古代中国史大好きコミュの夷ゲイ

商にゲイと言う夷系部族がいた。彼は奔放で力強くまた、人の話を聞かない事で有名だった。
｢さぁて良い獲物を得た！｣
｢待て!!何でもやる！やるから放せ。予を誰と思っておる｣
｢ん？特大の獲物｣
｢そんな安っぽい物では無い！予は夏の啓が子、天子の太庚ぞ｣
｢そりゃすげぇ。なら国事もやらないから吾に捕らわれても誰も怒らねぇ｣
｢なっ｣
天子についたはいいが狩猟、逸楽で国事をしない太庚は痛いところをつかれ苦い顔をする。
商につくとゲイの妻恒蛾が人垣を掻き分け抱きついてきた。
｢夏人がいる｣
｢何？本当…白いわね。｣
｢悪かったな。巨人｣
｢ムカつく！｣
｢喜んで聞け太庚！｣
｢聞きたくない。｣
｢お前のとこの五子が怒ってお前の歌を作ったぞ｣
もう真っ青になるしかなかった太庚だった。
後日の事、いつものように朝夕の儀礼をしようとしたら太陽が十あるのである。
｢おい、ヤバいぞ！商だけだよな｣
｢分からない。西王母に不死の薬を求めようか…｣
｢おい、ゲイ。何か言ったか？｣
｢何も言っとらん｣
太庚のわたわたしている間に賢者達の会議により、弓の名手に射ち落とさせる事にしたが、一個の太陽だけそれを逃れ西山に入り出てこない。暗い。
獅子や黄牛が相ついで太陽を呼ぶが、声が恐くて出てこない。最後に雄鶏の美しい声でやっと姿を表したのでそこをゲイが射た。
だがその頃ゲイの話を盗み聞いた恒蛾は救われた事を知らず。薬を盗んで月中にいた。ここには舜の妻常蛾がいる。月の精はセン(虫余/ジョ) というヒキガエルの化身という話だ。

関係資料｢山海経｣｢楚辞｣｢准南子｣｢中国古代神話｣｢夏本紀｣