富山県中新川郡立山町芦峅寺(ｱｼｸﾗｼﾞ)
1965年01月01日、富山県が「称名滝とその流域」を史跡・名勝・天然記念物に指定。
1973年05月29日、文化庁が称名滝を名勝・天然記念物に指定。
中部山岳国立公園内。
称名滝(ｼｮｳﾐｮｳﾀﾞｷ)については以下を参照して頂き、ここでは「その流域」の方を扱います。
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＋悪城(ｱｸｼﾛ)の壁
高さ500m・総延長２kmにも達する大規模な溶結凝灰岩の岩壁で、一枚岩としては日本一の高さとされる崖です。
立山火山の大噴火で出来た溶岩の台地が、称名滝(称名川)に深く削られて形成された断崖で、岩壁の形が二段になっている事から「悪城の壁の二階」とも呼ばれています。「悪」とは「恐ろしくて人を引き寄せない」の意味で、その名に相応しく、圧倒的な迫力を持ちます。
悪城の壁には下部に大きな凹みが見られますが、これらは硬い岩石が雪崩で削られて出来た雪崩地形で、アバランチシュートと言われます。
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＋称名廊下
称名川上流の峡谷で、約２kmに亙って深さ200ｍにも達するＶ字谷を形成しています。悪絶な水路と滝を構成しているため、平成25(2013)年に東京の大西良治による単独での計三度、のべ11日間に及ぶ遡行が成功するまで、日本最後の人跡未踏の地となっていました。
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＋地獄谷
標高2300mの室堂平にある温泉や火山性ガスが噴出する火山地形帯です。
地獄谷に温泉が湧出している事は古くから知られていたものの、日本を代表する山岳信仰である立山信仰の中では現実の地獄として恐れられていたため、長らく温泉が利用される事はありませんでした。源泉付近に「八大地獄」と命名されている場所があり、立山信仰の中では、悪事を働いた人はそのうちのどこかに落ちると言われていたのです。
昭和22(1947)年に至って漸く科学的な温泉分析が行われ、入浴に適した温泉であると実証され、温泉付き山小屋「房治荘」が源泉地帯の真ん中に建てられました。
続いて昭和30(1955)年には地獄谷源泉地帯に「雄山荘」と、付近の雷鳥沢の畔に「雷鳥荘」が設置され、翌年には源泉地帯に金沢大学の夏山診療所も設置されました。昭和32(1957)年には雷鳥荘近くの高台に「ロッジ立山連峰」が、みくりが池畔に「みくりが池温泉」が設置され、それぞれ温泉水あるいは温泉で暖めた水が送られる様になったのです。
雷鳥荘は昭和43(1968)年に雪崩被害を受けて尾根の上に移転しましたが、昭和46(1971)年に立山黒部アルペンルートが開通すると登山者や観光客が急増する事となりました。
ところが、その後源泉地帯は火山性ガスの危険がある事から、「房治荘」は昭和50(1975)年にロッジ立山連峰の隣接地に移転して「ニューフサジ」と改名、その後経営者の変更により現在の「雷鳥沢ヒュッテ」となりました。また、雄山荘は廃業し、診療所は雷鳥沢野営場と剱沢の二箇所に移転しており、源泉地帯の建築物は全て撤去されて浴槽跡が残るのみです。
平成時代に入ると、地獄谷一帯に遊歩道が整備され、一般観光客も気楽に立ち入る事が出来る様になりましたが、地獄谷の源泉地帯は残雪により濃いガス溜りが出来得るため、火山性ガスによるガス中毒の危険を避けるため、例年６月までは全面通行禁止となっており、それ以降の期間も夜間通行は禁止されていました。
平成23(2011)年から噴気活動の拡大が活発化したため、現在に至るまで通年の通行禁止が続いており、雷鳥荘に至る稜線上のルートも風向きを示す吹き流しが数カ所に設置されて、噴気地帯の風下になった場合の注意喚起が行なわれています。
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＋みくりが池
標高2405mの室堂に位置する面積約30000�屐�深さ15m・周囲631mの火山湖です。室堂に点在するミドリガ池・リンドウ池・血の池等の火口湖群の中で最大の規模を有します。
春山の残雪期には完全に氷結しており、夏山シーズンに入っても結氷が見られる事がありますが、秋山の紅葉の時期には、立山三山の三段紅葉を水面に映す景勝地となります。
立山信仰の中では、立山地獄の中の「八寒地獄」であるとされましたが、その反面「ミクリ」とは「神の厨房」を意味する「御厨」の事であり、この池の水が立山権現に捧げられ、この池の水を使って立山権現に捧げる料理が作られていました。これは修験道に基づく山岳信仰では聖地とされていた景勝が、浄土信仰に付随する浄土と対極の地獄と関連付けられる中で、全く反対の位置付けをされる様になったのだと考えられています。
この池には以下の様な伝説が伝わります。
越前国の小山法師なる修行僧が地獄谷を巡った後でこの池を見て「この池は越前の百姓の溜池程度のチャチな物だ」と嘲笑しましたが、これを室堂の僧である延命坊が聞いて非常に怒り、「溜池と仰るなら、この冷たい水に入り、泳ぐ事ぐらいは平気でしょうな」と言うと、法師は懐剣を咥えてゆっくりと抜き手を切って一周して見せた上で「思いがけず涼が取れ、御礼の言葉も無い」と笑いました。延命坊が「越前では溜池に剣を咥えて入られるのか」と揶揄すると、小山法師は剣を捨て再び池に飛び込みました。しかし、三周した所で神の怒りに触れ、湖水に吸い込まれて沈んでしまったので、それまで「御厨ガ池」と書いていたのを、「三繰ガ池」とも書くようになったとされています。
