ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

アングリーチェアコミュのアングリ−チェア短編小説

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
を作ってみようかな、なんて日本vsト−ゴを見てる最中にふと思った訳で。多分、岡崎のハットトリックに触発されたのかもな。まだ俺の左足もイケるんじゃねえか?って…

てな感じで早速始めてみます、気の向いた人は続きを書き込んじゃってよ☆タイトルはとりあえず適当に決めたよ〜ん。




―――――――――――――――――――

「アングリ―は忘却の彼方へ…」

作 /アングリ―チェア一同、他


コメント(207)

テ―ブルにおける反発度、硬質度、ピッチを完全に把握し、室内の壁、ソファー、その他様々な材質の初期反射音をも理解したGentle・Mは、もはやカラオケボックスのカウンター、というジャンルを確立していた。

Gentle・Mは高悦状態にありながらも漠然とサビのイメージを膨らませていた。

その内容は、今まで一貫をして複雑怪奇ながらもグル―ビンなリフを刻んできてきたが、敢えてサビではシンプルかつタイトな16ビ―トを持ってくる、というものであった。

すでに揺れまくっている奴らが、どんな
状態に陥ってしまうかを、試したかったのかもしれない。
Gentle・Mは何かを必死で耐えている様な、苦痛にも似た奇声を発した。

そして最高にグル―ビンでありつつも複雑怪奇極まりないリフを叩き続けた。

彼は心の中で叫んだ。

ファッキン!サバナビッチ!ゲラ〜ウ…何故だ…?サビではシンプルかつタイトな16ビ―トであいつらをヘッドバンキンガ―に貶めてやるつもりだったのに!!

3日間ぐらいは首にサロンシップを張り付かせてやったのに!

俺は何をやってんだ? ホントに俺、こっからグルーヴしようと思っていたのに〜!

所詮オイラにとってはポップミュージックのドラミング、というものは別世界の代物だったっつうのか?

いや、はあっ…!

ち、違うだろう?俺をこんな状態にさせてやがるのはあの野郎だわさ!ナンじゃ嫌ぁexclamation ×2

ナンなんか!ナンじゃあ!やっぱりナンなんか?ナンなん?

彼の視線の先には一人の男が常軌を逸したモ―ションで蠢いていた。

嗚呼、ビリーよ!!

狂ったハゲ、貴様だよう!

彼は目を閉じ、腰をくねらせ、鼻の穴を膨らませながら口は半開きで、そこに涎らしき液体を輝かせつつもグルーヴしまくっていた。
そう、どこからか拝借してきたタンバリンを執拗に殴りつけながら…

Gentle・Mは必要以上に醸し出されたグルーヴによって、自らの意志に反して難解フレーズを叩き続けてしまったのだ。

溢れ出る脳内麻薬のアドレナリンやド―パミン…それらの異常分泌及び細胞浸食が起こし始めた自我喪失反応に、なんとか必死で食い下がろうとする彼の白血球、そしてホメオスタシ―が否が応にでも正常な状態に戻したい一心で抵抗を続けた。
その時、彼の本能的な嗚咽の響きが空気振動へと伝わり皆に届けられた時の音だ。

「ング〜〜!!」
JETは叫んだ。さりげなく…

「うわっちゃあ―!ボビリぃ〜!」

更に続けた。

「バコメ!ボブハあ…んないやあ!へんじゃいや〜へにぽちゃ!イエーや…感想は細胞浸食販売ラジオミュージック無意識!野郎揺れ筋肉痛水準分泌フレーズリフ旅行連絡労働イエローうわっちゃ!必ずしも金マナー名ばかり話ハガキやがてマガジンラガー!我慢ぬ太陽佐山グルーヴ音姉作品4日に塗り塗り有機的違う!」

もはや誰にも理解できない世界へ降臨していた。

それもJETだけではない。
涎を滴らせながら複雑怪奇にしてグルーヴ感溢れるダンスを繰り返していたビリーも、ブツブツと何かを言っている。 「ぼくコロポックルタンほにほにマス。つるピカどんパチチかドンたん…!」
よく目を見てみると、踊っているビリーの右目は右側を、左目は左側を見つめている。完全にキマッたジャンキーの目だ。

