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経済読書会−東京経済政策研究会コミュの東京経済政策研究会(第17回)活動報告

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東京経済政策研究会(第17回)2011年5月28日開催の活動報告です。

テーマ:TPP
参加人数:25人
主な参加者属性、職業:国家公務員、ウェブ会社経営、会社役員、医師、FP、会社員、フリーランサー、学生etc


流れ:
・発表担当者の三四郎から、課題図書のポイントを解説。
・その後、参加者を2チームに分け、それぞれで事前に用意した論点に沿って議論。
・名刺交換
・各チームのファシリテーターから議論の概要を相互に発表。


全体:
・『TPP亡国論』(中野 剛志)を課題図書に、TPPの是非や、日本の通商政策のあり方などについて議論。
・参加者のうちTPP賛成派と反対派はほぼ同数。ただし、TPPそのものへの反対や賛成だけでなく、TPPがどのような条件で結ばれるかが重要という意見も多く、一概に「TPP参加は良い悪い」と括れない側面が浮き彫りにされた。


論点1 日米FTA(≒TPP)にメリットはあるか。
(チームA)
・TPPや日米FTAが誰にとってのメリット、デメリットなのかブレイクダウンして考えるべき。例えば、メリット=第2次産業、デメリット=第1次産業という構造がある。
・日本の民生品が国際競争力を失いつつある中で、民生品の輸出競争力の強化にこだわる必要があるのかどうか疑問。
・米韓FTAが成功したから、日本でも当てはまるというわけでは必ずしもない。
・なんだかんだ言っても、TPPに参加しなければ、日本は取り残されてしまうのではないかという不安も残る。

(チームB)
・貿易といえば、農業や、製造業ばかりが取り沙汰されるが、アニメやゲームなど、コンテンツ産業の関税にも、もっと意識を向けるべき。
・日米は、政治的に特別な関係にあるため、経済的なメリットだけで結論をだすべきではない。
・米国市場に十分食い込んでいるというが、韓国企業が米国とFTAを締結すると、貿易条件は日本よりも有利になってしまう。対策を考える必要がある。
・TPPによって農産品が安くなるという消費者のメリットにももっと注意を向けるべき。

論点2 公共事業によって内需を拡大しようとする著者の考えは妥当か。
(チームA)
・過去10年で100兆円規模の公共投資を行ってきたのに、現実に景気は良くなっていない。公共投資(公需)に頼る内需拡大策がうまくいかないことは歴史が証明している。
・公共事業には悪い物、よい物もある。良い公共投資であればやってもよいのではないか。
・財政の持続可能性から考えるに、国債発行を伴う公共事業はやめるべき。
・公共事業の有効性(乗数効果)は低下している。
・公共事業による日本全体の成長は不明だが、地域福祉、地方の雇用の観点からは有効ではないか
・震災などやむを得ない公共事業もあることから、公共事業全てを否定すべきでない。
・安易な財政支出よりも、あるべき産業構造全体の構想を考えるべき。

(チームB)
・日本でも60年代など、公共政策で成功した事例もあり、公共政策=無駄と断ずるには早計。
・銀行による貸し出しなどの間接金融だけでなく、ベンチャーキャピタルなどを利用した直接金融をもっと活性化させるべきであり、そのような公共投資であれば、一考の余地あり。
・公共投資は、投資をした直後はよいが、一度投資を行うと、投資を受けたセクターや地域が公共投資依存になる傾向が強く、撤退が難しくなるため慎重になる必要がある。
・箱物じゃない公共事業(コンテンツや人材育成など)にもっと目をむけるべき。
・公共投資の拡大は、実質的な効果はさておき、海外からの評価が厳しくなる。格付けの低下などが引き起こされる可能性があり、それが実質的な損失につながる懸念がある。
・このまま、国内がジリ貧になっていくのであれば、一発逆転の大きな公共事業にかけるのもあり。特に、大きな動きを作れるのは、今が最後のチャンス。


