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戦術論コミュの独断専行

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法律が対処できない事態に、現場の責任者の採るべき手段はあるか。
拱手傍観が合法だが、心ある責任者は独断専行をするだろう。
超法規的処置により、越権でも緊急性のある事態に対処する、はずだ。彼(あるいは彼女)は、事後違法行為で処分されても、胸を張ってそれを受け入れるであろう。
逆に言えば、そんな覚悟と見識のない者を、責任者にしてはならない。特に首相には。

ところで、「独断専行」という言葉には、深い意味がある。
一般には、独りで判断して勝手に行動する、と悪い意味に解釈されている。民間人ならそれでいいかもしれない。
しかし、軍事用語としての独断専行には違う意味がある。
世間で言う独断専行は、「専恣」という言葉があてられ、独断専行は指揮官の義務とされる。

軍事行動には、不測の事態がつきものである。
有事に行動するから当たり前だし、何しろ予測不能の行動をする敵が相手だ。
事前の計画や、命令に従っていては、変化した情勢に対応できず、負けてしまうことは多い。

某部隊が戦場に到着したら、状況(戦場の様子や敵状)がまるで違っていたとしよう。
部隊指揮官の採るべき処置は、まず、状況報告である。命令を出した上級指揮官に事情を説明して、命令が遂行できないことを報告し、新しい命令を貰う、のが筋だ。

しかし、戦場ではこんな余裕は普通ない。
だから、指揮官は独断で命令とは違う行動を取る。これを独断専行という。
ただ、独断専行をやたらに認めていたら、作戦計画は破たんするし、恣意的に命令違反するケースが増える。したがって、独断専行には条件がある。

①情勢が命令を受けた時と著しく変化している。(命令が非現実的で実行不能)
②上級指揮官に、報告するいとまがない。(状況に即応せねばならない。いないハズの敵から攻撃された時など)
③独断専行の結果が、上級指揮官の使命達成に寄与する。(一見命令違反の勝手な行動だが、実は上級指揮官の利益になる)

独断専行のできる能力がなければ、指揮官は要らない。事前の計画、古い命令の通り動くだけなら、頭は要らないということは、お分かり頂けるだろう。

独断専行の典型は、昭和16年12月の香港攻略戦における若林東一中尉の独断攻撃とされる。
中尉は、将校斥侯として夜間敵陣を偵察していたが、敵の防御に大きな欠陥を見つけた。
命令は、敵情偵察、だったがそれは最終的には敵陣攻略につながる。中尉は、偵察の命令を超えて、少数の部下を率いて独断攻撃を開始した。中尉の上司の大隊長は自分の部下を救うために大隊に攻撃を命じ、連隊長も同じことをして攻撃が拡大した。
これに引きずられて師団、軍も攻撃せざるを得ず、攻撃計画が狂ったため、軍参謀は激怒した。
しかし、この攻撃は成功し、計画通りの攻撃よりはるかに少ない損害と、短時間で作戦は完了した。

一中尉(警察なら警部補、会社なら主任か係長)が、中将(県警本部長や大会社社長)の視点で即断した、ということである。

独断専行は必要だし、適切な独断専行が断行できる覚悟と見識のある人材を育てることが、危機管理の一つである。

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