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経済読書会−東京経済政策研究会コミュの東京経済政策研究会(第8回)活動報告

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テーマ:中間とりまとめ、「第三の道」及び「新成長戦略」に係る論点


参加人数:10人
主な参加者属性、職業:経済産業省、ウェブ会社経営、マーケティング会社経営、銀行関連、商社勤務、派遣社員、学生、メーカー勤務etc



全体:
・主催者の三四郎が、これまでの研究会の成果を中間とりまとめとして発表。
・民主党の新成長戦略を「第三の道」の観点から研究。特に、「第三の道」の思想的背景である英・社会学者アンソニー・ギデンズの理論と、経済的背景である小野理論について検討。
・新成長戦略における国費投入のあり方に議論が集中した。何らかの形で国費投入を行う必要があるという意見は共通していたが、過去の政府の公共事業の失敗などからどの分野にどのように踏み込むべきかという点については、意見の一致を見なかった。
・なお、新成長戦略で重要視されている、医療・介護関連を日本の牽引産業に位置付けるという考え方には疑問が示された。


流れ:
・各参加者が自己紹介。
・三四郎が中間とりまとめを30分程度で解説し、中間取りまとめの内容について議論。
・その後、Aryuが「アンゾニー・ギデンズの第三の道」についての社会学的背景を解説。また、三四郎が「新成長戦略と小野理論」について解説。
・残りの時間で、事前に準備した論点を中心に議論。


主な議論:

論点:「第三の道」が必要とされる背景として、?専門家システム(医者や政治など)の権威の低下、?市民の権利強化、の二つの動きがある。なぜこのような動きが出てきたのか。どのような専門家システムが特に権力の低下を起こしているか?

・自由の増大と平等の浸透が、様々な利益集団の声を大きくしたため、特定の専門家の権威を保持しにくくなっているという意見で一致。
・ITの技術の進展による「仮想空間」におけるコミュニケーションが、「権威」への告発を起こしやすくしているという意見も概ね一致。
・一方で、ITによる「仮想空間」の影響力は、マスメディアの力を鑑みるに未だ限定的という意見もあった。

論点:新成長戦略では「課題解決」が必要な分野として環境、社会保障、アジアをあげているが、その他に経済成長(需要)の種となる課題解決分野はあるか。

・労働問題、教育問題は、国が積極的に解決をしていくべき分野という意見で一致。
・そもそも、上記の「解決課題」が必要な分野が、国民目線の課題とずれているのではないかという意見が出た。特に、環境やアジアという問題が、国民生活の観点からそれほど重要性のある問題なのかとの疑問が示された。
・日本の教育は、読み書きの能力や知識を身につける教育が中心であり、産業構造のサービス化が進む中で必要とされるコミュニケーション能力を磨く視点が弱いのではないか、との意見があった。

論点:「新しい公共」の重要性が増している背景には、どのような経済社会構造の変化があるか。また、「新しい公共」が担うべき分野は、具体的にどのような分野か。

・新しい公共を拡大していくためには、国民の可処分時間を増やす必要があるとの意見で一致。
・実際に、非営利活動であるこの研究会も、主催者、参加者双方に時間的余裕がなければ発展が難しいとの指摘があった。
・また、「新しい公共」を発展させるには、米国のようにNPO団体に寄付をした個人や企業には減税措置をとるといった施策が有効ではないかとの意見があった。

論点:新成長戦略では、医療・介護・健康関連産業を日本の牽引産業に位置付けることとを提唱しているが、そもそも、医療・介護・健康関連産業は、ターゲティング産業として妥当か。

・医療・介護・健康関連産業は、雇用創出効果は大きいものの、生産性が低く、所得弾力性も低く、また、産業として需要が高く自立的な成長も見込まれることから政府が介入するのは不適切という意見が太宗を占めた。
・特に、これらの分野は、政府が支援を行えば行うほど非効率的になり成長させればさせるほど結果的に社会保障費が増えるという負の循環が起こる可能性も指摘された。
・ただし、医薬品、介護ロボット、遠隔医療などの技術がかかわる分野への投資は必要という意見で一致。
・外国人観光客の呼び込みは、雇用や技術の流出も起こらず、純粋に国内に外貨が落ちるという意味で、成長戦略の中でメリットが大きいという意見が目立った。


講評:
今回は、「第三の道」というキーワードを軸に、社会学的な視点も加味しながら議論しました。社会学における「第三の道」と、新成長戦略における「第三の道」は、言葉は同じでもまったく異なる概念ですが、新成長戦略の基本方針や重点政策を細かくみていくと、ギデンズの「第三の道」の思想を色濃く反映していることが分かりました。新成長戦略の軸となっている「課題解決型国家」というビジョンは、大きな可能性を秘めていると思いますが、このビジョンに基づき経済・社会が実際に発展していくためには、政府が日本の抱える「課題」を正しく認識した上で、正しい処方箋を示していく必要があります。課題解決型国家が絵に描いた餅にならないためには、日本の「課題」が何であるかを正しく理解することが決定的に重要と感じました。
(三四郎)

「第三の道」という思想はそもそも経済的な話ではなく、現代社会を分析した結果、どのような政策をとれば私たち市民が幸せになるか、社会がうまく回るのかという視点で考えられたものです。現在の民主党の成長戦略は、第三の道を基盤にしていても、「経済成長」が第一にすり替わってしまっているような感じがしていて、本来の思想からは大きく離れている印象を受けます。例えば、「子ども手当」では、消費への影響(経済効果)がひたすら論じられていますが、本来は日本の経済効果のためではなく、子どもを生む家庭を社会が支援するという社会的決定のはずです。同じロジックであれば、「年金」も消費への影響が最大限になるように配分されるべきですがそのような議論は起きません。私たちは、「社会理念」の部分と「成長戦略」の部分のバランスとの関係を、いま一度問い直す必要があるのではと感じました。
(Aryu)

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