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チャンの小説コミュのただ、そばにいて

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☆登場人物


 アヤ・・・・・・主人公

 奈緒・・・・・・アヤの高校時代の友人

コメント(3)

奈緒が私のところに訪れたのは深夜の十二時を過ぎて、一時ごろだったと思う。
 



私はその時間にはもう、蒲団に入ってウツラウツラとしていた時に部屋のインターホンガ鳴った。
 



ベットから起き上がって玄関の方に歩いていきドアを開けると、彼女が俯き加減でドアの前に立っていた。顔色も暗かったせいもあるかあまり良くないように見える。
 



とりあえず、彼女を部屋にあがらせる。
 



彼女が部屋にあがって灯かりのついたところでもう一度彼女を見ると、やっぱり彼女の顔色は青白く、そして、以前会った時よりも痩せこけた印象があった。
 



奈緒とは、智子と一緒で高校時代の仲良し四人組みの一人だった。
 




彼女は言わば朝「おはよう」と挨拶をしてから帰りに「バイバイ」と手を振るまで、いつもニコニコしていてテンションが高く明るい子だった。




その明るさに、いつも彼女のそばにいる私が一歩引いてしまうくらいだった。
 



そんな彼女のこんな姿を私は一度も見たことがなかった。その変わり様に別人ではないかと疑うくらいだった。





「こんな遅くに押しかけてごめんね」
彼女は部屋に上がるなり私に申し訳なさそうに私の顔を見ずに俯きかげんのまま言う。




私は勿論のこと、不安と心配な思いを彼女に見せまいとそんなことないよと笑顔で彼女に声をかける。
 



部屋にあがり部屋の中央で暫く立ったまま、私たちは沈黙する。




「この前のカラオケ行けなくてごめんね」
 



と、彼女が独り言のように話す。




「あ、ああ。いいよ。いいよ。結局さ、智子と二人だけしか集まらなかったんだけど面白かったし」
また沈黙。
 




彼女が何か悩みを抱えて、何か私に相談に来たことはわかっていた。




でも、こんな彼女の姿を見たことがない私は、それをどうやって切り出すかわからなかった。





あの、とりあえず座ってよ。



と言って、私はとりあえずさっきまで寝ていて蒲団が剥いであるベッドに彼女を座らす。





また沈黙。





でもこのまま事情を聞かないわけにはいかないと思い、私は思い切って切り出す。





「あの、今日はどうしたの?」
 




黙りこむ彼女。俯いたまま目は床のフローリングに向いたままだ。
 




また沈黙。
 




もうどうすれば良いかわからなかった。




相談と言えば、カラオケに行く前に智子にも電話で相談を受けて喧嘩になったことがあったけど、まだこの状態よりかああゆうふうに勝手な愚痴をもらしてくれた方が相談を受ける方として楽なような気がした。黙り込んでいては何もしてあげられない。





「ねぇ・・・・・・」





「あのさ、今日、ここに泊まってもいいかな」
 




私がもう一度彼女に訊こうと口を開くと、彼女がそれより先に彼女の話かけてきた。
 




私は様子のおかしな彼女を泊まらすのは不安だったが、だからと言って彼女を拒む理由もなく、うんいいよ、と頷いた。
 




そうと決まればと、私は来客用の蒲団を取ろうと押し入れを開ける。





「ねえ」
 



と、彼女はそんな私に声をかける。





「あの、もし良かったら一緒に寝てくれない?」
 




ベッドに座る彼女の方を振り返った私は、今日始めて彼女と目が合った。




その彼女の目は、何か寂しさと不安、悩み、様々なものを抱えているような目をしていた。
 



私はしばらく、目を合わせていたが私は黙ってそれに頷いた。
 




電気を消すと、私と彼女は二人でベッドで眠った。
 



女性とは言え、普段一人で寝るベッドに二人大人が寝るとちょっと狭かったが寝れなくもなかった。
人と一緒に身体を寄り添って寝るのは久しぶりだった。彼氏とも別れる一ヶ月くらい前からは私と一緒に寝てくれなくなったから、約一ヶ月ぶりくらいだろうか。
 




私は彼女の顔を見ながら寝るのは少し恥ずかしいというか彼女も寝にくいだろうから、私たちはお互いに背を向けて寝ることにした。
 



それにしても彼女の身体は温かかった。それは今上にかぶさっている蒲団を剥いでしまいたいくらいに暖かかった。
 




その暖かさに彼女は当たり前だが彼女は生きているのだと思った。そう、心も身体も彼女は生きようとしている。





一体彼女をここまで苦しませているものは何なのだろう。




私は背中越しの彼女に何度も訊こうとした。




でも、何故か今までの彼女の態度を見るとそれを望んでいない気がして訊くことはできなかった。
 



そうこう考えているうちに、何もできないまま私は眠りについていた。
 




次の朝、起きると彼女はもうベッドも部屋にもいなかった。
 




そして、ベッドの近くのテーブルにメモ用紙が置いてあり、そこにはただ一言。




一緒に寝てくれてありがとう。元気になったよ。と書いてあり、その下には彼女お得意の自分の顔の似顔絵が寄せてあった。
 




結局、彼女が何を思って私のところへ来たのかわからなかった。
 




でも、その一言を見ただけで彼女が少し元気になっているような気がした。
 



ただ相談を聞いて何かをアドバイスをする。それだけが相談に乗るってことじゃないのかもしれない。
 




もう一度彼女のメモ用紙を見つめて私は思わず微笑み、私で良かったらまた一緒に寝てあげるよ。とその紙に向かってそっと呟いた。



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