マスターは少し、危機感を覚えた。

「静かでムーディなジャズを流して目を覚まさせよう。」

半分涙目のマスターは、大音量でジャズを流した。

夜の大都会の片隅を静かに流れる川を彷彿とさせるピアノ…シンシンと降り注ぐ雪のようなドラムのライド&ブラッシング…その後を、ブランデーやウイスキーがよく似合う黒人が真夜中に嗜む情景がありありと脳裏に描かれるウッド・ベースの旋律が重なり合い、狂った男達の鼓膜を優しく愛撫した。

一同はシンと静まり返った。

「良かった…成功だ…」
ホッとしたマスターは、彼等が落ち着いて話ができるようにジャズのボリュームを徐々に落としていった。

そう、ここはそんなカラオケ屋なのだ。

ところが、どんどん音量を落としていっても、そのジャズの音は少しも小さくならない。それどころか、その音源が部屋全体に広がり…まるで5.1chサラウンドシステムのような重奏感に包まれた。
そしてそのサウンドはどんどんスウィングしていき、たまに奇声が聴こえ始めた。
「スウィンギンスウィンギン!オウ…ハァッ!」

更にサウンドはパワフルにグルーヴィになっていく。

「カモンベイビ〜!プウッシュプウッシュ〜!!
プッシュミ―ベイビー。」

マスターは昔聞いたラジオ番組の一部分を思い出した。

…そういや昔、なんかのラジオ番組で誰かが言ってたっけ。「やっぱりジャズを聴くと癒やされますね〜」って…

俺はそれを聞いてふと思ったんだ。

「違う…ジャズは癒やしで聴くばっかりじゃねえんだよ…最高にエキサイティングな気分になりたい時こそジャズを聞くべきなんだ」ってな。

なのに俺は、あいつらを落ち着かす為にジャズをかけてしまった。そうだよ!ジャズは最も即興性の高い、孤高のエキサイティングミュージックなんだよ!

俺とした事が…やっちまったな!
猛獣どもに火を付けちまった…

「バコメバコメ!ヘニィポチャァがっ」
マスターは悩んだ…

嗚呼、なんておぞましくも美しい光景だろう…まるで鬼畜どもの悪巧みだ。酔いに任せた淫乱の宴そのものだ。

嗚呼〜逃げたい…俺はここから逃げたい!職務を放棄してでも…

まばゆい太陽が光輝く外界に飛び出してしまいたい…嗚呼、遠ざかってゆく、俺の理想の城から…

ここを普通のカラオケボックスに戻す方法はないもんだろうか!

やはり…あれを使うしかねえんかい!!

業を煮やしたマスターはついに、ついに禁断のアレをかけてしまった…!

「らん、ランララらん、らん、らん…♪」

どこか懐かしげな少女の歌声が、我を忘れた猛者どもの鼓膜に優しく響く。
ジャックブルース中野は思わず叫んだ。

「おお、奴らの、奴らの攻撃色が消えてゆく…!」

ヤタクは涙を浮かべてつぶやいた。

「やはり腐海のホトリに生きるものの定めなのか…!しかし、光玉も虫笛も使わずに奴らを鎮めてしまうとは…マスター、良い風使いになったのう」

ビリーは涙を溢れ出しながら、ブツブツを呪文の様なセリフをつぶやいた。

「そのもの、青き衣(ころも)をまといて、金色(こんじき)の野に降り立つべし…失われし大地との絆を結びぃぃ」

そして突然叫んだ!

「おお〜!古き言い伝えは誠であった〜」
「もはやこいつらの表現欲は此処のレベルを超えている…今はなんとか落ち着いているが、いつナンドキ奴らの内に眠るアレが蠢き出してもおかしくないぜ…」

マスターは次の対策に頭を悩ませた。すでにカウンターは傷だらけで、ソファーのスプリングは飛び、機材の配線はムチャクチャでセンターユニットからは煙が吹き出していたからだ。

しかし思った…此処が奴らの創造力の範疇に収まっていない事は奴ら自身が一番感じているはずだ。

そうだよ…もっとグローバルは視野に立って戦略を練らなくては! いや…重要なのはもっとタ―ゲットを絞り込む事かもしれない。要するにスタッフが問題なのか?まあ、どっちにしろクオリティを高くする事が重要不可欠だ。いかにモチベーションを維持するかが今後の方向性を位置付ける上で…

マスターは熟慮を重ねた…

そしてふと気が付けば、横には空いたボトルが何本も転がり、視界はグルグルと回り始めていた。

もうどうでもいいや…「乱れ壊して、陶酔し踊り狂った先にあるもの」がお前らの求めているものなんだろ?

