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経済読書会−東京経済政策研究会コミュの東京経済政策研究会(第21回)活動報告(テーマ:エネルギー政策)

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テーマ:エネルギー政策

参加人数:56人

主な参加者属性、職業:国家公務員、地方公務員、経営者、エネルギー関連会社勤務、メーカー勤務、コンサルティングファーム勤務、金融機関勤務、ITエンジニア、大学教員、学生、外資系サービス勤務、投資家etc


流れ:

・司会役の山田より挨拶。また代表の岩本よりTSEPの概要説明(5分)
・発表担当の岩本から、エネルギー政策の基礎知識と課題図書の内容を解説(25分)
・6グループに分かれ、事前に用意した論点に沿って議論(70分)
・休憩、名刺交換(15分)
・各グループのファシリテーターより討論の結果を相互に発表(15分)
・終了後、懇親会(90分)


議論:

ポイント1:著者は、「原発は、電力市場の改革や環境技術の活用、自然エネルギーの開発によってただちになくせる」と主張するが、その主張に概ね同意できるか、それともできないか。

【岩本チーム】
・5年程度の短期間で脱原発するのは、様々な制約により事実上困難とする意見が太宗。
・脱原発あるいは減原発を進めるに当たっては、電力コスト、経済活動への影響、(火力代替を進める場合)エネルギーセキュリティーやCO2排出量、原発関連技術の維持、といった点に留意する必要がある。

【山田チーム】
・賛成、反対派ほぼ同数。
・政治的に原発撤廃を踏み出すには今が一番大きなチャンス。
・直ちに止められると、電力の安定的な供給が難しくなる。

【高橋チーム】
・賛成が多数(反対2名)
・原発は、経済成長に十分寄与した。今後は日本ではなくて、その活躍の場所を海外に求め、技術やノウハウを輸出しその恩恵をうけるようになるといい。
・原発はやはり危険、ミサイルとかを打ち込まれたらその影響ははかり知れない。
・ただ、ただちには難しい。また、日本ほど停電がない国も珍しい。原発をなくすことでその品質はどうなるのかという疑問が残った。

【松香チーム】
・(方針として賛成だが)ただちになくすのは無理という意見が太宗。
・自然エネルギーによる発電自体、および、スマートグリッドなど関連技術の現時点での有用性に疑問。
・最重要事項としてただちに実行することは不可能ではないが、開発コスト(長期的には低減していく)とのバランスで判断すべき。
・事故直後である今は、実行するには、賛成を得やすい時期ではある。

【小林チーム】
・技術的・理論的には可能かもしれないが、我々の意識が『ただちに』変えられない。
・継続的な経済成長を今後も日本が目指すなら、原発を完全になくすことは不可能ではないか。経済成長を諦めるなら自然エネルギーだけでもまかなえる可能性はある。

【石渡チーム】
・賛成と反対がほぼ同数であり、基本的に反対の方も将来的に原発廃止ということには賛成しつつも、「ただちに」技術的に可能であるかという点で賛成を留保していた。
・エネルギー政策を転換するためには、根本的な意識改革が必要であり、そのためには大きなイニシアチブを取って環境エネルギーの促進と原発廃止を進めていくべきとの積極的な意見もあった。
・新しく提案されたベトナムへの原発輸出の是非に関しては、安価で効率が高い原発を求めるベトナムを日本は積極的にサポートすべきとの意見がある一方で、日本は廃止するというダブルスタンダードをどうしていくべきかとの課題は残った。


ポイント2:著者は、課題図書の中で「自然エネルギー(風力、波力等)の可能性」に言及しているが、当面日本はどの自然エネルギーの開発に力を入れていくべきか。

【岩本チーム】
・力を入れるべき自然エネルギーを選ぶ際の基準として、輸出できること、日本企業の技術優位があること、国内資源が豊富であること(バイオマスとしての木材、地熱等)、環境への負荷などが挙げられた。
・ひとつの基準で判断するのではなく、複数の基準に基づき各自然エネルギーを点数化し、もっとも点数が高いものを重点的に推進していくべきとの意見でまとまった。

【山田チーム】
・地域によって、自然エネルギーの向き不向きがあるので、極力あらゆる自然エネルギーに取り組むべき。
・発電量、安全性、安定性、技術輸出などの経済性など複数の要因から判断すべき。←判断の基準を明確に。

【高橋チーム】
・トウモロコシやいもなど(植物)に依存したエネルギーだと二酸化炭素を吸ってくれるので、バイオマスがいい。
・その地域の資源を生かすことができるのであれば、地熱などがいいのではないか。
・ただ、現状はどれもどれがいいかわからない状態なので、メーカーなどにいろいろと試してもらい、その中で分かってくるであろう強いものを選択していくのがよい。

