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拝啓、ソングライター。コミュの斉藤和義「アゲハ」/女に生まれていたら…

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「女に生まれてきたかった」と思うことが時々ある。女装に興味があるとか、男性が恋愛の対象にあるなどということではない。単純に「女」という立場が羨ましく思えてならない瞬間が、ふいに訪れるのである。
斉藤和義の「アゲハ」という曲を聴いた時にも、「女に生まれてきたかった」と思った。男のぼくが聴いても十分にいい曲なのだが、もしも女だったら、より感慨深く、共感を抱けるのではないか。そう思えてならないのだ。


二十一歳の彼女は今日も歌を歌ってる
It's・Only・My・Time
こんがらがってた頭の中を波がさらっていく
It's・Only・My・Time

もうあんな奴のことなんて 忘れようって思った時
雨の向こうに 空の面影が見えた


こんな調子で曲中の「彼女」は二十二歳、二十六歳、そして三十二歳と歳を重ねていく。
「彼女」は日々の生活に苛立ち、夢を見、孤独を埋めようと、静かにもがく。自分が「彼女」と全く同じ環境になかったとしても、その歳その歳の節目に、自分の姿を重ねて聴いてみたくなる。
しかし、だ。これを男のぼくがやってしまうと、違和感を覚えてしまう。実際に二十二歳の誕生日に聴いてみたのだが、何か違う。


二十二歳の彼女は今日も夢を見ている
It's・Only・My・Time
きっとあの街へ行けばすべてが変わるはず
It's・Only・My・Time

いつの間にか身につけた作り笑いをした時
あの日見かけたアゲハが空に消えてった


実際のところ、二十二歳になったばかりのぼくの心境は、「彼女」のそれに近かった。生活する環境を、笑う環境を、歩く環境を、すべての環境を変えたかったが、結局何もせずにいた。作り笑いも多かったかもしれない。
それでも「彼女」とぼくを重ねようとすると、何とも説明しがたい、ピースのズレを感じてしまう。まさかこんな形で自分の中の「男」を感じるとは思いもよらなかった。

この曲を聴いて、女性ならどんなことを思うのだろう。時々想像してみる。
一人物思いに耽るのは、曲もぼくも変わらないのに。
ひらひらと宙を舞うアゲハは、窓の向こう側にいた。

(2004.07.23初稿、2010.02.15改稿)

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