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ベン村さ来「と言えば・・・」コミュの【55・阪神】 平成14年6月10日(月)

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原典:http://www.owarai.to/ben/55.html
written by ベン村さ来
挿絵:橋本ポンセ


◆ ワールドカップだそうだ。私はご幼少の頃から野球にしか興味がないのでスポーツ新聞を 読んでも、ニュースを見ても何で盛り上がっ てるのかわからない。もちろん、愛国者の名において「日本勝てよ!ロスケ(ロシア人の 意)になんか負けんなよ!」(勝ったけど)とは思っているが、それ以上の興奮はない。 そもそもサッカーのルールがわからない。広い芝生にいい歳して半ズボンはいた大人が集 まって、寄ってたかってボールをウリウリ蹴っている。そんな滑稽なコントにルールなど あるのだろうか?もっと言わせてもらえばひとつのボール相手に何人もがチマチマチマチ マ動いてるのを見るとダンゴムシの死骸を運んでいるアリの集団みたいで気持ち悪い。別 にサッカーファンを敵にまわす気はないが(充分に敵にまわしてると思うが)、敵視に値 する一部ファンもいる。それは勢いに任せて盛り上がっている『にわかサッカーファン』 である。
◆ 私は今回のワールドカップ騒動でひとつの公式を見つけた。つまり、「サッカーを知らな い臭(しゅう)」がプンプンしている私のような物体を見つけると「どうよ?ワールドカ ップは?」などと適当な言葉で語りかけてくる人はほとんどが『にわかサッカーファン』 だということだ。一番の証拠はそんな連中と話していると会話が止まることにある。確か に私はサッカーのルールを知らないが、これだけ騒がしければ一応の情報は入ってくる。 ただ、理解できないだけ…。しかし、「ベルギー代表は日本代表より平均身長が4cmも高 いらしい」みたいなルールとは無関係の情報に関しては理解できる頭脳を持つ。そこで会 話が止まるという現象が起きるのだ。「どうよ?ワールドカップは?」「ベルギー代表は 日本代表より平均身長が4cmも高いそうですね」「へぇ〜」…自分から詳しそうな顔して 振 っておいて「へぇ〜」はないだろう!『にわかサッカーファン』に突き付ける証拠の裏付 けもある。私の身の回りの本当に心からサッカーを愛してる人々はワールドカップに関し て私に話しかけない。自分の愛するものを私の「サッカーを知らない臭」によって汚され たくないのだろう。これが『真のサッカーファン』だと思う。ちなみに私の身の回りでは 春風亭昇太師匠と〆さばアタルが私の臭いを明らかに敬遠していた。


◆ 実は私にはこの『真のサッカーファン』の気持ちがよくわかるのだ。前述した通り、私は 子供の頃から大のプロ野球ファンであった。幼稚園ぐらいから野球中継を見るようになり 、小学校1年から9人×2チーム=18人集まろうが集まるまいが空き地や学校の校庭で草 野球を始めるぐらいの野球好きになっていた。幼稚園時代は東京生まれということもあり 個人の意志とは関係なく巨人ファン(死んだおばあちゃんから巨人の帽子を買ってもらっ たから)。しかし、小学校に入り野球を始めると阪神ファンになっていた。それは「デブ 」という体型のお陰で有無を言わさずキャッチャーをやらされていた私にとって当時の巨 人のキャッチャーの吉田孝司(巨人1969〜1984)があまりに地味だったのである。


◆ それに比べ阪神のキャッチャーは田淵幸一(阪神1969〜1978年)!自分と同じデブであり ながら派手にホームランをブッ放す姿に憧れ、私は『真の阪神ファン』となった。その田 淵が西武にトレードされた時は西武ファンになることも考えたが、翌年に父の母校である 早稲田大学から岡田彰布(阪神1980〜1993)が入団したこともあり、父と共に阪神ファン に居残ることにした。「万年最下位」という不名誉なニックネームに耐えながらの1985年 の日本一。1998年にはオリックスへ飛ばされた岡田彰布も(現・二軍監督)阪神復帰。今 年は「義侠の男」星野仙一監督の元、田淵幸一もチーフ打撃コーチとして帰ってきた。19 85年の日本一以外は些細なことを喜び生きてきたのだ。そんな私からしたら「今年は強い から」って理由で球場を埋める『にわか阪神ファン』がチョット許せない(チョットかよ )。『にわか阪神ファン』も「阪神ファンの苦労を知らない臭」がプンプンしているから スグわかるのだ。こっちも話しかけないので、私の「阪神ファンの苦労を売り物にする臭」に気づいたら話しかけないで欲しい。


