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芹沢光治良コミュの芹沢光治良作品読書メモ(近代文学の宿命)

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 私は、芹沢光治良文学愛好会の会員です。 本コミュニティで芹沢作品を少しでも紹介できればと思いトピックいたします。
(メモの内容は私の覚書です。誤字脱字はお許しください)
 ・今回の作品は1月の読書会のテキストです。

『近代文学の宿命』 
昭和22年11月6月講演 
   出典:「東海人」 昭和23年4月15日発行 

『内容メモ』
?敗戦による混乱日本を文学で導くことができるのか?
 ノアの箱船にたとえ、日本文学がどのような方向に進まなければならないか。平成19年現代で、先生が考え通りになったのか検証したい。

?戦後の日本文学界の未来を考えるとが第一次世界大戦後のフランスの文学界を顧みることは興味深い。
「フランスの状況」
 ・左岸に貧困 ・右岸に富む者
  中堅階級をブルジョアと呼ぶ。(フランスの文化を支えてあると自負する階級)
 ・文学や芸術が社会全般の中に強い力を持って、社会のなかに発揮している社会である。
  日本では、特殊な人々の社会である。
 ・経済的不安、精神的にも混乱。
 ・文学者はこの時代の苦悩を苦しみ、その不安を克服しようと、懐疑や絶望に喘ぎながら新しい秩序と希望とを持っていた。
 ●文学運動として
  ?超現実主義
  ・人間精神の自律性を取り戻すための運動。
   →アラゴン([1897〜1982]フランスの詩人・小説家。ダダイスム・シュールレアリスム運動を経て共産主義に転じ、第二次大戦中は対独抵抗運動に参加。詩集「断腸」、小説「レ‐コミュニスト」など。)
  ?脱出の文学
  ・不安な故郷と伝統とをのがれて、遠く植民地、自然の中へ逃避し、素朴な健康な自然の中に生活の真実を探そうとした。 
   →アンドレジット「放蕩の帰宅」([1869〜1951]フランスの小説家・批評家。人間性の解放を追求する個人主義的立場から、既成道徳・社会制度を批判。1947年、ノーベル文学賞受賞。作「狭き門」「背徳者」「贋金(にせがね)つくり」など。)
  ?地方文学
  ・農民文学、農村や地方で、素朴に残る伝統や心に生きる塩を探した。
   →ジャン・ジオノ((1895-1970) フランスの小説家。反都会・反物質文明を唱え、宇宙と人との一体化を壮大なスケールで描く。小説「二番草」「わが悦びよ、永遠に」「屋根の上の軽騎兵」など。)
  ?戦争文学
  ・戦争の不幸の絶叫のようなもの。

 ●読者について
  ・この間に、フランスでは小説が異常なほど読まれた。
  ・読書の中に、自己の不安と絶望とを救う秩序を求めた。
  ・その多くに作品は、新しい秩序を求める方法は、「精神の故郷へ帰っていくこと、強靭な理知を曇らせず」に秩序を立てることにあった。
 「精神の故郷に帰るとは?」
  ?カトリック精神へ帰る。
   ・カトリックに帰依する。(地上におけるキリストの代理者としてのローマ教皇を首長とする。
   −>・クローデル([1868〜1955]フランスの詩人・劇作家・外交官。カトリック信仰に支えられた壮大な世界認識の詩劇を書いた。また、駐日大使として日仏文化交流に貢献。詩集「五大頌歌」、戯曲「マリアへのお告げ」「繻子(しゅす)の靴」など。)
     ・モーリアック([1885〜1970]フランスの小説家。カトリックの立場から、心理小説の手法で人間性の内に潜む罪の問題を描いた。1952年ノーベル文学賞受賞。作「愛の砂漠」「テレーズ=デケルー」「蝮(まむし)のからみあい」など)
     ・ジャン・コクトオ([1889〜1963]フランスの作家。詩・小説・演劇・映画・絵画など、多様な分野で活躍。前衛的作風により、独自の美を追求した。詩「ポエジー」、小説「恐るべき子供たち」、映画「美女と野獣」「オルフェ」など。)
  ?ギリシャ精神へ帰る。
   ・フランスの文化の伝統
   ・ユマニズム(ヒューマニズム:人間中心、人間尊重を基調とする思想態度。「人間」の捉(とら)得方により種々の形態がある。)
   ・デュアメル(外科医として第一次大戦に従軍。近代文明を批判し人道主義的作品を書いた。作「文明」「サラバンの生涯と冒険」「パスキエ家の記録」など。)
    −>魂に唯一の基礎的現実をとらえた。
   ・ジェルロマン(不明) −>社会の連帯感情を問題にした。

