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ウラジミールの文章置き場コミュの短編小説「乙女、スパスパに勘当」

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名島表現塾提出課題、テーマ;実際の事件で物語

2007年04月16日





「アイぴょん〜!
私は絶っ対許さない!
私達のあの夜は…
私達の今迄は、一体何だったのぉ!」

ノゾミは回想する。あの夜の事を。

……………

「ピンポーンピンポーン」
真夜中の訪問者に驚き、不審げな表情を浮かべるツツジノゾミ。
そのマンションのドアの向こうからか細い声が聞こえる。
「ののちゃん開けて…開けて欲しいぴょん〜」
相方のカホゴアイの声だ。
「アイぴょん…。」
ノゾミはドアを開けると、アイを部屋に招き入れた。
「どうしたぴょん?
こんな夜中にずぶ濡れだぴょん。」
「逃げて来たんだぴょん。」「またプロデューサーなのぴょん?」
ノゾミとアイは、アイドルグループ"おはよう娘。"の一員である。
近頃そのプロデューサーが、嫌がるアイにしつこく迫っているのをノゾミは気にかけていた。
「うん。ホントにしつこいんだぴょん。
あのいやらしい関西弁。
"ワイとシングルベッドで夢もって抱き合うんや。
君が先に眠るまで勿体ないから起きてるでー。
淋しい夜はごめんや〜…"って。
私どうしたらいいかわかんないぴょん。」
「アイぴょん、今はプライベートだから、語尾のぴょんってのよそうか。」
「うん。そうだね。
…ねえののちゃん、今夜泊まってもいい?」
「もちろんいいよ。」
一瞬窓の外に閃光が走り、ドゴーンと雷鳴が響く。
「きゃっ」
怖がりのアイはノゾミに抱き付いた。
「アイぴょん…。」
雷は止み、やがて見つめ合う二人。
そして唇と唇の距離がゆっくり縮まっていく。
唇が重なる瞬間、二人は倒れるように転がった。
相方の背中にまわした手が体中を這い周っていく。
「ああ…アイぴょん。」
「ののちゃん…。」
「アイぴょん…いいの?」
小さく頷くアイ。
そしてめくるめく夜。
……。
つかの間のたわむれが終わると、二人が抱える不安がまたたちのぼってくる。
「ののちゃん、私達これからどうなるのかなぁ」
「どうって…」
「身長150cm未満のユニット"ミニおは"も、私達二人だけになっちゃったし。
リーダーはイケメン俳優とラブラブなトコをフライデーされて、脱退しちゃって…」
「結局ふられたけどね。」
「外人はハワイに帰っちゃったし。」
「得意の英語を生かして英語教育番組で頑張ってたけどね。」
「あの頃はみんなで、カブり物したりして楽しかったよね。」
「宇宙人とか、ハムスターとかね。」
「教えてののちゃん…。
二人だけになったら、どおしてCD売れないの?」
「そんなの私にもわかんないよ。
ドラチャンのアニメのエンディングテーマ、さっぱりだったよね。」
「売れなくなったら、どうなるの?
売れないアイドルは、やっぱり着エロとかヘアヌードになるの?」
「着エロ路線からAVに流される子も多いっていうし…」
二人の展望は、決して明るいものではなかった。
短い沈黙の後、アイはハンドバッグからセーラムライトを取り出し、慣れた手つきで火を付けた。
「アイぴょん、もうやめなよ。」
「タバコでも吸わなきゃやってらんないよ。」
「あたしたち未成年だよ。
もしフライデーされたら…。
エヌイーダブリュエスみたいになっちゃうよ。」
「アイドル失格だね。
クビになったら…それでも…それでもののちゃんだけは、ずっと私の側に居てくれる?」
「アイぴょん…。」
再び訪れる甘い時間。

……………

「あの夜、ずっと私達は二人でいようって…。
それなのに、それなのに…
なんでそんな事言うの?」
ノゾミは聞いてしまった。
楽屋でアイが堂々とタバコを吸いながら、おはよう娘。の他のメンバーにノゾミの陰口を吹き込んでいるのを。
「最近のののちゃん、私に向ける視線が重たすぎるんだよね〜。
あの子さあ、レズじゃないの?」
ノゾミは許せなかった。
だからアイが喫煙しているところをフライデーされた時は、ざまあみろとほくそ笑んだ。
写真は、アイが女友達数人と喫茶店で喫煙している姿を鮮明に写していた。
しかしこれでアイとノゾミのユニットは活動不能に陥った。
ノゾミにとってもそれは悲しかったが、やがてアイが全てを悔い改め、謹慎を解かれたその時こそ、また二人そろって活動できる。

それまではアイぴょんを陰ながら支えてあげなきゃ。
この私の愛情で。

しかしノゾミは再びアイの裏切りを知る事となる。

ある日、ノゾミはアイから突然、都内のカフェに呼び出された。
初めて聞いた名のカフェだが店内はオシャレだ。
「ののちゃん、紹介するね。
私のぉ、彼氏。」
「ちいっす。初めましてののちゃん。」
「え、私聞いてないよ…。」
「うん。だから紹介。
彼は私より十七歳年上でぇ、カフェを経営しているの。
ここ彼のお店なんだよ。」
「アイちゃん、私トイレ。」現場を離脱しトイレに籠り、頭の中で状況を整理するノゾミ。

…なんなのよあのキモいオヤジ。
オシャレなカフェって言うけれど、服装や店の雰囲気はともかく、こいつのツラはオシャレって言葉とは対極に位置してるじゃない!
しかも何かに似てる…えーと…麻原ショーコー、オウム真理教の麻原ショーコーをスリムにした感じだよ。
それにアイぴょんの彼氏の癖に、彼女の親友で会ったばかりの私に向けるあのイヤラシイ視線は何なの?
嫌だ。あり得ない。

ノゾミが女子トイレから出てつかつかと歩いて行く時、キモい彼氏とすれ違った。
奴も男子トイレに入る処だったのだ。
すれ違う瞬間に、ノゾミの耳に彼氏のつぶやきが聞こえた。
独り言のようだったが、その言魂はノゾミの背筋をゾッとさせた。
「あ〜、おはよう娘。とヤりてー。」
ノゾミはアイのもとへ駆け出し、今聞いた戦慄の言葉を告げる。
「アイぴょん、アイぴょんの彼氏おかしいよ?
さっきトイレの前で、
あ〜、おはよう娘。とヤりてー。
って…」
「ああそれ?」
アイはご機嫌そうにセーラムライトを吸っている。
全く懲りないアイの態度にノゾミは驚き呆れたが、アイの言葉の続きにも更に驚かされた。
「気にしなくていいよ。
彼の口癖なんだ。」
「口癖?」
「うん。いつも言ってるよ。あー、おはよう娘。とヤりてー。
って。」
「い、いいの?そんな男が。」
「それよりさあ、私これから彼氏と温泉旅館行くんだ〜。
下呂温泉だよ。
初めてのお泊まりデートだよ。
もぅ、どうしよう!」

「…ごめん。帰るわ。」
ノゾミはそれだけ言い放つとその場を後にした。
「ちょっと、ねえ!ののちゃん!」
怒りに震えるノゾミは後ろを振り返らない。
「初めてのお泊まりデートだどうしよう?はぁ?バカかてめえ!」
マンションに帰ったノゾミは、すぐさま週刊現代の編集部にリークの電話をかけた。

コメント(1)

あいぼんの喫煙・謹慎中にカフェ経営者とのお忍び旅行発覚問題。
モー○ング娘。ネタ第2弾。

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