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論文試験対策「刑事訴訟法」コミュの第6回 平成11年度第1問

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「問題」

窃盗罪の現行犯人として逮捕された甲について、現行犯逮捕の要件は欠けていたが、緊急逮捕の要件は備わっていたことが判明した。
一 右逮捕に引き続いて、甲を勾留することはできるか。
二 甲について、勾留請求をせずに釈放した後、同一の被疑事実で再逮捕し、勾留することはできるか。

コメント(11)

「答案」

1.設問1について
(1) 甲についてなされた現行犯逮捕(212条1項)は、その
要件を欠いていたのであるから、違法である。
 かかる逮捕に引き続き、甲を勾留することができるか。
先行する逮捕が違法である場合に勾留することが許される
のかについて、条文上明らかでなく問題となる(207条1
項、60条参照)。
(2)ア この点、逮捕と勾留は別個の手続であるため、逮捕の
違法は勾留手続になんら影響を与えないようにも思え
る。
 しかし、勾留の場合(429条1項2号)と異なり、逮
捕手続について準抗告が認められていない現行法の下で
逮捕の違法が一切勾留に影響を与えないとすると、被疑
者に不当な身柄拘束を強いる結果となり、人権保障の要
請(憲法31条、法1条)に反する。
 思うに、法は、不当な身柄拘束を防止するため、2度
の令状審査により司法的抑制を図るという逮捕前置主義
を採用している(「前3条の規定」、207条1項)。
 とすれば、勾留が認められるためには、先行する逮捕
が適法であることを予定しているというべきである。
イ もっとも、いかなる軽微な違法でも常に勾留が認めら
れないとすると、迅速な身柄拘束が不可能となり、刑罰
権の実現が困難となる(1条)。
ウ そこで、人権保障と刑罰権実現の要請の調和の見地か
ら、逮捕手続に令状主義の精神を没却するような重大な
違法がある場合に勾留が認められないとすべきであると
解する。
(3) 本問では、緊急逮捕(210条)をすべきところ、現行犯
逮捕をしているため、逮捕の種類を誤ったにすぎないもの
として、重大な違法はないとすべきとも思える。
 しかし、緊急逮捕が事前の令状なしに許されているのは、
逮捕後「直ちに」令状請求をすることが要件となっている
ため、令状主義の精神に反しないからである。すなわち、
直ちに令状請求することは極めて重要であり、これを欠く
という違法は令状主義の精神を没却するような重大な違法
といえる。
 したがって、本問では、甲について逮捕後直ちに令状請
求がなされたというような特段の事情がない限り、甲を勾
留することはできない。
2.設問2について
(1) 甲につき、窃盗罪で再逮捕して、勾留することができる
か。このような再逮捕再勾留が認められるのか、問題とな
る。
(2)ア この点、同一被疑事実について、時を異にして逮捕・
勾留を繰り返すことはできないのが原則である(再逮捕
再勾留禁止の原則)。
 なぜなら、これを認めると、同一被疑事実につき、逮
捕・勾留が不当に蒸し返されることになり、法が厳格な
身柄拘束時問を法定した(203条以下)趣旨を没却して
しまうからである。
イ もっとも、捜査は流動的なものであるし、新たに身柄
拘束の必要も生じうるため、いかなる場合にも再逮捕が
認められないとすると、刑罰権の実現が困難となる。す
なわち、本問のように緊急逮捕の要件は満たしているも
のの、手続に瑕疵があることにより勾留請求を否定した
場合に、もはや一切再逮捕を認めないとすることは、実
体的真実の発見(1条)にもとることになる。
 また、現行法も、再逮捕を予定した規定を置いている
(199条3項)。
ウ そこで、人権保障と真実発見の要請の調和の見地か
ら、?事情の変動等、身柄を拘束すべき合理的必要性が
認められ、?被疑者の不利益を考慮しても逮捕の不当な
蒸し返しといえない場合には、例外的に再逮捕再勾留も
許されるとすべきである。
 本問において甲は、?緊急逮捕の要件は満たしているも
のの、「直ちに」令状請求がなされなかったという、適正
手続の見地から釈放されたのであり、窃盗罪での身柄拘束
の必要性は依然として認められる。
 そして、?甲には勾留がまったくなされておらず、新た
に逮捕がなされたとしてもやむを得ないといえるし、本間
の逮捕は適正な逮捕手続を経ている以上、逮捕の不当な蒸
し返しとはいえない。
 したがって、甲を窃盗罪について再逮捕して、勾留する
ことができる。
                       以上
「答案の解説」