 「強靭な理知による精神とは」
  ?デカルトの伝統にに帰る。  
   ・[1596〜1650]フランスの哲学者・数学者。近世哲学の父とされる。方法的懐疑によってすべてを疑うが、疑っている自己の存在を真理と認め、「我思う、故に我あり」の命題によって哲学の第一原理を確立。さらに、この思惟する実体と延長を本質とする物体を、相互に独立とする物心二元論を展開した。また、解析幾何学の創始者でもある。著「方法序説」「省察」「哲学原理」など。
  ・アラン([1868〜1951]フランスの哲学者・モラリスト。本名Emile Auguste Chartier. 合理主義の立場から、哲学のみならず道徳・芸術・教育・政治などの諸分野で人間性を称揚。著「精神と情熱に関する八一章」「幸福論」「人間論」など。)
  ・ヴァレリー(バレリー)([1871〜1945]フランスの詩人・批評家。マラルメに師事し、純粋詩の理論を確立。詩「若きパルク」、評論「レオナルド=ダ=ビンチの方法序説」「バリエテ」など)
 =>フランスはこの三つの途(みち)によってあの混乱と不安を克服した。 
  ・この派の人達には、不思議なことに、新しい神が宿っているように思われた。
   (アンドレ・ジッド、マルタンデュガール、ジユルロマン)
    『マルタン‐デュ‐ガール』
      [1881〜1958]フランスの小説家・劇作家。客観的手法によって、変動する歴史を背景に社会や個人の苦悩を描いた。1937年ノーベル文学賞受賞。小説「チボー家の人々」「ジャン=バロア」、戯曲「ルルー爺さんの遺言」など。

●作品と神について
 ?「アンドレ・ジッド」
  ・作品の基調に、神に捧げる敬虔な福音の調べが、いぶし銀のように光っている。宗教は信じないが福音書は信ずると言っている。
  ・コンゴの旅行記・ソビエト紀行
   →ジットの魂を高く鳴りひびかせるものは、神にそむく者への憤りである。
   →ソビエトの新しい制度が人間のなかに存在する神に対して、無残に暴力を振るっているからでした。
    人間の権力のもとに窒息している所に、新しい文明は無いと信じたからである。
  ・ジットの神は、教会の神ではないが、キリストの孤独のなかに感じた神でありましょう。その神は人間を創った神でもあろうが、又人類が代々かかって作るような神でもありましょう。
  ・デュアメル、マルタン・デュ・ガール、ジュル・ロマン達も同じである。
   →人間に対しても、文学に対しても敬虔であります。・他の人間のなかにも同じ神を見るからであり、一人一人の人間に、全宇宙を感じるからでありましょう。
 「心理小説」
  →プルースト、ジャック・シヤルドンヌ
  〇第二次世界大戦後のフランスは、日本と違うことは、国民が頽廃することなく、特に青年が虚脱状態に陥ることなく、勇気を持って将来を担おうとしている。
  〇フランスの社会・カトリック7割・コミニスム3割・実在主義者1割  
  〇文学の世界
   ・カトリック派
    →モリヤック・デュアメル、ジュルロマン、ジット・マルキシズム
    →マルロー、アラゴン
  〇デュアメルの言葉
   ・17、8世紀の文学→心理的な類型に従って、人間を描き分けてきた。・人間は或いは守銭奴であり、野心家であり、嫉妬深い者であった。
   ・19世紀の小説の方法
    →動物学的方法であった。
     ・人間の姿は社会や環境や集団の力を元として観られた。
    →バルザックがこうした方法で描いた人間の姿が、動物の憐れみではなく、人間の憐れみを起こすのは、バルザックが天才であるから。
    →デュアメルの人間の見方は、人間が本来けいじ状的な動物だという点にある。
   
