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吃音も一緒コミュの吃音症 ウィキペディア日本語版に掲載の吃音症 4

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治療の問題点
 日本における吃音治療の最大の問題は、長い間、医療と手が切られてきたこと である。ゆえに、吃音の医学的治療や研究はなかなか進んでいない。
 治療法の一つに、上節で触れた様な矯正法を含めた言語療法などがあるが、必 ずしも全員がこれで完治するとはいえず、吃音を寛解することは可能でも、全 ての吃音者を完治させるに至る統一的治療法は確立されていない。なぜなら丁 度、「頭痛」や「めまい」と似て、これらの症状の原因は多種多様で、その治 療法も色々ある様に、吃音も症状であり、吃症状の原因や性質は色々であり、 従って治療方法も吃症状によって様々なものがあると考えられるからである。 近年は「吃音は脳機能障害」という脳科学的研究が進み、それらによると吃音 の要因は脳内神経の3つの回路と2つの神経レベルの機能不全に分けられ、吃音 の種類や性質に合わせた抑制訓練を検討することが具体的であるとされる。
 また、ある時期まで、吃音は、精神的な緊張に起因するという認識が広まり、 成人の吃音治療には無力な心理療法が重視されたり(全ての成人吃音者に心理 療法が無効というわけではない。神経症や不安や欝症状が強いケースは、心理 療法や薬物療法による治療が言語治療などと併せて必要な場合もある)、吃音 の軽症化に成功した一部重度吃音者の経験を基にした発声訓練や講談による治 療が推奨されてきた為、間違った方向に吃音治療が進んだことは既に触れた通 りである。
 しかし、2000年前後から米国などで吃音は複雑な要因や問題が輻輳しているの で、単一の理論や治療法で処置できるものではなく、複数の治療法を組み合わ せた「comprehensive(包括的)治療」や「holistic(全身的)療法」、「Inte grated Approach(統合的)アプローチ」が提唱され、また、吃音に伴う症状を 治療することにより間接的に吃音治療に繋がる場合があるという考えが提唱さ れ始めている。しかし、日本では、一部を除き、耳鼻咽喉科などでSTによる言 語訓練を受けた時にしか健康保険治療が認められていない現状では、スタート さえできない。

吃音の再発
 吃音症は、再発し易い疾病である。海外の研究では、6ヶ月から2年の古典的言 語療法に依る治療で、本人が満足に至るまで吃音抑制したケースと、社会生活 に支障を来たさないまで抑制したケースを合わせた吃音抑制率は約70%とされて いる。しかし、1年後の追跡調査では、その中約40%の吃音者が再発していた。 その理由の一つは、脳の神経細胞のシナプス接続の仕組みが吃音の条件反射を 引き起こすメカニズムであるとされているが、治療開始前の吃音者の脳に形成 された条件反射の神経回路が完全に消去されていないからであると考えられて いる。したがって、再発を抑制するためには、古い神経回路を消去し、条件反 応の回路を書き換え、新しい発語に関わる神経回路を生成しなければならない とされる。即ち、新しい条件付けを形成し、脳の言語中枢に正しい発語法を上 書きしていくのである。またこれは、6〜8名によるロールプレイによる行動療 法、脱感作療法、抑制法、修正法、聴覚言語療法などを組み合わせた総合的な 吃音抑制訓練で可能とされる。これには長い訓練が必要とされ、一旦治ったと 思っても訓練を続けなければならない。また、治療期間中に訓練を休止するこ ともマイナスである。半年間の訓練で、ある場面や言葉でどもらなくなって  も、新しい発語法の習得には、更に3ヶ月間の訓練が必要とされる。[19]
 Einer BobergとDeborah Kullyは、吃音治療プログラム終了後に吃音が再発する 理由として、以下のことが考えうるとしている。
1.成人吃音者は新しい話し方の心構えや行動に合わせることが難しい。
2.自己評価が低下している。
