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大河ロマン小説 屍山血河コミュの第21章 なす術なし

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一人の兵士が走ってロビンソンの執務室を訪れた。
「元帥閣下、マーナ族同盟がわが国に侵攻するという情報が入りました」
「わかった。至急対処する」
 マーナ族同盟は文字通りマーナ族だけで構成される国家で、国民は褐色の肌をしている。
ほかの国家と異なり、意味のない戦争を仕掛けないはずだが、戦はめっぽう強い。
 急きょ会議が招集され、エリオットを総司令官に、ファイザードを副司令官に、あとはおなじみのマックスらが補佐に任命された。
「これだけの顔ぶれなら万全といいたいが、動かせる兵は限られている。よろしく頼む」
 ロビンソンの言葉に、全員がうなずいた。

 両軍があいまみえたのは2月も中旬だ。
 マーナ族同盟の司令官は、何と総帥のカラーゼが指揮を執る。
「冗談は勘弁してくれよ」
 クルーガーは苦笑した。カラーゼは帝国のビーゼンヒュッテンにも匹敵する武力の持ち主で、戦場では自ら先頭を切り、猛将という表現がふさわしい。青龍偃月刀を使いこなし、2メートル近い体格は圧倒的な存在感だ。
「さて、どう来るかね……」
 シルビアも緊張を隠せない。
 敵陣から一人の男が馬をゆっくりと歩かせた。威風堂々、威圧感に満ちている。
「わが名はカラーゼ。誰かわたしと一騎打ちに応じるものはいないか!」
「おう、俺はクルーガー・トンプソンだ。いくぞ!」
「返り討ちにしてくれるわ!」
 クルーガーが馬を走らせ、男同士、サシでの勝負だ。
 槍と刀を繰り出すこと100合、二人とも汗と疲労でくたくたになっても勝負はつかない。
「貴様ほどの男がいるとはな。勝負は次回に預けた。全軍、攻撃せよ!」
 クルーガーも疲れきっている。グレンデールは肩をつかんだ。
「よくやったな。あとは俺たちに任せて少し休め」
「ありがてえ。しかしあいつも強かったな……」
 エリオットは全軍に紡錘陣形を取るよう命じた。そして、中央突破をはかった。
 これを止めるのはさすがの同盟にも無理だ。陣形は二つに割れ、指揮官の命令も届かない。
「こんなにあっさりと……あの老人に不可能はないのか?」
 カラーゼは敵の攻撃を逆手に取って、包囲網を作ろうとするが、すでに多大なる戦死者を出し、必死に兵に叱咤激励を怒鳴るが、ほとんど効果はない。
 
 同盟軍もまた、エリオットの餌食となった。戦の結果は大陸中を駆け巡り、エリオットがいる限り、迂闊に攻め込まない方向で決まった。

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