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アミクエコミュのアミクエ

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chapter 0
プロローグ



昔々、ある国に、美しいお姫様がおりました。
ある日突然、お姫様は
恐ろしい悪魔に拐われてしまったのです。


悪魔は言いました。
「誰も助けに来なければ、どうする?」と。
お姫様は、勇者様が助けに来てくれる事を願いました。
しかし、そのような勇者様は都合良く現れてなんてくれません。


お姫様が助かる為には、どうすれば良いでしょう?


そしてお姫様は、残酷な現実を突きつけられ
運命を切り開く為に
自らが勇者に成る事を余儀なくされてしまったのです…。

これは

そんな可哀相な

悲しいお姫様の





おはなしです。





コメント(59)

chapter 20
悪夢

亜美は思い出した。
今日、眠ってる間見た悪夢を。

(―あのテーブルルームでアタシ…
陸奥さんに見られながら…
誰かにメールを打ってた…。
今のこの現状を、
その誰かに伝えようと……。
そしたら陸奥さん……当てるの、
画面が見えてる訳無いのに……
「今、裏切ったね」って…。
唐突に立ち上がった彼は…
アタシの髪をキツく掴み、
椅子ごと後ろに倒してテーブルの周囲や、
部屋の隅々まで引きずり回したの……。
そして彼は冷酷に「地獄に墜ちろ」と言い放って…
アタシの口の奥まで銃口を突っ込み……
引き金を………。
その瞬間、目が合った彼の鬼みたいなおぞましい眼差しが……!!)


(コンコン………ガチャ)

「お待たせ。今日はちょっと粗末なもんで悪いけど、
こーゆーのの方が消化にはいいから」

そう言って陸奥はベッドの脇の椅子に座り、
スタンドライトをどけ、
台に鶏卵雑炊を乗せたトレーを置いた。

「足りなければ、
又なんか軽いもんでも作って来るよ。
それと、水分はしっかりと取る事。
君は泣き虫の鼻垂れさんだからね。
緊張で汗もかくし、
寝汗もかくから消費が激しいだろ?」

陸奥は笑いながら、
ポカリスエットのリッターボトルと
コップを取り出し、注いだ。

(トポトポトポトポ……)

「―陸奥さん」

「はぁーい?」

「どうしても…
分からない事が有るんです…」

「何かな。
――まだ熱いから、冷ましながら食べな。
(フーッ…フーッ…)」

「――電話とメールの違いって、
なんですか?」

「んー? ……どう、美味しい?」

「―美味しいです…」

「あー、アレまだ気にしてんのか。
そのまんまだよ。
電話は声を出して話す、
メールは文章にして伝える」

「相手に自分の意志を伝える手段という点では変わりありませんよね?」

「そーだね」

「それで、電話で助けを求めたら殺すのに、
メールでなら殺さないという相違と
どう関係あるんですか?」

「分かんないの?」

「ハイ」

「分かんないならしょうがないじゃん。
それ以上の説明なんて無いよ」

「ヒントとか…無いんですか?」

「なんで分かんないの、
電話とメールの違いでしょ?
今言ったじゃん…」

「え……」

「声に出して言ってごらんよ、電話は?」

「声を出して……話す」

「メールは?」

「文章にして……伝える…読む…」

「想像してごらん、
君が電話で誰かに全てを話した。
次の瞬間、パァーン! 君は死ぬ。
その音が聞こえるのは誰?」

「………。」

「メールで誰かに真実を話した、
それを知った僕が亜美ちゃんをパァーン!
その音が聞こえるのは?」

「………。」

「分かんでしょ? 違いぐらい」

「もしかして…」

「ん?」

「もしかして…陸奥さん…」

「モシカシテ、ムツサン?」

「真実が公になっても構わないんですか……?」

「だから言ったじゃん。
疾しい事は何も無いって」

「じゃあ…電話だと殺しちゃうっていうのは…」

「亜美ちゃんが死んじゃったって事が伝わっちゃうよね、相手に」

「――メールだと?」

「殺されそうだ、殺されるかもしれない、
今から殺されるという事実は伝えられても、
『殺された』という事実は伝わらないよね」

「―――ハイ…」

「誰にも知られずに死んでいきたいの?
自分がこの世に存在したって証さえも残せずに、消えたいの?」

「――嫌です…そんなの……」

「君がこうやって誘拐されている事、
君が死んでしまった事、
一切合切、
僕は公になって構わない。そして、
それが君の為だ。
君が生きようが、死のうが、
後から付いて来る成り行き、定め、
責任や現実、何者からも、
僕は逃げも隠れもしない」
chapter 21
思想

2010.07.23(Fri) 4:20 AM

(また…目が覚めちゃった……。
電話……。 メール……。



そっか……、そういう事か……。
陸奥さん、ありがとう……。

もし、アタシが夜道に独りで歩きながら、
恋人と電話してる時。誰かに襲われたり、
交通事故に巻き込まれたりなんかしたら、
身の危険を伝える事が出来るかもしれない。
だけど、メールだと…誰にもそれを伝える事さえ出来ずに、
惨めに死んじゃうのかもね……。

人々は車の運転中や、電車のなか、人混み、
公共の場所、所構わず、
誰も彼もがプライバシーなんて概念を忘れ、
マナーを見失い、モラルを捨てて、
人の目、耳や声を気にせずに話をして
間接的にコミュニケーションを取るけど。
メールって…データとして形に残り、
個人情報として認知されているし、
誰もあえて、公に公開しようなんて思わない…。
誰だって人になんて見せたくもないよね?
秘密なんだから…。

じゃあ、電話で出来る周りの人に聞かれてもいい様な話は「潔白」で、
人に見られないように、
誰かとコソコソとする様な話は「禁忌」?
――ううん……それは…
いくらなんでも大袈裟かもしれないけど…。

電話とメールの使い分け方の、
アタシの生死と関わる接点…。
陸奥さんの思想と人間性…。
少しだけ……理解出来たような気がする…。
信用しても良い、気がする…。

でも、信用できる、できないの理屈と…
アタシが生存できる、できないの可能性は
全くの別論点。
あんな人だからこそ、
ゲームオーバーと共にキッチリと殺すつもりだと思う……。

綺麗事は、もういいよ…。
信じられる人だと分かったからこそ。
逃げれるものなら、アタシは逃げる…。
ゴメンね……陸奥さん…。
明日、メールで…あなたを裏切ります……)


7:30 AM

「あなた、会議の資料は持った?」

「あぁ、準備は万端だ」

「でもあなたそそっかしいから……
鞄の中確認してみたら?」

「心配いらん言うとるのに……………!!
しまった、取引先の商品のファイル…
書斎に忘れとる! 菫、頼む!」

「クスッ…! はいはい。只今…」



「やぁ、すまんすまん。
えらい忘れモンする所だったよ。
じゃあ、行ってくるぞ」

「気をつけて、行ってらっしゃいあなた」

「――亜美の事、何でもいい…
分かり次第会社に連絡を呉れ。
心配でならん……」

「わかってるわ…大丈夫」

8:50 AM

(亜美ちゃん、入るわよ)

(カチャ)

「裕美さん…、おはようございます」

「昨日体調を崩したそうね、
大丈夫なの? 熱は?」

「あ、ハィ。大丈夫です…熱は無いです…」

「そう…今日はお風呂、
止めといた方がいいかしら。
ごはんだけにする?」

「ハイ」

「じゃ、上に来て?」

今日の朝食はサンドイッチと湯で卵、
飲み物はミルク。
二人は寡黙に食事を進めている。

「――今、何を考えてるの?」

「え…? ―えっと……家の事とか…、
学校の事とか…」

「彼氏の事とか?」

「――彼氏なんて……居ません」

「ウッソー! 亜美ちゃんカワイーのにー!?
クラスにカッコいい子とか居ないの?」

「――学校では、中間テストとか、
期末テストとか……
勉強…しないとイケナイし、
やる事いっぱいあるし…、
友達とかの方が仲良いし……」

「何よー、ゴニョゴニョと…。
声が小さくなってって何言ってんのかワカンナイ。
恥ずかしいんだ? 好きな子居るんでしょ!」

「居ないですー! 学校じゃ勉強…、
家じゃゲームばっかのオタクなアタシを
想ってくれる人なんて……変わり者だと思う…」

「そんな事無いわよー! じゃあ、
変わり者君の為にも絶対生きて帰らなきゃ。
んねっ!?」

「ハイッ!!」


亜美はトイレを済ませ、寝室に戻った。

「じゃあ、ゆっくりしてね」

手錠で縛られた亜美の後ろ手に何かを渡し、
裕美は鍵を締め、去った。

(―? 何…コレ……? ――!!
キャンディだ………! 裕美さん…………)
chapter 22
恋心

0:30 PM

昼休みの廊下で、
聖と杉山がダラダラと歩いて来た。

「お前そんなんばっか見てんの?
っしょーもナイ野郎だぜ…ったく」

「イヤイヤイヤ漢ならよぉー、見ちゃうぜ。
見たくなんねぇ? よぉよぉ。
聖だって好きなクセによぉー、
ムッツリ助平コイてんなよなぁー!?」

「誰がムッツリ助平だコラ……ん……?」

(おー…聞いた聞いた。2-Cの女だろ?
名前なんつったっけ?)

(奈倉だよ、奈倉 亜美…。
俺、一年の時一緒んクラスだったけど、
チョー意外だよなー…。
もう学年中に広まってんぜ?)

(おぉ奈倉かよ、オレも知ってる!
おとなしーい雰囲気で
あんま目立たねぇ奴だったな。
駆け落ちとか…
また懐かしい響きの言葉だねーっ!
今時、駆け落ちとか言うかよ?
昭和末期のメロドラマかっつーのWWW)

(真面目な奴だったのに、
ヤンチャなマネするなー…、
ドン引きなんだけど…。
同棲とかなったらガキとか本格的に
いつデキるか時間の問題だな。
今頃、勉学の本分も忘れて
真っ昼間からヤりまくりなんじゃねーの?)

(お前発想がグロいからーっWWWWW)

「………。」

「ん…? お、おい聖?」

「おぅテメーよぉー…、今なんつった?
何、ヤりまくりだ?
誰と誰がヤりまくってんだよ、
おせーてくんない?」

(は……?)

(何だよお前…)

(オイ放せよ…!!)

「ちょ、ひじ……何やってんだよ!
何いきなり…放せって!」

「は…? じゃねーんだよ。
もっぺん言ってみろっつってんの。
今言った事だよ、オイ!!」

(くっ…うっ! 意味ワカンネ…、
お前にゃカンケーねーだろがっ。
やんのかコラ!!)

(ちょWWWW ケンカだWWWWW
先公呼んで来いやWWW)

(おぉーっ!! イイぞヤッちまえー!!)

(ボコボコにしてやれやー!!)

「下らねー噂真に受けて猿みてーに
キーキー喚いてんじゃねーぞザコがぁっ!
オラァッ!! オラァッ!!」

(おぐっ…! ガッ!
――上等だコラァーッ!!!!)

「ひっ……ヒィ〜〜〜っ…、聖よせってwww」

「コラァ〜〜!! そこ〜〜っ!!
何やってンだ、止めなさい!!
止めなさいコラ!! ―――イテッ…ダッシュ(走り出す様)
うぬー……お前ら全員
ちょっと職員室来いっ!
他の連中も教室に入れっ!!5限始まるぞ!!」

「え、先生…俺も……?」

「何言ってんだ杉山ぁ! 早く来いっっ!!」

「エェ〜〜ッ……(´A`;)」


6:00 PM

(カチャ)

「おはよー。具合はどうかな?」

「おはようございます…、
大丈夫だと思います。
今は何ともありません」

「そっか。でも、無理はしなくて」

「ゲームの続き、お願いします」

「――わかったよ、おいで」

場所は、テーブルルーム。
亜美の両足と左手が、椅子に繋がれた。

(ドクンッ……!)

「あぁ……」

(ドクンッ……!)

「あぁ――……」

「亜美ちゃん!?」

「やっ……やっぱり……」

「戻ろう」

寝室に戻り、
四肢自由な亜美はベッドに倒れ込む。

「ヒィ……ハァ……ヒィ……ハァ……」

「亜美ちゃん…今日もやっぱり…」

「あの……ハァ……部屋のテーブル……
ヒィ……とゲー…ムの…ハァ……一式を……
ヒィ……ハァこの部屋に……持って…ヒィ……
くる事は……できません…ハァ……か…?」

真っ白な顔で脂汗を流し、
肩で呼吸をしながら亜美は必死に訴えた。

「なんでそんなに…、
今日は休めばいーじゃん。
この部屋なら大丈夫なの?」

「多分……お願い…します」

「―あの部屋で椅子に繋がれた状態が、
条件反射になってしまったのかもしれないな…。
分かったよ、用意するから待ってて」

「―すみません…」

陸奥は亜美の体を自由な状態にしたまま、
テーブルルームから一式の移動を開始した。

「よっ……と……。
よぉいーしょぉぉ――っ…!
―――ふぅ」

(カチャ……バタン)

「ハァ………………ハァ………………」

亜美の呼吸が落ち着き出した。

(カチャ……バタン)

陸奥はテーブルルームから
持って来たシートを卓上に広げ、
亜美のゲームの途中経過を再現した。
すると何かを思い出した様に、
また寝室から出て行き、10分程経過した。
戻って来た陸奥は、
暖かいココアのマグカップと
ボックスティッシュを
亜美の手の届く位置に置いた。
chapter 23
誠実

「さて…と、こんなもんかな?
ダイジョーブ? 続き、すんの?」

「ハイ……ワガママを聞いてくれて…、
ありがとうございます。
もう、大丈夫っぽいんで、頑張ります。
やらせて下さい」

「わかった。
また気分が悪くなったら、
すぐ横になりゃいーよ」

「わかりました。
あの…始める前に、ケータイを
使わせて貰っていいですか?」

「いーよ」

陸奥は亜美のケータイを手渡した。

「電話…かけていいんですか?」

「どーぞ」

「――本当にいいんですか?」

「ご自由に」

「――でも銃を撃つんですよね…?
アタシに…」

「そりゃ話の内容次第でしょ」

「―――ハィ……」

(ピッ……ピッ…ポッ……ピッ……トゥルルルルルルルル。
トゥルルルルルルルル。)

亜美はチラリと陸奥を見た。
陸奥は銃口を亜美に向ける事無く、
片手をポケットに入れ、
タバコに火を着けている。

「(カチャ)ハイ、奈倉です」

「あ…お母さん? アタシ…」

「亜美……どうしたの……」

「勝手な事ばかり言って、心配をかけて…
ごめんなさい」

「――本当、私とお父さんがどんな思いで
あなたを待っているか…分かる?
でもね、亜美。聞いて? お父さんね、
今は…怒ってないわ」

「――ホント…?」

「えぇ、亜美が好きになった人だというなら……って…ね。
あなたの事を、信じているの。心から」

「――お父さん………」

「でも、せめてお世話になってるお宅から
学校には通いなさい?
家には…あなたの好きな時に
帰ってくればいいわ。
ずっと、待ってるから…」

「――お母さん……! ――愛してる……!」

「私もよ…亜美…。勉強、頑張りなさい?
相手様にも、お世話になりますと
くれぐれも宜しくね…」

「―うん……分かった……」

(プツッ)

7:30 PM

(ピッ……ポッ…ポッ…ポッ…トゥルルルルルルルル。
トゥルルルルルルルル。)

「(カチャ)お電話ありがとうございます。
狭山商事事務担当受付北川でございます」

「あ…あの…お忙しい所……スミマセン…。
あの、奈倉 進一さんは
いらっしゃいますか…?」

「失礼ですが、
ご用件をお伺いしてよろしいでしょうか」

「あ…あのアタシ…
娘の奈倉 亜美と申しまして…、
父と話がしたくって……」

「奈倉 亜美 様でございますね?
しばらくお待ち戴いてよろしいでしょうか」

「ハィ…スミマセン……」

受話器から保留音楽が流れ出す。
――約1分経過。

「もしもし、お電話代わりました」

「お父さん…ごめんなさい…アタシ…」

「亜美……!? 一体どうしたんだ!
男の家に居るのか!」

「うん…今電話、大丈夫なの…?」

「うんにゃマズいがー……うー、かまわん!
それで!? どんな奴なんだ、
まともな男なんだろうな!」

「―うん……」

「これからどうするんだ。学校は!
母さんに連絡はしたのか!
飯喰ってるか? いつ…帰ってくるんだ!?」

「一度にそんなに質問しないで……!
学校は…今ね?
しなきゃいけない事があって…、
それが済んだらちゃんと行く。
お母さんには、連絡した。さっき。
ちゃんと話もしたし……。
ご飯は食べてる。
――ううん、食べさせて貰ってる。
心配しないで。
用事が済んだら…すぐ帰るよ…」