論点3 エコノミックセキュリティ(経済上の安全保障)を確保するためには、どのような通商戦略が必要か。
(チームA)
・自給率の観点からは食料よりもエネルギーの方が重要。自給率もエネルギーの方が圧倒的に低い。
・エネルギーなどは資源国との共同開発等、単なる貿易以外の方法での確保が可能である。
・GATTなど輸出規制を防ぐ国際的な枠組みの存在などを考慮すると、輸出規制が起こりうる可能性は低いと考えられる。
・過去には米国が大豆の輸出を止めたことがあったが、日本は輸入先を切り替えるなどして対応し、大きな問題にはならなかった。輸出規制のリスクを過大評価すべきでない。
・TPPのような多国間の枠組みではなく、二国間できめ細やかな経済連携協定を結んでいくほうが戦略として賢いのでは。

(チームB)
・農業以上に、天然資源の方が危機的状況に陥りやすいという意見は概ね共有。
・ブラジルなど、親日で日本への資源の提供に積極的な国は多く、もっと目を向けた方がよい。
・農産物の確保は、天然資源にくらべ成功している。
・食料は直感的にも私たちの生命活動に直結するものなので、1993年、1994年の米不足のように、食料に危機的兆候が起きるとヒステリックな反応が起こりやすく、実施的にリスクが少なくてもケアは重要。


論点4 農業政策はどうあるべきか。(詳細は、農業政策の回で)
(チームA)
・輸入の制限ではなく輸出の拡大によって食料自給率を上げるべき(これに対し、今後は原発の風評被害で輸出が難しくなるのではないかとの指摘あり)。
・オランダは世界第一位の農産品輸出国だが、面積が狭く高付加価値な産品を輸出しているという点で日本と似ている。日本はオランダのようなモデルを目指していくべき。
・今の農業政策は暗に小規模農家を促進しているため、やめるべきである。零細な農家は輸出する気にならないのではないか
・今回の震災に伴う風評被害は、本来WTOが禁止しているものの、安全の証明のコストが
かかる。ゆえに米以外の農業の備蓄をすすめ、農業の安全保障を高める政策も必要。これは風評被害の観点だけでなく、長期的な観点からも必要な政策ではないか。
・日本は2割ぐらい廃棄食料があるため、自給率のみに着目した議論に注意する必要がある。カロリーベースの自給率の計算方法も疑問。
・所得水準の高い先進国ならば、高い購買力があるため、食料危機が発生して食料価格が上昇しても外国から買い付けることができるはず。よって食料危機の影響は少ない。

(チームB)
・日本は農地を持っている小作者を保護し過ぎで、対策を考えるべき。
・農業経は株式会社の参入を許可するなど、規制緩和と大規模効率化をすすめるべき。
・日本も、米国も、大規模農業の比率は極めて低く(双方2?3%程度)、米国の小作農業従事者も保護されているという状況を理解する必要がある。(日本だけが特別ではない)
・日本や、米国などでは、食料不足の懸念よりも、現実問題として、肥満の方がよっぽど課題になっており、そこまで食料の安全保障が問題なのか疑問。


講評:

今回は参加者が25名と多数に上ったため、議論の効率化を図る観点から2チームに分けて議論を行いました。いつもに比べれば参加者の皆様に多くの発言機会を与えられたのではないかと思います。
参加者にTPPへの賛否を質問したところ、賛成派と反対派がほぼ同数との結果になりましたが、TPPに賛成するか反対するかは、経済効果以外のメリットをどう評価するかにかかっている印象を受けました。TPPという多国間の枠組みに参加することが通商戦略上どのようなメリットがあるのか、そして、TPPに参加することによって農業部門の改革がどのように進むのか、といった経済効果では括れない効果について政府を中心にコンセンサスをつくっていく必要があると感じました。
 今回も議論したように、通商政策と農政とは切り離せない関係にあります。今回の議論も踏まえつつ、7月に農業をテーマにした読書会を行いますので、今回不完全燃焼だった方を含め是非ご参加ください。
(三四郎)



今回の勉強会で感じたのが、TPPはかなり複雑な知識を必要とするテーマだということでした。海外の経済、貿易事情、農業、資源、輸出、輸入産業の実態など・・・。各、事案について、一定の知見を持たないと、簡単に賛成反対を語れるものではないという印象を強くもちました。
特に、単純な経済的利益だけでなく、TPPの結果変化を受ける部分が、国内の安全保障に大きく関わっていることが、このテーマをさらに難しくしています。7月に農業をテーマにより深い議論をしていく予定ですが、その他、レアメタル、原油などの資源など、関連するテーマを掘り下げた上で、日本の貿易の在り方については、再度取り上げてみたいと感じました。
(Aryu)

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