所詮世界が違ったのさ…さあ請求書を渡して帰ってもらおう。

「お〜い、みんなあ」

振り返るとそこには誰もいなかった。「どうしちまったんだ俺は…夢でも見ていたのか?いや、そんなはずはない。なんだこれは?」

そこにはカラオケ代、テ―ブル及び機材の修理代金が置かれ、さりげなく手紙も添えられていた。
「マスターへ…いろいろ有難う。ランディにいってきます。」

あいつら〜!!この俺を差し置いて〜!

「待ちやがれってんだ!俺もまぜろ!」

走り出したマスターは止まる事を知らない。
電光石火の超特急が、流れ星と並んで走るように…

一方、アングリ―チェア―御一行はすでにランディに着いていた。

だがおかしな事に、誰も急いでいないではないか…!!
今までの流れだと、気が狂いそうな勢いでランディに駆け込んで、奇声を発しながらアンプにシ―ルドを突き刺していたのに。

いったい何故…?

よく見ると、皆の様子に少しずつ違和感がある。

ビリーは冷や汗を流しながら、
フクラハギと上腕二頭筋が吊ったままで何やらブツブツ言っている。

「あのシモリのすぐ後ろに奴らの巣があるんだ…餌取り(えとり)に惑わされんな。
ハリスの長さは一ヒロ半…二枚潮に気をつけろ。逆に利用してやるのさ!今日は活性がいい。サンドウィッチ戦法だ。
尾長は警戒心が強いぜ、貯めて貯めてしゃくってやるんだ!俺は…このダイワで奴らを仕留める。船頭が弁当を持って来る前にはな!
だかアイツの引きは桁外れだ…」

遠い世界に行っている様である…男女群島あたりか。妄想の中でならいけるぜ?夢の60オ―バ―!

ヤタクはパドリングの最中らしい。彼の澄んだ瞳の奥には初夏の江ノ島が見える…さすがはビ―チボ―イズだ。完全にビッグウエ―ブを掴んで離さない。
今日は最高の日だ。昨日の嵐がいい波を運んで来てくれた。
だが誰も怖くて海に入ろうとはしねえ…

この街には伝説がある。毎年この季節に一回だけ、嵐の次の日にビルの高さ程もある桁外れのビッグウエ―ブが来るっていう。
アレを乗りこなした者だけが真の勇者になれるんだ…!

そうだ…この風だ!どこか遠い、南の果てから吹いて来ているであろうこの湿った風……
この風が止まった瞬間に奴は来る!

俺は乗りこなしてみせる。きっとな…!!
しかしパドリングってのは乳首がこすれて痛えなあ…

二人はこれから始まる最高の宴を前にして、高まりすぎた気持ちを落ち着かせる為なのだろうか、必死で全く関係のない世界の事を考え続けた。

まるで
その様子は…少年がクリスマスに、どうしようもなくわくわくしている事を、親に悟られまいと必死で平然を装っている様な感じにも見受けられた。

人は本当に楽しみにしていた事、特に長い期間に渡ってその想いが募っていれば、その事実を素直に喜べないという場合があると思う。

このメンバーにおいても、その長い活動停止期間と、更に高まった類い希な個々の才能…それを最大限に引き出せる完璧な状況により相乗効果という名の奇跡が再び起き得る可能性が訪れた。
その状況は、正に素直に喜べないレベルのビッグな出来事である。

Gentle・M氏もその例外ではない。

いつの間にかトレンチコ―トからガウンに着替え、なんとも言えぬセレブ系の香りでそこら中を席巻せしめ、高級葉巻の紫煙をクユラセながらワイングラスを揺らしつつ、レイバンの純金グラサンをキラキラさせてながらノ―パソのタッチパネルで世界市場の相場をチェックし始めていた。