3.吃音は周期的に起こる(注:ドーパミン過多症状を示唆している)。
4.生活で時々、ストレスの多いことがある。
5.習得した流暢性技法を絶えず心がけ、注意を向けることは、始めの数週間から 数か月間は可能だが、流暢性技法が自動的で習慣的にならなくなると、流暢性 技法の監視を投げ出してしまう。
6.ある種の吃音者は、まだ解っていない神経学的な原因がある可能性があり、こ のような吃音者は従来の治療プログラムでは吃音を克服することはできない。
 ただ、海外の一部では、古典的な言語療法だけに依らない、最高レベルのコン プリヘンシブ治療を受けた場合の1〜2年後の治癒率は、克服した人と満足でき る状態にあった人を合わせて75%(自己回答だと80%)とされ、追跡調査でも再 発は殆どしていないとするレポートがあることは上節の日本以外の治療研究事 例で既に触れた通りである。

健康保険適用と診療報酬
 日本では、吃音症は、標準病名マスター作業班[20]や診療報酬情報提供サービ スでは健康保険適用の疾病とされており、医療機関は、脳血管疾患等リハビリ テーション料を請求する仕組みになっている。これは2006年の診療報酬改定の 際に、厚労省と言語聴覚士協会が正式合意したものである。因みに日本音声言 語医学会は吃音は広義の意味で構音障害の一つと考えており、保険治療の対象 になるという立場である。しかし、患者が受診できる医療機関や治療及び、医 師が診療報酬を受け取れる医療や仕組みが限られてしまっている。日本におい ては吃音症はSTの置かれた耳鼻咽喉科やリハビリテーション科、一部小児科や 神経内科、小児神経内科などを除いては、医療体系に充分に含まれていないか らである。耳鼻咽喉科などでは吃音症に加え、音声言語障害 (言語障害、音声 障害、言語機能の障害、言語発達障害などでも可)の診断名を付し、STによる 訓練を受けた場合、問題なく健康保険適用される。吃音のみの診断名では自治 体の審査支払機関に不適切とみなされ、健康保険適用外としてレセプトが返戻 されてしまう場合があるが、審査支払機関によっては可能な場合もある。健康 保険適用と認めるか否かは、自治体の診療報酬審査委員会の審査官個人の判断 に委ねられ、その基準には幅がある。
 精神科、神経科、心療内科などでは、通院・在宅精神療法[22]の適応疾病や薬 剤処方の適応書に吃音症は含まれていない。したがって、かかる治療を受ける のなら健康保険を使って受診できない。しかし、通院・在宅精神療法を点数と して取らず、薬剤処方もしなければ吃音症のみで受診することは可能であり、 初診料と再診料のみの診療報酬を請求することになる(精神科は検査などを多 くしないので、診療報酬が低く、初診料・再診料以外に通院・在宅精神療法な どが加算される仕組みになっている)。その場合、審査支払い機関への病態の 保証・説得が大事になり、治療法としては、認知行動療法、精神力動的治療(精神分析など)、交流分析、カウンセリング、ロールプレイ、ゲシュタルト療 法、家族療法などが挙げられるが、医師の判断や医療機関の治療資源、得意分 野などによって違ってくる。医療機関によっては、受診拒否されることがある が、その医療機関や医師に吃音症の知識や治療資源がなかった場合は、医師法1 9条が禁止する診療拒否には当たらない。
 ただし、吃音症に同時に鬱病や神経症などの精神疾患を併発している場合は、 後者の診断名で通院・在宅精神療法や薬物処方は可能であり、抗不安薬や安定 剤の一種などが処方される。吃音に有効な治療や薬は何か研究している精神科 医も皆無に等しいながら存在するが、日本の医師で吃音の知識を有した者は稀 でネットで得た中途半端な知識に基づくアドバイスが、却って吃音者を苦しめ ているケースも多い。近年、吃音症の寛解に選択的セロトニン再取り込み阻害 薬やベンゾジアゼピン系の抗不安薬が一部有効とされているが、吃音症のみ診 断名では処方することはできないため、精神科の医療体系に吃音症を充分に組 み込んでいくことが求められる。また、吃音者の多くがどのような薬種を服用 しているのか、それがどの程度効果を上げているのか纏まったデータすらな  い。ここでも国や厚生労働省の早急な対策が待たれている。