◆ 「阪神」と言えば思い出すのが…松村邦洋である。今や「ものまねタレント」と「阪神タ レント」の二枚看板で飛ぶ鳥を落として食べる勢いだが(そういえば大食いタレントとし てもおなじみだった) 彼と初めて会ったのは平成元年の夏だったような気がする。当時、私は浅草キッドの若い 衆として運転手兼付き人をやっていた。その浅草キッドの2人に池袋のショーパブ『青春の館』に出演する話が持ち上がり、現場の責任者だった銀次・秀介さんから話を聞く為に 私は2人を乗せ車を池袋へ走らせた。公演終わりに近くの居酒屋で待ち合わせをすると、 そこにその男も同じ用件で来ていたのだ。悔しいが初めて会った時の印象は「あっ、有名 人だ」だった。松村さんは素人時代からものまね番組の常連だったので、その顔も名前も 充分に知っていた。打ち合わせが始まると松村さんは真剣な顔つきでメモを取り始めた。 「やっぱり、テレビに出てる人はやることが違うな」と思っていたのだが、数分後「メモ をとってる割りには話が理解できない人だなぁ」と思うようになった。この疑問を確認す る為にあえて松村さんに話しかけてみる。「そうなると時間給は高いですね?」「はっ? はっ?じかんきゅーって何ですか?」「時間で割った日給のことですが」「はっ?はっ? 日給って月給ですか?」「いや、そうじゃなくて…」「えっ?今は何の話ですか?」これ ですべてが明らかになった。この人はバカなのだ。


◆ 付き合いを続けていけばいくほど、この人がいかに「優秀なものまね芸人」で、いかに「 頭の弱い人」なのかがハッキリとした。松村さんが所属する太田プロのライブ『噂のショ ータイム』の出演に行くと私の顔を見つけて「本番のネタを聞いて下さい!」と走ってく る。「私もネタがあるんで稽古したいんですけど…」と言っても「あー、すみません!あ ー、すみません!じゃあ、楽屋裏の階段で 聞いて下さい!」とまったく話にならない。私が放送作家として一本立ちした最初のラジ オ番組『ラジオブロンクス』(ニッポン放送 )のパーソナリティーもなぜか松村さんで苦労の連続だった。本人も初めての一本立ちだ ったので緊張していたのだろうが、その緊張をほぐす為にスタジオでチンコを揉み始めた り、フリートークのネタが思い出せずに「ベンさんは右翼だ」という放送禁止用語を生放 送で言い出したり、台本の「※(松村エンディング、トークまとめて)」という指示を「 えー、松村エンディングのトークをまとめて?」とそのまま読んでしまったり…と、苦労 が続き過ぎて次第には苦労することに喜びを感じる異常体質になってしまった。この異常 体質を気に入られたのか、この番組以降も『松村邦洋のオールナイトニッポン』(ニッポ ン放送)、『松村邦洋のタングショー』(CBCラジオ)と約10年にわたり松村さんのラ ジオ番組を担当した。それぞれの番組の苦労話ベストテンでもやりたいぐらいだが1000個 から30個を選ぶのは面倒臭いのでまたの機会にしたい。この松村さんの半生記及び芸人伝 を聞いたロングインタビューを6月25日(火)発売の『笑芸人vol.7』で私がやっており ますので、ぜひお買い求め願います。


◆ しかし、テレビやラジオでは放送されないが、この人の天才バカっぷりは私生活の方が多く発揮される。今から7年前ぐらい前のことだろうか。新婚の私たちの愛の巣(笑)に夜 中3時だというに電話のベルが鳴った。布団から這いずり出て受話器を取ると松村さんだ った。出会った時からライブが近づくとネタの確認を電話でやらされていたので普段なら 優しく聞いてあげるのだが、時間は午前3時。さすがにムッとしながら「今ごろ何ですか !」と答えると「ベ…ベンさん…」と今にも泣きそうな声。「こりゃ何か事件があったな 」と唾液でベタベタなった喉を咳で潤し、真剣な声で「どうしました?落ち着いてくださ い。何があったんですか?」と聞き直した。すると松村さんは心細そうに「僕…死ぬかも しれません」これにはビビった!例え、「ビビった」が古臭い表現だと言われてもビビっ たんだからしょうがない。ここからは重要なので全部の会話を再現したい。「僕…死ぬか もしれません」「何があったんですか?」「水銀を飲みました…」「えぇ!自殺するつも りですか!」「いえ、でも飲んじゃったんです」「バカ!どうして飲んだんですか!」「 さ っき…コンビニのおにぎりを食べていたら…」「はい」「銀歯がポキッて折れて…」「は い」「そのまま飲んじゃったんです…」「はい。それで?」「だから死ぬかも…」「はぁ ?」「銀歯って水銀でですよね?」「はぁ?」「銀歯って水銀から作られるって…」「誰 が言ったんだ!」「いや、誰かな?」「コラッ!銀歯、水銀で作ってたら世界中の人が口 に含んだだけで死ぬわい!銀歯は銀の安いのをかぶせてるだけだ!」「じゃあ、僕は…」 「死なない!」「じゃあ、飲んだ銀歯は?」「ウンコで出る!」「はぁ〜。じゃあ、ベン さんもう寝ていいですよ」「お前が言うな!」…こんな感じの人騒がせがこの人と付き合 っていると2週間に1度はある。これでは寝てても気が休まらない。1度、松村さんには 悪いが眠たかったので 居留守を使い、妻を電話に出させたことがあった。しかし、松村さんからしたら妻は単な る「太田プロ時代の同期芸人」。まるで水を得たジュゴンのように私より長く話されたの は言うまでもない。  

原典:http://www.owarai.to/ben/55.html
written by ベン村さ来
挿絵:橋本ポンセ

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