史跡コミュの甲州街道常久一里塚跡

　東京都府中市清水が丘３－15

　1984年01月27日、府中市が史跡に指定。

　天正18(1590)年に江戸へ入府した徳川家康は、六所宮(大國魂神社)の西隣に府中御殿を設け、ここから相模国平塚にかけて、盛んに鷹狩を行ったため、街道整備が進んだ。
　江戸幕府成立後は五街道の最後の一つとして「甲州海道」が整備され、日本橋から甲府を経て信濃国下諏訪宿で中山道と合流するまで38の宿場が置かれる事となった。甲州海道は、万が一の江戸城陥落の際の甲府までの将軍の避難路として使用される事を想定して造成されたと言われる。当初は現在の品川街道が甲州海道で、六所宮からは現日新町を経由して多摩川を渡り、現日野市の万願寺に通じていた。
　府中宿は、内藤新宿（東京都新宿区）・高井戸宿（東京都杉並区）・布田五宿（東京都調布市）に次ぐ四つ目の宿場で、本来は現府中市西方の本宿(ﾎﾝｼｭｸ)町が宿場だった。府中御殿の安全保障対策として距離を置いたと推定される。
　しかし、正保３(1646)年の府中大火で府中御殿が焼失してしまったため、六所宮付近に府中宿が移される事となり、新宿(ｼﾝｼｭｸ)・本町・番場町(馬場町)の府中三町が成立した。日本橋から約32㎞地点に当たる。
　慶安年間(1648～52)か貞享年間(1684～88)に甲州海道は現都道229・133線のラインに移り、正徳６(1716)年に「甲州道中」に改称された。この常久(ﾂﾈﾋｻ)一里塚は旧街道の物で、日本橋から七里地点に当たる。
　庶民は甲州道中を甲州街道の俗称で呼んでおり、明治時代になって甲州街道が正式名称になった。現在はやや北寄りの国道20号線が甲州街道と呼ばれている。