【松香チーム】
・日本および地域の強みを活かせる、強みを感じさせるものに取り組むべき(例 島国としては波力・潮力)。
・振動発電にも注目。

【小林チーム】
・風力:技術的に日本は優れているが、風は安定しない
・地熱:国柄的に研究資料や過去の事例も豊富。可能性は高いが、観光資源でもあるのでそれとの兼ね合いも考えなくてはいけない
・バイオガス:捨てているゴミ(食料)がたくさんあるので、それらを有効活用できないか
・長期的には『その他』の可能性のほうがあるのでは。10年もすれば、今の我々からは想像もできないような技術が出てくる。

【石渡チーム】
・自然エネルギーは日本の風土に見合ったものを選ぶべきであり、またそれらのエネルギーは「面積×生産性」という視点を考慮すべきとの意見も出た。
・風土に見合ったエネルギーとして、大きな海を活用した波力や各地に点在する火山を活かした地熱、そして既存の住宅の屋根を使った太陽光発電が提案された。
・ただ自然を活用するエネルギーは、その自然を使用している利権(漁業・温泉など)などとの調整が必要だとの指摘があった。


ポイント3:課題図書の内容に関連して、最近別添(新聞記事)のような報道がなされているが、この記事の内容についてどう思うか

【岩本チーム】
・原発コストの試算はいかようにもコントロールできるため、「誰が試算したのか」また「どのような方法で試算したのか」を透明化する必要がある。
・御用学者で形成されたクローズドな委員会ではなく、事業仕分けのようなオープンな場で議論すべき。

【山田チーム】
・数字の算出元が信用出来ない。

【高橋チーム】
・500年に1回といっても、もうその安全性はわからない。
・グラフをみると、火力発電のコストが2004年(石油が安いとき)でそれなりに高いのでやはり原子力はコストが安い。ゆえに、海外の国はその技術がほしい。
・自動車産業も多くの人を殺している、原発もそういう意味では同じ。責められる理由は、「なんかよく原子力を理解できていないから?」か。わからないことは自ら学ぶということが大切。
・トリウム原発というミニ原発のような話の紹介。

【松香チーム】
・500年に一度という試算に疑問。

【小林チーム】
・このような計算は様々な仮定・前提を元に進めるので、結果の数値は意図的にいくらでも変えられる。
・この報道で示されている計算は、明らかにコストを低く見せるためのもの。
・被害金額も過小評価。500年に1回という計算も無理がある。
・しかし『(1基あたり)4兆円の範囲内で被害が収まるように、原発政策や原発の規模を調整していけばよい』という見方もある。

【石渡チーム】
・地震が500年に一度である前提や健康被害が含まれているかどうかが不明な点から、基本的にはこの試算には懐疑的であった。


ポイント4:プチ政策立案
お題 「家庭で自然エネルギーの普及を進めるためにはどのような取組が有効か」

【岩本チーム】
1.環境教育・環境投資の推進
・自然エネルギーの普及は時間を要するため、次世代を担う子どもたちが環境に対する意識をもたなければならない。社会科の授業の中に環境教育を一定のコマ数いれるように指導要領を改訂してはどうか。
・また、自然エネルギーに開発投資する企業にリスクマネーが集まる仕組みも必要。「環境ファンド」のようなものをもっと広げていくべき。

2.既存マンションへの太陽光パネル設置の促進
・戸建で太陽光パネルの普及が進んでいる一方で、既存マンションでは導入が進んでいない。
・既存マンションへの太陽光パネル設置に対し、国が大幅に補助金を支給してはどうか。

3.「環境ポイント」の導入
・製品が作られる際に自然エネルギーがどれくらい使われたかを表示。
・「自然エネルギー比率」が高い製品にポイントが付与される仕組みをつくることで、自然エネルギーを多く使って作られた製品が選択されるようなインセンティブを与える。

【山田チーム】
1.環境教育をすすめる
2.企業への融資を積極的に行える仕組みをつくる。(リスクマネーを集める)
3.家庭への補助金。自然エネルギーを導入した家には減税、ポイント付加するなど斬り込んだ補助政策を実施する。
4.地域ぐるみで、自然エネルギーを普及、管理させる「エネルギー局」をつくる。

【高橋チーム】
1.自分がどのエネルギーを家庭の電気として使うのかのエネルギーアロケーションを選択できるようになること。たとえば、自然エネルギーはX%、原子力はX%、火力はX%など。そして、自然エネルギーのアロケーションが高いと、何らかの減税がされるなどその選択をして得をしたことがわかるようにするのがいい。

2.自然エネルギー債などが発行されること。(東電のCMをやめてたとえばACが自然エネルギーに関するCMを流し、自然エネルギーに対しての関心を高め)、購入の際に、自身が応援したい自然エネルギーの債券を選択(論点2の選択のような形)できるようにする。集められた資金は、大学などの研究機関の開発プロジェクトにあてられる。