 専門の医師と言語聴覚士の不足
 吃音症の治療を専門的に行っている医療機関や医師、言語聴覚士は非常に少数 である。
その原因は、
•吃音は日本では医療体系に含まれていなかった。
•吃音者が吃音を命がけで隠そうとし、吃音治療で受診することが少なく、吃音 が認知されていない。
•吃音症は"治さない"・"治らない"・"治せない"と宣言した一部団体があり(今 は変わって来ている)、そう信じられてしまった時代があった。
•ST養成課程におけるカリキュラムに吃音関係が2%しかない。
•吃音の一部は原因が分かってきているが、その他の吃音ははっきりせず、全吃 音者を完治させる統一的な治療法が確立されていない。
•それゆえ、一部の吃音を除き原因のよく分からない病気(障害)を研究するの は浪費と考え、医師が吃音研究に関心を持たない。
•病院の外来は午後3時頃には受付を終えてしまい、土日は休診の所が多いため、 社会人の吃音者は受診しにくい。
•医療機関で吃音治療が受けられることや、どの診療科を受診すればいいか、吃 音者にも、医療関係者にも知られておらず、吃音は"忘れられている"。
•吃音は治りにくいと思われているので、言語聴覚士が敬遠している。
•吃音は言語訓練が主なため診療報酬点数が低く、医療機関はSTの業務でも高い 診療報酬点数が得られる脳卒中などの患者を優先する傾向がある。
 ことなどが考えられる。近年、STへの吃音の講演会が行われてきているもの  の、まだまだ不十分である。言語聴覚士の治療を受けて完治するとは限らない が、吃音が改善されたという報告例はある。吃音の矯正方法が確立されにくい のは、上記で触れたように吃音者にとっては、吃音は死ぬほど恥ずかしいこと であり、命がけで隠すからであるといわれる。それゆえ、社会、医学的認知度 が高まらず、治療に向けての研究が遅々として進まない面は否定できない。
 治療のあり方と今後の方向性
 吃音治療による治癒率は、日本以外の文献によると吃音者の約1/3はほぼ満足で きる程度に吃音の抑制できており、1/3は日常生活に支障のない程度に改善し、 1/3は改善は困難であったというデータが大半である(NPO法人吃音協会HPよ  り)。これらの治療期間は短い場合で6か月、長い場合で2年という例がある。 尚、これらの治療法は大部分が言語療法、聴覚療法(DAF、FAFなど)、心理療 法などの単一の治療法を用いた場合の結果であって、その治療法が治療を受け た吃音者の吃音の種類や性質に合っていない場合も考えられるので、2000年前 後から提唱され始めた「comprehensive(包括的)治療」や「holistic(全身  的)療法」の場合ではもっと治癒率が向上するものと考えられる。今までの吃 音治療に関する研究は治療法の有効性に焦点が当てられ、吃音者一人一人の実 態合った治療法は何であるか、何が有効かという視点からの研究は皆無であ  る。このような研究はcomprehensive治療やHolistic治療による研究で、今後明 らかになることだと考えられている。耳鼻咽喉科などでしか健康保険治療が認 められていないことが、各科が連携し複数の治療法を取り入れた総合的吃音治 療の展望を難しくさせている。なお、統合的治療の中にはまだ、近年の脳科学 的知見は取り入れられていないが、21世紀はバイオテクノロジーと脳科学の時 代であり脳科学的成果を取り入れた新しい治療法がきっと確立されるであろ  う。
 また、吃音を極度に恥ずかしいと思う「もの言わぬ吃音者」と、吃音を比較的 恥ずかしいと思わない吃音者がおり、後者は吃音自助グループなどに参加した りするが、前者の「もの言わぬ吃音者」は鬱(うつ)や神経症などの傾向が強 く、積極的になれない傾向があり、自助グループなどには参加しないか、でき ないようである。「もの言わぬ吃音者」にとっては、人前でのスピーチ訓練な どは過酷なことであり、彼らへの治療方法が大きな課題となっている。

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