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自然生態写真家☆江川正幸さんコミュのきょうの白神山地

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クローバー江川正幸さんから

 江川です。ほろよい子さんとモーリーさん、潤さんと共に、晩夏の白神山地にでかけました。岳岱(だけたい)自然観察林では、400年生き続けるマザーツリーが、私たちを出迎えてくれました。ヨツバヒヨドリソウも咲き誇っています。

 ヨツバヒヨドリソウには、アサギマダラという蝶が飛来していました。アサギマダラは暖かな地域の蝶で、北方へ長距離飛行するという習性をもっています。アマチュア蝶研究家の間でも、それぞれの地点で観察できた蝶の羽にデータを描き、移動距離などを計る調査が続けられ、私も、過去に、八甲田山で、多くのアサギマダラの飛来を観察しています。

 しかし、白神山地では、観察数は非常に少なく、その生態写真はほとんど撮られたことがありません。今回のアサギマダラの飛来は、貴重な観察として公表したいと思います。

クローバー秋田白神 岳岱観察林にて
 ヨツバヒヨドリソウへのアサギマダラの飛来。とくにこの花を好む習性がある。ゆるやかに飛翔しながら吸蜜を続ける様子を撮影。

クローバー自然保全への提言
 貴重でかれんなアサギマダラの美しさを広く知らせ、保護したい。秋田白神の玄関口である秋田県藤里町では、現在、里のヨツバヒヨドリソウの群落をはぎとり、そこにシバザクラを植える作業が計画されている。地元に住む潤さんや、白神山地を訪れたこころある方々は、白神の里と森のつながりを損なうこの計画に疑問をもち、計画凍結のために活動している。白神山地の生物多様性を守るためには、里地の農地管理の際にも、外来種を入れないことが大切で(すでに大規模林道が通った奥山では、工事のときの砂などに交じって浜辺の野草であるツキミソウが咲いたり、道路のり面には、イタチハギなどの外来植物が悲しい姿をさらしている)、アサギマダラとヨツバヒヨドリソウは、保全のための代表例といえる。

クローバー白神の里、藤里町へのシバザクラ植栽に関する意見書(意見書を出してくださった皆さん、また、公開を了承してくださった皆さん、どうもありがとうございます)

 上田泰史様 から
(森林インストラクター/2級ビオトープ計画管理士/グリーンセイバーマスター)
                
 藤里町長 石岡錬一郎様

 突然のお願い 失礼いたします。
私は、2008年6月に藤里町を訪れ、エコツーリズムのガイドで岳岱を案内していただき、仲間と駒ケ岳でのブナの原生林や湿原を巡り、また、朝夕のおだやかで緑豊かな美しい里わの生活を体験し感動を覚えました。もう一度、訪ねたい素敵な所です。

 ところで、その時同行した友人が駐車場の柵外の斜面、ヨツバヒヨドリ等の野草が群生している所に、シバザクラを植えるといったメールを見せてくれました。その場所は、昨年ひとときを過ごしゲンジボタルや数々の野草、アカショウビンなどの野鳥の鳴声など豊かな自然とふれあった、なによりも人の生活と自然が調和した美しい景観が形成されているところです。

 その様な自然景観の中にシバザクラを植栽されることについて、私の思いを申し上げます。公務ご多用と存じますが、ご一読いただきますようお願いします。シバザクラの植栽を計画(施工済み?)の場所は、何かの用地か河川、水路、農地か道路の法面でしょうか。以前はどの様な管理をされていたのでしょうか。河川などの公共用地では、普通年2〜3回の除草(草刈)と思います。春から生長した野草を8月ころに除草、次に秋の終わりに除草でしょうか。

 秋に除草すると、よく日の当たる所となり、早春から晩春にかけてタンポポなどが花を咲かせ、夏草、秋草に覆われると休眠します。夏草に覆われた所は、地面に光が届かず、帰化植物は入ってきません。
そして、夏草、秋草(ヨツバヒヨドリなど)が咲き乱れ、その後刈取られ明るい所となり、次の春にまた、野草が咲くといった豊かな植生が維持されていると思います。

 在来の野草に変えて、シバザクラ(外来種)を植栽するとどうなるでしょうか。シバザクラの植栽された風景を想像すると、緑の中にシバザクラの赤やピンク、白はそれなりに目を引くでしょう。しかし、花期は2ケ月ほどで、それ以外の時期は丈の低い緑のだけです。シバザクラを維持するため、除草などに手間と経費がかかります。以前より管理費が増えそうです。

 シバザクラは草丈が低く、光がよく入りますので、帰化植物がどんどん入ってくると思われます。その結果として自然生態系の構成要素が少なくなり、構造が単純になり、地域の野生植物の生育地が消失していきます。

 今、日本の野生植物の6種に1種が絶滅の危機にさらされています。そして、身近な自然の中にこそ、これら絶滅危惧植物の生育地が集中していると言われています。その原因は種々の人間活動が重なり合った結果と考えられます。自生地の環境変化による帰化植物の侵入、除草剤の頻繁な使用など人間による自然の変化で野生植物の自生地の消失が進んでいます。

