ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

『新』楽座組コミュの其の2

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こんな話がラジオから流れてきました。


暗記してきたので転載させて頂きます。











〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





僕の手元に、1通の結婚式招待状が届いた。

兄貴の元彼女の、陽子さんからだ。


行くのを少しためらったけど、思い切って参加した。

来てはみたものの、やっぱり知り合いなんて誰もいないや。


挨拶だけして、早々に帰ろうかな。。




『陽子さん、今日はおめでとうございます!』

陽子
『あ!晴彦君!今日は来てくれたんだね! 本当にありがとう!!』


『ほんとにお久しぶりです!』

陽子
『もうあれから何年経つんだっけ…。』



陽子さんと兄貴が付き合い始めたのは4年前。

僕が大学に入る年だった。

二人は本当にお似合いで、すごく仲が良かった。


兄貴が倒れた時も、陽子さんはすぐ駆け付けてくれて。

それから毎日、仕事が終わったら見舞いに来てくれてたっけ。



陽子
『初めて会ってからもう4年も経つんだっけ。あの頃が本当に懐かしいなぁ〜〜☆』





兄貴は倒れた半年後、病気が悪化してそのまま死んでしまった。

最期はチューブにつながれた兄貴の手を握り締め、陽子さんは

大泣きしていたのを今でも覚えている。





『兄貴もきっと、今日を喜んでくれてると思います。』

陽子
『あの時の坊やがこんな大人な事言うなんて、立派になったわね〜。』


『えぇ〜。何ですかそれ。』

陽子
『でも本当に彼にそっくりになったわね。

違う事と言えば…右利きって事位かな?』


陽子さんが、水割りのグラスを持つ僕の右手を見ながらそう言った。


確かに、僕も兄貴に益々似てきた気がする。


兄貴は左利きだった。僕は右利きだが。



陽子
『彼の一周忌の時に、皆の前で「今日限りで一切彼の事は忘れて幸せになります!」って言って、あれ以来立ち直るのもずいぶん苦労したんだから。』


『あの時は本当にびっくりしましたよー。』


陽子
『でも、そのお陰で今の旦那さまとこうして幸せになれたんだし…。』


陽子
『実は今回、晴彦君に招待状送るのも悩んだんだけど、【私はこうして幸せになったんだぞー!】って晴彦君に見せたかったの。お父さんとお母さんには流石に送れなかったけどね。』

陽子
『あぁ〜〜。できればもう一度だけ、彼に会いたいなぁ。今の私を見てもらいたい!』


『きっと兄貴も、今日はここに来てますよ。』

陽子
『そうだといいなぁ。』


『兄貴もおめでとう、って喜んでますって。』



陽子
『あ、いけない!そろそろビンゴゲーム大会始まるみたいだから行ってくるね!』

『それと、後で旦那さまに紹介させて?昔、私が愛した彼にそっくりな弟君です、って!(笑)』



『あはは。ありがとうございます!』




僕は会話が終わると

右手に持っていた水割りのグラスをぐいっと飲みほし、

メインテーブルに戻る彼女の後姿を、微笑みながら見つめていた。





歩いていた陽子さんが、不意に立ち止まった。




向かいにある大きな姿見を見たまま、

嬉しそうな、泣きそうな表情で動かない。





その鏡の中には


左手にグラスを持ち、

彼女の背中に微笑みかけながら立っている、僕の姿が写っていた。






兄貴。


やっぱり今日…来てたんだね。







陽子さん。

ご結婚、本当におめでとう。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


お し ま い 。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

『新』楽座組 更新情報

『新』楽座組のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング