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経済読書会−東京経済政策研究会コミュの東京経済政策研究会(第22回)活動報告(テーマ:国土政策の未来)

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東京経済政策研究会(第22回)活動報告(テーマ:国土政策の未来)



テーマ:国土政策の未来

参加人数:47名

主な参加者属性、職業:国家公務員、地方公務員、経営者、金融機関勤務、医師、NPO法人運営者、商社勤務、学生、ITエンジニア、ITサービス勤務、出版勤務etc

流れ:

・司会役の山田より挨拶。また代表の岩本よりTSEPの概要説明(5分)
・発表担当の岩本から、都市計画の事例紹介と課題図書の内容を解説(25分)
・6グループに分かれ、事前に用意した論点に沿って議論(70分)
・休憩、名刺交換(15分)
・各グループのファシリテータより討論の結果を相互に発表(15分)
・代表の岩本より次回予告(5分)
・副代表の高橋より2周年記念パーティ告知(5分)
・井上より会員制度の説明(5分)
・終了後、懇親会(90分)
・副代表の高橋、松香による課題図書オブザイヤーのインタビュー(懇親会中)


議論:

ポイント1:自身の出身地のインフラや景観は、ここ10〜20年でどのように変わったか。また、その背景には、どのような経済社会構造の変化があると考えられるか。(自由に意見交換)

【岩本チーム】
・東京都出身者が1名いた他は、群馬、愛媛、徳島、埼玉、岐阜などの地方出身者。(1)中心市街地がシャッター通りになってしまった、(2)産業構造の変化が見て取れる(紡績工場がショッピングモールに変わったなど)、(3)公共事業削減のため人口流出が加速などの指摘があった。

【山田チーム】
・滋賀、筑波、北九州、千葉、練馬、茨城、葛飾、栃木と出身地は多様。鉄道網の変化や、産業構造の変化が地域に大きな変化を引き起こす傾向が強く見られた。

【高橋チーム】
・埼玉、沖縄、武蔵野市、川崎、新潟、千葉(成田)、三重など、チーム全員の出身地が異なっていました。
(1)外国人労働者が増えた(三重)、(2)都市もまた高齢化している(武蔵野市)、(3)効率よくお金が使われているとは思えない(沖縄)

【石渡チーム】
・東京や神奈川、千葉、栃木、愛知、兵庫など比較的大都市圏の出身が多数。
・上記のような地域の中でも、再開発やベットタウンとしての地位などを有効活用して、発展している地域がある一方で、少子高齢化などの影響で停滞あるいは衰退する傾向は共通して存在するという分析がなされた。
・千葉県のある地域では、定年を迎えた高齢者が自給自足のような生活で暮らしているという話があった。

【井上チーム】
・おおむね地方では人口流出をしているという声が占めた。
・香川県出身の参加者から「昔に比べると景観がよくなった印象がある」というように、地方でもポジティブな方向に変化している事例も紹介された。
・また東京でも麻布ではバブル期以降人がいなくなっているというような声も出た。

【永井チーム】
・メーンバーの出身地は、東京、大阪、千葉、四国、福岡、名古屋など
・それら出身地の変化の特徴として以下の様なものがある。
(1)都市中心駅周辺にサービス業が集中してきた
(2)その結果、そこから離れた地域が特に寂れたようには感じない
(3)都市中心駅周辺への集中が起こる一方で、人口は流出。交通の利便性向上により、中心駅への人の交流があるため必ずしもネガティブな人口流出ではない可能性。


ポイント2:都市にヒト、モノ、カネを集中させるべきとの著者の主張は正しいか。都市にリソースを集中させることによるデメリットも考慮して議論。

【岩本チーム】
・賛成、反対双方から意見が出された。賛成側の意見としては、産業構造がサービスする中では都市化が進むのは自然のメカニズムである、ヒト、モノ、カネの効率的利用を考えるならば都市化は合理的、などがあった。他方反対側の意見として、田舎では農業だけをやればよいとする著者の主張は現実味がない、IT化が進んだ現代では都市に集積することの意義が薄れているのではないか、との意見があった。
・また、都市化を「どのように進めるか」が重要との指摘が相次いだ。また、都市化を進めるためには、「こういう産業を育てる」とか「こういう都市を作っていく」といった国レベルのビジョンがないと難しい(指針がない)との意見もあった。