「用事って!? ―あっ、相手は学校の子かっ?
クラスメートか? 何をしてる人なんだ。
歳は? ―そーだ、
名前を教えなさい名前を!!」

「だから一度にそんな質問しないでってば!!――もぅ…。名前は…えーと、
むつ…つむら。つむら たけしさん。
仕事は……お店してる人…」

「つむら たけし君か、ふむ…。
今、そこに居るのか?
たけし君の家なんだろう?」

「えっ………と」

亜美は戸惑い、陸奥の方を見た。
陸奥は「貸してごらん」とでも言うかの様に、
余裕の態度で手を差し伸べて居る。

「かっ…代わった方がいいの……?」

「そりゃーもちろん! 居るんならな。
一度話はしておきたい。
それが当たり前だ。
娘を…預ける相手なんだから」

「―分かった……、代わるね?」

亜美は、恐る恐るケータイを陸奥に手渡した。
chapter 24
無防備


「お電話代わりました。
奈倉さん、初めまして。
つむら たけしと申します。
ご挨拶が遅れました事、
電話口頭の挨拶になりました無礼、
申し訳無く思っています」

「やぁ…君がたけし君か。
すまんねぇ…家の生意気なのが
世話になってる様で」

「いえ…とんでもないですよ…」

「つむら君は、仕事は何をしているんだね?」

「僕は自営業を営んでおります。
少し専門的な分野になりますが」

「そうか。
それは、上手くいっているのかな?」

「今の所は安定しています」

「今の所は…か。歳は幾つだね」

「今年で、27になります」

「ほう、まだ若い」

「恐縮です…」

「不躾で悪いが、その、
今住んでるそこはどの辺に在るんだね?」

「笹宮市の中央区域です、
滝川大学の付近ですよ。
風光明媚な環境ですので、
機会があれば奈倉さんも
是非遊びにいらして下さい」

「随分遠いなぁ…。
将来は、一緒にやって行きたい気持ちで
構えてくれているのかい?」

「もちろんです」

「………………………………。
―――――――――――――そうか。
よし、分かった。
たけし君、不束な娘だがまぁ、
良くしてやってくれまいか。
宜しく頼むよ」

「心配をおかけしてしまい、
言葉もありません。お任せ下さい。
亜美さんと代わります」

「あい」

陸奥は亜美にケータイを手渡した。

「もしもし…お父さん…?」

「うん。まぁ…、いいじゃないか」

「――――愛してる……」

「わたしもだ、愛しているよ。
迷惑ばかり掛けちゃいかんぞ?
そろそろ切らんといかん。それじゃあ、な」

(プツッ…ツー……ツー……)






8:10 PM

亜美は、ケータイを畳み陸奥に渡した。

「ありがとうございました…」

「どーも」

「あの…お父さんに教えてた住所は、
ここの家の住所なんですか…?」

「僕は住所を教えた覚えは無いよ、
『どの辺か』は教えたけど」

「――本当の…情報なんですか?」

「うん」

「じゃあ、住所も聞かれたら本当の住所を
答えてたんですか?」

「うん」

「アタシが聞いても教えてくれるんですか?」

「いーよ」

「そんなの…そんなのって…!!
じゃあ、アタシがメールで
お父さんに住所も真実も伝えたら、
助かるんですか!?」

「それで助かるの? いーよ、別にそれでも。
どうやって助かるの」

「助けに来て貰う事だって出来るし、
警察に通報する事だって
出来るじゃないですか!」

「そーだねぇ」

「それでもいいんですか!?」

「いーよ」

「じゃあ、そうします!!
今すぐそうします!!
ケータイ貸して下さい!
住所も電話番号も教えて下さい!!」

陸奥は再び亜美にケータイを渡した。

「教えて下さい!」

「何を?」

「住所と電話番号です!!」

「※※※ー※※※※
○○県笹宮市中央区凪町※ー※ー※※
※※※ー※※※※ー※※※※」

「ありがとうございます」

亜美はケータイのメールボックスを開いた。

「………。」

亜美は顔を上げ、陸奥を見た。
微笑んで居る。余裕の表情で。
目を見つめると、
心無しか哀しそうにも見える。

――わからない――
chapter 25
正直

「――なんで……」

「………。」

「――なんでそんなに余裕なんですか……」

「それはもう答えたよ」

「なんでそんなに無防備なんですか!!!」

「質問の意味が同じだよ」

(バンッ)

亜美は取り乱し、テーブルを強く叩いた。

「何を企んでいるんですか!!
何を考えているんですか!!」

「――そんなに怒鳴らなくても、
ちゃんと聞こえるよ…。
どうしたの…落ち着いてくれよ…。
別に何も考えて無いし、何も企んで無いよ。
――せっかくココア入れたのに、
要らないの? もう冷めちゃったよ……」

「おかしいじゃないですか!」

「何もおかしく無いよ。
だって君は、死ぬんだから」

「なっ……」

「ゲーム、するんでしょ? やんないの?」

「なんで…死ぬんですか…」

「いやいや、HPが0になったら
この銃でバキュ――ンッ!!」

「0に……なるの…?」

「そりゃ運が悪けりゃねぇ?」

「こんなゲーム……や……やりません……」

「なんだ、やんないの?
やるっつったから全部持って来たのにー……。ざーんねんっ!
あっ、分かった。腹が減ったんだ?
じゃ、メシ作って来るよ」

「要らない!」

「ふーん。じゃ、寝る?」

「寝ませんっ!!」

「――どーしたいの……。
僕はどーすればいい?」

「アタシを…ここから出して……」



9:30 PM

「……………。」

「……………。」

「――亜美ちゃん…?」

「―――ハィ……」

陸奥は椅子から立ち上がり、
亜美に近づいた。
そして亜美の目線と同じ高さまで
ゆっくりと腰を落とし、初めて見せる
憂いの表情で、優しく、諭すように、言った。

「――それは…クリア出来たらねって……
言ったじゃない……」

「――じゃあ……何も、
してくれなくてもイイです……。
今からメールで助けを呼びます……」

「――そっか……分かったよ…」

「―――最初から……聞けば何もかも……
教えてくれてたんですか……?」

「うん」

「逃げ道を……用意してくれてた………
って事ですよね…?」

「違うよ」

「違いません」

「そんな風にしか解釈出来ないのなら、
僕がした説明の意味を
君は全く理解出来ていない」

「―どういう事ですか……?
解りやすく説明して下さい」

「説明なら、もう充分にしたじゃん」

「――あなたの理屈は…、矛盾してる……」

「してないよ」

「してる」

「どうしてるのさ」

「―――もういい、動かないで。
―じっとしてて。呼ぶから」


(どうしよう……お父さんにメールなんて、
ハッタリ……。
お父さんの会社の番号は知ってるけど、
ケータイのメアド知らない…
番号も知らない…。
知ってたとしても、
お父さんメール出来ない人だし…。
お母さん家電の番だから
ケータイ持ってないし…。
千夏と恵も、仲はいいけど…知らない…
優香は…キャサリンよりも久しいな。
こないだアド変の報告メール来てたっけ…?
あーもぅ……
登録し忘れたまま放置し過ぎて、
そのメール消えちゃってるよ…!
キャサリン……キャサリンかぁー……、
――あぁ………微妙だなー……。
小笠原君……
昨日初めてメール貰ったばかりなのに……
おかしいよね……。
学校でもあんまり話した事無いし、
そんなに仲良く無いし……。
――だいたい特別仲のイイ男子なんて
一人も居やしないけど…。
あぁー…キャサリンー……。
絶対警察は信じてくれないよね……。
やっぱり小笠原君に……賭けてみるしか…
無いのかな……
なんて送ればいいんだろう…。
時間なら幾らでも有るから…
落ち着いて、冷静に、ちゃんと
伝わる文章を作らなきゃ……)
chapter 26
SOS

10:10 PM

大音量で流れるハードロック。
コンポから溢れ出す重低音と
疾走感のある8ビートチューンに合わせ、
ベースアンプに繋いだヘッドフォンを被り、
聖は自らの演奏を模索していた。
♪♪・♪・・♪・・♪・♪♪ ♪ ♪ 
♪・・♪ ♪ ♪ 
(ひじりぃ―――っ!!!
ウッセェ―ぞぉぉぉおおおおお!!!!
いー加減にしとかねーと
また近所中から苦情の集中砲火食らっちまうじゃねぇか――っ!!!)
♪  ♪ ♪  ♪  ♪ ♪・・  ♪
♪   ♪     ♪ ♪♪ ♪
(ガチャッ)
「やめろっつってんの、
このクソガキャアアアア(ドカッ)」

「うおっ!!
―――ってーなコラ、クソ兄ぃー!!
ノックぐらいしねーか!!」

「こんなゴッついヘッドフォン被って
ベケベケベケベケ弾いてりゃー、
んなモン聞こえる訳……
ねぇーだろがぁ――っ!!」

「うぐぅおおお……!!
ギブギブギブ! ギブっ! ギィブっ…!
わーったから放しやがれ!」

「DQN風情が…しめーにゃツブしちまうよ?
そのポンコツ」

「あ…それは…ちょっと…。
商売道具なんで……」

「何が商売ドーグだ一丁前に…」

聖の兄はノシノシと一階に戻って行った。

(――あ〜らよっ、出前一丁♪
ちっ………寝るか)

聖は練習のシメに
某インスタント麺のCMフレーズを
兄に対する当てつけのつもりで
ワザとベースでキメ込み、
寝床に身を沈めてなんとなしに
ケータイを手に取った。

(――お、メール来てんじゃーん。
杉山か? ―――!! 奈倉!?)

Date; 2010/07/23 22:15
From; 奈倉 亜美
Title; 夜分にごめんなさい…。

聞いて欲しい話があるんだけど…。
―END―

「うぉぉぉぉ……!? お、俺でよけりゃ…」

To; 奈倉 亜美
Title; Re; 夜分にごめんなさい…。

オッスー!! どーしたよぉー!!(^O^)/
なんかあったんかー!?
俺で良ければ聞きまくっちゃうぜー★★★
―END―
(送信しますた)

(オイオイ…何だよ……まいったナ…。
男とケンカでもしたんか?
――そりゃ俺か(笑)
何…まさか恋愛相談とかじゃねーだろーな…。気まず過ぎるだろ、いくらなんでも……)

20分経過

(―――おせーな!! 何だよ話って!!)

(♪♪♪)

「キタ――――( ゜∀ ゜)―――――」

Date; 2010/07/23 22:38
From; 奈倉 亜美
Title; Re; Re; 夜分にごめんなさい…。

ありがとう…。
アタシね? メアド知ってる友達が居なくて、
こんな情けない事
頼める人が居なかったから、
小笠原君にこんな迷惑なメールを
送ってしまう羽目になりました……。
本当に、ごめんなさい…。
長文になりますが、
どうか最後まで読んで貰える事をお願いします…。

今から話す事、
小笠原君にはとてもじゃないけど
理解出来ないかもしれないし、
信じても貰えないかもしれない。
でも全ては真実で、
真剣な気持ちで伝えようと思います。

結論から先ず、簡潔に伝えます。
私は今、ある男性に拉致監禁されて居ます。
朝日ケ丘から遠く離れた街にある
ゲームショップで騙され、
誘拐されてしまいました。

詳しい事を話します。
犯人の名前は、陸奥 武流(むつ たける)。
本名だと思われます。
誘拐した動機は身代金でもなければ、
猥褻な目的でもありませんでした。
では一体何なのか。
私自身も不可解なのですが、
本人の言い分では「楽しむ為」だそうです。

彼には私に対する要求が有ります。
それは、彼自身が創作したゲームをする事。
それを全て成し遂げる事で
私を解放すると言っています。

ゲームのルールを
克明に説明すると長くなりますが、
失敗してしまう事に対する代償は、
私自身の命です。
しかし、ゲームを進める事は
解放に対するあくまで「条件」であり、
「強制」ではありません。

彼の性格は、極めて紳士であり、
私に対する暴力や拷問、酷行は皆無で、
十分な食事も用意され、
丁重な生活待遇を受けているのが現状です。

最も理解出来ない事かもしれませんが、
彼は一切の隠し事も無しに個人情報の全てを、
質問すれば躊躇なく正直に答えるという
滑稽な有り様です。
この件が公になる事。
私が生還し、彼自身が検挙になる事について恐れて居ません。

そして、(私を無条件に解放する事)
(携帯所持のまま生活をする事)
(電話口頭で助けを求める、
又は警察へ通報する事)
この三点以外の全ての要求を
快諾してくれます。
故に、このように携帯のメールで
現状を公開する運びとなりました。
下記の住所が私が監禁されている現場であると思われます。

※※※ー※※※※
○○県笹宮市中央区凪町※ー※ー※※

携帯の番号と思われるものが、
※※※ー※※※※ー※※※※ です。

小笠原君にお願いです。
どうか直ちに警察に行き、
この文面を元に通報して下さい。
もし、警察がこの件を軽視し、
事件性の無い物と判断されましたら、
学校、両親に真実を伝え、
救助を要請して下さい。

助けて欲しいです…、
アタシまだ死にたくない……。

―END―
chapter 27
血気

10:45 PM

(――――ちょ……マジ…か……!?)

聖の全身に熱が帯びる。

(ピッピッポッピッピッポッピッ………トゥルルルルルルルル。
トゥルルルルルルルル。)

「(カチャ)はい」

「陸奥 武流ってお前か?」

「そーだけど」

「奈倉 亜美を解放しろ」

「………。」

「おい、聞いてんのかテメー…
ザケてんじゃねーぞオラァ!!」

「(良かったね、亜美ちゃん。
君の『死に目』の立会人が
電話くれたみたいだよ)」

「!?」

「誰だか知んないけど、
今から十秒後に面白い『音』を
聴かせてあげる。じゅぅぅう」

「はっ……!?」

「きゅぅぅう」

「(小笠原君なの!? お願いっっ!!
電話を切って!!)」

「はぁぁあち」

「なっ……意味わかんね…
どーゆーコトだおい!
変なマネしやがったら」

「なぁぁあな、ろぉぉおく」

「(お願いだから早く切ってぇぇっ!!
殺されちゃうっ!!!!)」

「ごぉぉおよぉぉおんさぁあんに」

「くっ……!!」

(プツッ……ツー…ツー…)

聖は、得体の知れない
受話器の向こう側の威圧に触れ、
体の中の何かが
収縮するような感覚を覚えた。

(バクン…バクン…バクン…バクン…)

(――な…並大抵の人間じゃねぇ……。
俺のせいで…俺のせいで奈倉が
殺されちまう所だったの…か…?
遠くで叫んでた…奈倉の張りつめた声が……
脳裏に焼き付いて離れねぇ………)



(♪♪♪)

(!!!)

Date; 2010/07/23 22:48
From; 奈倉 亜美
Title; 勝手な事しないで…

怖かった……。

もの凄く怖かった……。

今度こそ殺されるかと思った……。


ちゃんと読んでくれなかったの…?
電話は、ダメなの…絶対…!

小笠原君に頼った
アタシがバカだった……もういい。

―END―

(くっ……うぅぅ………
クソッタレェェェェェェェェェェェェ!!!!)

聖は兄のマガジンラックから
マップルをあさり出した。

(○○県……笹宮市………笹宮…おっ!
中央…中央区……中央区……よし。
―――なんて読むんだ?
コレ…………………………あった!
約……47kmか……
よっしゃ…)

聖は通学鞄からメリケンサックを取り出し、
ポケットに忍ばせた。
そして、壁掛けハンガーに吊るされた
兄のブルゾンのポケットから
単車のキーを引き抜いた。

(ドタドタドタドタドタッ…)

「っせーぞひじりぃー!
どっか行くんけぇ――!?」

「おーっ、アニキのマジェスティ
ちょっと借りんぜぇー!?」

(キュキュキュキュキュキュ…! キュキュキュキュキュキュ…!
ブォ――――ン!!)