JETはランディの扉を開けようとしたがノブをうまくつかむ事ができず、「あ……あ…あぁ。」とつぶやくと頭をかきむしった。

そして次の瞬間、「ン゛〜!」と奇声を発しながら上着を全て脱ぎさり、突如として腕立て伏せを始めた。

「お、おいJET!」

皆が呼ぶび止めてもその行為を止める事はなかった。腕立てを一回する度に「おい!」を気合いをいれている。

メンバーは皆、自分なりの方法でモチベーションを高めていった…

まるで闘魂溢れ出るスポーツ選手の様だ…
しかしスポーツと音楽は真逆の娯楽性を持ち合わせている。
もし風邪をひいて、体調不良ままならない野球選手がバッタ―ボックスに立ったとしよう。
想い望むような結果は得られないだろう。
そしてその事が、チ―ムをペナントレ―スから外してしまうかもしれない。

だが音楽に関しては違う。
飲み過ぎでベロベロの奴、ドラッグでハイになっている奴やボロボロになってる奴、今まで数多くの名作がそういう人間から生み出されてきた。

確かに、そういう作品を聞き直してみると、どこかしら憂いを帯びた音が聴こえてくるのである。

クラッシュシンバルの音に表すとすれば、ジャ〜ン、と、シャラ〜ンぐらいの違いがある。

もしかするとJETは、無意識の内にその事を悟り、自らを極限状態に追い込む為に
マッスルメイキングにいそしんだのかもしれない。
あるいは気持ちが高ぶりすぎて発作(病気)が起きそうになった時にはこうしなさい、と精神科医から勧められた方法なのかもしれない。

そして彼らはついに…その、あまり防音対策の施されていない、もしくは効いていない音楽スタジオ、「ランディ」の扉をゆっくりと開いた。
その8畳弱の一室で彼らは昇華した。
同時に融和した。最大公約数を探し続けた。素因数分解は結局できずにいた。そして酸化反応を起こした。最終的にはアナログ化した。つまりは黄金比に浸食された。


ある人達にとっては非常に荘厳かつ神秘的で
またある人達にとっては稚拙極まりなく、雑音にしか聴こえてこない音波を彼らは放出し続けた。

そして気が済んだ彼らは、非日常から日常の慌ただしさの中へと帰っていった…

そう…それはとても寂しい光景のようでもあり、また当然の帰結の様相でもあった。

楽しいクリスマスが終わり、翌朝を迎えるが如く…
遠足から帰って来て、家でリュックを整理するが如く…
愛しのアノ娘とデートして、手をつなぐとかチューするとか計画通りまんざらでもない進展を遂げた夜、家でいつも通り両親と夕食を食べるが如く…
長年想い続けたアノ娘と実は両想いだったコトが分かり、積年の積もりに積もった愛情が一気に爆発して夜どおし愛し合い…「もう二度と離さないよ」とか言って握りしめたその手を、翌朝カバンに持ち替えていつも通り会社へ出勤するが如く。

そう。そういう意味で「音楽」と「SEX」は非常に似ている。
どちらも「プレイ」する際に最も重要になるのがシンクロ率であり、互いの呼吸や感情が重なれば重なるほど、極上の快楽を得ることができる…という点でも共通しており、「相性の一致」も重要なファクターとして共通している。
例えば、♂と♀の好みや先天的形状がピタリと合致していれば別段特に技術を要せずに最高の快楽を得られるように、メンバーの音楽の好みやプレイスタイルが一致していれば、少しジャムっただけでトランスしてしまう。
多少の違いがあっても、女性器は男性器の形状に合わせて最も合致する形へ変化していく、という生体学的統計があるが…バンドも同様、多少好みやスタイルに違いがあっても自然と「最も互いが気持ち良い形」へ変化していく秩序性がある。
しかしながら…歳月を重ね、磨き続けた技術にはスタイルや好みに関係なく否応なしに昇天させられてしまう。そんな悲しい現実も、音楽とSEXの否み難い共通点だ。

他にも「ドラッグと縁が深い」とか、「ふたつが融合して全く新しいモノが生まれる」とか、「同じコトをしても名器だとやっぱり全然違う」とか…共通項は数えあげればきりが無い。

