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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレ有り】『白夜行』 [ 2011年1月29日公開 ]

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●Introduction
東野圭吾の同名小説を原作に「半分の月がのぼる空」の深川栄洋監督が映画化。幼い頃にある殺人事件に関わった男女の宿命を描く。出演は「大奥」の堀北真希、「おにいちゃんのハナビ」の高良健吾、「ウルルの森の物語」の船越英一郎、「死刑台のエレベーター」の田中哲司、「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」の戸田恵子など。

昭和55年。とある廃ビルの密室で、質屋の店主が殺された。すぐに妻の桐原弥生子(戸田恵子)と従業員で弥生子の愛人、松浦勇(田中哲司)に嫌疑がかかるが、所轄の担当刑事である笹垣潤三(船越英一郎)に10歳になる息子の桐原亮司(今井悠貴)が母親のアリバイを証言する。一方、捜査本部は、被害者が事件の直前、西本文代(山下容莉枝)という女の家を訪ねていたことを突き止める。だが、笹垣の職務質問に嘘で答えようとした文代を制したのは、10歳の少女・西本雪穂(福本史織)だった。その後、文代の若い恋人が事故死、質屋殺しの決定的証拠品も発見され、その後を追うかのように文代がガス中毒死、事件は被疑者死亡のまま解決を見る。だが、笹垣はどうしても腑に落ちない。被疑者の息子と容疑者の娘の姿が、いつまでもちらついて去らないのであった……。数年後。遠戚である唐沢礼子(中村久美)の養女となった唐沢雪穂(堀北真希)は、著名なお嬢様学校、清華女子学園に通う美しく聡明な女子高生になっていた。入学当初は「昔は貧乏で、実の母親が殺人犯」という噂もあって学内でも浮いた存在だったが、噂はすぐに消え、やがて名実ともに学園のスターになっていく。大学に進学してからは、親友の川島江利子(緑友利恵)と社交ダンス部に入部、まもなく周囲を魅了する存在となる。一方、桐原亮司(高良健吾)は、事件後実家を離れ、自活するようになっていた。以前は欲求不満のオバサン相手に性を売ることで収入を得ていたが、とある乱交パーティーで20歳も年上の典子 (粟田麗)と出会い、心通うものを感じて同棲するようになる。不倫に傷つき自暴自棄になっていた典子と亮司は、互いの心の傷をそっと癒し合うようにささやかな生活を営んでいた。そんな中、笹垣は未だ質屋殺しの一件に囚われていた。やがて、自らの命までも狙われるようになった時、遂に笹垣は19年前に結ばれた確かな絆の存在に思い至るのであった……。(作品資料より)
[ 2011年1月29日公開 ]

コメント(2)

 深川栄洋監督は、小地蔵が最もリスペクトする若手を代表する監督です。その持ち味は、きめ細かなカット割りを巧みにつないで、映像でストーリーを展開していくところにあります。時に観客を欺くトリッキーな演出もあり、「深川マジック」と呼ばれることもあるほどです。
 本作は、主要出演者に今までにないキャラを演じさせていることもあって、凄く期待していた作品でした。
 前置きはさておき、見終わった感想として、ヘビー級に重く苦しいラストと前半の説明抜きに淡々と描かれていく「事実関係の羅列」に、筋に付いていくのに苦しみました。何しろ主演した堀北真希ですら、「出来上がった映画を見ましたが、それでも理解するのは難しいです。」といっているくらい前半の事件のあらましを掴むのは困難なのです。
 ラスト30分になって、ようやくネタバレされるとき、やっとそうだったのか納得できました。ここまでたどり着くのに、ちょっとしんどかったなぁ〜というのが正直な気持ちです。
 原作が、読者を突き放して、次々事件を展開させていく筆致なので仕方ないのかもしれません。また真犯人が、絶対に予想不可能な信じがたい人物であるし、途中で捜査も暗礁に乗り上げて、推理サスペンスとしては観客が、捜査する人間に感情移入して犯人推理に参加し得ないような、難解な謎になっていることも、難しさを感じる要因だと思います。
 そういう原作に輪をかけて、策士策にはまるというか、「深川マジック」が、より難しくしている思います。
 極端にネタバレを嫌い、事件が起こって人が死んでいても、ちらりと見せただけで、さくっと場面を次のシークエンスに進めてしまうのです。アレレ、あのシーンはどういう意味なのか、ゆっくり推理している暇を与えてくれません。まさに問答無用で、ラストのネタバレまで突き進みます。だから1回見ただけでは、よく分からないのです。せめてチラシに載っている人物相関図で、登場人物と人間関係を把握してから見たほうが、疑問点が少なくできるので、予習をお勧めします。

 よくテレビ朝日のサスペンス劇場は見ます。だいたいパターンが決まっていて、中盤まで犯人らしい人に疑いがかかるように描いて、ラストでひっくり返して、風光明媚な場所で、「真犯人はあなただ」と名指しするわけですね。サスペンス劇場の謎は、適当にヒントが散りばめていて、だいたい推理できます。だからといって、犯人がバレバレなのは興ざめですが、全く誰だか分からないというのも、ちょっと感情移入しにくくなりますね。 だから少し途中で、事件のヒントが欲しかったです。あるいは容疑者扱いされる妻の桐原弥生子や指名手配される妻の不倫相手の松浦勇をもっと犯人ぽく描いてもよかったかも知れません。
 ネタバレが絡むので抽象的になってすいませんが、ストーリーは懲りすぎた嫌いがあります。原作者のコメントでは、本作の理屈は読者銘々で独自に解釈しているうちは問題がないが、映像化されて特定の人間の「理屈」が開陳されるとなれば話が違いますとコメントしています。深川監督は、かなりストイックに原作に忠実であろうとし、自分なりの余計な「理屈」をこそぎ落とした結果、難解になってしまったのではないでしょうか。

 それでも各出演者の役作りは、素晴らしいです。なかでも、堀北真希は、自らの過去を殺して成り上がっていく難しい役どころとなる悪女・雪穂を見事に演じきっています。
 最後に自分のために、死を選んでしまうとある青年に、「知らない」といって笑みすら浮かべるところでは、ぞくっとしました。「殺したのは、心」というコピーがぴったりの演技でした。

 それと刑事役の船越英一郎もよかったです。サスペンスの帝王も普段テレビで見せる熱血刑事ぶりを封印し、事件を解決できなかった無念さをたっぷり背負った、哀愁に包まれた役柄を公演しています。真犯人に自分の息子になれとまで同情する人情派という設定は、船越にしては珍しいのではないでしょうか。

 とにかくラスト30分に突き付けられる雪穂の壮絶なる19年には、驚愕というほかありません。その背負っている過去を知るほどに、彼女に何の罪があるのか、弁護したくなるほどでした。こんな衝撃は、2度と味わえないことでしょう。必見ですよ!

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