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Tanz bitte,Hermann!*コミュのやすこといふ女

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泰子が我が家に居候してはや3週間が経つ。

我が家といいつつ、この2DKには俺と泰子しかいない。大学の講義から帰ると、泰子は俺のベッドでひとりでどったんばったんしていた。
泰子は1つ年上の親戚だ。働いていない。間抜けだ。こうやって自動たらい回しして、あらゆる知り合いのもとに住み着いて、離れていく。座敷わらしと違うのは、飯も食うし、幸せにしてくれるわけでもないことだ。まあ、当の本人は幸せオーラ全開なのだが。

「ほれ、コンビニ寄ってきた。」
そういって俺はヨーグルトを2つ置く。
「やーちゃんはね、イチゴが食べたいのだよっ。」
「ん、イチゴ味。」
泰子はあーんするから食べさして、とかぬかしやがる。
しかたなしに俺はヨーグルトのパッケージを乱雑に剥がし、飛沫を多少浴びた。笑われる。匙で掬って、泰子の口に。
泰子の幸せオーラがメルトダウン。
ヨーグルトを与えればこいつは幸せなのだ。

「泰子、今日もお留守番出来た?」
「やーちゃん、ちゃんといい子してたよ。」
アルバム見てた、と。
おいおい、何を勝手に…、と俺はあることに気付く。
「アルバムか?泰子映ってただろ?」
「うん、やーちゃん、知らないけど、やーちゃんだった。」
泰子の短大時代の写真があったり、あの女子高時代の泰子の写真がいくつかアルバムにあるのだ。泰子は記憶がない。8歳に巻き戻されたから。
「やーちゃん、やっぱり20歳なの?大人なの?」
「うん、今は2012年だし、俺は19歳で泰子は二十歳なんだよ。」
泰子はそれから黙った。

コメント(1)


続



「やーちゃんはね、あいのはんたいは無関心だと、おもうのね。」
黙っていた口元がゆるんだと思ったらそんな言葉が飛び出した。
「だからね、」
「うん。」
「きっとね、」
「うん、黙って聞くから。」
「こころのどっかがずっと、からっぽなの。」
泰子の幸せオーラはどこへやら。困った。
いまはこんなに泣き出しそうな顔をしている。
「きっとね、藤雄くんの知ってるヤスコちゃんはね、きっとね、すごく悲しかったんだと思う。」

「事故も自分もカレシのことも、おなかのことも、ぜんぶぜんぶ、どうでもよくなっちゃったんだよ。」

ダカラヤーチャンハ、カエッテキタノ

ああ、やっぱり、いつもの泰子だ。

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