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街山荘・よしおの著作コミュの街山荘の動物達の顛末記9 愛犬ゴリとの遭遇

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ペンギン前回のお話
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=38617175&comm_id=3930952


杜仲の木が植林されている手前の境界線にそって2m半高のコンクリートの壁を作っていた。
 それまでは境界の区別もなく林道からなだらかな傾斜のまま敷地が続いていたが、傾斜した地面は何かと使いにくい。
 10m以上の堅固なコンクリートの壁を完成させてからは、必ず何処かで道路工事とか整地工事があって、そこに出向いては掘削した土砂や石を処分する捨て場にオレの敷地へ持ってくるよう伝えると、どの業者も喜んで搬入してきた。

 ついでにユンボも搬入してきて持ち込んだ残土を均したり踏み固めたりして、何日か続ける場合はユンボを置いたままにするから、オレはチャッカリそれを拝借して建物周りの整地や隣地に生い茂るススキの根を掘り起こしたり、邪魔な木立を根こそぎもぎ取ったりして、畑用に整地していった。

 ところでこの地方の方言で
「そうかい、なんだいオメェッチにベトベチャッテいいのかい。それりゃありがてぇ。じゃそうさせてもらうよ」
 さてさて、この意味が分かるなか。

「ベトベチャル」最初聞いたときは何か汚い感じを受け何のコトやらチンプンカンプン。
 すなわち、ベト→土、ベチャル→捨てるなんやね。そやから土を捨てるというコトやった。

 そして今では壁の高さまでスッポリとベトがいや土盛が出来て林道から平坦な敷地を確保していた。そこからブタ共の柵が見下ろせる。
 見下ろせる位置は右手に傾斜して小さな沢へと続く雑木林になって沢の手前はチョッとした湿地でナメコなんかも自生して僅かやけど芭蕉も白い花を咲かせたりする。
 日陰になったシットリと静かな景観は真夏でも清涼な空気を宿していた。
 
 見下ろすその位置に第二期工事としてコテージを建てる計画をしていた。
 建物から沢に向けてデッキを出せば自然の庭を確保した形になる。
 そやけど第二期工事に入るまではこの日本一巨大なログハウスを先ず完成させねばならない。ほんでその完成は何時のコトなんかなぁと、建ててるオレ自身にも目安が立てられへんでいた。

 何で日本一巨大なログハウスかというと、ログハウスの床面積は建築基準法で定められていて一棟につき最大60坪と言うのが建て始め当時の基準やった。
 当時まだまだド素人のオレはそれを総床面積でなく1フロアーの面積と都合の良い勝手な解釈をして基礎の地下と広いロフトも含めて都合四階建にしたもんやから総床面積は約200坪と膨らみ明らかに超オーバーな違法建築になってしもうた。

 それが分かったのが基礎工事の最中で、エーイままよと違法へまっしぐらに直進していった。まさか人里離れたこの山麓に違法建築が建ったとしても強制執行で取り壊しはあれへんと居直った。

 であるから、そんな巨大な建物をほぼ一人で造り続けてるもんで完成はそこから何年先のコトやら予定は未定のまま牛歩のようにただ着々と進んでいた。

 であるから計画の第二工事なんてまだまだ先のコトで、ならばそこに簡易の家畜小屋を建てることにした。
 コンクリートを敷き詰めて傾斜を作りブタ小屋はもちろん百羽は飼える鶏舎も兼ね二階建てにして飼料と物置にする計画を立て、本体のログハウス建築の傍ら家畜小屋兼物置小屋の建築に着手していった。


 Nさんからまた貴重な情報を得た。
 キツネもタヌキもこの辺りの野生の獣は犬を怖れる。犬が実際に居れへんかっても毛だけでもその匂いで獣は近づかへんと聞いた。
 とは言え、毛だけというても肝心のお犬様と知り合いがない。
 何処のペンションでも大体は犬を飼っていたが当時はまだペンションの誰とも懇意でなかったので、犬の毛を下さいとは勢い頼みに行けなかった。

 そこで、兵庫県の芦屋でジャズヴォーカルしているM譲の本業が犬の散髪と簡易ホテルをしているので大量の犬の毛を送ってもらい、隣地も含めた敷地の境界の端に隈なく犬の毛を並べるように置いた。
 それが功を奏したのかタヌキもキツネも敷地内に入ってきた形跡が途絶えた。

