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大河ロマン小説 屍山血河コミュの第41章 男同士

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 クルーガーとカイザーの一騎打ちはどちらも譲らず、白熱の極みだ。
 カイザーの矛はしばしばクルーガーの頬をかすめ、クルーガーの槍はたびたびカイザーの防御を崩しかけた。
(こんなきれいな顔をしてなんて強さだ……)
 カイザーも驚きを隠せない。
(このわたしが苦戦だと!世の中は広い)
 武器を交えること数百回、ついにカイザーはバランスを崩され、落馬した。
 クルーガーは躊躇した。これほどの男を殺していいものか。
 そのひるみが命取りだった。弓兵が矢を放ち、5本の矢がクルーガーの体に突き刺さった。
(死ぬのかよ、こんなところで)
 自嘲の笑みを浮かべ、落馬した。
 しばらくは痙攣したが、やがてぴたりとおさまった。

「あーあ、よく寝た」
 クルーガーは起き上がり、大きく伸びをした。
「あれ?なんで俺がこんなところに?」
 気がつけば病院の一室で、体中に包帯が巻かれている。
「お客人、やっとお目覚めかね」
 グスタフが食事を持ってきた。
「三日三晩、まったく動かなかったのでこれはまずいと思ったが、これで一安心だ」
「思い出した。カイザーとやりあったんだ」
「そうそう、あんたがあのビルマースドルフ侯爵と互角に戦ったんじゃよ。本人もあんたの強さに驚いていたんだ」
「いてて、まだ傷が癒えてないな」
「なに、さほど深くはないよ。食事を済ませたら公爵の部屋を訪れなされ」
 クルーガーはカイザーの部屋に入ると、いたって簡素なものだった。
「おう、待ちわびたぞ。お互い何とか生き延びたな」
 カイザーは苦笑した。クルーガーも薄く笑った。
「なぜおれを殺さなかった?」
「いま、わが軍には有能な指揮官は少ない。期限付きで結構だが、協力してもらえないだろうか」
「悪い話ではないな。しばらく付き合おう」
「ありがたい。グスタフに命じて城の周辺を散策するがいい」
「了解だ」
 カイザーは無言で手を差し伸べた。二人は堅く手を握った。

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