ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

創作倉庫 in mixi コミュのアラウンド30の恋(後編)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
約束の日は、冷たい雨がふる夜だった。
トオルとは、ここ二週間も連絡が取れなくなっていた。
やっぱ、自然消滅か・・・
そんな気持ちがわきあがって、泡のように消えた。
連絡のない男よりも、今からの再会の方が明らかに私の心を占めている。

私のことを、覚えているだろうか?
付き合ってたぐらいだし、まさか忘れてはいないか。
でもあんな別れ方をして、今更どんな顔で会えばいいの?
周りは付き合ってたことを知らないんだから、普通に振舞えばいいでしょう。

待ち合わせの花屋の角で、あれやこれやと思いを巡らせては緊張を忘れようと必死だった。
嫌な顔されたら、どうしよう。
知らないフリとか、あからさまな拒否は辛い。
その時は気分が悪くなったと言って、先に帰ろう。

でも。

でも・・・もしサトシが今も私のことを好きでいてくれるなら、私は彼についていくかもしれない。
今度こそ幸せになるために、ずっと側にいて欲しいって思うのかも。

都合が良すぎる想像は、止めよう。
ため息と共に顔を上げると、見覚えのある顔が目の前にあって驚いた。

「久しぶり」

そう声をかけてきたのは、あの頃より少し痩せたサトシだった。

「あ、久しぶり」

一気に昔から引き戻されて、慌ててペコリとお辞儀をしたら傘がサトシの頭を直撃した。

「いってぇぇ〜」
「あ、ゴメン!大丈夫あせあせ(飛び散る汗)」

サトシはあたふたしてる私を見て、「変わんねーな」と笑い出した。
つられて私も吹きだしてしまい、それで緊張感は溶けてなくなった。
そこへユカリたちも合流して、居酒屋へなだれ込んだ。
さりげなく隣に座り、サトシの指をチェックした。

薬指に、指輪がない。

少し希望が出てきたので、気持ちがウキウキした。
まだどうと決まったわけではないけど、もしかしたらもしかするかもしれない。
ビールで乾杯した後、ユカリの婚約者を紹介された。
普通のサラリーマンで、思ってたほどオジンではなかった。
いや、認めよう。
かなり男前だし、体も締まってるし、その辺の若いモヤシ男よりよっぽど魅力的な人だった。

「彼、バツイチで息子がいるの。私、いきなりお母さんになるんだ」

突然ユカリがぎょっとする台詞を言ったので、サラダに伸ばした手が止まってしまった。
とりあえず動揺を押し隠し、「へぇ〜そうなんだ。驚いた」と言うのが精一杯だった。
「やっぱり驚いた?直接言ってびっくりさせたかったんだよね」

悪趣味・・・喉元まで言葉が出かかったが、慌てて飲み込んだ。

「マジ驚いた。でもユカリ大丈夫なの?いきなり母親ってあせあせ(飛び散る汗)」
「まあね。正直悩んだけど、彼がどうしても私じゃないとって言うから」

嬉しそうに笑って、婚約者の肩にもたれるユカリは女の顔をしていた。
地味で冴えない女の子から、愛されてる自信に満ちた女の顔。
気づくと目をそらしてしまってた。
悔しいわけではないけど、ちょっとショックだった。
そらした目線の先に、サトシがいた。
ちょうどこちらを見たようで、目が合って動けなくなった。

「あれから、元気だった?」
と問われて、「うん。サトシは?」と答えるのが精一杯。
目は離せなかった。
「元気だけど、忙しい毎日だったよ。毎日毎日残業だし」
「そうなんだ。出世したんだね?」
ようやく目を先ほどもらった名刺に移して、呪縛が解けた。

「そりゃもう34だし、いつまでも平社員じゃ困るよ」
「それもそっか」
「うん」

会話は長くは続かなかったけど、胸の高鳴りはますます激しくなるようだった。
こんなことじゃ、ろくに話せないと思い、とにかくお酒を次々に飲んだ。
酔った勢いなら、奥さんはいますかって聞けそうだったから。
ビール、ワインとあけて紹興酒を飲む頃には、かなり酔っていたと思う。
心配するユカリに大丈夫大丈夫と言いながら、階段を踏み外してしまった。
ちょうど会計をしていた男性陣の中で、いち早くサトシが気づき抱きとめてくれたので怪我をすることはなかった。
さすがに二件目は断わり帰る旨を告げると、サトシが送るよと言ってくれた。
一応断わったけど、心配だからと強引に腕を取られた。
顔の火照りが、酔いのせいだけではなくなった。


化粧化粧化粧化粧化粧化粧化粧化粧化粧化粧化粧化粧化粧化粧


しばらく酔い冷ましに歩こうということになり、深夜のオフィス街を二人で並んで歩いた。
久しぶりに並んで歩いたけど、覚えてたより少し背が高かった。
今なら言えるかもしれない。

