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エーテル絵本コミュの椅子の兄弟

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おばぁちゃんちから家具がきた。もう使わないからといって父が引き取ってきたのは、こじゃれた洋風の食卓テーブルだった。この食卓テーブルには椅子がみっつ、ついている。おとな用の大きな椅子と、子ども用の小さな椅子、それからこのふたつの椅子の中間くらいの大きさのがひとつ。このみっつの椅子は、兄弟のようにみえた。
しかしある時、いちばん小さな椅子がなくなった。理由はよく覚えていないのだが、上のふたつの椅子がさみしそうに並んで佇んでいたのを見た気がする。
それから何日かして、ぼくが家にひとりだった時のこと。食卓テーブルの方から、トン トトトン と音がした。トントトトン トトトン ぼくは友達に呼ばれるみたいに滑らかに音の方向に向かい、椅子に話し掛けてみた。
「椅子さん、」
すると大きな椅子から突然、子どもの顔が現れた。金髪の天然パーマに大きな目がふたつ(クラスでいちばんカワイイって人気のエミリーに似てるかもしれない)、ぼくをみた途端泣き出した。
「きみ、ダンっていうんでしょ。おとうとをかえしてほしい。ぼくたちのおとうと、どこへやってしまったの?まいにちさみしい。ダン、おねがいだよ。」
あまりにかなしそうに椅子が泣くものだから、なんだかかわいそうになってしまった。
「ぼくのこと知ってるの?きみはなんて名前?」
すると兄の椅子が「ぼくは、こうだよ」と言って、テーブルの上にあったフォークで自分のことを叩いた。すると、トトトンと音がした。
「わかった?」
しかし、トトトンという音は、兄椅子からではなく弟から椅子の方から聞こえてきた。
「ぼくをならすとおとうとからおとがでるのよ」
兄椅子によると、弟椅子は口がきけないので、兄椅子を叩いた時だけ弟は鳴ることができるらしい。
「きみもやってみない」
兄椅子がぼくを誘うので、ぼくは兄椅子をフォークでトトトンと叩いた。すると、隣にある弟椅子からトトトンと音がした。
こんなことを何時間やっていたのか、気がつくと辺りが暗くなっていた。
「もうすぐパパが帰ってくる時間だ、また明日も遊んでくれるかい」とぼくがいうと、兄椅子はにっと笑ってキッチンを指差し、ミルクと塩を持ってくるよう指示した。ぼくは兄椅子に言われた通りの分量でミルクと塩を混ぜ、差し出した。そして兄椅子は持っていたフォークで自分の足(木)を少し削って先ほどのミルクの中に入れ、飲んでほしいと言ってきた。
「ずっといっしょ」
ぼくは兄椅子が差し出したミルクをゴクリゴクリと、全て飲みほした。すべてだ。最後のほうは少ししょっぱかったかな?苦いような気もしたけど、まぁ飲めた。それからのことはもうなにも覚えていない。椅子が三兄弟になったことくらいしか、ね。



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