「はっ!? 何が借りるだ…
無免だろーがテメー!!」

(ブロロロロロロロロロロ………)

「待てテメ、くらぁーっ!!
ボディ塗り替えたばっかなんだぞソレーッ!!」


聖は、夜の公道に走り去った。
chapter 28
後悔

11:00 PM

(ツー…ツー…ツー…ツー…)

「――今の、恋人…?」

「――違います」

「ふーん。あ、クラスメートか…」

「――――どういう事ですか」

「何が?」

「今、アタシを殺そうとしましたよね…」

「したよ?」

「なんでですか…」

亜美は声を震わせ、
唐突な陸奥の行動に対しただならぬ恐怖と
反感を抱いた。
俯き、陸奥の顔を見ようとはしない。

「彼の開口一番の台詞といい、
続く言葉といい、明らかに僕らの現状や
事情を把握した人間であると見なせた。
そいつが僕のケータイに電話をかけて来た。
口頭で話が出来た。
君が『電話で事情を話す』という事と
結果論として事態はシンクロする。
つまり僕の定義したルール上、
該当しているからさ。意味は解る?」

「―なんとなく…。
聞くまでも無いですけど、
さっき彼がゼロまで電話を切らなければ
本気で撃つつもりだったんですよね…?」

「うん。でも、身から出た錆だよね。
君がメールで助けを呼んだ事で
招いた結果だよ?
僕の電話番号を公表して、
こうなる事は予測出来なかったの?」

「――うぅ〜っ……!」

亜美は屈辱に悶えた。
悔しくて堪らなくなり、
陸奥の言い分も筋の通った説教に感じ、
自分の浅はかな行動が情けなくもなった。

「電話番号まで伝える必要はあったの?
誰かをここに、
助けを呼ぶつもりだったなら
住所と名前と事情だけで充分だったんじゃない?」

「じゃあ聞きますけど、
なんでカウントダウンなんて始めたんですか?
なんですか? アレ。
陸奥さんお得意の
ゲームらしい『演出』ってヤツですか?
シャレてるつもりなら
勘違いしないで下さいね」

「演出じゃない、サービスだよ」

「意味が分かりません」

「そのまま撃っちゃって良かったの?
訳が解って無かったんでしょ?」

亜美は下唇を噛み、眉間にシワを寄せた。

「撃てば良かったじゃないですか!!
好きにすれば良かった…殺したいんでしょ!?
アタシの事…そんなに撃ちたきゃ
撃てば良かったじゃないっ!! 撃てば!?」

「え、死にたいの?」

「!! ………。」

亜美はその冷血な一言に威勢を制され、
冷や水を浴びせられたかのように我に返った。

「そんなムキになって
突っかかられても困るよ。
こないだも言ったけど、
僕は別に君の事を殺したい訳でも無けりゃ、
むやみにこの銃を使ってみたい訳でも無い。
――生かしたい訳でも無いけどね。
ただ、スリリングに
ゲームを機嫌良く楽しみたいだけ。
余計なお世話だったなら謝るよ、ゴメンね?
どうか許して欲しい…」

「………。」

(♪♪♪)

「あ、鳴ったよ? ハイ」

亜美は黙って
無愛想にケータイをひったくった。

(………。)

Date; 2010/07/23 23:27
From; 小笠原君
Title; まさか殺されてないよな?

奈倉…さっきはマジで、ゴメン…。
あまりに軽率な行動だった……。
この瞬間、既にお前が亡き人になってて、
この文を野郎が読んで
嘲笑ってんだとしたら…、
俺は一生お前の影を背負って
生きて行かなきゃなんねーな…。
俺のせいなんだから…。

せめての償いに、
自分の足で生死の確認に行く。
キッチリ落とし前つけるから、
待ってろな…。

陸奥

ろくな死に方させねぇから、
そのつもりでそこに居ろ。逃げんなよ。

小笠原 聖

―END―

(!! だ……だめ……来ないで!)

To; 小笠原君
Title; Re; まさか殺されてないよな?

生きてる! 生きてるから! 来ちゃダメだよ!?
関係無い人を巻き込みたく無いの!
お願い!! 警察には知らせてくれた!?

小笠原君のせいなんかじゃない、
アタシが電話番号まで教えたから
いけなかったの……。
そこまで責任を感じさせてしまう事になるなんて…。
本当に軽率だったのはアタシ。
後悔して居ます……。

―END―

(送信しました)
chapter 29
推察

「――そーいえば、
彼の事小笠原君って呼んでたね。
思い出した」

「……………。」

「小笠原君を呼んだんだ、ここへ」

「呼んでません、警察に救助を求める様に
お願いしたんです」

「いや実際救助に来るのは彼自身だよ。
ここへ来るよ? 小笠原君」

「な、なんでですか…」

「君の事が好きだからだよ」

「なっ!? なんでそんな事……」

「分かるんですか!? って?
――あ、赤くなった。カワイ……。
分かるさ、話し方で」

「根拠の無い推測はやめて下さい」

「根拠なら有るよ。
聞きたく無いなら言わないけど」

「聞きたくありません」

「ふーん。―――小笠原君は、
クラスメートなんだよね?
じゃあ朝日ケ丘辺りからだろーから、
車で来るにしても深夜見積もりで
片道最低一時間半以上はかかる。
彼がここに乗り込んで来る迄、どーすんの?」

「何もしません」

「分かったよ」


2010.07.24(Sat) 0:00 AM

「……………。」

「……………。」

「彼からの返信を待ってるの?」

(!!)

「待っても無駄だよ、来る訳が無い」

「なんでですか」

「画面なんて見なくても、
シチュエーションや各前提を踏まえて君らのメールの
やりとりくらい、
うすらなんとなく想像は着く。
人間の発想なんて限界がある。
ましてや16、
もしくは17歳同士のやりとりならね」

(!! ――――アタシが見た悪夢の通りだ……)

「図星突いてるかどーかは分かんないけど、
亜美ちゃん僕の事
『なんでもかんでも見透かせる頭のキレる人』みたいなイメージで見てなーい?」

「――図星です……」

「もし、僕が彼の立場だったら。
今更君が安心と納得をさせる為に宥めて、
ここへ来る事を拒むメールを
受けたとしても、
安心も納得も出来る訳が無い。
なんでか分かる?」

「………。」

「もう、小笠原君の中では
とっくに亜美ちゃんは殺されていて、
全て僕の自作自演だと疑ってかかるからさ」

「そ…んな……」

「まぁそもそも僕が
亜美ちゃんのメールを受けた張本人ならば、
内容を見た時点でそれを信じ、
君を救う為に電話なんてかけずに、
一目散に警察に駆け込むけどね」

「―ですよね…」

亜美は陸奥の真理を突いた重い言葉に
改めて責任を痛感し、
それに押し潰されそうな感覚に襲われた。

「それに、今言ったけど。
僕は人より利口な人間って訳では決して無い。
もし、亜美ちゃんが
僕の立場の人間で在るなら、
必然的にプレイヤーの心理を
ある程度までは見抜き、
心遣いやフォローをしてあげられる筈だよ。
人並みの思いやりが有ればね。
―――あー! いっけにぇ〜!!
そんなものが有れば根本的に
人様を騙して攫って来たり、
地下室に閉じ込めたりするワケなんて、
ねっかぁ〜! どわっはっはっはっはっ!!」

「――――ハィ…」

「という訳で、何があろうが彼は怒り狂い、
闘う為にここへ
乗り込んで来る事は間違い、無い。
面白くなって来たね! 亜美ちゃん?」

「――小笠原君が来たら、
どうするんですか……?」

「え゛ぇ――――っ!? それを僕に聞くの!?
呼んだのは亜美ちゃんだよ!?」

「そうですけど……」

「僕がどう出来るって言うの?
何もしないよ、する筋合いも無い」

「殺したりしないですか?」

「それヒドくない?
僕に小笠原君を殺させる為に呼んだの?
この銃で?」

「違います! 違う!! じゃあ、
小笠原君が陸奥さんを殺そうとしたら…?」

「いや、殺される筋合い無いんですけど…。
何もしない」

「ウソ……」

「ホント」
chapter 30
衝撃

1:00 AM

(―助かりそうな、気がしてきた…!
後は、時間の問題かも……。
そうだ、陸奥さんは
質問すれば何でも答えてくれる…
隠し事はしない人だ。
小笠原君…ううん、誰かがここへ
助けに来てくれる迄の時間稼ぎも兼ねて、
聞きそびれてる大切な事は
他に無いかなぁ……。
うー……うー……………!!そういえば…)

<このゲームをする羽目になったのは、
アタシが初めてですか?>

<違うよ>

<何人居たんですか? どうなったんですか?>

<二人。晴れて両方クリアーしたよ>

「陸奥さん」

「なんじゃらホイ」

「このゲームを過去にクリアした二人の方って、どういう人達だったんですか?」

「1人目は裕美だよ」

「裕美さん!?」

「亜美ちゃんにあげたキャンディは、
裕美がクリアした時点で
使わず終いに持ってた余りなんじゃない?」

「裕美さんも拉致監禁したんですか!?」

「したよ」

「薬品のハンカチで眠らせてですか!?」

「亜美ちゃんは、眠ってたんじゃない。
気絶してたんだ。
裕美の時は、そそのかしてここに連れて来た。
店の営業が終わった、
アイツのバイト帰りに。」

「ヒドいっ!! でもその頃から裕美さん、
陸奥さんの店で働いてたんですか?」

「そだよ」

「一体なんてそそのかしたんですかっ!!」

「家にメシ食いに来い」

「ほんっとサイテー………」

「どーも君です」

「こんなヒドい目に遭って、
なんで裕美さんは、
それでも陸奥さんの下で働いてるんですか!?」

「知らねーよ。それは本人に直接聞けば?」

「―もうすぐこの場所とはサヨナラなんで、
そんな機会もう無いです」

「裕美に電話してやろーか?」

「え!?」

「聞きゃいーじゃん」

「えっ……あ……、じゃお願いします…」

陸奥は徐にポケットから
ケータイを取り出した。

(ピピピポパポピポ…トゥルル)

「(カチャ)はい」

「出るの早っ!!!」

「今友達とメールしてましたから。
なんです?」

「亜美ちゃんがお前に
聞きたい事があるんだと」

「え? 私ですか? ―あ、はい。
いいですよ」

陸奥はケータイを亜美に渡した。

「あ…モシモシ……」

「まぁ、亜美ちゃん! 元気!?
遅い時間まで頑張ってるのね。
どう? 順調なの?」

「ハイー…おかげ様で…」

「なぁに? 聞きたい事って」

「今、陸奥さんに聞いたんですけど…。
裕美さんが陸奥さんの作ったゲームを
初めてやったって、本当ですか…?」

「えぇ、そうよ?」

亜美はさすがに絶句した。

「――アレ…? 亜美ちゃん…?
モシモシ? モシモーシ!」

「なんで……そんなヒドい目に
遭わせた人の下で働いてるんですか!?
怖く無かったんですか!」

「あ…亜美ちゃん……、声…
音が割れてるから……。
えぇ、とっても怖かったわ?
何度も何度も、死にそうになるたんびに
大声で泣き喚いて……。
あまりの恐怖に
オシッコちびっちゃった日もあったよ?」

「オシッ……!?
そ、そ、それなのになんで…!?」

「色々あったのよ、店長とは。
詳しく聞きたいのかもしれないけど、
時間的にどうかしら…。
店長はなんて言ってるの?」

「あの…陸奥さん。
どれくらい話をしてていいんですか?」

「その後、僕も裕美に話があるから
程々に頼んでいい?」

「――程々にして欲しいみたいなんで、
やっぱり…いいです。
夜遅くにごめんなさい…」

「ううん、私も話せて良かったわ?
あと、キャンディはね。
確率は低いけど、モンスターを倒した時に
時々落としてくれるわ。
頑張ってねハート」

「! ――――分かりました、
ありがとうございますっ!
あの…裕美さん…」

「ん?」

「――会えて良かったです…さようなら」

「――――さようなら…!!」

「陸奥さんに代わります」

「えぇ」
chapter 31
公平

1:30 AM

亜美は陸奥にケータイを返した。

「おー、裕美? お疲れお疲れ。
あのさー、今日でラストっぽいから、
お前明日開店から通し出勤な。
売り上げの日報とジャーナルの算出、
あと点検も宜しく。
急に忙しくしちゃうけど、ゴメンな?
後の事は、頼んます。
――おぉ、ん。はーぃ、バイバイッ!」

(プツッ…)

「え、あの……ラスト……って?」

「え? さっき亜美ちゃんが
今日でサヨナラっつーから…、
店を引き継ぎさせたんだよ。
ケリ、つけんでしょ? あと少しで」

「ハィ………………」

「あー、そうそう。
あと1人のゲームプレイヤーは……」

「ゲームプレイヤーは………?」

「……………。」

(―――ゴクッ…)

亜美は生唾を飲み込み、喉を鳴らした。

「――――――――――誰だと思う?」

亜美は心の中で『フザけんなよこの野郎』
と叫んだ。

「――アタシの知らない人…ですよね…?
お客さんですか?」

「ある意味知らない人」

「またそんな意地悪な事…
なんですか『ある意味』って。
知らない人なら当てようが無いじゃないですか!」

「そーだね」

陸奥は悪戯っぽく少年の様な含み笑いをした。

(もー! 陸奥さんらしくない…。
いつもだったらサラッとすんなり
教えてくれるのに…)

亜美は考え、そして唸った。
何気に陸奥の目を見た。笑っている。
いつも通り、不敵に。
瞳を見た。いや、見つめた。
亜美は蛇に睨まれた蛙の様に、
動きを封じられた。
何故か目を逸らせない。今思えば、
陸奥は常に亜美の目を見て話をしていた。
亜美は、今更それに気付き困惑する。
この四日間、それについて
あまり意識する事の無かった屈託の無い、
真っ直ぐな眼差し。
やがて亜美は顳かみに嫌な汗を一粒流し、
思った。

(―――え……まさか…、嘘でしょ……?
だって……そんな……!)

陸奥はブレないその『瞳』で、
集中しなければ気付かない程微かに、
―――――頷いた。

(!!)

「2人目のゲームプレイヤーは、
陸奥 武流。――と云う男だよ」

「嘘よっ!」

「なんで?」

「だって……じゃあディーラーは!?
自分でコイン弾いて、
自分でサイコロ振って、
自分で駒を動かして、
自分でモンスター決めて、
それでゲームオーバーになったら
自分を撃って自殺するの!?
そんなのゲームとして成立して無いじゃない!
ズルしようと思えば
幾らだって出来るし……馬鹿げてる!!」

「あぁ、ディーラーか。
ディーラーは……………………………………………………………………裕美がやったんだ」

亜美は呆れてモノが言えなかった。

「あいつは、クリアと同時に泣き崩れた。
人って…こんな風に声を上げて泣く事って…あるんだなぁー……って
呆気に取られてしまう程、全力で、
力の限りに」

「――気持ち…分かります……」

「ひとしきり泣いた彼女に、
労いの声を掛けようとしたら
『店長に、今の私の気持ちが解りますか?』
って言ったよ」

「―――ハイ……」

「『人の痛みが、解りますか?』って、
言ったよ」

「――――ハ…ィ………」

「『私が、命がけで、
危ない橋を渡って見せた結果だけを。
他人事みたいに誉めて、祝って、
労ってして片付けようなんて、
まさか思ってませんよね? 店長』って、
言ったんだ」

「……………………………。」

「そして僕に抱き付き、耳元で
『次は、店長の番です……その銃、下さい』
って……言ったんだよね」

亜美は


















卒倒した。
chapter 32
決意

2:10 AM

「―――ぅ…………ぅぅ…ん…!」

「あ、気がついた。ダイジョーブ?」

「アタッ…アタシ……!」

「いきなり後ろに倒れたもんだから
ビックリしたよー。
座ってたのがベッドで良かった。
ちょっと刺激が強過ぎる話だったみたいだね」

亜美の額には冷えピタシート。
陸奥の片手には銃。
ではなく、湿ったタオル。
スタンド台の上に水を張った洗面器と、
濡れタオル。
亜美の寝汗を拭い、
介抱してくれて居た様だ。

「アタシ……
どれくらい気を失っていたんですか…?
小笠原君は……」

「んー…20分くらいかな。
小笠原君まだ来てなーいよー?」

「そう…ですか…。
――介抱してくれてたんですね…
ありがとうございます…」

「いーえ」

「………。」

(陸奥さんも…フェアな条件でこのゲームを
クリアさせた経験者…。
陸奥さんは、嘘はつかない…。
この人は逃げない、隠れない…)

「陸奥さん」

「はあい」

「ゲームをしてる時、怖かったですか」

「怖かったよ」

「陸奥さんにも、怖い事があるんですね」

「いつ僕が怖いもの知らずって言ったよ」

「逮捕されるの、怖いですか」

「逃げも隠れもしないとは言ったけど、
怖く無いなんて一言も言ってないよ」

「怒り狂った小笠原君が来るのは、
怖いですか」

「怖いよ。
ボコボコの半殺しじゃ済まないね」

「そんな風に見えませんでしたけど。
ずっと。今の全部、棒読みだし」

「そーゆー人なんです、僕って奴ぁー」

「―――――――――バカ………」

(ポタッ……ポタッ………)

「あれっ…!? もー…、
どんだけ泣き虫毛虫なんだよ〜…」

陸奥は洗面器で濯ぎ、
力強く絞って水気をしっかりと取ったタオルで、
亜美の頬を伝う雫を丁寧に拭う。

亜美は、誘拐初日からこの瞬間までの
陸奥の発言、態度、表情、行動、面影、
存在を、永い時間をかけて

想った。

3:10 AM

亜美は突然テーブルに向き直り、
サイを握って放り投げようとした。
陸奥は素早く亜美の右拳を掌で被せ、
遮った。

「何勝手に始めようとしてんの?
まさか僕が実は殺す気は無いとか考えて、
見くびってんじゃないよね。
死ぬよ? マジで」

「そんなんじゃないよ。
やりたいの、このゲームを。
アタシは、―――――――死なない」

(♪♪♪)

陸奥はケータイを亜美に渡した。

(―――!)