【山田チーム】
「賛成意見」
・人口を集中させないと新しい文化、産業のイノベーションが起きにくく停滞するため人口の集積は必須。
・地方でもユニークが産業が起こる場合もあるが、その際も、自力で何とかしなくてはいけないという「自助努力」の気概が必要であり、地方を優遇すると結果的に地方の産業も疲弊する。
「反対意見」
・地方の人口減が進めば、医師不足、インフラ不足(道路や橋が壊れる)など、重大な社会問題が発生する可能性があり、その点は考慮する必要がある。

【高橋チーム】
・ばらばらにするよりは集約したほうがいいが今はインターネットでどこでも仕事ができることもあり意味がない。
・賛成反対は、大阪東京間の移動費による。
・地震の多い日本で、都市にリソースを集中することはリスクではないのか。
・特色を持たせてリソースを集中するのはよい(筑波研究学園都市)。

【石渡チーム】
・基本的には、ヒト、モノ、カネの集中による効率化には大方、賛成であった一方で、都市の定義や治安維持の観点、効率化後の公平な再分配などについても考慮すべきという意見があった。
・また、何千万人を目指すべきかの目標についての疑問やIT技術の発展で効率化が図れるという指摘もあるなど、どこまで集中させるべきかについては議論の余地があるという話になった。
・都市の集中が成功しているドバイや中国の臨海都市では、その集中化にあたって、思い切った工事や立ち退きが必要であり、日本では難しいのではないかという分析もあった。

【井上チーム】
・賛成、反対は割れた。賛成派の意見としては「ビジネスを行う立場から言うと人が集まっていればいるほどやりやすいので、ぜひそうなって欲しい」「かつての貧しかった日本ならば、均衡的な発展が必要だったが、ある程度豊かになった今なら、都市に集めることをやってもいいのではないか」などの意見が出た。
・反対派の意見としては「都市にヒト、モノ、カネを集積させ、生産性を上昇させるべきという点についてはそもそも生産性を挙げることが正しいことなのか」といった意見もあった。その他に「都市に高齢者を、田舎に若者を」というのは社会主義的だし、無理があるのでは?という声もあがった。

【永井チーム】
・問題点として以下のものが指摘された。
(1)東京への集中への限界。例えば、家賃は高く、部屋は狭い。交通機関はラッシュ時の様に混雑している。
(2)都市への移動のインセンティブ。どうしても地方から都市へ移動できない人たちのためのケアが必要。
(3)ヒトの集中が昼間人口なのか夜間人口なのか。夜間人口では過密状態となるのではないか。
・一方で、以下の様なメリットが指摘された。
(1)対面によるコミュニケーション。ビジネスの現場では対面によるコミュニケーションは重要であり、都市への集中によってより効率的な経済活動が営める。
(2)駅周辺での高齢者施設の充実による利便性の向上。
 

ポイント3:東京・大阪間をリニアで結ぶことは巨額な費用をかける価値はあるのか。妥当と言えるか。物流や人流をもっと効率化するような交通網整備がありうるのではないか。

【岩本チーム】
・賛成意見が太宗を占めた。賛成理由としては、(1)リニアの開発を進めれば他国へも輸出できる、(2)都市の国際競争力の底上げになるなど。
・他方、反対意見として、(1)新幹線を作った頃に比べ費用対効果が小さい、(2)東京大阪間を直線で結ぶだけでは、ネットワークではないため、人流、物流へのメリットが小さい、などが挙げられた。

【山田チーム】
「賛成意見」
・世界のインフラ産業が伸長しているのを鑑みるに、未だ競争が殆どないリニアは、輸出技術として価値がある。リニア技術の輸出のためにも積極的に投資したほうが良い。
「反対意見」
・リニア建設に時間がかかる最大の問題は、土地の取得にかかる調整なので、仮に政府が主導しても、リニア建設の年数は短縮されない可能性がある。(むしろ政府が関与することでより一層、時間と費用が嵩む可能性も・・・)
・大阪東京間をリニアで結ぶことにより、人口、産業が、より一層東京に集中する可能性は拭い切れない。
・リニアの採算(乗車料金)の話が全く詰められていない。料金が高すぎれば全く活用されないし、赤字を垂れ流しても乗車料金を安くすれば、結果的に税金で永続的に補助し続ける必要が発生する。経営的視点が重要。

