ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

創作倉庫 in mixi コミュのsuspicion (前編)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
これは一体、どうしたことだろう。

聡子は心の中で途方にくれながら、壊されたであろうipodを見てつぶやいた。
上からハンマーのようなもので、叩き潰されたようなその姿に何とも言えぬ気持ちがこみ上げて鳥肌がたった。
思い当たる節は、ない。
いや壊した相手には思い当たらないが、壊した理由は何となくわかる。
何故ならモノを破壊されたり紛失したのは、これが初めてではないからだ。
この春赴任先の学校に近いという理由で引っ越しをしてから、突然玄関先の郵便受けが壊されたり、傘が潰されてたり。
ようやく新学期が始まりホッとしたのもつかの間、上靴が消え授業に邪魔で外していたネックレスが消え、そして今回はi-padが壊された。
イタズラにしては、度が越えているように思う。
警察沙汰にするのが嫌で、被害届けを出す事もためらってたけど、そうも言ってられなくなりそうだ。
考えたくもないが、いわゆるストーカー被害ってことなんだろうか?
自分がストーキングされている自覚は全くないが、独身女性の一人暮らしとくれば可能性はないこともないだろう。

早く健児と一緒に暮らせるようになれば、こんなに不安にならないのに・・・

4つ年上の彼氏を思い出して、聡子はそっとため息をついた。
29歳の自分より、若々しく自由人な彼氏。
仕事はバリバリの営業マンで、容姿も悪くはない。
人当たりも良くて、爽やかなスポーツマンタイプ。
冴えない小学校教諭の自分には、勿体無いだろうって思う。
それでも健児が選んだのは自分であると言う事に、微かな優越感があるのも確かだ。
出合って付き合いだしてこの春で2年、そろそろ潮時じゃないだろうか?
先月の誕生日には、初めて指輪をもらった。
もうちょっとの我慢だから、来年には一緒になろうって言ってくれた。
自然と微笑みが口に上る。
照れながらも幸せになろうって言ってくれた言葉を、一生忘れないと聡子は思った。

「先生!」

女の子の呼ぶ声に、甘い思い出から急激に現実へと引き戻された。
振り返ると背の高い女の子が、こちらを見て立ってた。

「先生、昼からの授業始まっちゃうよ!」

彼女・・・松本未央ちゃんは、聡子の担任している3年3組にこの春転校生としてやってきた。
転入してから2週間ほどしかたたないのに、すっかりクラスに馴染んでいる。
活発で頭も良く、しかも可愛い・・・いや、可愛いというよりは美人なんだと思う。
将来はモデルやタレントも、あながち夢ではないと思わせる容姿。
華やかな顔立ちの上にリーダー気質も持ち合わせているので、クラスの中心になる日も近いだろう。
いや、もしかしたら既になっているかもしれない。
そんなカリスマ性を持っているのが、未央だった。

「ごめんね。すぐ行くわ」

慌てて壊れたipodをバッグに突っ込み、教科書を持って未央の後ろに続いて歩き出した。

「聡子先生、何やってたの?」
「何でもないのよ。ちょっとボーっとしてただけ」
「ふーん」

納得したのかしてないのか、気のない返事をしながら未央はさっさと後ろのドアから教室に入っていった。
不思議な子だと思いながら、聡子も仕事モードに切り替えて前のドアから教室へと入っていった。

かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい

聡子が疲れて帰宅したのは、夜もとっぷり暮れた10時過ぎだった。
新学期に入ってやることが多すぎて、ここのところ毎日残業が続いている。
鉛のように重くなった身体を引きずってエレベーターで2階に上がり、鍵をあけて玄関を入ると、そのままベッドの上に倒れこんでしまった。
お化粧落とさなきゃ・・・
ぼんやり考えながらも、身を動かすのもひどく億劫だった。

そうだ健児に、電話入れる約束だった。

ようやくのことで枕元に放り出したバッグを引き寄せて、ベッドに転がったまま携帯を取り出しコールする。
7回目のコールで留守番電話に切り替わったので「聡子です。帰ってきたので、いつでもいいから電話ください」と吹き込んだ。
健児に話があるから必ず帰宅したら電話をするようにって言われてたが、思ってたより遅くなってしまった。

お風呂にでも入ってるのかな・・・起きて待ってなきゃ。

電話かかってきても起きれるか自信ないなぁ、なんて思いながら聡子はウトウト眠ってしまった。


聞き覚えのない物音で、ふと目が覚めた。
健児からの電話なのかと思ったが、その物音は着信音とは似ても似つかない不気味な物音だった。
薄暗いリビングから、衣擦れと浅い息が聞こえたような気がした。
途端、聡子の意識はハッキリと覚醒した。

誰かいる!!

明らかに自分以外の人の気配を感じ、全身を震えが走った。

もしかして、ストーカー?

そういえば、玄関の鍵を閉めた覚えがない。
疲れのあまり扉を閉めて、そのまま寝室のベッドへ直行してしまっていた。
迂闊だったと悔やんでも、時既に遅しだった。
身動きできないまま、薄目を開けて必死でリビングを見るとやはり誰かがいる気配がする。

どうしよう、逃げなくちゃ!

ベッドから玄関まで3mはない、気づかれないように起き上がって走れば逃げ切れないこともないだろう。
静かに身を起こし、手元にあった携帯を手にそっと移動する。
外に出たら、警察に電話しなきゃとの思いがとっさに携帯を握らせた。
じわりじわりと、身を低くして玄関へと向う。
相手はまだ、聡子が目覚めたことには気づいてないようだった。
そっと玄関に立ち、ドアノブを音が鳴らないようにゆっくり回した。

ガチャ

思ったより大きな音がして、心臓が飛び出しそうになった。

開かない!?

鍵がかかってるらしく、ドアが開かずパニックになった。
慌てて鍵を開けようと焦って、再び大きな音をたててしまった。
もうかまってられない、とにかく逃げなきゃっ!
その時、突然左手に握り締めた携帯が鳴り出した。

健児からだ!

そう思ったら、とにかく助けて欲しくて震える指で通話ボタンを押していた。

「もしもし、聡子」

通話口からのん気な声が聞こえてきて、涙が溢れた。

「健児!助けて」

叫んだ瞬間、玄関の電気がパッとついた。
明るさに目が開けてられず、まぶたを閉じた途端携帯を奪われてしまった。

プツン

静かに通話を切られた携帯を片手に、笑って立っていたのは見たこともない女だった。


To be continued・・・


コメント(1)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

創作倉庫 in mixi  更新情報

創作倉庫 in mixi のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。