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眠れぬ夜の物語コミュのパパとママなんてチェンジ!! 〜中編〜

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周りの景色がはっきりと見えるようになると、そこがお家の中だと分かった。




「あ、パパとママだ!」




お家の中では、ママが赤ちゃんを抱いてあやしていた。なんか僕のママより少し若い感じがするなぁ。
僕の姿は見えないのかな?二人とも気づかないや。




「ママが抱いている子供は、君ですよ。」

「え?あれは僕なの?」

「そう、君が生まれてすぐの頃ですね。見てごらん、あんなに大事そうに抱かれていますよ」



赤ちゃんの僕を抱いているママは、とても優しい顔をしていた。横から顔を覗いているパパも、とっても笑顔だった。



「あなた見て、この子今笑ったわよ」

「本当だ。こんなちっちゃいくせしてしっかり笑うもんだなぁ」

「でもあなたに似て少し不器用に笑うわね。やっぱりパパの子供よね〜」

「おいおい、そんな風には見えないぞ、いい笑顔じゃないか。と言うか俺の笑顔は不器用なのか、それがショックだ」

「冗談よ冗談。あなたも、もうパパなんだから、しっかりしてね」

「お前もママなんだよな。不思議な感じだよな、こうして子供がいるって事は。でも、こうして今お前の腕の中にいる」

「目に入れても痛くないって本当ね。こんなに愛おしいものはないわ」




そう言うと、ママは僕の頭を優しく撫でてくれたんだ。パパもぎこちない手つきでゆっくり撫でてくれた。




「ずいぶん、赤ちゃんの頃の君は可愛いですね」

「本当だよね、あんなにちっちゃかったんだね…僕じゃないみたいだ」

「誰でも小さい頃があって、少しづつ大きくなっていくのですよ。それにしても、パパとママはいい笑顔をしていますね」


「そうだねぇ…」





僕を見つめる二人の笑顔は、とても眩しく見えた。なんか、僕が今まで見たことのない顔をしていたんだ。









「さて、ではお次に行きましょう」



そう言うと時計男は、また時計の針をグルグル回し始めた。
すると、周りの色が少しずつ薄くなって、またさっきの真っ白な景色になった。



「さっきは君が生まれた時でしたね。次はもう少しだけ遡ります」

「じゃあ僕が生まれる前って事?」

「そう、君が生まれる前。知らなかったパパとママに会えますよ」

「僕のしらないパパとママかぁ……」



さっき見たパパとママも、僕の知っているパパとママとは少し違っていた。
若い頃のパパとママはどんな感じなんだろう…



「ここです」



時計男はそう言うと、ぴたっ、と時計の針を止めた。
真っ白だった周りに、少しづつ色が付いてくる。








僕と時計男が着いたところは、知らない公園だった。
雪が降っているみたいだけど、僕は全く寒くないや。不思議な感じだなぁ。



「ほら、あそこをご覧なさい」


時計男が指さした所を見ると、男の人と女の人がベンチに座っていた。



「…もしかして、パパとママ?」

「そうですよ、君のパパとママになる人達です」



よく見ると、やっぱりパパとママだった!
ママは今より髪の毛が長くて、お化粧をしていた。
パパは髪の毛が茶色だ!なんか今よりずいぶんやせている気がするけど…



「なんか二人ともずっと地面を見てるよ?面白いものでもあるのかな?」

「二人とも照れているのですよ。初めてのデートですからね」

「パパとママがデート?僕初めて見るよ。二人でお出かけしている所なんて見たことないもの」




パパとママはずっと地面を見ながらお話をしていた。やっぱり寒いのかな?ママは手を合わせて、はーって息を吹きかけていた。



すると、パパは震える手をゆっくりとママの手に重ねたんだ。



ママはビックリしたみたいだけど、パパの手を優しく握り返すと、二人とも少し恥ずかしそうにうつむいた。




なんか、見ていて、僕の胸の中が暖かくなったんだ。
パパとママが握った手が、とても暖かそうで、とても優しそうで…




「おや、なんで笑っているのです?」



時計男にそう言われて、初めて僕は笑っていることに気づいた。



「教えてあげないよ。なんかもったいないから」


だって、なんか凄く嬉しかったんだもの!
時計男に話しちゃったら嬉しい気持ちが半分持っていかれそうな気がしたからさ。







いつの間にか雪が止んでいると思ったら、次第に周りの景色の色が消えてきていた。
気づいたら、時計男の持っている時計の針がグルグル回りはじめていた。

グルグル回りだして針が見えなくなると、また風景のないところに戻ってきた。





「では、そろそろ願い事を叶えにいきましょうか」



時計男がステッキをコンと鳴らしながらそう言った。
あれ?お願い事ってなんだっけ??


「パパとママなんてチェンジですよ。さっきの二人を見て分かりましたよね、今から二人の出会いを止めるのです」



何を言っているの?出会いを止める…?



「二人が出会わないようにする。そうすれば、お互い違うパートナーと出会うわけです。君はどちらかの子供として生まれるので安心して下さい。これで、パパかママどちらかがチェンジになりますよ」

「じゃあ、僕のパパとママは一緒にはいないの?一緒に住めないの?」

「新しいどちらかのパパかママが一緒ですよ。君の願いが叶うのですよ」




「やだ!!」


「……何が嫌なのですか?」


「……お願いごと、なかったことにしてください…」


「何故ですか?せっかく願い事が叶うのですよ」




パパかママがいなくなる。そう考えただけで、僕は泣きたくなった。
なんで僕はパパとママなんかいらないって思っていたんだろう。
僕のパパとママは、二人しかいないのに……



「ごめんなさい…僕、今のパパとママがいいです…」


「…そこまで言うなら分かりました。パパとママのチェンジしません。まぁ君ならそう言うと思いましたが」



時計男がコンコンとステッキを鳴らすと、時計の針はゆっくり止まり、反対方向に回りだした。



「君は、大事なものが何かを知ることが出来たようですね」

「たいじなもの?」

「先ほど君の胸の中に広がったもの。その気持ちですよ」

「…うん、わかった気がする」

「大切なものがなにか。それを君は知ることが出来ました。では、もう一つだけのぞきに行きましょうか」





時計の針は次第にゆっくりとした動きになっていた。
時計男は、ステッキの先を針に当てると、ゆっくり動いていた針を勢いよく回し始めた。
なんか無理矢理回しているみたいにも見えるけど…



「もうそろそろです」



時計男がステッキの動きを止めると、時計の針がピタリと止まった。




〜つづく〜

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