設問1について、
違法な逮捕に基く勾留請求の可否が問題となります。
明確な条文はありません。
しかし、逮捕前置主義を置いた法の趣旨から、
勾留が認められるためには、先行する逮捕が適法でなければならないと解します。

もっとも、刑罰権実現の要請から修正が入ります。
逮捕手続に令状主義の精神を没却するような重大な違法がなければ勾留が認めらると解しました。

あとは、あてはめを書いて設問1は終了

設問2について、

甲につき、再逮捕・再勾留が認められるか。

まず、定義を書きます。
次ぎに趣旨を書きます。
不当な逮捕・勾留の蒸し返しの防止、法が厳格な身柄拘束時問を法定した(203条以下)趣旨を没却しないということに有ります。

そして、「例外」的場合を書きます。

人権保障と真実発見の要請の調和の見地から、
?身柄を拘束すべき合理的必要性、
?逮捕の不当な蒸し返しといえない場合には、
例外的に再逮捕再勾留も許されるとしました。

最後は、あてはめを書いて終わり

本問でも、人権保障と真実発見(刑罰権実現)の要請のせめぎあいの場面を、どう上手く表現するかが、ポイントだと思います。
この説は
「小問1で勾留請求が却下されることで、逮捕の違法は清算される。そして小問2では現に逮捕の理由と必要性がある以上、適法に再逮捕を認めることができる」
と理解してよいですか?

オレは小問1は、「緊急逮捕の要件」に事後の逮捕状請求があると読んだ上で、軽微な瑕疵であり勾留請求は適法。
小問2は軽微な瑕疵であり再逮捕・再勾留可。
として、同じ基準(瑕疵の程度)により判断しました。
>小問1で勾留請求が却下されることで、逮捕の違法は清算される。そして小問2では現に逮捕の理由と必要性がある以上、適法に再逮捕を認めることができる」
と理解してよいですか?

いや、重大な瑕疵ゆえに勾留請求が却下されたとしても逮捕は違法です。逮捕の違法が清算される訳ではありません。
よって、小問2でも先行する逮捕が違法な場合の再逮捕・再勾留として考えています。


>オレは小問1は、「緊急逮捕の要件」に事後の逮捕状請求があると読んだ上で、軽微な瑕疵であり勾留請求は適法。
>小問2は軽微な瑕疵であり再逮捕・再勾留可。
として、同じ基準(瑕疵の程度)により判断しました。

なるほど。
「緊急逮捕の要件は備わっていた」とあるので、逮捕後「直ちに」令状請求しているだろうと読むわけですね。

そう読む方が自然かもしれませんね。

僕の場合は、緊急逮捕でなく、現行犯逮捕されたのだから、令状はとっていないだろうという前提で議論をすすめました。
>ザ・秋田さん

いや、単に知ったかぶりしてるだけです。
本当は、何も分かっていません(笑)。

> kiteさん
 私も、kiteさんの構成のように、違法ならば原則却下、とするのがシンプルだし、書きやすいと思っています。
 
 しかし、あまりそういう風に書いた答案がみあたりません。
 
 違法があったとしても、原則として却下せず、特に違法が重大な場合だけ却下する。
 判例・実務を意識すれば、どうしても、そう言う書き方になってしまうのではないでしょうか。
 
 逆に言えば、答練等で書いてみて、点数がつくかどうか試して欲しいところです(笑)。
 点数がつくようなら、それで良いのではないでしょうか。
>オガチョさん

返信が大幅に遅れてしまい、大変申し訳ありません。

確かに、この事案は京都地決昭和44.11.5判時629-103が
ベースになっていると思われます。

 そして、同判決は、
緊急逮捕の手続をとるべきであった→この手続をとっていない点で重大な違法がある→違法な逮捕に続く勾留請求は却下、
という構成をとっています。

つまり「先行逮捕の違法→却下」と言ってますが、実際は、
「先行逮捕の重大な違法→却下」と言っていると思われます。

と言うことで、
「原則違法→却下 例外として軽微な違法の場合却下しない」
というkiteさんの構成よりも
「原則違法→却下しない 例外として重大な違法の場合却下する」
の構成の方が判例に近いと思います。

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