教育は百年の計コミュの心のノートと修身

先日、教科書資料館の吉岡数子さんと話していて、初めて知ったことがありました。

この吉岡さんは、もともと小学校の先生で、退職後、自費でこの教科書資料館を作った人です。今も資料館には全国から研究のために教科書（６５００冊あるらしい）を必要としている人たちが後を絶たない様子です。

で、話しながら「そういえば、道徳が評価の対象にするようなことを新聞記事で読んだんですが、どう思われますか？心のノートと修身は似ているという声を聞くんですが、その点についてはどう思われますか？」
と聞いたら、「あれは似ているとかじゃなく、とにかく『巧妙』に作られているから、どれとどれが重なっているかわからない。」とおっしゃるわけです。

で、もうちょっと踏み込んで話を聞いたら、
「似ている、っていうと、これとこれが似ている、ってなるけど、もし似ている、ってなると、その元になるものがいるでしょう。それを私も修身を比較して研究してきたけど、修身の何期の発行のものかを見て、こことここ、って言えないといけないわけで、それが一見見たら全然わからないようにできてある。ほんまに巧妙に作ってある。」と。

で、具体的に教えてほしい、と言うと、
「こことここが『心のノート』と『修身』でいくつもつながっている、という箇所がいくつもある。」
と、いって吉岡さんがこれまで作ってこられた教科書パネル、また修身の教科書の実物、心のノートの実物を見せて教えてくれました。

たとえば、１つの例として、
『心のノート』には次のようにあります。
「あやまちを宝にしよう」（小学校３・４年用１６ページ）

これは『修身４期』の教科書には次のようにあります。
「あやまちをかくすな」（小学校１年生用）

これだけではなく、
『心のノート』には、
「となりの家の植木鉢を和って謝る」絵が、
『修身４期』には、
「となりの家の障子を破って謝る」絵が、
書かれてあります。

私が見せてもらっただけでもその『修身４期』だけで１０何箇所かはあったと思います。
ただ、すべて学年とか同じではないし、とにかく『巧妙』にたくさん（たくさん、を強調。）あるから教科書１つ１つを調べないとわからない、とも。

また、修身は国定ではないから、義務教育を終えてから進む「女子修身」のほうにもあるし、それも比較研究していかないといけない、ともおっしゃっていました。

これが『修身５期』になると、もっと軍国主義化していきます。

吉岡さんいわく
「修身にはどっこにも「軍国主義」という言葉はないのに、少しずつその方向に巧妙にもっといってるから誰も気づかない」
「国家主義に移行する中で、いかに国のために命を捨てる小国民を作るか、というところにある」とのことです。

また吉岡さんは心のノートのあるページを広げて
「この写真なんか、たぶんみんな、単なる山の写真や、って思うでしょう。みんななんとも思わないけど、私ら少国民世代やったら、みんな見たらすぐに大峰山や、ってわかりますわ。天皇陛下と何がつながってるんか、ってこれだけ見たら一瞬何のことかと思われるかもしれませんけど」

と言って、次に見せてくれたのは「修身」にある大峰山の絵でした。ほんまに同じで身体に激流が走りました。

「私らは教育勅語を覚えさせられ、墨塗りもした世代やから、
ほんまに今があのときと同じで、むしろ、今のほうが表向きには全然軍国主義を出さないで、水面下で軍国主義に持っていって、気づいたときにはもう遅い、っていうのをほんまに巧妙に、そういう意味では今のほうが巧みによお作ってあるんと違うか、って思うよ。」と言っておられた言葉にすごい重みと危険性を感じました。

とにかく「すごい巧妙に作ってある。よおできてる。」
と、怒りすら感じました。

修身の１〜５期と心のノート、それぞれをまだ調べていかれるそうですが、ほんまに重なっている点を実物みたらゾッとします。