「結婚してるの?」
「ああ」

なけなしの勇気が、粉々に砕けた。
やっぱりね・・・世の中そんな上手くいくわけない。

「子供は?」
聞きたくないのに、勝手に言葉が出てきた。

「いないよ」
「そっか」

再び沈黙が二人の間に、重く横たわった。

「あんまり上手くいってないんだけどね」

突然ポツリと、サトシがつぶやいた。

「彼女とは上手くいってない。だから指輪も外して、君に会いに来たんだ」
「・・・」
「会って、やっぱり君が好きだって思った」

想像していたとおりの言葉。
もっと嬉しいと思ってたのに、何だかむなしかった。

ルルルルルルル

突然携帯が鳴り出した。
トオルからだった。

「もしもし」
「あ、俺だけど。今どこ?」
「飲み会の帰りで、△△交差点のすぐ近くにいるよ」
「そっか、ちょっと話があるから今から行っても・・・」

そこで携帯を奪われて、通話は切られてしまった。

「何するの!」
「誰?彼氏?」
「・・・そうだけど」

ふーんと睨みつけてから、サトシは携帯をおもむろに遠くへ投げた。

「ちょっと、何するのよ!」
さすがに怒りで、声を荒げた。

「別に・・・ちょっとムカついたから」
「ムカついたからって、他人の携帯投げていいわけ?」

とりあえず携帯を取りに行こうとして、いきなり引き戻された。
ビルとビルの間に連れ込まれて、体を押し付けられた。
痛みに酔いも吹き飛んだが、サトシはグイグイ体を押し付けてきて逃げられそうもなかった。

「一体何のつもりなの?」
「別に」
言いながら、唇を押し付けられた。
逃げようともがけばもがくほど、強く壁に押し付けられて気が遠くなりそうだった。
叫んで助けを呼ぼうにも、深夜のオフィス街に通行人はいない。

「だって、その気で誘ったんだろう?」
「何が?誰が誘ったって?」
「そんな物欲しそうな目で見てたくせに、今更かっこつけるなよ」

昔と同じ優しい声で、ぞっとすること言う。

「本当はずっと好きだったんだ。忘れられなかったよ」

そう言いながらも、逃がしはしないとでも言うように手の力が増した。

「こうしたかったんだろう?」

もがく私に冷たく言い放ち、再びキスをしようと顔が迫ってきた。
勘弁してよ、こんなことあるの?


嫌だ嫌だ嫌だ!!


目をつぶり必死で顔を背けてると、突然拘束していた力が消えた。
恐る恐る目をあけると、横から殴られて倒れこむサトシが見えた。
そして息を切らせて立っている、トオルの姿があった。

「何やってんだテメェ!人の女に手を出しやがって」

かっこよすぎる台詞に一瞬気が遠くなったけど、ここで気を失ってる場合じゃないって思いなおした。

「逃げよう!」
「待てよ、まだ殴りたりねー」
「いいから!」

今にも飛び掛りそうなトオルを無理やり引っ張って、ビルの間から抜け出した。
とにかく一刻も早く、ここから逃げたかった。
一目散に走る私の後から、落ちた携帯を拾ってトオルが追いかけてきた。
最寄の駅まで走り、後ろを振り返って追ってきてないことを確認して、ようやく力が抜けた。
ヘナヘナと座り込む私に携帯を差し出しながら、「壊れてはいないみたい」とすまし顔でトオルが言った。

「どうしてあそこに来れたの?」
「だって電話で言っただろう、△△交差点のすぐ近くにいるって」
「それにしても、早すぎる」
「たまたま近くにいたから、今から行くって言ってるのに途中で通話は切れるし。何度掛けなおしても出ないから事故にでも合ったかと思って、急いで走ってきたんだよ」
「そっか、それはどうもありがとう」

まさかトオルが助けてくれるとは思いもしなかったけど、本当に良かった。
サトシのあの冷たい目は、心も凍りそうだった。
3年の月日が彼をあんなに変えてしまったのかと思うと、自然と涙が溢れてきた。

「おい、大丈夫か?どこか痛い?」
涙を痛みの為と勘違いして、トオルが慌てて私の体のあちこちを触ってきた。
「それは大丈夫」
泣きながらトオルにしがみつくと、トオルも力強く抱き返してきた。

「怖かった」
「そりゃそうだろうけど、あんなヤツと二人で歩いてるお前も悪いよ」
「ごめんなさい」
「反省しろよ」

コクコクと頷いてから、涙をぬぐった。

「もうトオルとは、終わったって思ったんだよ」
「はぁ?」
間の抜けた返事にカチンときた。

「だって二週間も連絡してこないで、付き合ってるって言えるの?」
「それは試験があるって、説明しただろう!」
「試験?何それ、初耳なんですけど」
「え、国家試験があるから、しばらく連絡できないってメールしただろう」
自分の携帯の送信履歴を見ながら、トオルが言った。

「そんなの聞いてないよ」
「そんなわけ・・・あ、下書きに入ったまんまだたらーっ(汗)」

プチっむかっ(怒り)キレた

「何やってんのよ〜バカバカバカ!」
「うわ、ゴメン!」
「こんなに長く放置して、今更謝って済む問題かぁむかっ(怒り)」
「だってこの試験に受かれば、ちゃんと将来のことが考えれるようになるし。いずれプロポーズするときも、それなりの収入が見込めるから」
「・・・プロポーズ?」
「いや、もちろん早過ぎる話だから恥ずかしくて言えなかったけど。でも本気で好きだから、頑張って資格取って」

「・・・こんな出会い系で知り合った女に、プロポーズするの?」

トオルはムっとした表情で、
「出会い方は関係ないだろ。要は出会ってから、どう付き合うかじゃないの」と言った。

「それとも俺とじゃ、嫌なのかよ」
ふてくされてる背中に
「嫌じゃないよ」と言うのが、精一杯だった。


本当に大切なものは、ちゃんと手に入れてたんだ。
気づかずに捨ててしまうところだったけど、今度は離さないようにしよう。
後ろからそっとトオルの手を握って、そう思った。


END

コメント(1)

わー、楽しかった!すごい上手やなぁ。。。トオル格好よすぎー!
これからも全部読むぞー!

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

創作倉庫 in mixi  更新情報

創作倉庫 in mixi のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。