3.家庭で節電をするのではなく、逆に家庭で電気をガンガン使う。そうやって危機感をあおることによって、原発が動かせないなら自然エネルギーの普及へという方向に持っていく。

その他、電気自動車で作ったF1の開催などという意見もあった。

【松香チーム】
有用性のポイント; 利用者が「貢献できている」と実感できること。その貢献度に応じた特典があると良い。
1.発送電分離の元、発電源を利用者が選択できるようにする
2.自治体レベルでの発電 (地域住民としての関与を実感できる)
3.人間の運動エネルギーによる発電

【小林チーム】
1.ヒトの側面からのアイデア(人材の育成)
・子供の遊び心をつかって、空き缶回収とか古紙回収とかを面白くさせるようなゲームを普及させる
・エネルギー政策に興味関心を持つ子供を育てる
・『電力自由化・発送電分離』(どの方法で作られたエネルギーをどこの電力会社から買うか)を早く実現するように、政治家や官僚に家庭レベルでプレッシャーをかけていく
・夜型人間の育成(?)

2.モノの側面からのアイデア
・DC家電の開発
・費用対効果の高い商品の開発と、それの正しい試算を示す

3.カネの側面からのアイデア
・自然エネルギー開発に特化した研究開発社債や株式が発行できるような金融制度や商品の開発
・自然エネルギー発電機を買ったり、精算した家庭や事業者にお金を出す、電気料金を安くする、反対に自然エネルギーを使わない家庭は高くする(自然エネルギーを使わないと損になるような仕組みを作る)。

【石渡チーム】
1.電力使用の見える化
・家庭で自然エネルギーの使用を促進するために、電力使用の内訳などを「見える化」することを徹底する。それによって自然エネルギーに対する意識が高まるとともに節電意識が上がるという効果も得られる。

2.電力自由化・固定価格買取制度
・自然エネルギーを供給する電力会社を増やすために、電力の自由化や固定価格買い取り制度などが提案された。
・その過程で起こりえる不当廉売による新規参入の阻止やさや取りの問題に関しては、それぞれ行政のチェックと適切な固定価格買い取り期間の設定が行うべき。短期的には東電の独占が続くので、東電のサービス効率化を推し進める必要性も考慮すべき。

3.2.の前提としての、発送電の分離


講評:

 今回の勉強会を通して、「新エネルギー」はまだまだ未発達な分野で、特にどのようなジャンルのエネルギーや技術が有望かについても意見が複数あるような手探り状態であることを実感しました。
 まだ、不確定要素が強いということは、それぞれの技術を否定せずに、研究機関や、企業を積極的に支援する必要があります。
 くれぐれも、稚拙な見切りや特定の利権構造などで可能性が潰されないことを祈るばかりです。技術だけでなく、産業の多様性を成り立たせるためのビジネスとしてのエネルギー分野により強く興味を感じました。
(山田案陵)

 自然エネルギーや関連技術についての知識、情報はまだ浸透しておらず、手探り状態で議論は進みましたが、前向きなアイデアがたくさん出たディスカッションでした。
 一方で、今起きている原発事故及び他の原発の扱いについても、必要なコストは十分にかけ、安全に収束させることについての必要性を再認識する機会でもありました。
 悲しい事故を発端に、より注目が集まっている脱原発という考え方ですが、自然エネルギーを中心とした他の発電の可能性についてより本腰をいれて取り組み始めることは、より未来志向で明るい動きであるとも感じました。
(松香素子)

 今回は原発に関する議論と言うより、自然エネルギーの今後の可能性に関する議論が中心になったと思います。今まではただ単に、原発を増やそうとし、自然エネルギーを本気で増やそうとしてなかったので、現時点で少ない(可能性が低い)のは当たり前です。
 今後自然エネルギーを本気で増やそうと思えば(つまりその分野にヒトモノカネを集中させれば)、自然エネルギーだけで人口が(ついでに産業も)減っていく日本のエネルギーを賄うのは可能だと思っています。
 そういったなかで、自然エネルギーの可能性を議論できたのは有意義だったと思います。対して、未だに国や電力会社が原発依存体質を抜け切れない原因は、技術的な問題というより、制度的な問題やそれにかかる利権構造にあるのは明確ですが、課題図書ではその点に関して「恐竜企業が自分の利益のためだけに動いているから」と非常に薄い議論しかなされていません。
 結果その点に関する解決策などを議論することは今回はできませんでした。本当の意味で『原発に頼らない社会』を実現したいのなら、まず既存の原発に関する制度に対する解決策を示し、その上で自然エネルギーの可能性を大きくしていくことが大切だと感じました。
(小林悟史)

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