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カーテン・コール手帖コミュの『 ドライブイン・カリフォルニア 』

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日本総合悲劇協会vol.4
企画・製作:大人計画

2004年5月28日(金)
四つ橋・厚生年金会館芸術ホール(中ホール) 公開4日目(全7公演のうちの4) 観客110%

作・演出・出演の松尾スズキ初見である。

あの『突入せよ! あさま山荘事件』を見たとき、圧倒的な存在感を示す中年俳優にビックリした。それが松尾スズキだった。企画・製作の劇団(大人計画)の主宰者でもある。


 物語は田舎にある小さなドライブインが舞台で、その経営者兄妹(小日向文世・秋山菜津子)、義理の弟(田口トモロウ)、若い男と駆け落ちしてきた女(片桐はいり)とその夫(仲村トオル)、アイドル歌手として都会にでた経営者の妹が14年ぶりに帰ったとき、彼女は夫と死別してきたわけだが中学生の息子(田村たがめ)を連れて帰ってきた。

この少年のナラタージュで物語が進む。ほかに主要な登場キャストとして小池栄子、荒川良々、猫背椿、そして松尾スズキが出る。

 ただ、この芝居はいまから7年前に初演となったものの再演。果たして松尾スズキという人の、或いは大人計画の現在の状況とどれだけ重なりあうものかはわからないが、全体にギャグを散りばめてクスクスと笑いながらの130分はボクにはチトしんどかった。

これが彼らの真骨頂ともいうべきものなら、ボクには合わない。

思えば、性懲りもないことなのだが、ボクがうつつを抜かす映画でも芝居でも、ある人間のどうにも回避できない状況に対して、彼らが選択した方法への掘り下げがいかに描かれたかが興味の一点なのである。

それは「意地」ということもあるだろう。「逃避」かもしれない。「憎悪」とも「愛惜」とも「欲」かもしれない。およそ人間が持ちうる煩悩への真摯な視線があれば、大抵のものには目を向ける。

だが「無視」とか「思わせぶり」、「したり顔」というのは断固認めたくない。

そういいながらも、楽しく見たことも事実なのだけれども、およそ人が他人の「金」と「時間」と引き換えに提供する創作に対してはプロとして責任があるだろう。きちんとした芸を代価に供するべきだ。
「鼻歌」では嫌なのである。


 この芝居が「鼻歌」だと言っているわけではないが、これほどのキャストを擁し、伝わってくるもののどこか他人行儀なテイストはおっさんはすんなりとは受け容れられない。

ただ、素晴らしかったのは田村たがめ扮する息子の設定だ。彼女はボクにははじめての女優さんだが、このキャラクターはいい。

階段で小池栄子が妹のアイドル時代の歌を振り付けながら歌ったシーン。その歌知ってると、猫背椿が続く。私も知ってると、片桐はいりに、本家秋山菜津子の4人が階段で直列に歌うシーン、ここだけは満場一致で受けた!

 はっきりとは分からないが、おそらく意味のあるようなないような登場人物にも何らかの主義主張が隠されているようだ。

いかにも昔からある小劇場演劇のムードもある。だが、時間と金を支払い、何よりも期待を胸に駆けつける観客に「雰囲気面白い」芝居はなにか違う。

今年の暮れに大人計画の総出演による公演があるらしいから、できるだけ見てみようと思う。松尾スズキのエッセイは抜群に面白いのだから、新作ではストレートに特長が出るだろう。1作では何も語れない。(★★★☆)

思えばボクが わかぎゑふ にボーッとなってしまったのは昨秋の『一郎ちゃんが行く!』での一郎の息子役を演じた彼女のチャーミングさが大きい。

この田村たがめの少年役もまた魅力的だった。どうやらボクには、馬面女優へのものと同じく、丸顔の女優が演じる健気な少年役にもファンの血が騒ぐらしい。

いや待てよ。少年役だけじゃないな。いまから四半世紀前に若山富三郎が芸術選奨を受けた新宿コマでの『天保六花撰・地獄の花道』においての藤田弓子扮する田舎娘にも熱狂した記憶がある。

鈴木杏に対する熱狂も、ここからかも知れないなと思う。

それにしても、この芝居は東京では下北沢本多劇場での公演。本多劇場のキャパは300人強。マイクなし・肉声で聞き取れる広さだと聞いた。

そこでなにより心配だったのはキャパ800人の厚生年金会館中ホールで、仲村トオルは小池栄子は果たして大丈夫か?ということだった。

多分マイクを使うのだろうと思っていたら、これがノー・マイク。2階席中段の席だったが、彼らの肉声でちゃんとセリフが聞き取れたことは大したものだと感じ入った。

小池栄子は与えられた役を完全にこなし、及第点だろう。鍛錬すればいい女優になるかもしれない。仲村トオルは180センチの長身。あのどこかロボットみたいなキャラクターを生かした役で、逆手にとったセリフも成功。しかし彼が一番受けたのが舞台をスキップして軽々と窓からハケた身のこなし。

「ホォー」という感心したリアクションが場内に響いた。これは演技云々ということではないけれども。

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