ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

サフリトモノカイコミュのPTSS鏨編・バ=ホ

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント(4)



 ──「ん? 砂漠の真ん中にある街? ああ、あそこはバ=ホだ、今はもうフロワロに沈んじまってるがな……」──

 俺が訊ねた男は、そう言って顔を曇らせた、その後一言付け加えるようにこう言った。
「ネバン軍のキャンプ地が近くにある、それとバ=ホへ行くなら引き時を考えろよ」


 馬を走らせ南下する、至る所で凶暴化した原生生物らを見掛けるが、構わず砂漠へ向かう。
 鳥女はなかなか撒くことが難しく、手間が掛かったが……。
 途中キャンプ地に寄るが、大した話は聞けず、バ=ホを目指す。





「……此れ程とは」
 夥しい程の赤紅赫。
 鮮血にも似た彩色の花々が街を呑み込んでいる
 その瓦解した街中で、竜が跋扈し跳梁する。
 ──確かに、この数では墜とされるのも無理はないな。
 手近にある建物に身を潜めながら移動し、何件か漁っていると、幽かだが人の声が聞こえた。
 ──生存者……まだ居るのか? ならば話が早い、助ければ情報が手に入る。
 声を頼りに、その元へ近付いていく。
 ある建物、瓦礫の下からその声は聞こえるようだった。


 ──なっ……、ほう、面白い。
 瓦礫を退かし、声の主を見つける。
 その男は半身を削られながらも、半死半生を保ち続けていた。
「……あんたは? 誰……だ、救世のギルドの者……か?」
「救世……? そんな名前は聞いた事が無いな」
「いや……名前は知らない、……だが、帝竜を斃して世界を救おうとしている奴らがいるらしい……」
「ほう、酔狂な者がいるものだな」
 ──しかし、この体でよく喋るな。
「まあいい、貴様を治して洗い浚い話を聞こうか」
 その男を担ごうとするが、男は断りの言葉を言い。
「もう……永い事このままだ、……それに痛覚が無い、多分死ねもしないだろう」
「興味深いな、どう言う事だ?」
「……フロワロの所為だろう、この状態になって、一度意識が亡くなったんだ、それでもこうして……な」
 ──そうか、大体解った、しかし転用出来んか。
「……他の仲間は命よりも先に心を亡くしちまって彷徨ってる、ほら外に居ただろ、あいつらも仲間だった……」
 男の話は続いていた。
「……あいつらを往生させてやれないか、……頼む」
「生憎、生き人形に構う暇は無い、それにその内奴らに喰われるだろう? 悪かったな、救世の徒でなくて、遺言の類はそいつらに聞いてもらえ」
 こいつから聞けるのはこれで全部だろう、後は身の上話になりかねん。


 他を家捜ししている際、比較的損傷の少ない、比合いの良い物を見付ける。
 ──ふむ、これなら、……しかし、一種の賭けだな。
 それを脇に抱え、街を出ようとした際、飛来物が身を掠める。
 ──チィ、感付かれたか。
 飛び退き辺りを見ると、魔術士らしき数名と、鎧を着た数名が集まって来ていた。
 まともな会話が出来そうな者は無し……か。
 竜でないだけ相手は楽だ、それに許しも得ている。
 ──何も、問題は、無い。

 今ある刀は鈍、脇差、同田があるが、物を持った侭では満足に腕が振るえん、鈍は無しだな。
 囲まれている範囲は、目測で二間程……か。
 突っ切るには火力か守備か、幸い楯は目の前にある、容赦もする必要はない。
「さて、無傷で行ければ上々だ」
 手近な鎧に近付いて行く、その視覚は生きている様で、果敢に切り掛かってくる、剣筋も衰えていない、
体は健在で意思が無く、無闇に振っている訳でもない、か、だが遅い。
 躱す事は容易い、が、楯が奪えん。
 ──ええい面倒だ、貴様毎。
 首狩り投げの応用で鎧の隙間に手を入れ、数の多い所へ放り投げる。
 突破口は開けた、後は……。
 脇に抱えている物を担ぎ直し、火球と氷柱の中を突っ切り、街の外へと出る。


 来る時に乗っていた馬はとうに逃げられていた、仕方なくも徒歩で戻る事に。







「鑑、これは治せるか?」
 ネバンプレスの宿で鑑に持ち帰った物を見せる。
「え……と、これは?」
 鑑は戸惑い、事情を飲み込めずに居る。
「バ=ホで拾ってきた、頼めるか?」
 真っ当な答えを返し、再度問う、戸惑った表情は変わらずに、それを調べ始め。