とにかく、そんな感じで…男達はそれぞれの戦場へと旅立って行った。そんな野郎共の後ろ姿には、タバコがよく似合っていた。

その別れ際、ビリーが言った。

「もう、プロにならないか?」

その一言は、バンドを男女間の交際に例えるなら、ある意味プロポーズである。

皆一瞬ピタリと立ち止まったが、一番早く反応したのはなんと…ジャック・ブルース中野だった。

「パシャリ!」
も、束の間

「なんジャイアントぉーexclamation ×2つーかもうオレ達プロだろ既にexclamation ×2お前がその気ならそうしてやるっちexclamation ×2」

と、言いつつJETはジェントル・Mの左膝に渾身の力を込めて前蹴りを食らわせた。

何故あえて左膝だったのかは、JETはジェントル・Mに最大の侮辱を受けたと感じたのだが、「右膝をやっちまったら、ジェントル・Mの右膝から放たれる芸術的で官能的なバスドラを聴けなくなる訳にはいかないにゃいやぁ〜」と、とっさの判断によりJETは振り上げた右足の角度を瞬時に変え、左膝へと勢いよく凄まじいスピードで振り下ろしたのだった。
「ほんごォ!?」

GENTLE.Mは膝からガクリと崩れ落ちた。
JETの破壊的な歌声は何度となく叩きつけられたが、本当の破壊行為を受けたのは初めてだった。

「ち違う…それは言葉の誤で…」

GENTLE.Mは痙攣する左膝をこらえ、ゆっくり立ち上がった。しかし、這い上がるために掴んだモノは、ビリー・ザ・スキンヘッド愛用ギターのネック先端部だった。

チューニングが確実に狂った手応えがあった。
ビリーは愛用のギターを掴まれた事による動揺なのか、とっさに後ずさりした。
その時、彼のどこかがギターに当たり、狂ったチュ―ニングのままの解放弦が鳴り響いた。
ビリーは「はっ」と気付いた。

この響きは…!

彼は今まで、変則チュ―ニングというギタープレイの領域においてはかなり把握しているつもりだった…

現にその日、ランディで最後にジャムった時には、1弦は3音下げ、4弦は半音下げの不規則な音色に変えていた。

その不規則なチュ―ニングが、Gentle・M氏にネックを掴まれた事によって、更に不規則なものとなった。


「この響きは…!まるでアレのようだ」

そう…アレとはかつて、まだプレイヤーとしては右も左も分からなかった頃、ただ純粋に「なんだこの音は!?」と衝撃を受けた(当時のビリーにとって)名もなき重奏だった。そう…ソレはその場にいる誰もが知っているような知らないような…もし初めて聴くものだったとしても、どこか懐かしいテクノスタルジア(香山リカ著「テクノスタルジア」参照)を感じずにはいられないモノだった。
そんな人類の故郷とも言うべきソレは
極めてアレな響きを轟かせる事によって、若かりしアレすぎたビリーの精神を一瞬にしてアレしてしまった。

要するにソレは常軌を逸した「アレ」な響きだった。

彼は、そのアレな演奏者達が「俺達はアレな奴ら、という様に思ってもらいたがっている連中」と思って欲しい連中なんだな、と感じた。

「こいつら、要するにアレだ」

「どうした?」

そこには、当時ぴちぴちユニットを一緒にやりだしたばかりの、筋肉パンパンで安いTシャツがパッツンパツンのJETの姿があった。

その頬も額もてゅるてゅるだ。

「いや…コイツら絶対「俺達アレや」てみんなに思って欲しくてアレしてるよな…って思ってさ。」
JETは答えた「アレってナンなん?要するに、お前が前言ってたアレんことかいゃぃ?」

ビリーはそこで核心に触れた。
「そう、アレなんよexclamation俺達と共通して持ってる…あの…チョメチョメ。」

「チョメチョメってナンやったっけ?」
「ホラ、アレじゃねぇか。大きさではアレできないコレみたいな…なぁexclamation」

「え?」


当時から2人は既にアレになっていたらしい。

そう、アレとは大きさとかではない。

フィーリングによって出されるハーモニー、シンパシー、アングリーなのだから。

そう、オレ達は忘れかけているのではないだろうか、毎日のように六畳一間に4人で集まり、夜が明けるまで(語り合ったあの青春の日々。)

お互いの疲れを癒やすが如く、その薄暗い六畳一間の空間でただ黙々と(肩を叩き合ったあの日。)
彼らが一様にアレ、と呼んでいたものは一体なんなのか?

