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Tanz bitte,Hermann!*コミュの少女とピストル

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『あの子はピストルを持っている』

そんな噂が立ったのはいつだろう。
私はその時は教室の窓から飛行機雲を目で追うのに精一杯で、周りの雑音の中のその一声もまた、雑音に違いなかった。

そりゃ矢内田さん、何考えてるか解らないもん。喋るような子じゃないし。
スラッとした長身も、サラサラした長い髪も、長い睫毛の奥の黒い瞳も。誰も矢内田さんの心を見ない。外見のみで首席合格。
一言で言うなら、まっさら。

矢内田さん、また詩集読んでるなあ…。
さあ、次は4時間目。現社だ。寝よう。


ある日の放課後

私はいつものように廊下だとか自習室や多目的室などの校内を徘徊してたら、クラスの男子生徒がいきなり空いてた小会議室にやってきた。
私はさっと身を屈めて、机の下に隠れた。


「あいつ、本当にピストル持ってやがった…!」
うおーうおーと小さく唸るその少年は、頭を抱えて私の存在なんか気付いてなかった。


矢内田さんは来年から進路のコースを変えるそうだ。
つまり、そのままエレベーター式だったクラスに矢内田さんは降りたわけで。
ツンとした空気の3月。

体育なんかやりたくなくて、久しぶりに仮病と女の子の日と嘘を言って教室で自習することにした。

やっぱりそこには常連の矢内田さんもいた。

ピストル、私に向けないかな。
ストーブのシュウシュウした音が辺りに響く。

矢内田さんが、振り向いた。

「ねえ、あたしのこと、ピストルピストルってアタマん中で思ってんだろ。うるせえんだよ」
そして、わざわざ私のとこまで来て、私は矢内田さんに殴られた。
私は何も知らない。


やっぱり矢内田さんはピストルをスカートの中に持っていた。

にやつく私に矢内田さんは「気持ち悪いんだよこのドブス」と言った。

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