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1965年01月01日、富山県が「称名滝とその流域」を史跡・名勝・天然記念物に指定。
1973年05月29日、文化庁が称名滝を名勝・天然記念物に指定。
中部山岳国立公園内。
称名滝(ｼｮｳﾐｮｳﾀﾞｷ)については以下を参照して頂き、ここでは「その流域」の方を扱います。
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＋悪城(ｱｸｼﾛ)の壁
高さ500m・総延長２kmにも達する大規模な溶結凝灰岩の岩壁で、一枚岩としては日本一の高さとされる崖です。
立山火山の大噴火で出来た溶岩の台地が、称名滝(称名川)に深く削られて形成された断崖で、岩壁の形が二段になっている事から「悪城の壁の二階」とも呼ばれています。「悪」とは「恐ろしくて人を引き寄せない」の意味で、その名に相応しく、圧倒的な迫力を持ちます。
悪城の壁には下部に大きな凹みが見られますが、これらは硬い岩石が雪崩で削られて出来た雪崩地形で、アバランチシュートと言われます。
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＋称名廊下
称名川上流の峡谷で、約２kmに亙って深さ200ｍにも達するＶ字谷を形成しています。悪絶な水路と滝を構成しているため、平成25(2013)年に東京の大西良治による単独での計三度、のべ11日間に及ぶ遡行が成功するまで、日本最後の人跡未踏の地となっていました。
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＋地獄谷
標高2300mの室堂平にある温泉や火山性ガスが噴出する火山地形帯です。
地獄谷に温泉が湧出している事は古くから知られていたものの、日本を代表する山岳信仰である立山信仰の中では現実の地獄として恐れられていたため、長らく温泉が利用される事はありませんでした。源泉付近に「八大地獄」と命名されている場所があり、立山信仰の中では、悪事を働いた人はそのうちのどこかに落ちると言われていたのです。
昭和22(1947)年に至って漸く科学的な温泉分析が行われ、入浴に適した温泉であると実証され、温泉付き山小屋「房治荘」が源泉地帯の真ん中に建てられました。
続いて昭和30(1955)年には地獄谷源泉地帯に「雄山荘」と、付近の雷鳥沢の畔に「雷鳥荘」が設置され、翌年には源泉地帯に金沢大学の夏山診療所も設置されました。昭和32(1957)年には雷鳥荘近くの高台に「ロッジ立山連峰」が、みくりが池畔に「みくりが池温泉」が設置され、それぞれ温泉水あるいは温泉で暖めた水が送られる様になったのです。
雷鳥荘は昭和43(1968)年に雪崩被害を受けて尾根の上に移転しましたが、昭和46(1971)年に立山黒部アルペンルートが開通すると登山者や観光客が急増する事となりました。
ところが、その後源泉地帯は火山性ガスの危険がある事から、「房治荘」は昭和50(1975)年にロッジ立山連峰の隣接地に移転して「ニューフサジ」と改名、その後経営者の変更により現在の「雷鳥沢ヒュッテ」となりました。また、雄山荘は廃業し、診療所は雷鳥沢野営場と剱沢の二箇所に移転しており、源泉地帯の建築物は全て撤去されて浴槽跡が残るのみです。
平成時代に入ると、地獄谷一帯に遊歩道が整備され、一般観光客も気楽に立ち入る事が出来る様になりましたが、地獄谷の源泉地帯は残雪により濃いガス溜りが出来得るため、火山性ガスによるガス中毒の危険を避けるため、例年６月までは全面通行禁止となっており、それ以降の期間も夜間通行は禁止されていました。
平成23(2011)年から噴気活動の拡大が活発化したため、現在に至るまで通年の通行禁止が続いており、雷鳥荘に至る稜線上のルートも風向きを示す吹き流しが数カ所に設置されて、噴気地帯の風下になった場合の注意喚起が行なわれています。
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＋みくりが池
標高2405mの室堂に位置する面積約30000�屐�深さ15m・周囲631mの火山湖です。室堂に点在するミドリガ池・リンドウ池・血の池等の火口湖群の中で最大の規模を有します。
春山の残雪期には完全に氷結しており、夏山シーズンに入っても結氷が見られる事がありますが、秋山の紅葉の時期には、立山三山の三段紅葉を水面に映す景勝地となります。
立山信仰の中では、立山地獄の中の「八寒地獄」であるとされましたが、その反面「ミクリ」とは「神の厨房」を意味する「御厨」の事であり、この池の水が立山権現に捧げられ、この池の水を使って立山権現に捧げる料理が作られていました。これは修験道に基づく山岳信仰では聖地とされていた景勝が、浄土信仰に付随する浄土と対極の地獄と関連付けられる中で、全く反対の位置付けをされる様になったのだと考えられています。
この池には以下の様な伝説が伝わります。
越前国の小山法師なる修行僧が地獄谷を巡った後でこの池を見て「この池は越前の百姓の溜池程度のチャチな物だ」と嘲笑しましたが、これを室堂の僧である延命坊が聞いて非常に怒り、「溜池と仰るなら、この冷たい水に入り、泳ぐ事ぐらいは平気でしょうな」と言うと、法師は懐剣を咥えてゆっくりと抜き手を切って一周して見せた上で「思いがけず涼が取れ、御礼の言葉も無い」と笑いました。延命坊が「越前では溜池に剣を咥えて入られるのか」と揶揄すると、小山法師は剣を捨て再び池に飛び込みました。しかし、三周した所で神の怒りに触れ、湖水に吸い込まれて沈んでしまったので、それまで「御厨ガ池」と書いていたのを、「三繰ガ池」とも書くようになったとされています。
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