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子どもの詩を読みませんかコミュの「まっくら」   矢崎 節夫

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  まっくら   矢崎 節夫


だれも いない へやに
ひっそりと
まっくらが やってくる
まっくらは
どんどん
ふくらむ
へやじゅう
いっぱいに なる
まっくらけに なる

だれも いない へやに
ぱちっと
でんきを つける
まっくらは
きゃっと
ちぢまる
へやじゅう
がらんと なる
あかるく なる



 矢崎節夫さんは、子どもの詩もたくさん書いていますが、「童謡詩人金子みすゞの生涯」「金子みすゞこころの宇宙」など、金子みすゞの研究者として有名です。金子みすゞさんが、今のように有名になった要因の一つに、矢崎さんの研究があると思います。

 「まっくら」は、私たちが、ふだん常識と思っていたものを、ひっくりかえしてみることにより、常識ってあたりまえなのか、と揺さぶりをかけてくる詩です。
 まっくらという、現象を人物化したところにも、この詩のおもしろさがあります。

 1連では、〈ひっそりと/まっくらが/やってくる〉と、日暮れになり、だんだんと暗くなっていくところが描かれています。
 日が暮れて部屋の中が真っ暗になると、ふつうなら怖さを感じますが、この詩では、なんとなくユーモラスな感じがします。

 全文ひらがな書きであることも、そのひとつの要因になっているのでしょう。
 とくに、〈まっくら〉〈まっくらけ〉の語感は、ユーモラスな響があります。

 もうひとつの要因は、常識では〈まっくら〉が、〈ひっそりと/やってくる〉ことはありませんし、〈ふくらむ〉こともありません。
 常識では考えられないことを、おおまじめに言われると、あるおかしみを感じるものです。
 相手が、真剣でまじめであればあるほど、ユーモラスな感じがします。
 いわゆる「吉本興業」的な、ゲラゲラ笑うのとは違う、思わずクスッとしてしまうようなおかしみです。

 2連になると、常識とは違うということが、より強くなります。
 ふつう明るくなると、よく見えるようになり、部屋にある机や椅子や棚などが見えて、にぎやかな感じになるはずです。
 それがこの詩では、〈でんきを つけると〉〈へやじゅう/がらんと なる〉のです。

 〈まっくら〉が〈ちぢまる〉から〈へやじゅう/がらんと なる〉と、理由らしきことを言っていますが、よく考えるとおかしなことです。
 いえ、よく考えなくても、そんことがあるわけがありません。
 理由づけが理由になっていないのです。

 でも、詩のなかでは、なんとなく納得させられてしまいます。
 それは、詩をイメージで読んでいるからです。
 イメージでは、〈まっくら〉が〈ちぢま〉って、〈へやじゅう/がらんと なる〉のです。

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