Date; 2010/07/24 3:15
From; 小笠原君
Title; 着いたぜー

ご丁寧に「陸奥」って表札出てんじゃん。
住所通り、今テメーん家の前に居る。

事情を知ってる俺だから
電話はマズいんだろ?
ちったぁ分別のある人間らしいな。
話、しようや。

家ん中に入れてくれ。
十秒以内に出てこねーと
ピンポン鳴らしまくっちまうぞ。

―END―

(――な、何言ってんの…?)

「返信しなくていいよ。
彼、着いたんでしょ?
玄関へ迎えに行って来る」

「えっ……!? 違う! 違うの!
これ小笠原君じゃない! 別の友達!
早とちりしないで!」

「いーよ分かってるから。
招き入れても大丈夫だよ。
パーティーはみんなで楽しまなくっちゃ。
待っててね、連れて来るから」

「駄目っ……!」

陸奥は寝室から出て、
聖の待つ玄関に赴いた。

(ガチャリ)

「やぁ、いらっしゃい。初めまして………!?」

聖は、開いた玄関扉から顔を出す
陸奥の胸ぐらをいきなり掴み上げた。

「会いたかったぜ。
半端ねぇ距離をノーヘルで来たから
いい塩梅に頭が冷えて、
まともに話が出来そーだよ。
ワリーけど奈倉んトコ案内してくんねぇかな」

「いーよ。ようこそ、地獄へ…」

「お前のだろ? 閻魔は俺の役目だ」

陸奥は、殺気立つ聖を寝室に招き入れた。
chapter 33
信頼

3:20 AM

「お客様、こちらでございます」

「奈倉……!!」

「小笠原君……何しに来たの…」

「奈倉を…助けに…だよ。
もう、ゲームなんかやんなくていい。
帰ろう…。――おい陸奥、文句ねぇな?」

「そりゃダメだよ。
彼女はまだゲームをクリアしていない」

「なんだと? テメ……」

「やめて小笠原君!! 暴力はイヤ。
お願い…落ち着いて。アタシね?
ゲームする事に決めたの」

「何言ってんだよお前…
負けたら死ぬんだろ!?」

「大丈夫、死なないよ…アタシ」

「死ぬよ」

「はぁー!?」

「小笠原君やめてってば!!
――彼には絶対に手を掛けないで。
約束して。本当に…大丈夫だから…、
見守って居て欲しいの…。
もし、負けてしまったら…
アタシの最期も見届けて欲しいよ……。
それが小笠原君にとって堪え難い事なら、
今すぐ帰って…」

「そんな事は許さねぇ…、奈倉の事……!!
そんならなんの為に
ここまで来たんだよ…!!」

「アタシは小笠原君を
ここに呼んだ覚えは無いわ。
警察に行って欲しいってお願いしただけ。
アタシの事、守りたくて
ここまで来てくれたんでしょ!?
アタシの為に…! アタシなんかの為に!
じゃあ、ちゃんと警察には行ってくれたの!?
警察は動いてくれたの!? 結果はどうだったの!?
教えてよ!!」

「――――行ったよ」

「嘘!! じゃあなんで先に小笠原君が動いて、
ここに居るの!?
警察が来るのが筋でしょ!?
凶悪犯相手にアタシの事、守れるの!?
死んじゃった時は責任取れるの!?」

「そん時は、
コイツぶっ殺して俺も死(パシィッ)」

亜美は聖の頬に平手打ちを放った。

「――そんなの…狂ってる……」

「………。」







「小笠原君」

「――あ?」

「――アタシの事、どう思ってるの?」

「―――――好きだ……」

「ハッキリ言ってよ聞こえなぁーーい!!!!」
(ビクッ…)

「――好きだぁーー!!!!!!」

「――ホントに…?」

「何べんも言わせんな…、
だから来たんだろーが…。ペッ……」

「こんなアタシの事、
そんなに想ってくれて…。
こんな遠くまで来てくれるぐらい好きなら…信じてくれる……よね?
アタシは、生きるよ……? 大丈夫だから……。
好きな様に、納得の行く様に……
最後までやらせて…?
――――――――お願い……」

亜美は両手で聖の頬を撫で、
潤んだ瞳で真正面から見つめた。

「――チッ、好きにしろや…」

「ありがとう…!」

「奈倉」

「はい」

「負けんなよ、俺も付いてっから…」

「―分かってる…!」

勇者は不屈の想いを胸に、
戦場を隔てて悪魔と対峙した。

「覚悟は決まった?」

「はい、もう逃げません」

「それじゃあ、始めようか。サイを」
chapter 34
勇者

亜美の拳から、サイは解き放たれた。

5
「有効」
亜美は 5 進んだ

マタンゴ HP 3
「化け物キノコが襲ってくるぞ」

「戦います」

「CS」
「裏」
「先攻、サイを」
6
「有効、マタンゴ撃破」

S ○○○○●
現在 レベル 2 HP 10/10 ポイント 2/3 金貨 2枚 キャンディ


「サイを」
6
「有効」
亜美は 6 進んだ

キラービー HP 4
「鋭い針を持つ巨大蜂だ」

「戦います」

「CS」
「表」
「先攻、サイを」
5
「有効、キラービー撃破 レベルアップ
サイを」
2
「有効、レベル 3 最大値 12 サイを」
3
「有効、次まで 3 ポイント」

S ○○○○○○○○○○●
現在 レベル 3 HP 10/12 ポイント 0/3 金貨 3枚 キャンディ


「なかなか幸先の良いスタートじゃん。
サイを」

「えぇ、お蔭様で」
1
「有効」
亜美は 1 戻った

ウェアラット HP 5
「ド〜ブネ〜ズミ〜 みたいに〜♪」

「戦います」



「CS」
「表」
「後攻、サイを」
6
「有効、亜美 HP 4 サイを」
4
「有効、ウェアラット HP 1 サイを」
1
「――今、躊躇無かったね…。
分かってる?
二分の一の確率で、死んでたんだよ?」

「!? ―奈倉! そうなんか!?
意味が分からずに見てたけど…」

「それはそうと有効、無効、
どっちなんですか?」

「有効」

「じゃあ、アタシのHPは 3 ですね。
サイを投げますよ?」

「どーぞ」

「ちょ……奈倉っ…! ヤケッパチになっ」

「小笠原君、約束」

「――わーったよ……。
なんだコリャ一体……」

2
「有効、ウェアラット撃破」

S ○○○○○○○○○●
現在 レベル 3 HP 3/12 ポイント 1/3 金貨 4枚 キャンディ

「サイを」

「あの、陸奥さん」

「まいど」

「これ…、また裕美さんに
戴いた物なんですけど…」

「―あぁ、まだあったんだ。使う?」

「やっぱり、コレがそうなんですか?」

「うん、回復キャンディ。
ソレ持ってたから強気だったんだ〜。
なるほどね〜」

「使い方を教えて下さい」

「食べるだけだよ」

「なんて単純な…」

亜美はキャンディを食べた。HPが全快した。

「美味しい?」

「ハイ。サイを振ります」

「キリキリ行くねー、どーぞ」
chapter 35
影響

2
「有効」
亜美は 2 戻った

コロボックル HP 2

「戦います」

「CS」
「裏」
「先攻、サイを」
4
「有効、コロボックル撃破」

S ○○○○○○○●
現在 レベル 3 HP 12/12 ポイント 2/3 金貨 5枚

「サイを」
5
「有効」
亜美は 5 戻った

ウェアラット HP 5
「う〜つ〜く〜し〜く〜な〜りぃ〜たい〜♪」

「戦います」

「CS」
「裏」
「後攻、サイを」
1
「有効、亜美 HP 11 サイを」
3
「有効、ウェアラット HP 2 サイを」
3
「有効、亜美 HP 8 サイを」
2
「有効、ウェアラット撃破 レベルアップ
サイを」
6
「有効、レベル 4 最大値 18 サイを」
1
「有効、次まで 1ポイント」

S ○○●
現在 レベル 4 HP 8/18 ポイント 0/1 金貨 6枚

「サイを」
3
「有効」
亜美は 3 戻った

宿屋にて全快

亜美 レベル 4 HP 18/18 ポイント0/1 金貨 5枚


4:00 AM

「おかえり、よく頑張ったね。凄いじゃん。
すっかりフッ切れちゃって。
恐れを知らない
勇敢な戦士の風格そのものだよ。
素晴らしい。
一体何が君をそんなに強くしたの?
ちょっと休憩したら?」

陸奥は心底、楽しそうだ。
目を輝かせながら、興奮している。
口数も増え、亜美は初めて垣間見た
陸奥の活き活きとした様子に、
むしろ切なさを覚え、胸を締め付けられた。

「おい…何言ってやがる、あんま調子に」

「小笠原君いいの、気にしないで。
――ハイ、少しだけ休憩します。
小笠原君、見て?
流れや意味がよく解らないんでしょ?
このケータイストラップが、アタシの駒。
今、スタート地点に居るのが分かるよね?
サイを上に投げて、
アタシの頭より高く飛んだ時の
サイの目だけが有効になるの。
こうやって無事スタート地点に
戻ってくる事が出来れば、生命力が全快し、
繰り返す戦いを通して成長し、より有利に、
より安全になっていく。
今から当分の間は…
この一連の流れを繰り返すだけだから、
クリアまではかなり時間がかかると思うの。
だから、ずっと立ちっ放しは辛いと思うから、
暫くの間は座って、
休憩してくれてていいよ…?」

「座んねぇーよ」

「どうして?」

「別に辛くねぇし、そんなヤワじゃねえ。
今日まで奈倉が感じて来た辛さに比べたら、
楽なんかしてらんねぇや…。
一切合切をこの目で見届ける」

「――分かった、ありがとう。
でも、無理はしなくていいから」

「おー」

「そういえば…陸奥さん。
クリアまでの尺はどれくらいあるんですか?」

「この最初の荒野ステージが、
スタートからゴールまで20歩。
セカンドステージの迷いの森が30歩。
ラストステージ魔王の城が10歩だ」

「―そうですか……。
陸奥さんや、
裕美さんがクリアにかかった時間は
どのくらいでしたか?」

「裕美も、散々グズってグズって
グズり倒して一週間くらいだったかな。
亜美ちゃんが今日中にケリをつけられれば、
裕美と大して変わらないよ。
僕は更に怯えて、
丸々一ヶ月棒に振ったけど…。
チキン野郎だからね!」

陸奥はそう言って、
無邪気にケタケタ笑った。

「――そんな事無い……」

「………。」

「………。」
chapter 36
エゴ

4:30 AM

「そんな事は無いよ。陸奥さん、
貴方はとても勇敢です。
威風堂々と構え、何もかもから
逃げようとさえしない貴方を見て、
アタシ……今、こんなにも強く成れました……。
前向きに、誠実に、正直に、
そして何よりどんな時もアタシの事を
ゲームの駒として愛し、大切にしてくれた。
そんな貴方を…
アタシは我が身可愛さに逃げようと…、
裏切ろうとする事しかしなかった……。
人は、嘘をつくんです。
貴方みたいな人とは…
今後きっと出会う事は難しいでしょうね…。
だから、貴方になら、
それがアタシの宿命だと云うなら、
殺されるのもいいと思えたんです……。
アタシは貴方を信じます。
そして、このゲームの結末が
どんな形で幕を閉じようとも、
たとえアタシの家族や、恋人や、友人や、
法律が貴方を許さなくとも、
アタシは、貴方を…許します……」

「………。」

聖はポケットに手を突っ込み、
眉間にシワを寄せ、口を尖らせながら、
何かを思って居る。

「亜美ちゃん、君は大切な事を見失ってる。
それに僕は別に君にも、誰にも、
許されるいわれは無いよ」

(!!)

陸奥の発言を聴いた聖は、
沸き上がる憤りを
必死で抑えつける苦しみに悶絶した。

「――仰る通りです…。
アタシの勝手なエゴなので…
気にしないで下さい。
第三ラウンド、
ゴング鳴らしていいですか?」

「どーぞ、サイを」

亜美はサイを放つ

(♪♪♪)

(!)

「有効」

(やべ…俺んだ…! アニキ!?
なんつーKYなタイミングだよ…)

「裏」
「先攻、サイを」

「陸奥、少し外すぜ」

「いーよ」

聖は慌てて寝室を飛び出し、ドアを閉めた。




(ピッ)

「あん!?」

「あん!? じゃねぇ、
オメー何処に居んのか知んねーけど
学校どーすんだよ」

「んなモン行ってられるか!!」

「おぅ随分ヤサグレてンじゃねーかよ、
人のバイクパクってくわ、
無免許・ノーヘルライダーに成り下がるわ、
登校拒否決め込むわ。
もう立派な『非行少年』の仲間入りだな?
オイ」

「パクってねーよ、借りるっつったべ!?」

「貸してねーよ、俺にしてみりゃ
紛う事無き『盗難』だ。
お巡りさんに盗難被害届け出しちまうよ?
身内だからって甘えてんなガキが」

「っせーな今それどころじゃねーんだよっ!!」

「どれどころの話ぃしてんのか知らんが、
ケジメくらいつけろな。
尻拭いはゴメンだ、
学校への連絡はテメーでやっとけ。
分かったな?」

(プツッ)

(クソ兄ぃ……)

(♪♪♪)

(今度はなんだよ!?)

Date; 2010/07/24 4:45
From; キャサリン
Title; お腹すいたWWW

ねー、吉牛いつオゴってくれんのー?

―END―

聖は、イラッとした。

To; キャサリン
Title; Re; お腹すいたWWW

うるせぇ今それどころじゃねぇ

―END―
(送信しますた)

(どいつもコイツも…!!)

(♪♪♪)

(!? ――だぁーっ! 杉山、お前もかっ!!)

