね。
ミッチーさん小銭ありますか?」

(`・ω(#)あ、ゴメン。細かいの無いや。

( 'ワ')つドル袋あたしあるわよ、はい。

聖「!?…ラン…チ…なん…!?」

そこには死んだ筈の(死んでないけど)
ランチャーがケロッとした顔で普通に
受け渡しに混じってやがった。

(  ̄▽ ̄)ありがとーございましたー。
またご贔屓にー。

聖「おいっ!ちょっと待てっ!あせあせ(飛び散る汗)」

(; ̄▽ ̄)え?

聖「なんで配達なんか来てんだよ!?」

(; ̄▽ ̄)え…なんで…って…
電話でオーダー戴いた…ので…たらーっ(汗)

亜「スミマセン、ごめんなさい大丈夫です。
相手にしなくていーんで。ありが(ry」

聖「よくねぇーよ何言ってやがる!?
この吹雪の中
どうやってくぁwせdrftgyふじこlp」

(; ̄▽ ̄)いや、あの…吹雪はもう
だいぶ治まって…除雪も進んでますので…。

(パシィッ!!手(パー))

聖「!?」

亜「ホントごめんなさい。ご迷惑おかけして。
こっちで処理しときますんで…」

(; ̄▽ ̄)はぁ…どうも。

俺は何がなんだかワケが解らねぇまま、
亜美の手加減無しのクリティカルヒットを食らい、
茫然自失しちまった…。

お「ウニャーンハート達(複数ハート)ピザが来たニャーンハート達(複数ハート)
早く食べたいニャンハート達(複数ハート)」

陸「こーら、お行儀が悪い。
※おっちんなさい」

※ おっちん→お座り。
「ちゃんとお行儀良く座りなさい」の意。

聖(陸奥!?)

(ブロロロロロロ…)

ペンションの外からは吹雪の音の代わりに
ピザーラスタッフがバイクで走り去る音が聞こえ、
ふと談話室に目をやると、陸奥、ニキータ、
杉山、キャサリン、モサマ、朱里、ランチャー、ミッチー、ガァ助と
ガキに化けたおひょんまで全員が勢揃いして
届いたばかりのピザを囲み、
楽し気に和気藹々してやがる…。

(トンッ、トンッ、トンッ、トンッ)

恵「あーっ☆いい匂い!
やっぱりピザが届いたんだね!
あたしの言った通りじゃんかダッシュ(走り出す様)」

千「みんなお疲れ様〜」

そこで階段からチビ貞子とモナリザが
あっけらかんと階段を降りて来た。

亜「あ、メグと千夏いいタイミング!
先にみんなと食べてて?」

恵「やったねっ!聖君ざまぁwww」

聖( ∵)…。

もみじ模様に腫れ上がる頬をさすりながら、
目を点にして立ちすくむ俺を目の前に、
亜美がドライアイスの様に凍り付く眼差しで
俺を睨みつけ、腕を組み、
仁王立ちに立ちはだかった。

亜「…貴方はピザの代金を
払わなくて結構です。
他のみんなで食べるので」

聖「………。」
#.43

声にならなかった。
なんも言葉が出てこなかった。
いってぇこりゃあ…どーいう事よ…?
ドッキリカメラはどこ?

朱「はむっダッシュ(走り出す様)やーんっハート達(複数ハート)
チーズがとろけてサイコーッハート達(複数ハート)」

ニ「アヒルさんは照り焼きチキンでいースか?」

(*^△^)ガァハート達(複数ハート)

(*´∀`)ピッピチャン、ヨカッタネピッピチャン

杉「キャシーハート達(複数ハート)食わせてやんよ!
アーンてしてみそwww」

キ「キメェwwww自分で食うからやめれwwwww」


(ワイワイガヤガヤ)

(ワイワイガヤガヤ)

まるで打ち上げパーティーだ…。

聖「…なんだよこれ…。
犯人は…?捕まったのか?
なんで死んだ奴らが…?え…?ワケワカンネ」

亜「…まだ言ってるの…?」

亜美は、心底呆れた様に顔をしかめた。

聖「…は?」

亜「貴方があまりにも不甲斐ないから、
みんなもう、飽きちゃったんだって。
それであたしがみんなに、聖は放っといて
ピザでも食べようって提案したの。
お腹空いてるだろうと思って。
だからもう、お芝居は終わり」

聖「…おめぇも食うのか?
カロリーたけぇぜ?あれ…」

投げやりな気持ちになった俺は、
あくまで冷酷な口調の亜美に、
皮肉なつもりで言葉を返した。

亜「うん、食べるよ?」

聖「…ダイエット中じゃなかったんけ?」

亜「誰の為のダイエットだったんだろ」

聖「………。」

亜「何の為のダイエットだったんだろ…」

聖「………。」

亜「もう、我慢する必要無いもん…。
貴方とは二度と、戻れないんだから…」

聖「…おめぇが話すら
聞いてくんなかったからだろうがよ…!?」

亜「何よ…元はと言えば、
貴方が癇癪起こして、
何度も問題起こすからでしょ!?」

ニ「(ヒソヒソ)まだかかりそうなんで、
亜美サンの分のピザ、分けときやすね…?」

陸「(ヒソヒソ)その方がいーね」

亜「それでも…貴方がドアの前で
あんまりにも一生懸命、
語りかけてくれるもんだから…、
本当に変わってくれるんだと、
もう一度だけ、
これからの貴方を信じてみようと、
貴方の部屋のドアをノックしたのに…」