 一羽だけ生き残った烏骨鶏は傷つけられた首の根元からややくの字に曲がったまま元気に生きていたし、間を置かずに新たな烏骨鶏が入ってきた。

「何だほー、オメッチ烏骨鶏を飼ってたっていうじゃねえかい。オラッチの烏骨鶏要らねぇかい。六羽ほど居るんだがどうも世話するのが面倒になってさ、くれてやるからもらってくねぇかい」
 断っておくが決して慇懃無礼にケンカを売ってくるような話し方ではないんやな、これでもその話を持ってきた村のお爺さんは優しい物腰で頼むように言うてはったんや。
 ホンマに方言って面白いでんなぁと、オレもいつも何処でも大阪弁を崩せへんかった。

 てなコトでそのお爺さんが持ってきた烏骨鶏を見て、これまたオレ達はビックリ。
 黒いはずの烏骨鶏が何と真っ白いではおまへんか。
 羽も羽毛も全て真っ白。
 そやけど、顔や足は真っ黒。つまるところ羽だけが白くて後はやっぱり全部真
黒やった。

 この白い烏骨鶏は飼ってみると前の黒い集団とは違いそれぞれが交代で二三日おきに卵を確実に産むので毎日二個の卵が確保できたから重宝なものに格上げされていた。
 そんなコトもあって堅牢な鶏舎の必要性があったって訳で。


 そんなある日、普段は歩いて下校させていた小学生二年の末っ子の息子を何かのついでで木島平村南部小学校へ車で迎えに行った。
 学校の正門から高社山を目指して田園を真っ直ぐ突き抜ける農道を車は緩やかな風景に合わせて徐行さながらに登っていった。
 やがて突き当たって右に折れるとスキー場へ続く林道に出る。
 その手前に数匹の犬を連れた親子に遭遇した。

 息子の同級生で何かと言葉を交わしていた母親であった。
 すれ違いざま当然に会釈の挨拶を交わす。
 見ると数匹の犬は母親らしい成犬と子犬が数匹やった。

「いいですね、可愛い子がいっぱい居て」とオレは思わず声をかけた。
「いいえ、困ってるんですよ。こんなに産んで」

 信州木島平村には他府県から嫁いできたお嫁さんが多い。
 スキー場で成り立つ小村。スキーに来て村民の経営する民宿なりペンションなりにやってきて経営するオーナーの息子達と結ばれるケースが多く、このご婦人も県外から嫁いできたから話す言葉は関東訛りやった。
 そして、県外から嫁いできた女性は一応に美人が多いし、何故か信州木島平村の女性は美人が多い。
 ま、それに反して男達は野暮ったくダサい感じが多いのに不思議なものを見てしまう。

「へぇ、そうですか。一匹欲しいですね」
 思わず言うたオレ。
 都会のマンション暮らしでは到底無理なコトで諦めていたが、子供の頃から犬は大好きときた。犬は犬でも近頃流行の小型の猫大の犬は由とせず、やっぱり柴犬かなと何となく思っていたんや。
 んで、その犬は柴犬が主流の雑種やと明らかに分かった。

「そうですか、じゃぁ持って行ってください」
 チョッと小柄で美人のご夫人はにこやかに言うではないか。
「えっ、今、もろてもエエんですか」
「どうぞどうぞ、このまま持っていってくれたら助かります」

 白地に茶色の大きい斑点模様の子犬。まるで竹輪の柄のよう。
 生後五ヶ月のメス犬。
 会ってその時からベタベタとなついてくる。

 名前を何にしようかと、家族四人額を寄せ合った。
「ゴリにする」
「えっ、メスやのにゴリは変やで」と家族の誰しもがブーイング。
 オレはそれでも強引に妻子に納得させた。
 
 子供達が何時しかオレをゴリラとかゴリ男くんとかの愛称をつけていた。
 そのあだ名をこの子犬に振り向けるコトでオレのあだ名が一つ消える訳であって、他にはクマさんが子供達以外のお客にも広く浸透していた。

 犬の毛だけでもキツネやタヌキが寄り付かないというNさんの話にこれで鶏達を守れるし、ましてや憧れの犬を飼うというのが現実になった。

 妻は
「ワタシは猫がエエのになぁ」


ウマ続きhttp://mixi.jp/view_bbs.pl?id=44065604&comm_id=3930952

コメント(3)

やん よしおちゃんも嫌かもしれんけど 犬にゴリは 犬も喋れたら 私は犬よ

言いはるでわーい(嬉しい顔)
ラブレターそにお譲
 いやいや、これがまた楽しいおまんねんるんるん

 更に更に登場する動物達に楽しい名前をいっぱいつけていくさかい
 乞う、ご期待をペンギン


ラブレターJUNKA姐御
 いやーっ流石は姐御、師匠!
 分かってらっしゃる。
 つづき楽しみにしててや、やけど、最近、なかなか進めへんねんな。
 ま、気長にポチポチやりますねペンギン

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