 在来種を取り除くこと自体にも問題があります。一度変化した自然を元の自然に戻そうとしても、永い年月がかかります。野生生物種の絶滅は、市町村やその中のさらに小さい区域での絶滅の積み重ねです。
日本在来の植物が安定した群落を作っている所には帰化植物が入り込めないのに対して、人間の手が常に加わり、環境が不安定になっている所では、在来種の勢力が弱まり帰化植物が多くを占めるようになります。

 ある植物がその地域で生活しているということは、偶然そうなったのではありません。その植物にあった環境条件(気候、地形その他の環境)で長い時間にわたってその種がたどった歴史です。自然植生の中に異質な人工植栽を持ち込むことによって、自然が分断されて小さく壊れやすくなっていきます。人家のまわりに雑木林や田んぼや小川があり、四季折々の野草が咲き乱れるそうした風景がどんどん消えていく時代の流れがあります。

 一例として、蛍が住めなくなるようにしてしまった後になってどこからか蛍を持ってきたり少しずつ人間の都合で自然環境を変え続けた結果、ある生物が激減したり、絶滅した後で自然の保護を始めても取り返しがつかなくなります。佐渡では絶滅したトキを中国から持ってきて、トキの棲める様な自然環境を復元することが行われています。兵庫県の豊岡市でも絶滅したコウノトリで同じ様なことが行われています。エサとなるドジョウを増やすため農薬を使わず冬でも田んぼに水を張るなど大変な労力と経費です。
人による小さな自然の改変でも徐々に野生生物の生育環境を壊しているという意識を持っていただきたいです。

 空き地や道路の法面、河川敷、田畑の畦畔などに見た目に華やかな外国の園芸種で植えることが行われていますが、やすらぎと潤いをもたらす基本的な要素は、単なる視覚的なものではないはずです。その土地にある本物の自然を重視する自然観を育むことこそ環境の時代にふさわしい景観づくりといえるでしよう。 最近、人の営みが育んだすこやかで美しい里を全国から選ぶ「日本里百選」が発表されました。

「(景観) 暮らしが生み出した特色ある景観が、まとまりをもって見られるあるいは里の景観が全体として調和し美しい。 (生物多様性)かつては里でよく見かけた動植物が、今もすこやかに生きている。あるいは、そうした生き物や生育、生息環境を再生する試みがある。 (人の営み)景観や生き物を支え、里の恵みを生かす暮らしや営みがある。あるいはそうした暮らしを築き、持続させようとする人々がいる。」が選考基準です。

 いつまでも人々の心に残る景観の重要な構成要素として欠かせない「ふるさと」という言葉の語感から思い起こせるものは、その土地の昔からの川や田んぼ、雑木林、里山などが形成する田園風景です。日本の里百選に選ばれた里地は、緑豊かな田んぼや里山、生物がにぎわう水辺、海岸など日々の営みで保たれてきた多様で美しい自然と景観、人模様を対象とした、集落、河川、池沼、水田、畑、草地、里山などほとんどが従来からある自然です。秋田県阿仁根子は集落と水田です。

 ところで、シバザクラの植栽は、農地管理の助成備事業か環境整備事業、緑化事業でしょうか。緑の少ない都市環境の緑化としてなら理解できますが、藤里町の在来種の多く残っている生物多様性を考えるとシバザクラの植栽は理解できません。

 豊かな自然環境が残る藤里町で少しぐらいシバザクラに変えてもということでしょうか。しかし、そういう小さいこと(改変)の積み重ねが、トキやコウノトリのような生き物絶滅につながり、取り返しのつかないことになっていくかもしれません。そして、お金をかけてまでシバザクラを植えなければならない必要性が理解出来ません。

 地域の人々の要望なのでしょうか、町の考え又県の考えなのでしょうか。風景、景観、野生生物の保護、生物の多様性そしてシバザクラの植栽や除草といった管理経費等費用対効果などからどうしても必要なのでしょうか。

 同じ発想で同じような植物や石を使った環境改善を行っても、同じ景観になってしまいます。千差万別だった日本の風景がどこも同じようなものに変わっていきます。藤里町は、奥山(白神山地)、里山、里地がそれぞれセットなって素晴らしい地域景観を形成しています。里地から見る里山そして奥山の山並み、その足元にシバザクラは私は似合わないと思います。

 世界自然遺産白神山地の麓秋田県藤里町観光ガイドにはエコツーリズムが紹介されてます。そこには「藤里町では、豊かな白神の自然の中で、エコツーリズム、グリーンツーリズムを町をあげて推進しております。エコツーリズムとは自然環境などの資源を損なうことなく自然を対象とする観光を通じて地域の振興を図ろうという考えです。藤里町では、祖先が大事にしてきた白神山地の価値を未来へ継承するため、地域、環境、観光が手をとりあい魅力ある白神山地のエコツアーの推進に取り組んでおります」とあります。

 地域、環境、観光のまとまりのある風景とは、住民の日々の暮らしが作り上げるものではないのでしょうか。行政、住民が協働でつくるものではないのでしょうか。皆さんで藤里町のあるべき風景をデザインして、世界自然遺産の町にふさわしい町づくりを行政、土地所有者、農家、住民の皆さんが協働で進めていただきたいと思います。色々と申し上げ恐縮に存じますが、ご検討下さいますようお願いいたします。

                                                          平成21年7月21日

 

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