「確かに、珍しく腐敗、欠損はほぼ在りませんが……、う−ん、ちょっと時間が経ちすぎてますねぇ、私じゃこれは……」
 鑑は渋い顔をし、少し躊躇をしてから。
「スゥさんになら……、こういった事はあの人の方が得意です……ね」
 どうにもしっくり来ないらしく、目が泳いでいた、童の方が裡が在るのなら、そちらに頼るべきだな。
「そうか……、邪魔をしたな」
「あ……鏨さん、気を付けて下さいね」
 見送りの言葉としては、変わった言い方だが。


 それから童達の居る部屋に行き、同じ様に依頼をしたが。
「わたしにこんなボロゾーキンみたいなのを治せですって? もっとイキの良いの持って来なさいよね」
 一蹴される、どんな拘りだ。
「鑑がお前の方が得意だと言っていたのだが、出来んのか?」
 鎌を掛けるように質問すると、童は見掛けの割に妖艶に笑み。
「あら、それでカマを掛けてるつもり? 別にやらない訳じゃないわ、でもね、これを治してわたしに得はあるのかしら?」
 ──交渉を持ち掛けようと言うのか? 鑑の言う通り一筋縄では行かない様だな。
「いいだろう、条件を言え」
「今は無いわ、でもね、あなたはわたしに借りがある、と言う事は憶えていてちょうだいね、カガミくーんトパジス持って来てー」

「はい、持って来ましたよ、何に使うんです? これ」
「は−いありがと、それじゃ、これを」
 童が鉱石を砕くと、辺りに放電が散り。
「さ−よみがえるのだこのでんげきで−」
「え、それに使うんですか!? ムチャすんな! それに棒読みだなオイ!」
 帯電した腕をそれに宛行うと、放電と火花が派手に散る、それを何度か繰り返し、反応を見てまた電流を流す。


 結果、どう言う理屈かは解らないが、それは人として再生した。
「成功したわよ」
「かんしゃするがいい」
「え? クゥさん?」
 青耳が何時の間にか入って来ていた。
「で、だれ?」
「・・・・・・」
「なまえは? あるの?」
「…………」
 青耳の質問に答えられないでいるそれを見て。
「バ=ホの事で憶えている事は無いか?」
 別の質問をするが。
「……っ、……」
 ただ虚ろな反応をする。
 ──外れだな、しかしこれでは……。
「まるで白痴だな」「まるで白痴だわ」
「なんで揃ってんの」
 偶然にも童と意見が一致し、顔を見合わせる。
「いや違うでしょ、記憶が飛んでますよ、これ」
 鑑が何か説明しようと割って入り。
「大体、持って来た時の状態が悪過ぎたんですよ、通常の方法でしたら余りそう言った事は起こり得ないのですが、流石に……」
 段々と語気を落とし、憐れんだ表情をする。
「で、鏨さん? 解ってますよね」
「ああ、……何のことだ?」
 表情を一転し、別の話を始めて来た。
「何をじゃあないです、貴男がこの子を持って来たんですから、面倒を見て下さい、もし、反する様でしたら……ね?」
 何か含みを持った言い方ではあるが、納得せざるを得ないな。
「……ああ、いいだろう、なら、こいつに出来る限りの医術を教えて置いてくれ」
「それ位の事なら、何なりと、後はこの子の名前、考えて置いて下さい、ギルドに入れて貴男の連れとして置く為に」
 ──名か……。




━━━━━━━━━━━━━━━

「鏨さん、どこ行ってたんですか、でも珍しいですね、生きて還ってくるなんて」
 数日街を離れ、近辺を漁る事を終えネバンに戻った俺を、鑑が見付け声を掛けてくる。
「鑑か、あいつの名だが、……捧、……捧(ササギ)と呼ぶ」
「唐突だな……、何か供物みたいで非道い名前ですね、そう決めたのならいいですが、貴男らしいですし」
 半ば呆れ顔で言う、それよりも聞きたい事は。
「それで、首尾はどうだ」
「首尾? あの事ですか、彼女不思議な事に技術はどう在れ、手順はどんどん憶えていきますよ」
「……上々だ、それに此処での事は大体済んだ、カザンに戻るぞ」
「また唐突ですね……」



【】



ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

サフリトモノカイ 更新情報

サフリトモノカイのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。