それは彼らが物心ついた時から心の奥深くに抱えていたものなのかもしれない。

そのアレ、と呼ばれる何かに突き動かされた彼らは…
不完全で未完成そして、音楽と呼んでいいか疑問視せざるを得ない音波を放出し続ける事に固執した。

いや、彼らだけではない。

そう誰もが、何かしらの形で完璧ではない自らの精神バランスを保つために、言い方を変えれば心にはびこる深い深い隙間、それは俗に言う無常感と呼ばれている様なものなのか?それをどうにかして取り繕いながら生きている。

その形は人それぞれ様々だが…

週末の飲み会であったり、運動であったり、愛を育む事であったり常軌を逸した音楽を打ち鳴らす事であったり…



「ロックンロ―ルは死んだ」とかつて誰かが言った。

しかしそれは間違っていると思う。

それは「嬉しさ」や「ときめき」にも似た何事にも代え難い感情を生み出し、彼らの内に秘めたる宇宙に眠り続けている。いや、無限大に増殖し続けるのかもしれない。
彼らはほんの短い間だったが、自らの内に秘めたる宇宙を解放しそれを共有できる仲間と共に共鳴しそして融和し、化学反応を起こし時には衝突した。

それがアングリ―チェア、と呼ばれたバンドが成し遂げた事だ。

彼らは再び別れ、それぞれの生活に戻って行った。

いつしか…アングリ―チェアという名を語る「広議でいうところのロックバンド」は…また復活するのだろうか?


そして果てしなき川の流れの様に、時は流れた。

26歳になったJETは、相も変わらずワンウォッシュの501に脚を通すとパイナップルがボ―ダ―調に施されたアロハを着込んだ。

ステレオからはマ―ズボルタのゴリアテが爆音で流れている。彼は突然叫んだ…


「あ…でぃ…じ…んないやあ?!」


もちろん部屋には彼しかいなかった。


そして彼は愛車のボルティにまたがり、夜明け前の2号線へと走り出した。

白みゆく空…ふと彼は、バックミラ―が気になり始めた。

また何かが始まる予感を感じがする…

最高に楽しい何かが…!!



………………………………




場所は変わり、アメリカのとある田舎町…

一人の若者が自宅のデスクトップに映し出されたある「広議で言うところのロックバンド」に見入っていた。

そう、ユ―チュ―ブにアップされたあのバンドだ。

そのひたむきすぎるノイズの追求、溢れかえるフ―ィドバック音、サイケデリックで宇宙的なリズム、響き…

彼は友人にすぐさま電話した。

「ヘイジョニー!すげえバンド見つけたんだよ!日本にこんなバンドがいたなんて…
え?何言ってんだ、つべこべ言わずにギター持って俺の所へ来いよ!
ジャムろうぜ!」

……………………………………

「アングリ―は忘却の彼方へ…」


〜完〜








Special Thanks To…

「Gentle・M(Dr)、JET(Vo)、Ya―tack(Bass)、ビリー(noise)、JackBlues中野(film)、Nissy天野(frends)、堀北似運転手(妄想)、Hummer(好き)、インドのカリスマソウルシンガーABIDA(憧れ)、宇宙(遥なる)、宇宙的なもの(不協和音)、アナログ的なもの(黄金比)、国道2号線(夜明け前)、秀ちゃんラ―メン(バリカタ細麺)、サンバ―ストのストラトキャスター(フェンダ―ではなくフェルナンデス)、バスドラのダブル(グル―ブ)、オレンジ(アンプ)、カロッツェFHp―009(2004年モデル)、淡麗グリーンラベル(イインダヨ)、鬼ごろし(ライト)、…etc」


〜あとがき〜

「短編小説アングリ―は忘却の彼方へ…を呼んで」 Byジェントル
いやあ…本当に何と言っていいのか、この作品は

ログインすると、残り167件のコメントが見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

アングリーチェア 更新情報

アングリーチェアのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング