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橋本人材コミュの異動

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 異動の時期になると「異動の回数が多い人は優秀で、少ない人はダメな人」などと噂されることがある。こうした風評が事実であるのかどうか、今回はそれに迫ってみたい。そこで、2人のベテランの人事コンサルタントに話を聞いてみた。

【関連記事:人事異動の辞令が出た……そのときあなたはどうするべきか】

 人事コンサルティングなどを手掛けている株式会社トランストラクチャ代表の林明文さんは「会社により、異動の意味は当然、違ってくる」と前置きする。そのうえで、中堅・大企業などビジネスモデルが確立している会社での異動は「会社として社員に新たな能力を開発する場を与えるもの」と位置付ける。そして「異動の多い人はその中身や異動の期間にもよるが、昇進していく軌道にある程度は乗っていると見ることができる」という。

 私なりに補足すると、異動は会社の規模、歴史、売り上げ、利益、社員数などでかなり違う。その点では、少なくとも2つのグループに分けられる。大ざっぱに言えば、1つは「中堅・大企業」であり、もう1つは「中小・ベンチャー企業」である。

 これは私が感じ取っている分類となるが、「社員数150人以上」「売上50億円以上」「創業10年以上」といった条件を2つ以上満たせば、その会社は中堅企業と言えるのではないかと思う。もちろん、社員数1000人以上は大企業と言っていいだろう。

 中堅・大企業の異動は、定期的(少なくとも年に1回)、全社員を対象に行っているケースが多い。林さんが指摘しているのはこの異動のことである。例えば、営業1部→営業3部→営業企画部などと移り、係長→課長補佐→課長と昇進していくならばその人は「軌道に乗っている」と言える。

 一方で「軌道から外れている」人もいる。特に30代半ば以上の社員の中には、1つの部署にほかの社員よりも長く在籍したり、地方支社をいくつも回っている人がいる。当然、昇進などはない。

 役員や人事部は、この人たちには辞めてもらいたいと思っているだろう。しかし、この時事日想でも述べてきたが、正社員を解雇にすることは法的に難しい。私はこの解雇要件を段階的に緩めるべきだと思うが、現在は正社員を解雇することは勇気のいる試みである。結局、「軌道から外れた人」はその後も会社に残る。

 例えば、新聞社やテレビ局、大きな広告代理店、出版社になると、40〜50代でこういった人たちが一カ所に集められる部署がある。そうしたセクションは「データ推進部」などと、何をしているのかよく分からない名前が付いている。

 私が勤務した職場では、こうした部署は「姥(うば)捨て山」ならぬ、「ジジイ捨て山」と20〜30代の社員たちに言われていた。今後は、40代のバブル世代で「軌道から外れている」社員がこの山に行くことになる。一部では、すでに始まっている。

●チカラのある人に認められないと、昇進は難しい

 次にHRMオフィス代表で特定社会保険労務士の杉山秀文さんに、話をうかがってみよう。杉山さんは大企業の人事部に20年以上在籍していたので、異動歴の観点から話をしてもらった。

 「異動履歴を見ると、時々、脈絡のない異動をしている人がいる。例えば、営業部にいてその後、経理部に移り、今度はそれらとは業務の関連がさほどない部署に移ったりする。しかも、それぞれの在籍期間は1〜2年とほかの社員よりもかなり短い。こういう場合は、その社員に何か問題があるのではないかと見ることができる」

 つまり、異動の数が多ければその社員が「軌道に乗っている」とは言えない場合もあるのだ。私がこういう社員を観察していると、20代のころからその気配を漂わせている。特に会社員としての自覚に乏しいタイプが目立つ。例えば、上司に報告・連絡・相談をすることなく、1人で仕事を進めていく。それで悪びれたものがあまりない。こういう人は上司から追い出され、いくつかの部署を転々としていく。気の毒だが、30代になると早くも「軌道から外れた人」になるのかもしれない。

 一方で、脈絡のある異動をする人。例えば、営業1部→2部→営業企画部と移り、一定のペースで昇進していく人には、おそらく支持者がいるのだろう。実力のある役職者(担当役員、本部長、部長など)の支持がなくて、こういう異動はまずできない。これこそが、この連載で何度か述べている「職場で生き抜くインフラ(基盤)」である。会社員は、組織の人である。組織の中で力のある人に認めらない限り、ほかの社員よりも早く昇進したり、活躍することは不可能なのだ。

●中小・ベンチャー企業で優秀な人

 さて、中小・ベンチャー企業であるが、こちらは全社員を対象とした定期的な異動をスムーズに行うことは難しいだろう。実際、経営者や役員にそのことを尋ねると、2人に1人は「ウチではできない」と認める。例えば、横浜市内に本社を構える企業(製造業・従業員数60人ほど、売上30億円)の経営者は、2年ほど前にこう答えていた。

 「全員が1つの部署に5〜6年以上は在籍し、ごくまれに問題がある人のみをほかの部署に移すぐらい。ほとんどの社員がこういうやり方に慣れ親しんでいる。ここで強引に定期異動を行うと、職場がぎくしゃくしてくる。私は異動は必要だと思っているが、いつも次の年への課題となっている」

 つまり、この会社の経営状態は、異動がスムーズにできる以前の段階なのだ。取材をしていると、多くの中小企業は売り上げや利益を安定的に捻出(ねんしゅつ)することすら、不十分であることがうかがえる。このあたりができていなくて、毎年、異動を行うことはやはりできないだろう。ただし、成長が著しいベンチャー企業は状況が違ってくる。前述の林さんは、ベンチャー企業については次のように答えていた。

 「このような会社では大企業のような定期異動がなくとも、社員が自分たちの力で部署を大きくし、新たなポストを設けてもらえるようにしていくことができるでしょう。そのこと自体が異動のようなものであり、いまの停滞した企業が多い中ではすばらしいことではないでしょうか」

 こう考えると、中小企業やベンチャー企業では「異動の回数が多い人は優秀で、少ない人はダメな人」と言い切ることはできない。だが、杉山さんの指摘するところの脈絡のない異動をしている人は、少なくとも「優秀な人」とは言えないだろう。

 「異動の回数が多い人は優秀で、少ない人はダメな人?」と問われれば、私は次のように答える。

・中堅・大企業:異動の回数が多い人は軌道には乗っているが、その中身が大切。脈絡のない異動や昇進が伴わない場合は、ダメな人。
・中小企業:異動の回数が多く、しかも脈絡のない異動はダメな人。
・ベンチャー企業:「異動の回数が多い人は優秀で、少ない人はダメな人」と言い切ることはできない。ただし、脈絡のない異動はダメな人。

 異動が多いか少ないか、といったことだけでその社員の優劣を判断することは難しいが、1つの判断基準になるだろう。異動のこの時期、自分や周囲を今回紹介したようなことをもとに密かに見つめ直してみるのはいかがだろうか。【吉田典史

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