【高橋チーム】
・成田と羽田を結ぶことには賛成だが、東京と大阪を結ぶことには賛成できない。すでに3時間程度であり効率化されている。
・東京はサービス業、大阪は製造業、日本で考えればそうかもしれないが、物流や人流はもはやグローバルの話であり東京大阪間の問題でない。

【石渡チーム】
・国のリニア建設については、大方の賛成が得られた一方で、その必要性やその事業の主体という理由での反対意見もあった。
・リニア建設のメリットとして、バスや飛行機の代替交通機関との競争があり、その需要が限定的になるのではないかという意見があったものの、東京在住の社会人が日帰りの仕事を行え、一方で地方の社会人が地元在住というライフスタイルを守りながら、働くことができ、それが大きな需要になることが指摘され、それに応じて、東京大阪間、あるいは福岡まで検討してみるべきとの話があった。
・9兆円の建設費用について、実際は土地権利関係の調整で数十兆円の費用がかかるという話があり、その財源については慎重になるべき。

【井上チーム】
・リニアを推進することには賛成が多かった。
・本にも述べられていたが、国家プロジェクトとして夢、元気を与えるのは必要という意見とそれに付随し、いずれ日本独自のリニアの技術を世界に輸出できるはず、という声もあがった。

【永井チーム】
・価値がある理由として以下の点が指摘された。
(1)移動時間の短さによる競争優位性。
(2)エネルギーの効率性。
・ただし、リニアは優先度は低いのではないかとの意見も出た。
・リニアの代わりに道路の充実を優先すべきでないか。東京・名古屋・大阪間での道路敷設はなされているが、渋滞が発生しており非効率。これを改めることを優先すべき。


ポイント4:(プチ政策立案)30年後に、もっと住みやすい日本になっているためには、どんなコンセプトで国土政策を進めていくべきか。「均衡ある国土発展」に代わるキャッチフレーズを考えるとともに、そのコンセプトを実現するために必要な政策を3つ考案してください。

【岩本チーム】
ビジョン「不均衡ある国土発展」
趣旨解説:地方分権を徹底的に進め、自治体間の競争原理を働かせる。その結果、経済合理性のない自治体が衰退するとともに、経済合理性のある都市は発展。その結果、不均衡ある国土となるが、国全体の資源配分という観点からは最適化される(資本主義と同じ原理)。

実現するための具体的政策(プチ政策立案)
(1)特区制度の拡充→個性豊かな機能別都市を作りやすくする
(2)ゾーニングの見直し→特色ある都市を作りやすい制度に
(3)全賃貸住宅化(1億人総アパート住まい計画)
  →自治体間に競争原理を働かせるためには、ヒトの移動を円滑化することが必要だが、マンションや戸建てを買ってしまうとその土地から離れられなくなるため、全ての住まいを賃貸住宅とする(国策として推進)

【山田チーム】
実現するための具体的政策(プチ政策立案)
(1)30年後を見越した国土政策を考えるのは不可能に近いので、何もやらずに、その分の費用を減税したほうが、国が活性化する。
(2)都市への人口集中は、なにもしなければ自然に進むので、放っておくのが一番。
(3)「今の日本」は住みやすいので、現状のメリットを理解し、海外に売り込める国土政策を考えるべき。

【高橋チーム】
ビジョン「循環ある都市政策」
趣旨解説:少子化と高齢化においては、循環が必要である。若い人には教育を、高齢者には健康というキーワードで30年後の住みやすい街を考えた場合コンセプトとして「循環」という言葉を選んだ。

実現するための具体的政策(プチ政策立案)
(1)高齢者がマンションを売って若い人に提供する仕組み(高齢化による荒廃マンションをなくすために)
(2)育児を高齢者にサポートしてもらう仕組み(より女性が働きやすい社会のために)
(3)都市に特色を持たせる仕組み(人材の流出入を促すことで人口減少と高齢化を進ませない)

【石渡チーム】
ビジョン「ドイツ型分権型都市の構築」
趣旨解説:ドイツのベルリン、フランクフルト、ミュンヘンなどといった各都市が一つ特色を持って栄えている都市を参考にして、国際的にブランドを持った複数の都市を日本に構築していくべき。

実現するための具体的政策(プチ政策立案)
(1)47都道府県すべての都市の中から、いくつかの都市にヒト、モノ、カネを集中させる。
(2)地方住民の土地に対する愛着に対応するために、地方都市から円状に交通網を整備し、多様なライフスタイルを守る。
(3)東京の一人勝ち及び日本の都市すべての停滞を防ぐために、集中と分散のバランスを考慮した都市計画の実行。