聖はケータイの電源を切った。
chapter 37
紳士

9:00 AM
「有効、ゴブリン撃破」

S ○●
現在 レベル28 HP 15/114 ポイント 1/4 金貨 98枚 キャンディ

「サイを」
2
「有効」
亜美は 2 戻った

宿屋にて全快

亜美 レベル 28 HP 114/114 ポイント 1/4 金貨 97枚 キャンディ

亜美達は約四時間もの間、
通してゲームを続行していた。
亜美のレベルが
危険のボーダーラインを越えると、
スタート地点との往復を
数十回と重ねる内に飛躍的に、確実に、
安全に、その成長を遂げて行った。

「陸奥さん、セカンドステージ、
ラストステージに進んで行くにつれて、
勿論未知の強敵が待ち構えてますよね…?」

「待ち構えてるよ」

「陸奥さんがクリアした時のレベルは
幾つぐらいでしたか?」

「15 」

「戦況はどうでしたか?」

「五分五分だった」

(レベル15で五分五分…)

「今のアタシのステータス、
どう思いますか?」

「いーんじゃない?」

「――なんでそんなに適当なんですか」

「このゲームは六分の一の確率で
勝負するんだ。
いくら用心に鍛え上げ過ぎても
危ない時は危ないし、
余裕な時は余裕。
たとえレベルMAXでも引きが悪けりゃ、
結局死ぬよ?」

「―はぁ」





「ふぁぁぁ…あ。――眠くない?」

「――眠いです……」

「――ねみぃ〜よ……」

「延長戦に引き込む気は無いの?」

「――はい、一旦仕切り直しましょう…」

「小笠原君は僕の寝室で寝たら?
シングル二つあるし」

「そんなもん要らねぇ、奈倉と居る」

「いやレディーの寝室なんですけどここ…。
マズくない?
まぁ、本人が良いってゆーなら
僕は構わないけど…」

「小笠原君…、寝る所用意あるなら
そっちへ行って…?」

亜美は、恥ずかしそうに目を反らした。

「バッ……!!
バッカちげぇ―――よ!
そんなんじゃねーよ勘違いすんな!!」

「じゃ、決定だね。おいで」

「大丈夫、信頼できる人だから…ね?」

「うぅぅぅ……!!」

聖の顔から、火がフイた。
chapter 38
愚か者

5:50 PM

亜美は目を覚ました。
起き上がり、寝ぼけ眼でボサボサになった
髪を手ぐしでほどきながらぼんやりと
テーブルの上の戦況を見つめる。

(今日………アタシは………死ぬんだね…)

亜美は起き上がり、服を全て脱いだ。
スタンドランプ台の引き出しを開け、
裕美が洗濯とアイロンを施した
亜美の制服と、几帳面に畳まれた
下着を取り出し、身に纏う。
次に裕美に借りていた衣類一式を
丁寧に畳み、枕の横に置いた。

通学鞄から筆記用具とルーズリーフを一枚
取り出し、テーブルの隅に敷いた。

―――――――――――――――――――
米谷 裕美さんへ

裕美さん、私がここに居る間、
本当にお世話になりました。

私が陸奥さんの電話で、
裕美さんと話した後、
裕美さんが陸奥さんのゲームの
ディーラーだったという話を聞き、
ショックでした。
裕美さんは私の立場や気持ちを、
理解してくれていたんですね。
だけど、真実を聞くと
とても心が痛かったです。

裕美さんがこの手紙を見つけ、
読んでくれるのはいつになるのかな…。
その時私は、生きてるかな。
死んじゃってるかな…。
もし、生きていたら。
いつかどこかで、また貴方に会いたいです。

本当にありがとうございました。
さようなら。

奈倉 亜美
―――――――――――――――――――

亜美は手紙を封筒型に折り畳み、
畳んだ衣類の上に乗せた。







6:00 PM

「うーん…………ムニャムニャ……
ぉ〜し…いまだ〜…
なぐら〜ニゲルぞ〜〜……
ムニャムニャ……………………………ん?
――――!!」

(陸奥!!)

聖は細く目を開けると、
隣のベッドが空になっている事に気付き、
起きて陸奥の寝室から飛び出し、
地下の寝室に走った。

(ガチャ)

(鍵が掛かって…!?)

(ドンドンドンドンッ!!)

「奈倉ぁ! 奈倉っ!! 居るか!?
大丈夫かっ!?」

(小笠原君!? どうしたの!?)

「中に陸奥居るのか!?
鍵掛かってんぞコレ…!」

(陸奥さんは居ないよ! アタシだけ!
なんで!?)

「なーにしてんの…」

1人で勝手に焦る聖が
階段の方に振り向くと、
フリル付きエプロン姿の陸奥が
菜箸を片手に怪訝そうな顔で見ていた。

「おま…何処行ってやがった!?」

「何処って…キッチン。
―そこ閉まってるよ? 鍵は…(チャリッ)ホラ、
僕が持ってる」

「僕が持ってるじゃねーよ!
何奈倉閉じ込めてんだよ!!
何してやがった!?」

「は? 監禁してんだから
閉じ込めんのが当たり前じゃん。
何言ってんの。晩メシ作ってただけ」

(………。)

聖はアッケラカンと答える陸奥に
目が点になり、開いた口は塞がらなかった。

「腹が減っては……何だっけかな」

(カチャ)

「亜美ちゃんおはよー。
メシ出来てるよ、
今日はダイニングまで来てくれる?
小笠原君もおいで」

(―――なんだコイツぁー……)
chapter 39
無礼

6:05 PM

三人はダイニングテーブルを囲み、
各々席に着く。
レバニラ炒め、鯖の味噌煮、鶏の唐揚げ、
おくらと山芋のサラダを
テーブルのセンターに迎え、
各々のお手元には茶碗に盛られた
炊きたてのごはんにワカメのみそ汁、
むぎちゃが置かれていた。
亜美にとってその光景は、
両親と共に食卓を取り囲む我が家の団欒を
連想させるのには
過十分と言える演出だった。

「戴きマンモス」

「――戴きます…」

「………。」

「小笠原君、要らないの?」

「テメーの施しは受けねぇ」

「ふーん」

「なんでそんな事言うの!?」

「敵の塩にすがる程
落ちぶれちゃねーんだよ」

「はい喧嘩しなーいの」

「――サイテー……」

「………。」

「でも、なんか…変なカンジ」

「なんで?」

「アタシんちの食事風景も、料理も、
こんな感じですから…」

「最後の晩餐だからね」

「――そうですね」

「………。」

「おかわりは?」

「お願いします」

「―――ケッ…」

「炊飯ジャー取って貰っていい?」

「―――え? あ? ―俺がかよ」

「うん。その象印のん」

聖は渋々炊飯ジャーを渡した。

「お風呂入る?」

「!?」

「!?」

「いえ……結構です…
ありがとうございます…」

「ふーん。小笠原君は?
長距離カッ飛ばして来てあれからなのに、
入んなくていーの?
汗臭いと嫌われちゃうよ?」

「誰にだよ」

陸奥は亜美の方にチラリと目配せした。

(エッ…、アタシっ…?)

亜美の目は熱帯魚の様に泳いだ。

「おちょくってんのかコラ」

「いい加減にして」

亜美は凄まじい目付きで聖を睨んだ。

(うーぉ……、コエエエェェェェェ!!!
(゚目゚?)ガクガク ブルブル)

「あの……スミマセン、
あんまり気を遣ってくれなくて
大丈夫なので……」

「あらそーぉ?」

(―――なんなんだコイツぁー………)

「陸奥さん」

「はいよ」

「この後、クリアします」

「ガンバッテね」

食事が終わり、亜美と陸奥の二人がかりで
洗い物を片付け、全員、
地下の寝室に赴いた。
陸奥は、一階から持って来たパイプ椅子を
ベッドの脇にセットし、
スタンド台の上におにぎりが入った
タッパーを二つ置いた。
亜美はベッドに腰掛け、
テーブルの方に向いた。
続いて陸奥も亜美の向かいの席に着く。

「小笠原君は、そのパイプ椅子に座って
亜美ちゃんの隣に付いて居てあげれば?
その方が亜美ちゃんも心強いでしょ。
それと、お腹が極限状態になったら、
そこに置いてるタッパーのおにぎりで
凌いでチョーダイ」

「いつ作ったんですか?」

「晩メシ作ってる時。
多分晩メシには
手ぇつけないだろーなーと思って
冷蔵庫入れといた」

「………。」

聖はまた渋々と、パイプ椅子に座った。
chapter 40
進行

6:50 PM

「………。」

「………。」

「………。」

一瞬の沈黙が、部屋の中全体を支配した。

「じゃあ、ファイナル・ラウンドのゴング。
鳴らそっか。サイを」
1
「有効」
亜美は 1 進んだ

コロボックル HP 2

「戦います」

「CS」
「表」
「後攻、サイを」
2
「有効、亜美 HP 112 サイを」
5
「有効、コロボックル撃破」

S ●
現在 レベル 28 HP 112/114 ポイント 2/4 金貨 98枚 キャンディ

「サイを」
4
「有効」
亜美は 4 進んだ

ウェアラット HP 5
「か〜がみ〜には〜…」

「面白く無いんでもういいです。戦います」

「CS」
「裏」
「後攻、サイを」
5
「有効、亜美 HP 107 サイを」
5
「有効、ウェアラット撃破」

S ○○○○●
現在 レベル 28 HP 107/114 ポイント 3/4 金貨 99枚 キャンディ

「サイを」
2
「有効」
亜美は 2 進んだ

ゴブリン HP 6
「鼻の長〜いチビ鬼さん」

「戦います」

「CS」
「表」
「先攻、サイを」
1
「有効、ゴブリン HP 5 サイを」
6
「有効、亜美 HP 101 サイを」
1
「有効、ゴブリン HP 4 サイを」
1
「有効、亜美 HP 100 サイを」
3
「有効、ゴブリン HP 1 サイを」
4
「有効、亜美 HP 96 サイを」
5
「有効、ゴブリン撃破 レベルアップ
サイを」
3
「有効、レベル 29 最大値 117 サイを」
6
「次まで 6 ポイント」

S ○○○○○○●
現在 レベル 29 HP 96/117 ポイント 0/6 金貨 100枚 キャンディ

「サイを」
2
「有効」
亜美は 2 進んだ

ピクシー HP 7
「――セクシー」

「――ソレも面白く無いですけど戦います」

「CS」
「表」
「先攻、サイを」
3
「有効、セク…ピクシー HP 4 サイを」
5
「有効、亜美 HP 91 サイを」
6
「有効、ピクシー撃破」

S ○○○○○○○○●
現在 レベル 29 HP 91/117 ポイント 1/6 金貨 101枚 キャンディ

「真面目にやって貰えませんか」

「非常に申し訳無い。サイを」
3
「有効」
亜美は 3 進んだ
chapter 41
安泰

インプ HP 8
「小悪魔の赤ちゃんでちゅ」

(うーわ、キンモー…)

「戦います」

「CS」
「裏」
「後攻、サイを」
1
「有効、亜美 HP 90 サイを」
2
「有効、インプ HP 6 サイを」
2
「有効、亜美 HP 88 サイを」
4
「有効、インプ HP 2 サイを」
1
「有効、亜美 HP 87 サイを」
5
「有効、インプ撃破」

S ○○○○○○○○○○○●○○○○○○○ G
現在 レベル 29 HP 87/117 ポイント 2/6
 金貨 102枚 キャンディ

「サイを」
6
「有効」
亜美は 6 進んだ

ノッカー HP 9
「モンスター界でいう小笠原君みたいな…」

「乱暴者なんですね。成敗します」

「何オマエら」

「CS」
「表」
「先攻、サイを」
6
「有効、ノッカー HP 3 サイを」
2
「有効、亜美 HP 85 サイを」
1
「有効、ノッカー HP 2 サイを」
4
「有効、亜美 HP 81 サイを」
5
「有効、ノッカー撃破」

(おぉ……俺の化身が倒された………
お疲れ)

●○ G
現在 レベル 29 HP 81/117 ポイント 3/6
 金貨 103枚 キャンディ


「奈倉! ゴールまであと二歩だぞ、
頑張れっ!!」

「ハイッ」

「サイを」
6
「有効」
亜美は 6 戻った
(´Д`)

「小笠原君…
大丈夫だからそんな顔しないで?
ゴールに着いたら
ちゃんとまた全快出来るから…」

グレムリン HP 10
「ギズモのモグワイって知ってる?
耳がデカくてモコモコしてて
カッワイイーの!」

「知りません。戦います」

「CS」
「裏」
「後攻、サイを」
3
「有効、亜美 HP 78 サイを」
3
「有効、グレムリン HP 7 サイを」
5
「有効、亜美 HP 73 サイを」
6
「有効、グレムリン HP 1 サイを」
1
「有効、亜美 HP 72 サイを」
1
「有効、グレムリン撃破」

●○○○○○○○ G
現在 レベル 29 HP 72/117 ポイント 4/6
 金貨 104枚 キャンディ

「サイを」
3
「有効」
亜美は 3 進んだ

サハギン HP 11
「半魚ドンじゃナイヨ、半魚人ダヨ」

「たとえサ○リオのキャラでも戦います」

「CS」
「裏」
「先攻、サイを」
3
「有効、サハギン HP 8 サイを」
2
「有効、亜美 HP 70 サイを」
3
「有効、サハギン HP 5 サイを」
2
「有効、亜美 HP 68 サイを」
5
「有効、サハギン撃破」

●○○○○ G
現在 レベル 29 HP 68/117 ポイント 5/6
 金貨 105枚 キャンディ
chapter 42
配慮

7:15 PM
「サイを」
5
「有効」
亜美は 5 進んだ

ゴール到達、荒野ステージ クリア
宿屋にて全快 金貨 ー20枚
亜美 レベル 29 HP 117/117 ポイント 5/6 金貨 85枚 キャンディ

「さぁ、ようやくセカンドステージに
足を踏み入れるね。
迷いの森は難関だよ? 少し、休憩しよっか」

「そうですね、休憩しましょう」

(――グゥ〜〜…………)

「お腹鳴ってるよ? ソレ、喰えば?」

「―イラネ」

(――グ〜………キュルルルルルルル)

「――――言っとくけど、
僕は彼女のHPが0になったら
冗談ヌキで撃つよ?」

「させねーよ」

「そんな空きっ腹のフラフラな状態で、
ホントに彼女を庇う事なんか出来るの?」

「………。」

「愛する人を守る為には、
パワーが必要なんじゃないのかな?
プライドだか意地だか
メンツだか知んないけどさ、
それくらい捨てられなきゃ、
人の為に命を捨てられるとは
到底思えないけど。
君は一体ここへ何しに来たの」

「―――小笠原君…」

「―――――チッ…! 返す言葉もねーや。
分かった、プライドは捨てる。
ソレ、呉れよ」

「シルブプレ〜」

(――コイツにゃ…かなわねーナ………
完敗だぜ…)

7:30 PM
「じゃあそろそろ…再開します」

「どーぞ。では、セカンドステージ…
呪われた魂と、彷徨える勇者。サイを」
2
「有効」
亜美は 2 進んだ

レプリコーン HP 15
「小鬼の中流階級種、
ズル賢いから気を付けて」

「戦います」

「CS」
「表」
「先攻、サイを」
1
「有効、レプリコーン HP 14 サイを」
1
「有効、亜美 HP 116 サイを」
1
「有効、レプリコーン HP 13 サイを」
4
「有効、亜美 HP 112 サイを」
3
「有効、レプリコーン HP 10 サイを」
6
「有効、亜美 HP 106 サイを」
2
「有効、レプリコーン HP 8 サイを」
5
「有効、亜美 HP 101 サイを」
6
「有効、レプリコーン HP 2 サイを」
2
「有効、亜美 HP 99 サイを」
3
「有効、レプリコーン撃破 レベルアップ
サイを」
4
「有効、レベル 30 最大値 121 サイを」
4
「有効、次まで 4 ポイント」

S ○●
現在 レベル 30 HP 99/121 ポイント 0/4 金貨 86枚 キャンディ

「サイを」
2
「有効」
亜美は 2 進んだ

スケルトン HP 20
「学校の理科室出身。
なかなか骨のある子です」

「戦います」

「CS」
「表」
「先攻、サイを」
5
「有効、スケルトン HP 15 サイを」
1
「有効、亜美 HP 98 サイを」
2
「有効、スケルトン HP 13 サイを」
6
「有効、亜美 HP 92 サイを」
5
「有効、スケルトン HP 8 サイを」
6
「有効、亜美 HP 86 サイを」
3
「有効、スケルトン HP 5 サイを」
4
「有効、亜美 HP 82 サイを」
5
「有効、スケルトン骨折
亜美はカルシウムが 3 ポイント上がった!」

「えっ…? 何ですか? ソレ。
上がるとどうなるんですか?」

「別に」

「………。」
chapter 43
迷いの森

S ○○○●
現在 レベル 30 HP 82/121 ポイント 1/4 金貨 87枚 キャンディ

「サイを」
2
「有効」
亜美は 2 進んだ

ゾンビ HP 18
「※ 以下の戦闘は暴力・グロテスクといった
ショッキングな描写が含まれます。
R-15指定 お子様・心臓の弱い方は
プレイをお控え下さい(ウソピョーン)」

「一応17なんで戦います」

「CS」
「表」
「後攻、サイを」
3
「有効、亜美 HP 79 サイを」
6
「有効、ゾンビ HP 12 サイを」
4
「有効、亜美 HP 75 サイを」
5
「有効、ゾンビ HP 7 サイを」
1
「有効、亜美 HP 74 サイを」
2
「有効、ゾンビ HP 5 サイを」
6
「有効、亜美 HP 68 サイを」
6
「有効、ゾンビ撃破
※ 腐敗臭がクサいので
早めの進行をお勧めします」

