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大河ロマン小説 屍山血河コミュの第三章 特訓

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マックスとクルーガーが退院すると、地獄が待っていた。
 グレンデールがロビンソンに公言した通り、徹底的な訓練が行われた。
 毎日5時に起きて20キロ走る。
 その後、訓練所でグレンデールがつきっきりでみっちり二人をしごく。
 槍の使い方に関しては基礎から猛練習だ。
「パルテア!もう少し腰を落とせ!重心がずれているぞ!トンプソン!手を抜いても無駄だ!真剣にやらんと殴るぞ!」
 夕方になると二人は死人の顔になっている。グレンデールが帰宅した後、
寝転がって荒い息をしていた。
「勘弁してくれよ……あのおっさん、人間か?」
 自慢の金髪をかきまわしながら、クルーガーは珍しく音を上げた。
「俺も同感だが、このくらいはこなせないと次の段階には進めないだろう。しばらくは臥薪嘗胆だ」
 一ヵ月後、訓練が終わってから、グレンデールは二人の肩をつかんだ。
「よくやったな。二人とも成長を実感できたか?」
「はい、閣下のおかげでかなり自信がつきました。ありがとうございます」
 マックスは頭を下げる。クルーガーは鼻くそをほじりながらぼやいた。
「まあ、あんたには感謝するよ。どうせ一生かかっても追いつけないしな」
「くくく、わからんぞ?二人ともまだ若い。俺の訓練はこれで終わりだ。近々帝国がまた軍を派遣するだろう。その時は頼むぞ」
「はっ!」
 
 ロビンソンが執務室で書類を眺めていると、一人の人物が訪れた。
「しばらくぶりですな。お元気かな?」
「誰かと思ったらあなたでしたか。すぐに座ってください」
 ロビンソンがあわてて椅子の用意をする。
「すまんですな。よる年波には勝てんですわ」
 椅子に座った60代と思しき貧相な人物の名はサミュエル・ファイザード。階級は少将である。
 共和国軍にあってただ一人、名将に値する司令官だ。あとの将軍たちは政治家の推薦で出世した能無しばかり。ファイザードはロビンソンが敬語を使うほどの大物であるが、外見はただの老いぼれである。
「部下の報告によるとまた帝国が攻めてくるとか。それで閣下を訪れたのですじゃ」
「ご存知でしたか。規模は4万とも5万とも言われています」
「それはそれは……万全の準備が必要ですじゃな」 
「指揮をとっていただけるとありがたいのですが……」
「元帥閣下、こんな爺でよければ使ってくだされ。エリオット元帥がおられればわしの出る幕はないですじゃが……」
 ウィリアム・ジョー・エリオット。ハーゼンハイデ公クラウスをしのぐ百年に一人の逸材。だが、政治家の介入で思うような働きができず、嫌気がさして現在は隠遁生活を送っている。
「エリオット元帥はわたしが何とかします。将軍には最善を尽くしていただきます」
「ありがたいことですじゃ。そう言えば、グレンデールの下に優秀な若手がいると伺ったのですが」
「はい、パルテアとトンプソンです。このたびは将軍の役に立てるよう、わたしが責任を持って推薦します」
「了解ですじゃ」
 二人は敬礼して別れた。

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