【井上チーム】
ビジョン「 中核都市への人口集中」
趣旨解説:東京、大阪に集中させるのではなく、各地にいくつかの中核都市を作って、そこに人を集める。

実現するための具体的政策(プチ政策立案)
(1)実験的に札幌でまずはやってみる。北海道は現状でも札幌に人が集まる。それを加速させてメリット、デメリットを確認する。
(2)道州制の検討
(※時間の都合で2点まで)

【永井チーム】
ビジョン「活力ある城下町」「自立した地方都市」
趣旨解説:都市への集中と同時に、地方の自立を促し、活力を持たせることを狙う。

実現するための具体的政策(プチ政策立案)
(1)道州制の導入。道州制を導入し、地方に権限を与えることで、地方の実情に合った行政運営、経済運営を行う。例えば、アメリカでは地方にコカコーラやボーイングなどの企業が起こっており、必ずしもニューヨークに集中しているわけではない。日本も地方発の企業が起こるようにして雇用を生み出すべき。また、交通機関の拡大により、都市圏は拡大している。その実態に合わせて、行政単位を変革すべき。
(2)人流の効率化の向上。地方の人口流出は避けられない課題であり、むしろ人流の効率化を図り、都市・地方の交流が活発になるようにすべき。
(3)選挙区制の見直し。現在の選挙区制は人口の多さに比べて、都市の意見が通りにくいという状態が起こっている。実態に合った選挙区制に変えるべき。


講評:

今回は普段自分では意識しなかった「日本の都市の強み」を考えるよい機会になりました。著者のお二人、当日参加された皆様には感謝いたします。「都市への資源の集中を加速すべきか」という点については、賛成、反対の意見が分かれました。様々な出身地を持つ参加者の、色々な角度からの意見は新鮮でした。
結局、地方から都市への人口流入という流れは避けられないものかもしれませんが、個人的にはやはり自分のルーツとなる町が廃れるのは忍びません。自分の仕事を通じて地元に貢献するとともに、日本中どこに住んでいようと少しでも幸せになっていただけるように自分の事業を作っていきたいという思いを強くしました。せっかく議論をしたのだから何か1つでも自分の行動につなげようと毎回思うわけですが今回は、自分のやっている事業を日本全国に展開するためのビジネスモデルの検討をしてみようと思います。
(井上)

参加者との都市政策に関する議論を通じて感じたのは、このテーマは「考えるのは面白い、しかし実現は難しい」ということです。
特に今回の課題図書は著者の主張は非常にユニークであり、各チーム面白い意見交換がされていたように思えます。
中央集権か、地方分権かといった意見には、職業柄、同じ様に集中と分散を繰り返すITの世界のクライアント環境の歴史をなぞっているかのように感じつつ、個人的には、国家間競争よりも都市間競争が重要な今日、日本のプレゼンスを高めるためには、東京にもっともっとリソースを集中し、東京がまずは香港やシンガポールや上海よりも魅力的な都市である必要があると思いました。
(高橋)

議論を通じて、都市計画には以下の様なタイプがあるように感じました。
(1)政府が主導して都市を作る
(2)経済合理性に則って自然と形成させるよう促す
概ね(2)の意見が太宗を占めていたと思いますが、「都市への一極集中ではなく、中核都市が形成されることが望ましい」との意見が多かったように思います。
と、同時に興味深かったのは、都市への集中に賛成派が多かった一方で議論が地方活性化の方向に向かったことです。
地方活性化の議論の文脈としては以下のタイプがあるように思います。
(1)経済合理性に抗う地方活性化(例:都市への集中を止める為に地方活性化させる)
(2)経済合理性を前提とした地方活性化(例:都市への集中という大局的な流れの中で、それを活かして地方活性化させる)
通常、地方活性化といえば、(1)の文脈で現れてきやすい議論であり、ネガティブな話になりがちです。ところが、今回議論で現れてきたのは(2)のスタンスでした。都市への集中は同時に「地方に合った産業構造」の形成を伴います。その産業構造の形成をきちんと促し、地方の雇用を生むための議論として地方の活性化が議論されました。そして「地方に合った産業構造」を形成するための施策として地方分権や人流の効率化策が議論され、課題図書以上に深い議論が出来たと思います。都市への集中はこれらの議論と切っても切れない関係にあり、今後詰めていくべき施策だと思います。
(永井)

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