S ○○○○○●
現在 レベル 30 HP 68/121 ポイント 2/4 金貨 88枚 キャンディ

「サイを」
6
「有効」
亜美は 6 進んだ

リザードマン HP 22
「二足歩行のトカゲ君」

「戦います」

「CS」
「表」
「後攻、サイを」
4
「有効、亜美 HP 64 サイを」
3
「有効、リザードマン HP 19 サイを」
3
「有効、亜美 HP 61 サイを」
1
「有効、リザードマン HP 18 サイを」
4
「有効、亜美 HP 57 サイを」
1
「有効、リザードマン HP 17 サイを」
2
「有効、亜美 HP 55 サイを」
4
「有効、リザードマン HP 13 サイを」
5
「有効、亜美 HP 50 サイを」
6
「有効、リザードマン HP 7 サイを」
3
「有効、亜美 HP 47 サイを」
5
「有効、リザードマン HP 2 サイを」
2
「有効、亜美 HP 45 サイを」
1
「有効、リザードマン HP 1 サイを」
4
「有効、亜美 HP 41 サイを」
6
「有効、リザードマン撃破」

S ○○○○○○○○○○○●
現在 レベル 30 HP 41/121 ポイント 3/4 金貨 89枚 キャンディ

(――段々モンスターが
強くなってきたな………)

分かり切っていた事ではあるが、
亜美は改めて先行きの不安に表情を曇らせた。

「奈倉…、大丈夫か…?」

「うん…平気」

「サイを」
5
「有効」
亜美は 5 進んだ

ゴースト HP 30
「稲川淳二推奨」

「戦います」

「CS」
「裏」
「先攻、サイを」
2
「有効、ゴースト HP 28 サイを」
6
「有効、亜美 HP 35 サイを」
4
「有効、ゴースト HP 24 サイを」
5
「有効、亜美 HP 30 サイを」
1
「有効、ゴースト HP 23 サイを」
1
「有効、亜美 HP 29 サイを」
6
「有効、ゴースト HP 17 サイを」
3
「有効、亜美 HP 26 サイを」
5
「有効、ゴースト HP 12 サイを」
5
「有効、亜美 HP 21 サイを」
1
「有効、ゴースト HP 11 サイを」
4
「有効、亜美 HP 17 サイを」
chapter 44
魑魅魍魎

2
「有効、ゴースト HP 9 サイを」
6
「有効、亜美 HP 11 サイを」
5
「有効、ゴースト HP 4 サイを」
5
「有効、亜美 HP 6 サイを」
4
「有効、ゴースト撃破 レベルアップ
サイを」
2
「有効、レベル 31 最大値 123 サイを」
1
「有効、次まで 1 ポイント。
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……」

陸奥はいつの間にか、
鼻の下に大きな付けイボをくっ付け、
数珠をジャラジャラ鳴らし、
両手を合わせ念仏らしきものを唱え
誰かの物真似を披露した。

(バクン…バクン…バクン…バクン…)

(――危なかったな……)

亜美はキャンディの包装を破り、
口に含んだ。HPが全快した。

S ○○○○○○○○○○○○○○○○●
現在 レベル 31 HP 123/123 ポイント 0/1 金貨 90枚

「サイを」
1
「有効」
亜美は 1 進んだ

ガーゴイル HP 25
「中堅クラスの悪魔さん。
目付きがエロいのは生まれつき」

「ちょっと嫌だけど戦います」

「CS」
「表」
「先攻、サイを」
6
「有効、ガーゴイル HP 19 サイを」
4
「有効、亜美 HP 119 サイを」
4
「有効、ガーゴイル HP 15 サイを」
3
「有効、亜美 HP 116 サイを」
6
「有効、ガーゴイル HP 9 サイを」
1
「有効、亜美 HP 115 サイを」
6
「有効、ガーゴイル HP 3 サイを」
4
「有効、亜美 HP 111 サイを」
2
「有効、ガーゴイル HP 1 サイを」
4
「有効、亜美 HP 107 サイを」
3
「有効、ガーゴイル撃破 レベルアップ
サイを」
5
「有効、レベル 32 最大値 128 サイを」
6
「有効、次まで 6 ポイント」

●○○○○○○○○○○○ G
現在 レベル 32 HP 107/128 ポイント 0/6 金貨 91枚

9:00 PM

「サイを」
6
「有効」
亜美は 6 進んだ

ハーピー HP 23
「両腕が翼になってる鳥人おねーさん」

「戦います」

「CS」
「裏」
「先攻、サイを」
2
「有効、ハーピー HP 21 サイを」
3
「有効、亜美 HP 104 サイを」
5
「有効、ハーピー HP 16 サイを」
6
「有効、亜美 HP 98 サイを」
1
「有効、ハーピー HP 15 サイを」
2
「有効、亜美 HP 96 サイを」
3
「有効、ハーピー HP 12 サイを」
6
「有効、亜美 HP 90 サイを」
3
「有効、ハーピー HP 9 サイを」
5
「有効、亜美 HP 85 サイを」
5
「有効、ハーピー HP 4 サイを」
1
「有効、亜美 HP 84 サイを」
4
「有効、ハーピー撃破」

●○○○○○ G
現在 レベル 32 HP 84/128 ポイント 1/6 金貨 92枚

「サイを」
4
「有効」
亜美は 4 進んだ

ウルフマン HP 27
「好きな食いもんは『赤ずきんちゃん』」

「赤ずきんではないので戦います」

「CS」
「裏」
「先攻、サイを」
6
「有効、ウルフマン HP 21 サイを」
5
「有効、亜美 HP 79 サイを」
6
chapter 45
赤ずきんとPPG

「有効、ウルフマン HP 15 サイを」
6
「有効、亜美 HP 73 サイを」
4
「有効、ウルフマン HP 11 サイを」
1
「有効、亜美 HP 72 サイを」
5
「有効、ウルフマン HP 6 サイを」
3
「有効、亜美 HP 69 サイを」
3
「有効、ウルフマン HP 3 サイを」
3
「有効、亜美 HP 66 サイを」
6
「有効、ウルフマン撃破」

ウルフマンの腹にファスナーが有ります。
開けてみますか?

⇒YES  ・はい

(ヒョコッ)
「コンニチワッ! ワタシ、赤ずきんチャン!
タスケテクレテ、アリガトウハート
オレイニ、コレヲアゲル! マタネッ☆」

ウルフマンの腹から元気良く飛び出した、
謎の小さな少女はそう言うと、
キャンディを落とし、
ピョンとテーブルから飛び降りて、
一目散に部屋から出て行った。

「――――な、なんですか今の…?」

「さぁ?」

●○ G
現在 レベル 32 HP 66/128 ポイント 2/6 金貨 93枚 
キャンディ

「サイを」
1
「有効」
亜美は 1 進んだ

トレント HP 40
「魔女に命を吹き込まれた木のオバケ」

「戦います」

「CS」
「表」
「後攻、サイを」
4
「有効、亜美 HP 62 サイを」
5
「有効、トレント HP 35 サイを」
2
「有効、亜美 HP 60 サイを」
6
「有効、トレント HP 29 サイを」
5
「有効、亜美 HP 55 サイを」
5
「有効、トレント HP 24 サイを」
6
「有効、亜美 HP 49 サイを」
1
「有効、トレント HP 23 サイを」
3
「有効、亜美 HP 46 サイを」
2
「有効、トレント HP 21 サイを」
6
「有効、亜美 HP 40 サイを」
3
「有効、トレント HP 18 サイを」
6
「有効、亜美 HP 34 サイを」
5
「有効、トレント HP 13 サイを」
2
「有効、亜美 HP 32 サイを」
6
「有効、トレント HP 7 サイを」
5
「有効、亜美 HP 27 サイを」
4
「有効、トレント HP 3 サイを」
1
「有効、亜美 HP 26 サイを」
6
「有効、トレント撃破」

聖は、トレントの幹にくっついてた
カブトムシが気になって仕方無かったが、
今はそれどころじゃないと自分自身を戒めた。
亜美はキャンディの包装を破り、
口に含んだ。HPが全快した。

● G
現在 レベル 32 HP 128/128 ポイント 3/6 金貨 94枚

「サイを」
3
「有効」
亜美は 3 戻った

ウィッチ HP 18
「トレントに命を吹き込んだ
ピチピチギャル(死語)」

「―戦います」

「CS」
「裏」
「先攻、サイを」
3
「有効、ピチピチギャル HP 15 サイを」
1
「有効、亜美 HP 127 サイを」
6
「有効、ピチピチギャル HP 9 サイを」
4
「有効、亜美 HP 123 サイを」
4
「有効、ピチピチギャル HP 5 サイを」
1
「有効、亜美 HP 122 サイを」
5
「有効、ピチピチギャル撃破」

「………。」

「な…何かな?」

●○○○ G
現在 レベル 32 HP 122/128 ポイント 4/6 金貨 95枚
chapter 46
チキンとポーク

9:40 PM
「サイを」
2
「有効」
亜美は 2 進んだ

コカトリス HP 35
「倒せば当分の間
フライドチキンは食べる気しないよ」

「それでも戦います」

「CS」
「裏」
「先攻、サイを」
5
「有効、チキン HP 30 サイを」
3
「有効、亜美 HP 119 サイを」
1
「有効、チキン HP 29 サイを」
2
「有効、亜美 HP 117 サイを」
6
「有効、チキン HP 23 サイを」
6
「有効、亜美 HP 111 サイを」
2
「有効、チキン HP 21 サイを」
3
「有効、亜美 HP 108 サイを」
4
「有効、チキン HP 17 サイを」
2
「有効、亜美 HP 106 サイを」
5
「有効、チキン HP 12 サイを」
1
「有効、亜美 HP 105 サイを」
6
「有効、チキン HP 6 サイを」
5
「有効、亜美 HP 100 サイを」
4
「有効、チキン HP 2 サイを」
6
「有効、亜美 HP 94 サイを」
3
「有効、フライドチキン撃破
カーネル・サンダース」

●○ G
現在 レベル 32 HP 94/128 ポイント 5/6 金貨 96枚

「サイを」
1
「有効」
亜美は 1 戻った

オーク HP 44
「闘う豚さん。
――『この、ブタ野郎っ!!』って
言ってごらん?」

「戦います」

「『この、ブタ野郎っ!!』って
言ってごらんよ」

「(イライラ)戦います」

「はい、CS」
「表」
「先攻、サイを」
2
「有効、ブタ野郎 HP 42 サイを」
5
「有効、亜美 HP 89 サイを」
4
「有効、ブタ野郎 HP 38 サイを」
6
「有効、亜美 HP 83 サイを」
3
「有効、ブタ野郎 HP 35 サイを」
1
「有効、亜美 HP 82 サイを」
4
「有効、ブタ野郎 HP 31 サイを」
1
「有効、亜美 HP 81 サイを」
5
「有効、ブタ野郎 HP 26 サイを」
6
「有効、亜美 HP 75 サイを」
2
「有効、ブタ野郎 HP 24 サイを」
6
「有効、亜美 HP 69 サイを」
5
「有効、ブタ野郎 HP 19 サイを」
3
「有効、亜美 HP 66 サイを」
5
「有効、ブタ野郎 HP 14 サイを」
1
「有効、亜美 HP 65 サイを」
1
「有効、ブタ野郎 HP 13 サイを」
5
「有効、亜美 HP 60 サイを」
4
「有効、ブタ野郎 HP 9 サイを」
6
「有効、亜美 HP 54 サイを」
5
「有効、ブタ野郎 HP 4 サイを」
3
「有効、亜美 HP 51 サイを」
3
「有効、ブタ野郎 HP 1 サイを」
2
「有効、亜美 HP 49 サイを」
2
「有効、ブタ野郎撃破 レベルアップ
サイを」
2
「有効、レベル 33 最大値 130 サイを」
4
「有効、次まで 4 ポイント
――飛ばねぇ豚は、ただの豚だ…」

●○○ G
現在 レベル 33 HP 49/130 ポイント 0/4 金貨 97枚

「も、いちいちツッコまないですよ?」

「分かってる。サイを」
3
「有効」
亜美は 3 進んだ
chapter 47
地獄

10:00 PM

「ゴール到達、迷いの森ステージ クリア」

宿屋にて全快 金貨 ー50枚
亜美 レベル 33 HP 130/130 ポイント 0/4 金貨 47枚

「いよいよ、ここまで来たねぇ。
亜美ちゃん」

「そうですね」

「亜美ちゃんの最後の
憩いの時になるだろーから、
好きなだけ休憩するといい。
小笠原君も、数十分後かには彼女は
頭か心臓を撃ち抜かれ、
死んでしまうだろう…。
今が、一緒に過ごせる最後の時だ。
思い残す事、後悔する事の無い様に。
伝えたい言葉や話しておきたい事などは
全部、吐き出しておいた方が良いと思うよ?
――――――せっかく来たんだから…」

死刑囚に、最後の引導を渡す執行員の様な
冷徹な語り口で陸奥は吐き捨て、
取り出したタバコをくわえ、
ジッポーで点火を終えると
背伸びしながら照明を仰ぎ、
それを煙で濁した。

「――奈倉……。――あの、俺さぁ」

「言わないで」

「………。」

「――何も言わなくて…いいよ」

「―――最後まで、
俺とは話たくもねぇーか……」

「そう言う事じゃなくて」

「………。」

「アタシは、死なないから。
小笠原君は、そんな事心配しなくていいの」

「死ぬよ」

「死なないわ」

「死ぬさ」

「死なない」

「ハハッ……、
――どうしてそんなに余裕なのかなぁ」

「自信があるから」

「クスッ、どうしてそんなに
無防備なのかなぁ」

「疾しい事なんて無いからです」

「亜美ちゃんは、
何を考えているのかなぁ。
一体、何を企んでいるのかなぁ」

「なーんにも、考えて無いし、
企んでもいないですよ」

「――怖く無いの?」

「――もう逃げませんとは言いましたけど、怖く無いなんて一言も言ってません」

亜美は、毅然とした態度で陸奥の瞳を
真っ直ぐに見つめ、笑顔で言い切った。
陸奥は鼻で笑い、
黙って濁ったモヤを吐き捨て続けている。

「魔王の城、ラストステージ。
遊びはこれまでだ、
決してこれまでのよーには行かないよ。
分かってる?」

「はい」

「………。」

10:30 PM

陸奥が三本目のタバコを
気怠そうに灰皿に押し付ける。

「―吸い終わりましたか?」

「終わったよ」

「始めます」

「では――――サイを」

6
「有効」
亜美は 6 進んだ

ゴーレム HP 78
「岩肌で体を覆われた城のガーディアンだ」

「逃げます」

「CS」
「裏」
「失敗、サイを」
5
「有効、亜美 HP 125 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「表」
「失敗、サイを」
1
「有効、亜美 HP 124 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「表」
「成功」

S ○○○○○●○○○ †

「サイを」
2
「有効」
亜美は 2 進んだ

ドラゴン HP 82
「鋼鉄も引き裂く爪を持つ殺し屋」

「逃げます」

「CS」
「表」
「失敗、サイを」
2
「有効、亜美 HP 122 どーする?」

「逃げます」
chapter 48
黄泉

「CS」
「表」
「失敗、サイを」
6
「有効、亜美 HP 116 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「表」
「成功」

S ○○○○○○○●○ †

「サイを」
4
「有効」
亜美は 4 戻った

ヤマタノオロチ HP 137
「九つの頭を持つ凶暴な大蛇」

「逃げます」

「CS」
「裏」
「失敗、サイを」
3
「有効、亜美 HP 113 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「表」
「失敗、サイを」
5
「有効、亜美 HP 108 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「表」
「失敗、サイを」
6
「有効、亜美 HP 102 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「裏」
「成功」

S ○○○●○○○○○ †

「サイを」
1
「有効」
亜美は 1 進んだ

デス HP ∞
「君のあの世への案内係だ」

「逃げます」

「CS」
「裏」
「失敗、サイを」
4
「有効、亜美 HP 98 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「表」
「失敗、サイを」
4
「有効、亜美 HP 94 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「表」
「失敗、サイを」
4
「有効、亜美 HP 90 どーする?」

「逃げます」

「CS」
「表」
「失敗、サイを」
4
「有効、亜美 HP 86 どーする?」

「に、逃げます…」

「CS」
「表…」
「失敗、サイを」
4
「有効、亜美 HP 82 どーする?」

「逃げます!」

「CS」
「裏!」
「失敗、サイを」
4
「有効、亜美 HP 78 ホラホラどーする〜? どーするの〜!? しっかり考えてー!?」

「にっ…逃げられないの……!? 逃げます!!」

「CS」
「………。」

「―――どうしたのかな!? んっ!?」

陸奥の表情は、残酷に弱者をいたぶり、
玩ぶ『悪魔』そのものだった。
奴は、楽しんで居た。
心底、楽しんで居た。
迫り来る死の恐怖に怯える、
亜美の顔を見て、腹の底から、笑って居た。
亜美が心を許し、信じた、
優しい陸奥 武流の姿は
もう――そこには

無かった。


「――裏……」

「―成功」

S ○○○○●○○○○ †
chapter 49
魔王

「―アハ…アハハ…アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!
アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!
あー、楽し。あぁぁー楽しっ!!
亜美ちゃん楽しんでる? 楽しいねー!!
超楽しいよぉーっ!!
すげぇスリルだ……。ゾクゾクするっ!!
ここが何処か分かってる!?魔王の城だよっ?
ハハッ…すげぇーよ、いやマジでっ!!
ホントよくここまで来たねぇー!!
うっれしいなぁー!!
――結局、死んじまうっつーのにさぁっ!?
アッ…ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」

「………………。」

「――下衆野郎……」




「――――楽しいネッ…!」

「アハッ………」

「―――奈…倉……」

「うん、アタシも楽しい!
すっごく楽しいよっ!?
今までやったどんなゲームより……
楽しいっ……。
生きて来た中でイチバン面白くって、
楽しいなっ!!
陸奥さんが楽しんでくれて、良かった!」

亜美は滲み出る何かを堪えて、
め一杯の笑顔で、陸奥に答えた。
まるで、太陽に育まれた真夏の
鮮やかな向日葵の様な、
なり振り構わぬ笑顔で。

「小笠原君もっ! 楽しいよねーっ?
楽しんでるっ!?
そんな怖い顔してちゃヤだよっ」

「お…おぉ……楽……」

「あぁ……、良かった……。
良かったよ、楽しんで貰えて…。
アハッ…!
じゃあ、よければ…好きな時に、サイを…」

「うんっ…!」

亜美は元気に、サイを放り投げた。

5

「有効」

亜美は 5 進んだ

11:00 PM

「ようこそ、我が城へ。
お待ちしておりました、
勇者 奈倉 亜美様。
貴方様がここまで辿り着く事を
待ち焦がれるあまり、
私は喉が渇いてしまいました。
この荒れ果てた我が喉を潤わすのは、
他でも無い……
千年の刻をかけ熟したワインのような、
貴方様の『血』でございます。
飲ませて下さいませんか? その肉体に流れる真っ赤な『血』を…。
その麗しのロゼを、
この体に満たしてみたい…。

申し遅れました。
私は、魔王 陸奥 武流
と申し上げます」

陸奥 HP 78

「え…!?」

「CS」

「どういう事ですか…!?」

「こーゆー事ですよ」

「―――分かりました、表」

「悪いね、後攻。サイを」
3
「有効、亜美 HP 75 サイを」
4
「有効、陸奥 HP 74 サイを」
6
「有効、亜美 HP 69 サイを」
2
「有効、陸奥 HP 72 サイを」
5
「有効、亜美 HP 64 サイを」
5
「有効、陸奥 HP 67 サイを」
6
「有効、亜美 HP 58 サイを」
1
「有効、陸奥 HP 66 サイを」
5
「有効、亜美 HP 53 サイを」
2
「有効、陸奥 HP 64 サイを」
1
「有効、亜美 HP 52 サイを」
3
「有効、陸奥 HP 61 サイを」
6
「有効、亜美 HP 46 サイを」
6
「有効、陸奥 HP 55 サイを」
4
「有効、亜美 HP 44 サイを」
6
「有効、陸奥 HP 49 サイを」
1
「有効、亜美 HP 43 サイを」
4
「有効、陸奥 HP 45 サイを」
5
chapter 50
死

「有効、亜美 HP 38 サイを」
2
「有効、陸奥 HP 43 サイを」
6
「有効、亜美 HP 32 サイを」
4
「有効、陸奥 HP 39 サイを」
3
「有効、亜美 HP 29 サイを」
2
「有効、陸奥 HP 37 サイを」
5
「有効、亜美 HP 24 サイを」
5
「有効、陸奥 HP 32 サイを」
2
「有効、亜美 HP 22 サイを」
3
「有効、陸奥 HP 29 サイを」
3
「有効、亜美 HP 19 サイを」
6
「有効、陸奥 HP 23 サイを」
6
「有効、亜美 HP 13 サイを」

(―やべぇ…
奈倉が押されて来てやがる…
やべぇよ……)

1
「有効、陸奥 HP 22 サイを」

亜美の手元が狂い、
放たれたサイの軌道は
いつもより大きく外れ、
テーブルの脇を一回バウンドし、
聖の足元に転げ落ちた。

*

「!! ―おっ、近ぇから見てやるよ。
1 だな、こりゃ。陸奥、1 だぜ」

「………。」

「マジだってホラ、
落ちてた目のまんま
拾い上げてやったんだからよ。
今見てただろ? 間違ぇー無ぇーって」

「小笠原君…、もういいよ、
投げ直すから…。
陸奥さんごめんなさい…」

「よくねぇーよ馬鹿っ…!!
おい陸奥、今のはマジで…」

「1 だったんだね、ありがとう。
有効、亜美 HP 12 サイを」

そう言って陸奥は
聖の手からサイを掴み取り、
ポイと放り投げ亜美にパスした。



2
「有効、陸奥 HP 20 サイを」
3
「有効、亜美 HP 9 サイを」
6
「有効、陸奥 HP 14 サイを」
3
「有効、亜美 HP 6 サイを」
4
「有効、陸奥 HP 10 チェック・メイト」

「………。」

「――ち…くしょう…」

「―――投げていいんですか?」

「おい奈倉よせって!!」

「投げれるもんならね。
大した度胸だなぁ…、
――――――6分の、1」

「な…奈倉っ、やめろぉおおおっっ!!!!」

亜美はサイを投げた。














6

「あぁーあ……、やっちゃったね。
亜美ちゃん」
chapter 51
処刑

11:40 PM

「ハイ…」

聖はすかさず亜美の太ももを跨ぎ、
テーブルと亜美の間に割って入り、
立ちはだかった。

「………。」

「―小笠原君、どいてくんないかな?
それじゃ亜美ちゃんを狙えないよ」

「どかねーよ。
どーしてもっつーなら
俺を殺ってからにしな」

「小笠原君ダメ…っ!! どいてってばっ!」

「さすがにこればっかりは譲れねぇ。
ヤクザの大将に言われようが、
お前の親父に言われようが、
どかねーモンはどかねー」

(―――小笠原君……。
怖いんだ……やっぱり…)

亜美は、ポケットに手を突っ込み、
仁王立ちでふんぞり返りながらも、
ガクガクと小刻みに震える
聖の膝小僧に気付いた。

「――ハハッ…、かーっくイイねぇー!!
やっぱり小笠原君らしいっつーか、
そう出ると思ってたよー。
―ちなみに、さっきは綺麗な事言って
食事を取っては貰ったけど、
あいにくこの銃ってさぁ、安物で、
気が利く程大して威力も
貫通性も無いんだよねぇー」

「――何が言いてぇーんだよ…」

「君の心臓を目掛けて BANG !!
めでたく君は気持ち良く即死確定だ。
だけど、この位置からだと流れ弾は
君の体を突き抜けて彼女の頭に命中。
狙い悪く撃ち所によっては一体何秒、
何分か痛みと苦しみにのたうち回り、
残酷な死を遂げるのかは分からない。
その辺に関しては責任は負いかねるよ?
悪いけど」

「―くっ……!!とことん下衆だなテメー…」

聖は般若の様に顔を歪ませ、陸奥を睨み、
一瞥した。
亜美は、そんな聖の胴を背後から
両手で優しく抱き締めた。

「――小笠原君……、ありがとう……。
貴方の勇気も愛情も、
もう充分伝わりました。
だから、最後の……
アタシの最後のワガママ、聞いて下さい。
ここをどいて、アタシの最期の瞬間を、
他の誰でもない貴方に
見届けて欲しいんです…。
そして、アタシの事。
ずっと…、ずっとずっとずっと。
覚えていて欲しいです……。
お願いします…、アタシの神様。
小笠原 聖君…?」

「………。」

聖は、激しく何度も横に首を振り、
悔しさに顔を歪めながら、
蛇口を捻ったかの様に

泣いた。

テーブルの上には、
微かな、微かな、にわか雨。
聖は俯き、亜美から体を遠ざけた。

「大丈夫、怖がらなくても
一瞬たりとも痛みなんて感じないように、
終わらせてあげるから……ね?」

(―スチャッ)

陸奥は銃を構え、
狙いを亜美の額に合わせた。

聖は両膝を地に付け、
下唇を強く噛み締め、両手を組み、
生まれて初めて信じてもいなかった神に、
祈りを捧げた。

亜美は姿勢を正し、静かに目を閉じ、
悟りを開いた聖者の様に穏やかに微笑み、
頬に一粒、煌めきの雫を伝わせた。






「――なんちて……。
一度言ってみたかったんだよねー、
この台詞。
『痛みなんて感じないように、
一瞬で終わらせてあげる』
――ってか!」

不意に陸奥は、
子供みたいにケタケタ笑い出した。

「え……?」

「―どーいうこった……」

「なんか大事な事、忘れてなぁーい?」

「――?」

「………。」

「僕はまだ『有効』って
判定した覚えは無いよ。
さっきのは無効ダイス。
あともーちょいっ……!
1?くらい惜しかったなぁ。
反則行為だっつってんでしょ?
今のドッキリはペナルティ。
これに懲りたらしっかり投げてね。
次こそ撃つよ?
―――というワケでやり直し」

(―――そんな筈無い……、
アタシは恐れなかった。
サイの高さは
いつも通りだったと…思う…。
やっぱり、この人……!)

その瞬間、亜美は確信した。

サイをその手に掴み、宙に放つ。

2
「有効、亜美 HP 4 サイを」
5
「有効、陸奥 HP 5 サイを」
4
「無効無効っ!! やり直し!」

(やっぱりそうだ……。
絶対、そうだ………!!)

1
「有効、亜美 HP 3 サイを」

聖は、何が起きたのか
解らないといった顔つきで、
テーブルを見つめ呆気に取られて居た。

4
「有効、陸奥 HP 1 あと一息だよ、
ガンバって! サイを!」
6
「――いー加減ちゃんとやってくんない?
無効」
5
「はい無効」

「陸奥……おめぇ…!」

1
「有効、亜美 HP 2 サイを」

「陸奥さん」

「はい」

「陸奥さんを倒したら…
どうなるんですか…?」

「どうなるって……クリアだよ。
ゲームクリア。
そして感動のエンディング!!」

「――分かりました」

3













「有効、魔王 陸奥 武流 撃破
おめでとう、勇気ある者よ。
君の勝ちだ」
chapter 52
贈り物

「――え? ……ア……アタシ………。」

「………。」

「どーしたの…! ホラ立って、
―立ってごらん?
君はもう、自由だ。
ゲームをクリアしたんだから……」

「えっ…? じゃあ、エンディングって……」

「家か、タクシーに電話して
迎えに来て貰えば?
それが到着する迄の時間が、
僕らのエンディングさ」

「おい、違うな。
真っ先に電話すべきは警察だ。
奈倉の迎えより、テメーのお迎えの方が
俺らが見届けるべきハッピーエンドだ。
自分が犯した罪の過ちを、
キッチリと償えよ」

聖は陸奥にそう告げ、
ポケットからケータイを取り出し、
通報すべく電源を立ち上げた。

「ちょっと待って小笠原君…、
少しぐらい話を」

(パァァァ………………ン―――ドサッ)


スローモーションにさえ感じた刹那の間、
抜けるような破裂音に驚き亜美が振り返ると
そこには、陸奥が用意した
最高のプレゼントが在った。

2010.07.25(Sun) 0:00 AM

亜美の快挙を祝い、讃えるかの様に、
辺り一面の壁と床は、
鮮血の花束で彩られていた。
床に横たわる陸奥は、
とても満足げな笑顔で目を閉じ、
ピクリとも動かないまま、
血で汚れた頬に一滴の朝露を流していた。

亜美はその色彩の源に駆け寄り、
抱き起こした。

「陸奥…さん…?
ねぇ、陸奥さん…何してんの……!?」
(――――――そんな気はしてたけど…)

「ヤだよ……こんなのヤだよ………
陸奥さん…」
(―――――――――――あんまりだよ)

「ちょっ…俺っ、救急車呼ぶわっ…!!」

「うんお願い……!
――陸奥さんってばぁ……!」
(――ウソツキ…………
ヒキョウモノ……………………)

「イヤァァ…しっかりして…っ!
――目を開けてっ……」
(逃げも隠れもしないって………
言ったじゃない………)

亜美は力無くうなだれるその人を、
一生懸命にペチペチと叩いた。
胸に手を当てて、心肺を測った。
その頬に、自らの頬を当てても、
その温もりは、儚くも急速に
失われつつあるのを感じた。

「陸奥さん…あのね…?
死ななくたっていいの…。
逃げる必要なんて、無いんだよっ!?
ちゃんとアタシが守って…
あなたを守ってあげるから……!!
お願い目を醒ましてぇぇえええええっ!!
いやぁぁぁぁ……!!」

「な…奈倉……! 今、呼んだからっ……。
すぐ、来てくれるから…!
畜生……コイツこんな……!!」

うちひしがれた聖は動揺し、
ふとテーブルの上に置かれた
ゲームのコインに目をやった。

(――? ………………!!)

「奈倉っ……奈倉ぁっ……コレッ…!」

聖はそれを手に取り、亜美に手渡した。

(? …………!!)

「こっ……このコイン……な、無い……!」

そのコインには、表裏両面とも
なんの刻印も刻まれてはいなかった。
それはただの、
小さな銀の円盤に過ぎなかった。
亜美は、改めて全てを悟った。

「ア……アタ……、アタシ……
守られてたんだ…。
結局、イカサマだったんだ……。
最初から…陸奥さんの仕組んだ……
シナリオを辿って居たんだ………。
―――バカァァァァァァアアアアアアッッッ!!!!」

「………………………。」











「エグッ………エグッ………ズルッ……ん……。
エグッ…エグッ………ウグッ………ウェェェ………
ウワァァァァァン!!!!
ウワァァァァァン!!!!」

亜美は着実に冷たくなりつつあるその人を、
力の限りに抱き締めては、
纏う布をひたすら嘆き濡らした。

そして、その人の胸ポケットに
白いリボンでラッピングされた、
四つ折りの便箋を見つけた。
chapter 53
手紙

亜美はそれを手に取り、
リボンをほどき、開いた。

――――――――――――――――――

勇敢なる英雄 奈倉 亜美 様

ゲーム完遂、おめでとう。
そして本当に、よく頑張ったね。偉いね。
君がこの文書を見つけ、
読んでくれているという事は、
僕のお祝いのプレゼントを
目の当たりにしてくれている、
という事なのかな?

どーかな…僕の贈り物は。
気に入って頂けただろうか。
――それとも、
嘆いてくれてたりなんて…するんだろーか。
なんせ君は、
この上無い『泣き虫毛虫ちゃん』だからね。
君がここへ拐われて来た日から、
きっとこれを読んでくれている今も、
僕は君の事、泣かせてばっかりだったね。
ポカリスエットの1.5?…
二本ぽっちじゃ全然足んなかったね(笑)
水分消費パネェェェェ!!
もっと沢山、買っといてあげれば良かった。
か弱い女の子イジメて泣かしてばっかの、
サイテー男です。ぼかぁ。

君の事だからきっと、
僕を見て罪の償いから逃げた、
大ウソツキのイカサマ野郎だなんて
詰って居るんでしょう。
僕の部下であり、初の生還者でもある、
裕美のゲームクリア時のエピソード、
覚えているかなぁ。
僕は、その時までは彼女の主張通り。
ただ、ゲームを作った側の
主観しか知らない、
人の痛みや苦しみを考える事の出来ない、
愚かな人間でした。
自らが命を懸け、
二人目の生還者となる事で、
とても大切な事を
学んだつもりで居たんです。

人の神経が、こんなにも精密で
生々しいものだった…。
生きている、この瞬間。
この世に『自分』が存在しているという
重みを痛感させられた…。
死んでしまう。それがどれ程恐ろしくて、
辛く哀しい事なのかを肌で感じた…。
生きる為に、恐れて何もしない事は
死んでいる事と同じだと感じた…。
――そんな想いを、学びました。
命の尊さを、学びました。

亜美ちゃんは、
もう気付いてるかもしんない。
もっと早くに、気付いてたかもしんない。
コインの事。
そう、アミクエは、
ディーラーに命を託すRPGなんだ。
だから、運命をその手に委ねる上で、
信頼関係が成立しなければ、
ゲームクリアはまずあり得ない。
成り行きの舵を取り、
プレイヤーの生命力をコントロールする
重要な役割だから。

だから、ね。亜美ちゃん?
君は、僕が正直で、誠実で、
勇敢だと言ってくれたね…。
あの時、この胸は張り裂けそうなくらい、
嬉しかったよ。
だけど、アミクエを作った張本人として。
君の命を預かるディーラーとして。
君にはどうしてもプレイして欲しかった…。
だから君の信頼を勝ち得る為に、
何を犠牲にしてでも正直になり、
全てを曝け出しただけなんだよ…。
本当の僕は、こんなにも身勝手で
嘘つきなどうしようも無い男だ。

僕を信じ、命を懸けて
ゲームに付き合ってくれた君の為に、
用意してあげられる結末は。
同じ命を代償に祝いのメッセージとして
捧げるくらいしか方法が
思い浮かびませんでした。
こんな不器用な男をどうか許して欲しい…。
そして本当に、巻き込んでしまって、
ごめんね…?