  《路上で君に煙草の火をかしてくれと求める未知の人は、次の瞬間、君に向かって、何かの仕方で、神の存在について、君の意見を問うかもしれない》

  〇バルザックは天才
   →人間探求の熱情と深さにある。人間愛にある。
    ・日常生活の中で、人間愛に徹し、人間の尊厳を信じて生きること。
    ・ハンスカ夫人を愛し続けて結婚したことで、偉大にも幸福にもなった。
  〇日本人は、人間は肉体だと、さも人間が生殖器であるかのやうに言って、愛をこざかしく笑いがちである、それは人間のなかに宿る神を知らないからである。

  ●日本の文学界
   ?左翼の船→宮本百合子、平林たい子
   ?私小説→上林暁(溺れる人々を助ける力はありません。同胞が濁流に溺れるて苦難にあえいでいる時代に、ただ己一人を清く生きていていいか疑問である。
   ?物語に安住してある箱船
    →谷崎潤一郎
   ・人生とは何かは問題になりませんし、この物語の船は、我々はただ眺めていればいいので、我々を救ってくれません。
   
   =>我々作家も、かつてフランスの作家が苦しんでユマニズムを作った様に、新しい船を作らなければならない。
    ・坂口安吾一派が、実在主義に頼って,救おうとしているのは何か間違っているのではないか。
      (実在:?意識から独立に客観的に存在するもの。
            ?生滅変転する現象の背後にあるとされる常住不変の実体。)
    ・田村泰次郎のエロティズムの文学も、一時的現象ではないか。
    ・多くの青年は、戦争で、動物に等しい振る舞いもしたでしょうが、半面、言葉は何とありましょうとも、神を見出して帰って来たと思います。

    ・日本の作家は、煙草の火を貸してはくれるが、神の存在について、意見を問うても笑って答えてくれない。。
    ・若い人の中から煙草の火もつけてくれるが神についての答えを出してくれる人が出てくることを信じている。
以上

コメント(5)

素晴らしい内容で、感銘を受けました。I田さんありがとうございました。
ありがとう ございます。

思わず ため息が

一つは感動(とても整理されました)
もう一つは そうかな??

遠藤周作とかのキリスト系の文学があるし
仏教系の文学も結構 書かれています。

また 芹澤先生がおっしゃる
物言わぬ・・を刻み込んだ文学もあるし

うーん 深い人間愛に根ざした火も貸してくれるし答えも貸してくれるが 無いのかな

文学を殆ど読んでいないので 判らないのですが
日本は日本で大いなる存在の影響を受けているので
それなりのものがあると思うのですが・・・・

貴重なメモ シェアありがとう御座います。
皆様 
コメント有難うございます。
この講演は、昭和22年、静岡の学生達に講演した内容です。
この講演原稿が、芹沢家に残っているそうです。原稿用の両面に書きこまれているそうです。
 この講演記録を読んで、最後に芹沢光治良先生が、学生に「神についての答えを出してくれる人を望む」と昭和22年に問うている。 60年後の現在、その答えを、先生自身が体を張って示してくれたことを強く感じています。
ごめんなさい
頭の 唱和22年を読んでいなかったです

すみません  文学愛好会にどこかの大学教授が来られたのかと勘違いしていました。

芹沢先生は22年ならそれからいろいろ神と出会われました。
神ってキリスト教の神で無いけど。もし スーフィとか最近分かってきた(大昔に消された)ももし生きておられたらどうされたんでしょうか。

でも 「今が全て」って仰るでしょうね

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