「ナオキ」ドキュメンタリー映画コミュのショーンの日記から⑤　「ニューヨーク」

ニューヨーク

１か月を日本で過ごした後、金魚鉢の中の金魚のような気分になり、一息つく必要を感じた。

今がその時期だと思って、脱出する機会を設けた。

ニューヨークで「Liberace......」の上映の予定もあったし、本当に日本で映画を作るかどうか、よく考えて

みようと思った。

本当にここは求めていた場所なのか？　まだ自分自身に問いかけている。

時々、全く上手くいかないことに苦痛になるが、そんな時も、夜には良い時間が持てたりする。

ダメだ、飲むのをやめる手段を見つけなくては。日曜の夜だったというのに、今朝5時に寝て、昼間の3時

に起きた。カトリックの教えは一体どこへ？

とにかく、ニューヨークは遠くへ離れるチャンスだった。

今まで会ったことのない人（友人の友人）にも会って、ニューヨークの最後の3日までにはとても親しい

友達になった。

僕とミュラはトルコ人の兄弟のようだった。

彼のもてなしにはとても感謝している。

彼は最後の3日間までには今年に入って十分パーティーをしたと言っていたけれど、

僕はまだ始まったばかり、金魚鉢から飛び出たばかりの金魚だったのだ。

映画の上映は大成功だった（ニューヨークではいつものように）。

僕はニューヨーカーが大好きだ。日本から去って、もう戻らない決断をしたかった……

が、なんと、あの場所を恋しがっていた！ことさら食べ物に。

ニューヨークはこれまでは食のパラダイスだったけれど、日本と比べた今では酷く感じてしまう。

ベジタリアンの自分にとっても、この場所（日本）は本当に世界の食の首都である。

本場フランスより美味しいフランス料理、より良いパンやペストリー、コーヒー、アイスクリーム、ケーキ……

体重がヤバい。

空手をやってみるのはあまりに陳腐に感じたし、この歳で青あざを作りたくなかったから、一度も通わな

かった。

だからジムに行こうと思って、近くで走れる公園の地図まで手に入れたというのに、結局、運動すること

なく、美味い食事で腹が大きくなるのを見つめながら遅くに起きてばかりだった。

それで、なんとなく日本に戻るのに興奮していたのだが、その日、ニューヨークには雪が降ってきた。

ああ、あいにくの雪だ。

僕は空港へのタクシーを拾ったが、なんと空港を見失ってしまった！どこにも見えなかった。

ニューヨークで2番目に激しい吹雪の日だった。

2フィートも積もっていて、結局、通っていく車に空港まで案内してもらった。

フライトは夜まで10時間遅れた。幸い、僕はエアマイルを利用してアップグレードしてビジネスクラスの

席を取っていたから、ラウンジにいた。

滑走路の雪を取り除く作業で動きっぱなしの機械を見ていると、機械が雪を移動させても、その途端に

また積もってくるのだった。終わらない作業に思えた。

僕たちが乗る予定だった30分前にフライトは欠航になった。

粗末なホテルに船で送られ、粗末な食事をし、粗末な朝食を食べて、翌日空港まで送り戻されると、フ

ライトが満席のため僕の席はエコノミークラスにダウングレードされていた―

しかし、席は3つ与えられたから、そこで眠り、前払い済みとしてドリンクバーを利用できた。少しは良か

った。

こうして、出ていった時よりさらに疲れて日本へ戻ってきた。

リラックスするための週末は、日本での１か月よりさらにストレスを増やして終わった。

また関わりを持てるもの、映画を呼び起こしてくれるものを探して留まるのだとわかっていながら、

今、出ていきたい気分でここに座っている。