小笠原 聖君とも、仲良くね。
彼は立派な、君のナイト様でした。

ありがとう、さようなら。
2010.7.24 16:05
陸奥 武流

――――――――――――――――――
0:25 AM

「――バカ…。ほんっとバカ……。
許さないよ……、
好き放題するだけしといて……。
許す訳無いじゃないっ……!!
――――そうだ……ケータイ…!」

亜美は、何か思いついたように
陸奥のポケットをまさぐり、
ケータイを取り出した。
聖は、黙って陸奥の前に正座し、
俯いて黙祷を捧げて居る。
その仕草はやんちゃで
無鉄砲な彼には意外な程、凛々しく、
信心深い物に思えた。

(えーっ……と…、裕美さんの番号は……
すぐに知らせてあげないと…)

亜美は裕美に
事態の報告をしようとしていた。

(―アレ……? ……嘘……なんで!?
電話帳のデータが一件も無い……!)

(ピッピッピッポッピッピッパッポッ)

(………。)

「コノデンワハ、デンパノトドカナイバショニアルカ、
デンゲンガハイッテイナイタメ、カカリマセン。
コノデンワハ、デンパノトドカナ(プツッ)」

(駄目だ……繋がらない。
こうなる事前提で
昨日データを全部消しちゃったのかな……。
裕美さんは…
こうなる事を知ってたのかな…。
じゃあ……陸奥さんの言ってた
裕美さんへの引き継ぎって……
やっぱりお店を…)

(ピーンポーン)

インターフォンが鳴った。

「!! ―救急車が着いたと思う、
行ってくらぁ。
奈倉はソイツに付いててやってくれよ!」

「―うん…」

亜美は通学鞄を開け、
自分のケータイとストラップ、
陸奥の手紙をしまった。
間もなく聖の先導で下りて来た
救急隊員により、
仏となった彼は担架に乗せられ、
凪町の最寄りの病院に搬送された。
亜美と聖が、それに付き添う形となって。

0:50 AM

二人は病院のロビーの長椅子に座り、
医師の診断を待った。
運び込まれてから
ものの十分も経たない内に、
ICUの使用中のランプは切れ、
医師が姿を現し、言った。

「―お役に立てずに、悔やみが残ります…。
彼は自らの自律神経機関を
的確に撃ち抜かれて……
即死状態でした……。
残念ですが…医学と致しましても、
打つ手はありません……」

「そう…ですか……
ありがとうございました…」

「どうか…気を落とされる事無く……。
では……」

そう告げ終えると、医師は静かに去った。

「――奈倉…、帰ろう」

「―――うん…。
――――――小笠原君……」

「―うん?」

「――胸、借りていい……?」

「―おぅ…」

「――――うっ………うっ…うっ………」

亜美の目は、哀しみに腫れ上がっていた。
chapter 54
帰還

4:00 AM

陸奥 武流の遺体は、笹宮中央総合病院に
仮留置される運びになった。
亜美と聖は、極限の哀しみと
疲労感を引きずり、
帰りのタクシーに揺られていた。

「ねぇ…」

「―あ?」

「お兄さんのバイク…どうするの?」

「――帰ったらガチで頭下げて、
謝り倒して、貯金箱献上して、
電車で取りに行ってもらうわ…。
まぁ多分…半殺しだろーけど」

「―そっか…」

「………。」

「………。」

「小笠原君…」

「――――あ?」

「アタシなんかの為に…ありがと……」

「―『なんか』は余計だ」

「うん……ゴメン」

「――なぁ」

「――ん?」

「俺、陸奥みてぇーな奴…目指すわ」

「――うん……」

「――だからって人の事拉致監禁したり、
拐っちまったりなんてしねぇけどな」

「当たり前だよ……」

「………。」

「―ねぇ」

「なんだよ…?」

「彼…犯行動機は『楽しむ為だ』
って言ってたよね…」

「―おー…」

「それも、ウソだったんじゃないかな…って、思うの」

「………。」

「………。」

「――――なんでだよ…」
「見方を変えれば…
『楽しみたかったから』で、
あってるとは思うんだけど、
誰かに『遊んで欲しかったから』
なんじゃないかなって……。
『アミクエ』でじゃなくって、
『陸奥 武流』と」

「………。」

「―つまり、寂しかったんじゃないのかな?
って…、思うの…。
本人の前で言ったら、
意地っ張りだからどーせ『違うよ』
って淡白に一蹴するんだろうけど……」

「――そーかもしんねーな」

「ああなる段取りだったからかもしれないけど…、彼のケータイを見たら、
電話帳のデータが全部消えてたんだ…。
それで…身内の人……
居るのかな……って」

「―なんでそんなモン
勝手に見てんだよ…」

「連絡したい人が居たの。
彼の事態をすぐに知らせようと思って…」

「誰だよ…」

「アミクエを初めてクリアした人…」

「なっ!? ――他にも居たのか!?
他にも陸奥みたいに死んだ奴が!?」

「違う、違うよっ!? 話せば……あー、なんて…
どっからどう話せばいいのか
分かんないけど…、
とにかくそういう人が居たから…その時に」

「―へー…」

「だから……、
これはアタシの推憶だけど…。
もしかしたら、天涯孤独で寂しい人生…、
送っちゃってたのかなぁ…って思うの」

「―それが直接的な動機かぁ」

「ううん…分かんないけど…」

「………。」

「………。」

「――朝日ケ丘、もうすぐ着くね」

「………。」

(―――寝ちゃった…ね……)
chapter 55
面影

亜美は、劇的な五日間を経て
再び元の「日常」に帰って行った。

亜美の両親は、
事態の真相を知るに当たり、
相当なショックを受けたが、
亜美自身による弁護と
アフターフォローにより、
両親の中の陸奥に対する人物像は
理解と容認を預かり、
お咎めを担う結果には至らなかった。

後日、警察にて亜美と聖は
保護者同伴による幾度かの事情聴取を受け、
被害者本人である亜美の意向により、
刑事事件性を少しずつ消化しつつあった。

あれから亜美は、
改めて事件の発端となった現場である
「陸奥のゲームショップ」まで
足を伸ばし、訪れた。
そこは、錆びだらけのシャッターで
入り口を閉ざされていた。

「――閉店、しちゃったのかな……」


「アレ? ―もしかして、亜美ちゃん?」

亜美は驚き、声のした方へ振り返った。

「やっぱり……亜美ちゃんじゃない!
ヤッホー!」

「裕美さん…!」

「久しぶりじゃなーい! 元気してたっ!?
生還おめでとう!
もしかして会いに来てくれたの!?」

「ハイッ! 会いたくって…、
探してたんです!」

「私もっ!
亜美ちゃんには会いたかったよぉ〜ぅ…。
そーだ、時間あるならお店、寄ってく?」

「ハイ…陸奥さんのお店、
引き継いだんですよね?」

「えぇ、そうよ? 代わりに経営してるの」

「そうですか…、
いつもこれぐらいの時間から
営業してるんですか?」

「うん…経営なんて正直、
今までやった事も無いから色々大変で…」

そう言いながら、裕美は店の裏口に回り、
鍵を開けた。

「どうぞ、入って?
ちょっと在庫管理が間に合って無くって…、
商品がなんだかゴチャゴチャしてるけど…。
ソファーとテーブルがあるから
座って待っててぇ?今、お茶入れるから!」

「ハイッ、ありがとうございます!
お邪魔しまーす…」

(あ、ヴァルキリー・サーガ……
これ名作なんだよね…、
行き詰まってそのままだけど…。
!! ――デュエリストガーデン!
アタシ格ゲーあまり好きじゃないけど、
コレはハマったなぁ……\2'980? ―安っ!!
あー…買い戻してもっかいやろーかなぁ〜…)

ゲーマーの血が騒ぐ亜美は
物色も程々にし、
大人しくソファーに着いて裕美を待った。
「お待たせー! 開店までまだ余裕あるから、
のんびりしよーよ。
カントリーマァムとか好き?
紅茶熱いから、気を付けて飲んでね!」

「ありがとうございます!
わぁ、コレ大好き! 戴きます!」

「シルブプレ〜ッ揺れるハート」

「!! ―――裕美さん」

「ふぁ〜ふぃ?(な〜に?)」

「あっ…食べてる所スミマセン…。
あの、陸奥さんの事なんですけど…」

「―うん」

「裕美さんは…最後の日、
陸奥さんがああなる事は
知ってたんですか…?」

「―うん、知ってたよ。
お通夜とお葬式にも、参加したし…」

「――なんで……、
止めてあげなかったんですか…?」

「止めても無駄なの…、あの人は。
最初、第三のゲームの計画を
店長に告白されて…協力を頼み込まれた時、
猛反対したし、協力も拒んだ。
だけど、彼には彼なりの強烈な想いもあり、
それまでに色々あった私が、
そんな彼の切実な想いを
無視できる訳も無く……
痛いくらいに理解できる、
彼にしかない心の病もあったから…
途方も無い話し合いの末に…
協力を誓ったの。
巻き込まれた亜美ちゃんには
申し訳無かったし、
可哀相だとも思ったけど。
私も店長の事を信じていたし、
ゲームの結末は彼自身の中では
頑なな『設定』だったと思うから……
ごめんなさい…」

「――――陸奥さんの、親類の方って……
いらっしゃるんですか…?」

裕美は表情を曇らせ、
ゆっくりと首を横に振った。

「じゃあ…お葬式、
誰が来てくれたんですか?」

「店長の、前の仕事関係の人達…かな?」

「前の仕事…?」

「えぇ、店長。
元大手ロイヤルホテルの
コンシェルジュだったらしくって、
そっち関連の人達ばっかりだったわ?」

「コンシェルジュ……って、
なんですか…?」

「コンシェルジュ。っていうのはね、
お客様に快適にホテルを利用してもらう為に、身の回りの世話をしたり、
交通アクセスを把握してタイムテーブルのアドバイスをしたり。
お客様の個人的な用件でも
親身になって相談に乗ったり。
いろんな事を率先して調べて、
常に目配り気配りで
バックアップワークに務める人の事よ?
サービス業ってカテゴリーの中では、
かなり厳しい仕事なんじゃないかな…」

「それで…だからあんなに
心遣いの目利きがキレるんだ……
解る気がします」

「うん……、身寄りと呼べる人…
居ないみたいで……。
だからこそ余計に人の親身になって
働くような仕事は、
彼にとっては天職だったのかもしれないね……」

「あの…裕美さんはだからずっと
ゲームをクリアしてからも、
陸奥さんと働き続けて居たんですか?」
chapter finale
エピローグ

「だから。
―って訳でも無いんだけど……。
私が二十歳の時、
初めてこの店に面接に来て。
店長に会ったその時から、
私の事を実の妹みたいに扱い、
接してくれて。
一人暮らしを始め出した頃も、
料理の作り方教えてくれたり。
色んな事を教えてくれたり。
店が休みの日は
車でどこかに連れてってくれたり。
実際、それなりに付き合いも長いし、
散々、可愛がって貰ったから……」

「―裕美さんも陸奥さんの事……、
好きだったんですか?」

「うん、『頼れるアニキ』としてねっ!!
とても愛してた。
だからアタシだって今は結構、
ツラいんだ…。
―てゆーかぁ、
『も』って事は亜美ちゃんも
店長に惚れちゃったワケなのかなぁー!?
このーっ、ヒトのアニキをーっ!!(笑)」

裕美は、滲み出して来た何かを
ごまかすかの様に、
潤んだ瞳でわざと明るく、
無邪気に振る舞い、
冗談混じりに亜美を肘で突ついた。

「やっ……! 違っ…、違いますぅーっ!!
アタシも…裕美さんと似た様な感覚で…、
いつの日からか
陸奥さんに惹かれて行きました…」

「――そっか。
店長は、亜美ちゃんにかまって貰えて
幸せだったと思うよ?」

「―ハイ……。ところで裕美さん?
陸奥さんの家の寝室に置いておいた手紙…、
読んで下さいましたか?」

「えぇ。鍵は預かってたし、
葬儀関係の整頓をしに訪れた時、
見つけたわ?
クスッ…まだ若いのに律儀な子だなーって、
関心しちゃった!
少し名残惜しくもなったけどねっ!」

「裕美さんがゲームのディーラーになった時、
ゲームオーバーになったら
本気で陸奥さんを殺すつもりでしたか…?」

「うん…殺すつもりだったよ…?
店長も…アタシの時はそうだったから」

「………。」

「でも…ね?
店長は、八百長でも茶番でも…
決してゲームオーバーになんて
させなかった。
途中から、私はそれに気付いたの…。
なんだかんだと恐ろしい脅迫を
続けながら、
本気で殺す事を啓示しながらも、
私の事を守ってくれた…。
――だから、私も同じ様に…
彼の命を守ってあげたよ……?」

「――アタシの時も……そうでした……」

「アレは、つまり
そういうゲームだったのよね…。
相手を信じなければ、
クリアする事も出来ない……
悲しいゲーム。
店長ならきっと、亜美ちゃんの事も
守ってくれるって信じてた…!
またいつでも、遊びにおいでよ…ね?
この店は妹分の私が守ってゆくからさっ!
朝日ケ丘からはチョイ遠いけどね」

「ハイ! また来ます!」

「てか、ゲームばっかしてちゃ
駄目だゾーっ!?」

「アハハッ……! それはもう、
お母さんに言われ続けて耳タコです!」

「フフッ、またね!」

「さようなら!」


3 years after


「亜美ー、供え物の団子
一個喰っちゃっていーか?」

「何言ってんの!? 駄目だよっ!
――ん〜重い…。
聖、桶と柄杓棒持ってよぉ…」

「だからこんなに荷物
要らねぇっつったべ!?
樒と線香なんか何まとめ買いしてんだよ…、
墓に毎日通い詰めんのか!?」

「もぉー…ウルサィなぁ…。
余ったモノはまた来る時の為に
取っとけばいいでしょ?
ねー、陸奥さん…?
今、お花手向けるからねー…」

「墓石、洗うんだよなー。
水、ちょっとずつかけちゃっていい?」

「うん、お願い…あっ!?
何くわえてんの!?」

聖は目を点にしながら、
くわえた団子を口から離した。

「――バカッ……!!」


陸奥 武流の墓石の前で、
二人は供え物をし、
線香を上げて手を合わせた。


(陸奥さん、
もう寂しくなんか無いよね…?
アタシ達の心の中には、
ずっと貴方が居ます…。
家族だからね。独りじゃないよ…?
またいつか生まれ変わる日まで、
良ければアタシ達の事を、
見守って居て欲しい…)


――――――― fine ―――――――


(あったあった……! 時々メモリアル!
これの主役の子が、
カワイーんだなコレが…。
よし、レジはどこだ…?)

「いらっしゃいませー!
―お客様こちら1380円になります。
説明書が付いて無い商品になりますが、
大丈夫でしょうかー?」

「―え? いーよいーよ、
そんなの。これで」

「はい、1500円お預かりしまーす!
お釣とレシートをどうぞ!」

「はい、ありがと」




「ありがとうございましたー! アレ?
――お客様!
そちら………………………………………………………………ハンカチを落とされましたよ?」

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