聖「!!」

亜「…自分でもよく、分かってるよね…?」

俺は一瞬、引きつったツラで
朱里の方へ視線を投げた。

朱「ハート」

小悪魔みてぇな笑顔でこっちを見ながら
ピザをパクついてウィンクかましやがった…。

亜「言ってた通り、
今日は先に家に帰るから。お幸せに」

恵「アミーゴ〜!終わったぁ〜?」

亜「うんっ!終わったよ?
さぁ、お腹一杯食べるぞーっハート達(複数ハート)」

ニ「待ってやした!
ちょっと冷めちめぇやしたんで
温め直してきゃすっ!」

亜「うん、ニキちゃんありがと!」

(*´∀`)ノシ ピッピチャン、ピッツァ、オイシイ?

(*^△^)ガァハート達(複数ハート)

聖「ハ…ハハッ…そいつ、ピッピってのか?
メスだったんだな。
わりぃわりぃ、
ガァ助なんて呼んじまってよ!
見て分かんなかったわ!」

(*´∀`)ランチャーサン、ジュースオカワリ、
オケーデスカー?

( 'ワ')ジュースねっ!任せときなさいっ!
コーラがいいかしら?

(*´∀`)コーラ、イイデスネー

聖(な…シカト…!?)
#.44

お「ニキータ!おひょんもミルクが飲みたいニャ!
取って来るのニャ!」

ニ「エラソーに指図してんじゃねぇッスよむかっ(怒り)
自分で取ってくりゃいいじゃねースか!」

お「口答えすんニャッむかっ(怒り)」

キ「クソガキwwwww」

杉「ワロタwww」

恵「賑やかだねぇ〜」

陸「恐縮です」

(`・ω(#)あの…みんな…1人550円ずつ
亜美ちゃんに…。

千「O.K!亜美、ありがとね」

お「お、おひょんお金ニャンて持ってニャイニャ…あせあせ(飛び散る汗)
どうしよう…ピザ食べちゃった…!
許して欲しいニャン!?」

亜「ううんあせあせ(飛び散る汗)おひょんちゃんはいいのっ!
大丈夫だよっ揺れるハート」

お「ホッダッシュ(走り出す様)…オシッコちびるかと思ったニャ…」



俺は何故か場の空気と化して、
居たたまれなくなった。
今となってはこんな風に
ナレーションに務める事さえ口惜しい…。

もっと早くに俺が犯人を突き止めてりゃあ、
こんな展開にゃならなかったのか…。


聖「なぁ…」

千「え〜っ!今日帰っちゃうの〜!?
勿体な〜い!せっかく吹雪止んだのに…」

亜「うん…1人で居たって
しょうがないから…」

聖「なぁって!」

恵「じゃああたし達と
滑りに行こうじゃないのさっ!
新しい思い出作ろうよ!」

亜「ありがと…でも…」

聖「シカトしねぇでくれよ!亜美っ!?」

亜「何よっ!!ウルサイなぁ!!」

聖「俺は…どうすりゃイイ…?
なんでもするからよ!」

亜「ふぅん………何でも?」

聖「お、おうっ!何でも!!」

亜「…本当に、何でもするの…?」

聖「おうよダッシュ(走り出す様)おめぇの為ならっぴかぴか(新しい)」

亜「あっそ。じゃあ、
せっかくイイ物持ってるんだから、
掃除でもすれば?」


亜美…いや、奈倉 亜美様に言われて、
ふと自分の右手を見ると、
俺は朱里が勝手に持ち出してきたモップを、
汗ばんだ手で握りしめてた。

俺は…それを使って、
盛り上がる連中を尻目に、
みじめにペンション『胸キュンハート』の
お掃除に黙々と勤しんだ。

終



BAD END No.2 「ピザーラお届けーっ」


















         CAST

      from 「アミクエ」

        小笠原 聖

        奈倉 亜美

        陸奥 武流

         柳 千夏

         水野 恵

        杉山 康宏

      有明 朋子(キャサリン)



      from 「ムツクエ」

        おひょん



  from 「アミクエ2 ヨコシマの黒」

        西荻 朱里



      from 「窓無しビル」

     (仮名)神崎 蘭(ランチャー)

     (仮名)楠原 充(ミッチー)

      (仮名)田中 永吉



      from 「二階の人」

      モサマ・ハーマン



      from 「ニキータ」

      ?? ?(ニキータ)



       story motif

   サウンドノベル かまいたちの夜



      presented by 密





       very thanks

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